スポーツ
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スポーツ 2016年08月17日 15時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 メジャーリーガー「前田健太」−−六つの謎
ドジャースの前田健太は試合ごとの波が大きいものの、大エースのクレイトン・カーショウが長期欠場している中で、ド軍先発陣では最もいい働きを見せている。今週はマエケンファンにとって気になる六つの謎に迫り、解説を加えていきたい。(1)評価の高い技術−−バットの先で打たせる変化球 マエケンは打者を追い込むと右打者には外角にスライダー、左打者には外側にツーシームかチェンジアップを投げ込んでくる。どちらも外側に逃げる軌道になるため、打者が打ちに行くとバットの先っぽに当たって凡ゴロか凡フライになる。この強い打球を打たせないテクニックは一部のアナリストから絶賛されている。(2)評価の高い球種−−スライダー、フォーシーム、チェンジアップ マエケンは米国でもスライダーを高く評価されている。野球データサイト・ファングラフスが掲出している球種別の評価を見ると、スライダーはメジャーの先発投手(規定投球回数以上)63人中4位にランクされている。 意外なのは、スピードが145キロ前後しかないフォーシームが「上」レベルと評価を受けていることだ。これはフォーシームを高めに、変化球を低めに投げ分けて、打者の目線を狂わすことに長けているからだ。チェンジアップは使用頻度が9%程度だが、左打者のタイミングを外す道具として機能しており「上」レベルの評価を受けている。 逆に、評価が低いのはカーブ。メジャーに来てからタイミングを外す道具、目線を狂わす道具として重宝し、日本時代より使用頻度を大幅に増やしている(19%)。しかし、抜けて甘く入るケースが頻発するため評価が低く、前出のファングラフスの球種評価でも、先発投手80人の中で78位だ。(3)魔の3まわり目 マエケンの評価が今一つ高くならないのは、1まわり目、2まわり目は完ぺきに抑えるのに、3まわり目に入ると、とたんに打たれ出すからだ。これは数字にも表れていて、マエケンは1まわり目の被打率が1割7分6厘、2まわり目は1割9分9厘だが、3まわり目になると3割4分4厘に跳ね上がる。そのため最近は3まわり目に入るとヒットを1本打たれたところであっさり代えられてしまうことが多くなった。(4)「新人王」になれるか? マエケンは球団と、新人王に選出されると5万ドル(520万円)のボーナスが出る契約を結んでいるが、選出される可能性は極めて低い。 ナ・リーグは今季、いつにないルーキーの当たり年。新人王争いはオールスターにも出場したドジャースのシーガー弟とカージナルスのアレドミス・ディアズの大型遊撃手同士の一騎打ちの様相を呈している。 投手はマエケン、マッツ(メッツ)、デイヴィース(ブリュワーズ)、グレイ(ロッキーズ)が横一線で並んでいるが、シーガー、ディアズの2人には歯が立たない。 ただマエケンがシーズン終盤に踏ん張り、防御率を2.80くらいまで戻せば、新人王選考の最終候補(3人)に入る可能性が出てくる。(5)ポストシーズンで活躍する可能性は? 大いにある。今季ドジャースは前半、得点力不足で勝ち星が伸びず、ライバルのジャイアンツに前半終了時点で6.5ゲーム差をつけられていた。しかも、6月下旬に大エースのカーショウが肩痛で戦列を離れたため、ジ軍が独走態勢に入ると思われた。 ところが、ジ軍がシーズン後半に入ってよもやの失速。ゲーム差は8月3日現在1.5ゲームに縮まり、ド軍にも地区優勝する可能性が5割くらい出てきた。今後カーショウが復帰すれば、ド軍に一気に流れが傾くかもしれない。 ポストシーズンでは、先発投手を3人で回すので、4、5番手はリリーフに回る。マエケンは現在1番手扱い。カーショウが復帰しても2番手に下がるだけなので、先発で起用され、活躍する余地は大いにある。(6)2016年度の総支給額 マエケンの年俸は基本給が300万ドルで、出来高が1015万ドルを上限に設定されている。このまま故障なくシーズンを終えると、マエケンは先発試合が30、投球イニングは190回前後になると思われる。 契約内容を見ると出来高は先発試合数と投球イニング数の2本立てになっていて、イニング数は90イニングから190イニングまで10イニング増えるごとに25万ドルが加算される。190イニング投げれば、出来高は275万ドルになる。 先発試合の方の出来高は15試合で100万ドル、20試合で200万ドル。25試合で350万ドル、30試合で500万ドル、32試合で650万ドルが支給される。マエケンは30試合の先発となる可能性が高いので、こちらの出来高は500万ドルになる。 イニング数の275万ドルと合わせると出来高の合計は775万ドル。これに基本年俸300万ドル、開幕ロースターに入っていると支給される15万ドルのボーナスを合計すると、マエケンが今季ドジャースから受け取るカネの合計は1090万ドル(約11億円)になる。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2016年08月16日 15時00分
2020年東京五輪 長嶋総監督、ゴジラ松井監督が誕生
国民栄誉賞をW受賞したあの“師弟コンビ”が2020年に再び立ち上がる。 東京オリンピックで野球・ソフトボールが追加競技として行われることが決定した。8月3日、リオデジャネイロで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)での決議を知らされた際、NPB関係者は一様に喜んだが、本当の戦いはこれからだという。 「野球・ソフトの最終目標は“公式種目”として五輪に復活すること。東京の次大会ではまた新たに追加競技を決め直します。野球・ソフトは、もっとアピールしないといけません」(スポーツライター・飯山満氏) まだ具体的な話し合いは始まっていないが、「東京五輪を戦う侍ジャパンは、今以上に魅力のあるチームにしなければならない」とのことで一致している。 「侍ジャパンを指揮している小久保裕紀監督の任期は、来春行われる第4回WBCまで。現時点では小久保監督の続投を含め、後任は白紙状態です」(球界関係者) 小久保監督が今年11月の国際親善試合で日本人メジャーリーガーの招集を示唆したのも、魅力あるチームにするためだ。 「第5回WBCは'21年です。小久保監督が続投するにしても、『次の第5回大会まで託す』という任期になるでしょう」(同) そこで急浮上してきたのが、東京五輪を戦うチームと、常設された侍ジャパンを分けて考えるプラン。第4回WBC後の次期代表監督にも4年の任期を託す。しかし、東京五輪を戦うチームの監督と、常設侍ジャパンの監督が異なってもいいのでは、というのだ。 先の球界関係者は「具体的な話し合いはこれから」と前置きしつつも、NPB内には「東京五輪の野球チームを盛り上げたい」とし、各要人が何人かの大物OBの名前を出し始めたという。 「日本の野球ファンは、誰が監督になるかで感心の持ち方が違ってきます。本命というか、希望はイチローです。ただ、4年後、47歳のイチローはまだ現役を続けている可能性もある。そうなると、ゴジラ松井(秀喜)か黒田博樹。代表監督経験者の原辰徳氏や前広島監督の野村謙二郎氏も候補に入っていますが…」(同) 野球・ソフトの当選後、長嶋茂雄氏が「ありがとう!」と、ファンにお礼を伝えるPRコマーシャルも放送された。巨人の終身名誉監督でもある長嶋氏も東京五輪への協力は惜しまない。コミッショナー特別顧問で、再選定の最終審議でも尽力した王貞治氏にも相談。長嶋氏、王氏が納得する人物となれば、もはや松井秀喜氏しかいない。 「松井氏は原監督の次の巨人指揮官候補でした。若いヨシノブ(高橋)が選ばれたことで、当面、その話は出ないでしょう。しかし、松井もヨシノブも長嶋氏にとっては可愛い存在。長嶋氏は自身の経験から、いきなり監督になるより、コーチか二軍監督を経験したほうがいいという持論のようなものを持っています。兼任コーチの経験しかないヨシノブのことを非常に心配していました」(ベテラン記者) 「監督就任前にワンクッション置く」という考えは中畑、原氏の時代にもあった。 「'04年のアテネ五輪で何事もなければ、野球の日本代表は長嶋氏が指揮するはずでした。当時、長嶋氏は『勉強しろ』という意味で、江川卓氏にもコーチ入閣の打診をしていました。江川氏の『中間管理職のコーチ業はやりたくない』の持論も知っていて、『オレの下でならいいだろ?』と…。これは実現しませんでしたが、松井に勉強させる機会を与えるため、東京五輪代表チームの指揮官を委ねようとしています」(前出・関係者) 松井氏も巨人の監督でなければ、監督業にも抵抗はないだろう。また、松井氏には“負い目”もある。それは第1、2回のWBCの代表招集を辞退していること。当時所属していたヤンキースが強いプロテクトを掛けたためだが、五輪監督を引き受ければ、そのときの借りも清算できる。 「長嶋氏もアテネ五輪に参加できなかったことが心残りなはず。日本中が応援できるドリームチームを作るのなら、『長嶋総監督-ゴジラ松井監督』しかない」(前出・ベテラン記者) また、読売グループも『長嶋総監督-ゴジラ松井監督』をプッシュするはずだ。近年、代表入りする巨人選手が少なくなっている。生え抜きの野手が少ないためだが、『長嶋-松井』コンビとなれば“期待”が持てる。 「野球・ソフトに参加するのは、日本を含め6カ国です。1勝すればメダル獲得ですよ。野球は追加種目に決まりましたが、東京大会後のことなど、今後の課題が多すぎる。現侍ジャパンを見ても、小久保監督は12球団の主力を借りる引け目というか、無理させられないジレンマにも苦しんでいます。これまで目を逸らしてきた問題を解決するには、長嶋氏に一肌脱いでもらうしかない」(NPB関係者) 松井氏は今も野球の本場・アメリカで影響力を持っていて、ニューヨークにもファンが多いという。 「米球界の日本人グループのドンは、今も長谷川滋利氏(元マリナーズほか)です」(米国人ライター) コーチで長谷川氏が松井氏を支えるとなれば、米メディアも放っては置かないだろう。日本中に夢を与えられ、世界にもアピールできるチーム、WBCと東京五輪を切り離したプランが目下、進められている。
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スポーツ 2016年08月16日 12時13分
新日本G1が閉幕! ギラギラの夏、メラメラの闘いを制したのはケニー・オメガ!
7月18日に北海道・北海きたえーるで開幕した新日本プロレス真夏の最強決定戦「G1クライマックス26」の優勝決定戦が、14日、東京・両国国技館で行われ、Aブロックを勝ち上がった後藤洋央紀と、Bブロックを勝ち上がったケニー・オメガが対戦。後藤の力技を凌いだケニーが、怒涛のフィニッシュで勝利を収め、初出場&初優勝を飾った。外国人選手の優勝は、G1クライマックス26回の歴史において初の快挙である。 G1終盤戦を振り返ってみたい。▼Aブロック8.6大阪○タマ・トンガ 対 SANADA×○ファレ 対 真壁×○後藤 対 天山×○石井 対 オカダ×○棚橋 対 丸藤× 若干数発売された当日券もあっという間になくなり、5,270人(超満員札止め)の観衆を集めた大阪大会は、異様な熱気に包まれながらスタート。今年のG1で株を一気に上げたタマ・トンガはSANADAをガンスタンで倒す。SANADAはリーグ戦敗退が決定。続く真壁対ファレはファレがリング内外で圧倒的なパワーを見せつけて快勝した。開幕から連勝したものの、その後4連敗を喫しもう負けられない天山だったが、後藤に敗れ5連敗でリーグ戦敗退。「最後のG1」が終わってしまった天山に対して大阪のファンからは暖かい拍手が送られた。セミファイナルでは、石井がオカダを破る波乱が発生。オカダは所属するCHAOSと友好関係を築いている丸藤に続いて、CHAOS同門の石井にも敗れるという予想外の展開となった。メインは過去にも節目節目に闘ってきた棚橋と丸藤の新日本vsノアのエース対決が実現。二人にしかできないようなハイレベルな攻防に、場内は大熱狂。丸藤の攻めに苦しんだ棚橋だが、最後はハイフライフロー2連発で逆転勝利。破竹の4連勝を収め、4勝3敗と勝ち星を先行させた。8.8横浜○丸藤 対 タマ・トンガ×○SANADA 対 石井×○棚橋 対 天山×○ファレ 対 オカダ×○後藤 対 真壁× 結果によって決勝進出争いが絞られてくる横浜大会は、丸藤がタマ・トンガに順当に勝利を収めると、大阪でオカダを破った石井がSANADAに敗れてリーグ戦敗退。棚橋は天山に勝って連勝を伸ばす。セミファイナルではオカダの背中に狙いを定めたファレが最後はバッドラックフォールで仕留めてオカダは痛い連敗。メインは真壁と後藤が試合開始からゴツゴツとした攻防を繰り広げて、大歓声を浴びる。最後は牛殺しからGTRに一気に畳み掛けた後藤の勝利。「G1のGは後藤のG」とマイクで叫んで大会を締めた。この結果、序盤3連勝と絶好調だった真壁がリーグ戦敗退。決勝進出は5勝3敗で並んだ棚橋、オカダ、後藤、丸藤、ファレの5人に絞られた。8.12両国○SANADA 対 天山×○石井 対 真壁×○タマ・トンガ 対 ファレ×○後藤 対 丸藤×△棚橋 対 オカダ△ 同点の場合、直接対決の結果が反映されることから、棚橋だけが自力優勝が可能という状況で迎えたAブロック公式戦最終日。まず、ファレが盟友タマ・トンガに敗れる波乱で脱落すると、丸藤も後藤に敗れ敗退したため、オカダにも自力優勝が復活。メインは勝った方が決勝進出となり、引き分けた場合に限り、後藤が決勝進出となるシチュエーションで行われた。1.4東京ドーム大会以来となる棚橋vsオカダだが、早期決着を狙ったオカダが序盤から仕掛けていく。しかし棚橋はこれを凌ぐと、徹底した膝攻撃で形勢を逆転する。棚橋優位のまま20分が経過するが、そこからはこの二人ならではの技の読み合いが冴えまくり、一進一退の攻防に場内は大熱狂。最後は残り10秒から正調ハイフライフローを放った棚橋だが、カウント2でタイムアップ。引き分けに終わり、後藤が決勝進出の切符を手に入れた。膝にダメージが残っていたオカダだが、IWGPヘビー級のベルトを渡されると、悔しさを露わにしてセコンドの肩を借りずに自分の足で控室に帰った。Aブロック成績後藤洋央紀 6勝3敗 12点棚橋弘至 5勝3敗1分け 11点オカダ・カズチカ 5勝3敗1分け 11点丸藤正道 5勝4敗 10点バッドラック・ファレ 5勝4敗 10点真壁刀義 4勝5敗 8点石井智宏 4勝5敗 8点SANADA 4勝5敗 8点タマ・トンガ 4勝5敗 8点天山広吉 2勝7敗 4点▼Bブロック8.7浜松○矢野 対 エルガン×○柴田 対 YOSHI-HASHI×○中嶋 対 本間×○ケニー 対 永田×○内藤 対 EVIL× 3,200人(超満員札止め)をマークした浜松大会は矢野がエルガンから勝利を収める波乱の幕開け。今年のG1、矢野は絶好調だ。本間は中嶋に敗れリーグ戦敗退が決まる。永田とケニーのシングル初対決は、ケニーが片翼の天使で勝利。開幕3連勝の永田は4連敗でリーグ戦敗退が決まる。メインは注目のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン同門対決。戦前、内藤が警戒していたとおり、EVILは怒涛の大技ラッシュで内藤を苦しめるも、最後はディスティーノで切り返して逆転勝ち。試合後は拳を突き合わせてノーサイド。内藤が決勝進出へ大きな1勝を手に入れた。EVILはリーグ戦敗退。8.10山形○ケニー 対 中嶋×○EVIL 対 矢野×○内藤 対 YOSHI-HASHI×○柴田 対 永田×○エルガン 対 本間× ケニーがアメリカROH以来となる中嶋とのシングルを制して自力優勝の可能性を残す。中嶋はリーグ戦敗退。EVILは絶好調の矢野に完勝。矢野は脱落。内藤は今回のG1でダークホース的な活躍を見せているYOSHI-HASHIを寄せつけず、首位で最終日に駒を進める。セミではNEVER王座を争っていた柴田と永田が変わらぬ熱い闘いを展開。柴田がスリーパーで締め落としレフェリーストップで勝利。決勝進出に望みをつなげる。メインは、山形が地元の本間が大ホンマコールに後押しされて奮闘するが、エルガンのパワーに押し切られてしまう。大会を締めたエルガンも柴田と同じく決勝進出に望みをつないだ。8.13両国○本間 対 永田×○矢野 対 YOSHI-HASHI×○EVIL 対 柴田×○中嶋 対 エルガン×○ケニー 対 内藤× 本間が念願の永田超えを果たして最終戦を終える。EVILは柴田をパワーで圧倒し、リーグ戦敗退させることで内藤を援護。中嶋はIWGPインターコンチネンタル王者のエルガンに勝利を収め、新日本に爪痕を残した。これでエルガンも脱落し、メインは勝ったほうが決勝進出できるが、内藤は引き分けでも進出という若干優位のなか行われた。シングル初対決であり、お互いにヒールユニットのリーダーという立場にあるだけにどんな試合になるのか注目されたが、予想をはるかに超える攻防の数々に両国の観客は終始大興奮。ケニーはスワンダイブ式のトペコンヒーローなど高度な技を次々と決めてみせた。最後は残り時間2分を切ったところで、ケニーが片翼の天使を決めてフォール勝ち。本命の内藤が最後の最後で敗れてしまった。ケニーは初の外国人選手優勝を宣言し大会を締める。Bブロック成績ケニー・オメガ 6勝3敗 12点内藤哲也 6勝3敗 12点柴田勝頼 5勝4敗 10点マイケル・エルガン 5勝4敗 10点矢野通 5勝4敗 10点中嶋勝彦 5勝4敗 10点EVIL 4勝5敗 8点永田裕志 3勝6敗 6点本間朋晃 3勝6敗 6点YOSHI-HASHI 3勝6敗 6点▼優勝決定戦8.14両国「G1クライマックス26」優勝決定戦○ケニー・オメガ(26分49秒 片翼の天使→片エビ固め)後藤洋央紀×※ケニー・オメガが初優勝 チケットは前売りで完売し、10,204人(超満員札止め)の観衆を集めた最終日。入場時から両選手には大きな声援が送られた。試合は力で勝る後藤がケニーを追い込んでいくが、ケニーも得意の立体的な技の数々で対応していく。今年の1月にヘビー級に転向したケニーにとって、連日ヘビー級の選手と当たるG1は過酷なものだったに違いない。しかし、ここまでのレスラー生活の全てを後藤にぶつけていくことで、試合のペースを握っていった。シットダウン式ラストライドや、交わされてしまったが、フェニックススプラッシュはかつての盟友、飯伏幸太の技。そしてフィニッシュへの繋ぎとしてバレットクラブの初代リーダー、プリンス・デヴィットのブラッディーサンデー、2代目リーダー、AJスタイルズのスタイルズクラッシュまで使ってみせた。最後の技を自らのオリジナルフィニッシュホールド片翼の天使で決めたのは「新日本がホーム」であるケニーのプライドだろう。文句のつけようがないフィニッシュで、後藤を破り初優勝を飾ったケニーは、ひさびさに流暢な日本語でマイクパフォーマンスを行いファンを喜ばせた。 約1か月、19大会にも及んだ今年のG1は、オカダでも内藤でも、棚橋でもなく、ケニーが優勝という意外なドラマが待っていた。新日本の戦いはケニーを中心にここから来年の1.4ドームへ向かって一気に走り出していく。棚橋は「ここから必ず中心に戻ってみせますよ」と力強く語り、オカダはG1で敗れた選手と防衛戦を行った上で、1.4ドームのメインに立つ意向を明らかにしている。そして内藤も余裕の表情を崩すことなく前を向いていた。 ギラギラの夏は終わっても、メラメラな闘いはまだ終わらない。(どら増田)<新日Times VOL.30>
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スポーツ 2016年08月16日 06時00分
2016年夏の甲子園大会 「スーパー一年生」による夏の継承劇
県予選14本塁打、65得点、チーム打率3割6分4厘と圧倒的な攻撃力で、横浜高校は「3年ぶり16回目」の夏の甲子園の切符を手にした。プロ注目の右腕、藤平尚真投手もいい。しかし、この部員数約80人を誇る名門校は、県予選を戦うベンチ入り20人のなかに、4人の一年生を登録している。その一人である万波中正選手は、県予選3回戦、センターバックスクリーンへの直撃弾を放ち、全国の高校野球ファンからも一目置かれるようになった。今夏は、強豪各校にそんな『スーパー一年生』が多く見られる。 そのスーパー一年生が集大成となる三年生夏、夏の甲子園大会は『第100回』を迎える。それはそれで楽しみではあるが、名門・PL学園も「活動休止」とならなければ、スーパー一年生による“捲土重来”も見られたかもしれない。 大阪府の強豪校、大阪桐蔭にも2人のスーパー一年生が加わった。一人は中学時代に146キロをマークした根尾昂投手、もう一人は地元大阪出身の藤原恭大外野手(左投左打)だ。藤原も府大会で公式戦デビューを果たしている。同校は中村剛也、西岡剛、中田翔、森友哉などのスラッガーをプロに送り込んでいるが、「打撃センスは中田、森以上かもしれない」と、すでにプロのスカウトが熱い視線を送っている。 芝生上での50メートル走を計ったら、5秒9。それも、アップシューズで−−。そんな逸話も聞かされた。その真偽はともかく、走攻守全てが揃った外野手であることは間違いない。その藤原の第一志望校は、PL学園だったのだ。藤原の兄は“PL最後の球児”、62期生・藤原海成外野手だ。藤原海成は右肩を故障しつつも出場し、その奮闘が報じられている。 「弟・恭大は2歳上の兄の影響で野球を始め、兄と一緒にプレーしたいと思っていた」 この情報は弟・恭大が所属した中学硬式野球クラブのスタッフから聞かされたものだ。 PL学園は2015年度から新入部員を募集しない旨を告知した。したがって、二年生以下の野球部員はいないため、現三年生が出場できる今夏の公式戦終了をもって、事実上の廃部となった。春夏通算37回の甲子園出場を誇る名門野球部の消滅を惜しむ声は今も止まない。弟・恭大は影響力もあり、「一緒に甲子園を目指したい」と思う仲間も少なくなかった。また、現代っ子気質で、部員数の多い強豪校よりも、レギュラー狙いで、低迷している学校や公立校に進む球児も多い。 一年生から大舞台を経験した“天才”は過去にもいた。しかし、近年では一年夏からレギュラー番号を背負う天才も珍しくなくなった。大阪府代表の座を勝ち取った履正社にもベンチ入りを果たした一年生が3人いた(府大会)。 通算17回の甲子園出場を果たした名将・上甲正典氏(故人)が、かつてこんな話をされていた。 「抜きん出た才能を持った一年生を育てるのがいちばん難しいんだよ。彼らが練習で70%の力しか出さなかったとしても、(指導者は)見抜けないよ。練習は全力でやらないと巧くならない。かといって、試合で一度痛い目に遭わせてそこから這い上がってくる指導をしようとしても、高校野球は実質2年半しかないから、時間が足らない。要は、本人に『上』を目指す気持ちがあるのかないのか…」 甲子園の土を踏んだ一年生もいれば、ベンチでチャンスを待つ一年生もいた。地方大会で散った一年生もいる。今夏は『100回大会』につながる楽しみも秘めている。(スポーツライター・美山和也)
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スポーツ 2016年08月15日 14時30分
2016年夏の甲子園大会 常連校を悩ます「ビミョ〜な違い」
今夏の甲子園大会は例年以上に好投手が多いとされている。参加3874校の頂点に立つのはどの高校か、「好投手」のキーワードが大会前から伝えられていた。ロースコアの試合展開になると予想した監督も少なくなかった。1点を争う展開になれば、守備でのミスが致命傷になる。その影響だろう。いくつかの常連校は、今大会の“マイナーチェンジ”に配慮していた。 「甲子園球場の外野芝は『センバツ』(=春)と『夏の大会』で微妙に異なるんです。センバツ大会時は夏の大会と比べ、芝生がやや短く、下の地面の土も固い」(関東圏の指導者) 甲子園球場は阪神タイガースの本拠地でもある。プロ野球公式戦の長丁場に耐えうるよう、まだ若い春先の芝生を守るため、地面を固くしてあるという。芝の長さも違う。そうなると、春と夏は外野を転がる打球速度が違ってくる。打球が外野手の間を抜けた際、走者が『センバツ』のイメージで次の塁を欲張ろうとしたら、タッチアウトになる。夏の大会では、センバツよりも打球の失速が早い。その分、外野手からの返球、中継プレーも早くなるというわけだ。 「甲子園球場は、今年から内野フィールドが1メートルほど広くなっています」(前出・同) 外野の芝生の切れ目が「内野と外野」の境界線だとする。そのグラスラインは、昨年までは投手板の中心から半径30メートルだった。今年から31メートルになったのだ。 関係者によれば、阪神・平田勝男チーフコーチの提案(要望)でそうなったという。二塁手、遊撃手が後方に守備位置を取るケースが増えたため、送球の際、足が芝生に掛かるときも出てきた。そのため、「土の部分」を広げることになったそうだ。 甲子園球場は、土と天然芝の球場でもある。内野手は本能的に、「土=内野フィールド」と捉える。そうなると、二遊間を守る球児の肩の強さが求められる。一塁送球時の微妙なタイミングが勝敗を分けることにもなるだろう。甲子園球場を利用できる各校の練習で、三遊間の深いところにノックを打つシーンも見られた。「感覚」の問題だが、二塁手、遊撃手の守備範囲は昨年よりも広くなっている。 順調に日程を消化した場合、決勝戦は8月21日。リオデジャネイロ五輪のテレビ中継が重なるため、決勝戦の試合開始は午後2時に変更された。前年までの午後1時スタートよりも、「暑い」と感じる時間帯は短くなるが、一塁側への太陽光がいちばん強い時間帯に試合が始まるわけだ。また、もっとも暑い時間帯にプレーボールが掛かるとも解釈できる。投手は立ち上がりからスタミナ勝負となるだろう。 この程度なら「たいした問題ではない」と思うかもしれないが、プレーする側はそうではない。高校野球はトーナメントの一発勝負であり、小さなミスがチームの混乱と動揺へとつながっていく。優勝を意識する学校はこうした“微妙な変更”も球児たちに伝え、完璧で臨みたいとしている。ロースコアの投手戦を分けるのは、球場の微妙な変化を知ることかもしれない。(スポーツライター・美山和也)
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スポーツ 2016年08月15日 14時00分
プロレス解体新書 ROUND14 〈新日本vsUインター〉 対抗戦の裏メーン「長州vs安生」
1995年10月9日、新日本プロレスvsUWFインターナショナルの歴史的対抗戦。試合前に「210%勝てる」と豪語して長州力に挑んだ安生洋二は、わずか5分弱で完敗した。 “新日強し!”を強烈にアピールしたこの試合の舞台裏で、一体何があったのか。 かつて『安生最強説』なるものがUWFファンの間では囁かれていた。 「船木誠勝がインタビューで、『キックボクサーのモーリス・スミスとも立ち技で互角に闘える唯一の日本人選手』と話したことがきっかけでした」(格闘技ライター) 当該記事中で実名は伏されていたが、いつしか“安生を指したもの”というのが定説となっていった。船木としては、鳴り物入りで新日からUWFへ移籍した後、初戦で安生に返り討ちに合ったことが意識にあったのかもしれない。 また、安生は道場の練習で無類の強さを誇り、他選手はまったく歯が立たなかったともいわれている。 だが、それ以上に“安生最強”の根拠とされたのが、'89年11月29日に開催されたUWF初の東京ドーム興行『U-COSMOS』でのチャンプア・ゲッソンリット戦だった。 「ムエタイ中重量級の一枚看板として、大型の欧州キック勢とも互角以上に闘ったチャンプアは、まさしく当時のキックボクシング界において、トップクラスの1人でした」(同) しかも、安生はノーグローブで、パンチよりもリーチの短い掌打で対抗せざるを得ないというハンデ付き。さらに言えばこの試合、興行的な意味での事前の取り決めのない、いわゆるガチンコであった。 「第二次UWFの歴史の中でも、ガチンコと言われるのはこの試合と、同日の鈴木みのるvsモーリス・スミスだけ。引き分けに終わった試合後には、若手にすぎない安生をわざわざ前田日明や高田延彦が祝福に訪れ、藤原喜明に至っては涙ぐんで抱擁までした。その様子からも、いかに特別な試合だったかがうかがえました」(同) さすがに技術面で、安生がチャンプアを上回る場面こそなかったが、評価すべきはそのクソ度胸だろう。立ち技のスペシャリストを相手に一歩も引かず、前々での戦いを挑むなど、よほどの怖いもの知らずでなければできることではない。 安生はUWFへの入門許可を得る前から、勝手に道場へ布団を持ち込んで寝泊りしていたとの逸話もある。Uインター旗揚げ後には慣例を無視するかのごとき、さまざまな企画で業界に波紋を投げかけたのも、安生の肝の太さがあってこそではなかったか。 '95年に始まるUインターと新日の歴史的対抗戦も、もとは'92年、安生らが高田の名代として蝶野正洋への挑戦を訴えたことがきっかけだった。事前交渉もなく勝手に新日事務所へ乗り込んだその行為は、「あいつらが死んだら俺が墓に糞ぶっかけてやる」と、長州がマジ切れするほどの暴挙と受け止められた。 このように、UWF系では技術面でも精神面でも上位の実力者だった安生だが、では外部からはどう評価されていたのか。 「俺でも永田(裕志)でもタックルでテイクダウンできたら、その時点で負けでいい」 新日vsUインター対抗戦、最初の横浜アリーナでの試合の前に発せられた長州の言葉からは、一切、安生へ畏怖は感じられない。 「もちろん対抗戦だから、相手を持ち上げるようなことは言わないが、長州は基本的に本音でしかコメントしない人ですからね」(スポーツ紙記者) 先の“糞ぶっかける発言”のとき、「でも、山ちゃん(山崎一夫)はいいヤツだから(かけない)」と続けたのが好例だろう。本気で罵倒しているからこそ、好感を抱く相手への気遣いも欠かさない。つまり、長州は安生の試合なりを見て、タックルでテイクダウンされる可能性はゼロと早くから確信していたのである。 対抗戦本番、長州vs安生のシングル戦は長州の一方的な勝利に終わったが、その試合後のコメントからも実際に闘ってみての本音がうかがえる。 『キレちゃあいないよ。安生も俺をキレさせたかったんじゃないか? 勇気ねぇよな』 安生からは、長州が危ういと感じるような攻めがなかったというわけだ。“勇気ねぇよな”との言葉からは、シュートを仕掛けようという素振りすらなかったこともうかがえる。 「ヒクソン道場に単身乗り込み、のちには前田を闇討ちした安生が、なぜ長州の前ではおとなしくプロレスに徹したのか。Uインターの窮状を救うために仕組んだ対抗戦だから、それを壊すような真似はできないという考えは当然あったでしょう。ただ、一方では“シュートで長州にはかなわない”との思いもあったのでは…」(同) とはいえ、それはあくまでもタックルから始まるレスリング勝負の話で、元五輪代表の長州に分があったというだけのこと。その後、ゴールデンカップスなど自由気ままな試合ぶりを許されたのは、安生の実力が新日で認められていたからに違いない。
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スポーツ 2016年08月15日 12時48分
谷繁監督の休養で浮上、落合GMの責任論と中日の未来像
8月9日午後6時、東京ヤクルト戦を控えた中日ドラゴンズが緊急会見を開き、谷繁元信監督(45)の休養を発表した。シーズン途中での休養、プロ野球界の慣例から見て、事実上の解任と見てまず間違いないだろう。 「休養をお願いしたところ、了承をいただいた」 同席した佐々木崇夫球団社長兼オーナー代行の言葉である。プロ野球界は『休養=解任』の世界だ。まだ40代の谷繁監督の将来を傷つけないようにと思っていたとしても、「お願い」「了承」の言葉はフォローになっていない。最下位に沈む戦況について、指揮官が責任を取らされたのだ。勝負の世界の厳しさは谷繁監督も分かっている。回りくどい言い方はかえって、相手を傷つけるだけだ。 「中日は世代交代の過程にあり、戦力的に厳しい。谷繁監督のせいばかりではないと思うが…」(取材記者の1人) 記者団は会見でこうも質問している。この現有戦力を構成し、谷繁監督を選んだ「落合博満GM(62)の責任論」についてだ。 「どう言ったらいいのか。(責任は)GMだけではございませんが、時間とともに(責任の)所在を…」 佐々木社長は考えながら答えていた、記者団はそんな印象を受けたという。 後半戦の指揮はヘッドコーチだった森繁和氏が執る。経験豊富な森監督代行であれば、間違いはないだろう。 「中日は『大人のチーム』です。年長者の多かったチームなので、ハプニングがあっても動じないというか、そういう気構えの大切さは現レギュラーに受け継がれています」(ベテラン記者) 佐々木社長の曖昧な物言いから察するに、世代交代が上手くいかない現有戦力を託した落合GMの責任追及は行われない可能性のほうが高い。 「落合GM自らが現場復帰するのではないか、と。それで勝てなければ『落合GM-谷繁監督』体制が間違っていたことになり、中日の生え抜きOBによる新体制も作りやすくなる。仮に『監督・落合』で勝てば、それはそれで近年の課題だった世代交代が達成されたことになる。落合GM主導で構成されたこの3季のチーム作りは間違っていなかったと証明することにもなるし…」(球界関係者) 落合GMは62歳。セ5球団は40代の監督で固められ、時計の針を逆戻りさせることになる。森監督代行が正式に監督に就任したとしても、同じだ。 「落合GMは森監督代行を高く評価しています。監督・ヘッドコーチだったころの信頼関係からしても、人事権を持つ落合GMが選ぶ『ボスト谷繁』は森監督代行でしょう」(プロ野球解説者) 生え抜きのOBや落合体制を快く思っていない中日関係者も、虎視眈々と巻き返しを狙っているともいうが…。 世代交代とは、チームを作り替えることでもある。仮に落合GMが“監督復帰”したとしても、同時にポスト落合の後継者も検討しなければならない。中日のチーム再建は長引きそうである。
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スポーツ 2016年08月12日 12時00分
夏の甲子園「ネット裏情報」 阪神の一位指名候補は甲子園にはいない?
夏の甲子園大会が始まった。ネット裏には12球団スカウトが集まり、お目当ての選手に熱い視線を送っているが、「阪神の出方が分からない」と首を傾げる関係者も少なくない。 「昨年は中村勝広GMが亡くなって最初のドラフト会議でした。中村さんは甲子園球児の指名を大切にされていましたが…」(ライバル球団スカウト) 昨夏、故人が坂井信也オーナーとともに東海大相模の小笠原慎之介、吉田凌両投手を視察していたのが思い出される。関係者によれば、故人がオーナーに同行を依頼しての視察だったとのこと。故人は良くも悪くも、「甲子園大会で活躍した球児を獲得し、チームを活気づけていく」の方針だった。その中村氏が他界し、金本体制になって最初のドラフト会議が昨年10月22日。金本監督の強い要望で「将来の主軸打者」の指名(入札)が決まったという。 「阪神の一位(入札)は小笠原君だと予想する関係者も少なくありませんでした。というのも、阪神の担当スカウトは同年1月の年明け最初の練習に顔を出しています。オーナー直々の甲子園視察は(他球団から見て)『決定だな』との印象を受けました」(前出・同) その前の14年ドラフトでは甲子園出身校・近江高の内野手、植田海を指名した。13年は指名していない。12年は藤浪晋太郎、北條史也が一、二位。中村GMが健在だったころは「絶対」ではないが、甲子園球児を意識していたと見ていいだろう。 「関西の伝統球団として、履正社の寺島(成輝)、山口(裕次郎)の両左腕は無視できないでしょう」(球界関係者) 現時点で漏れ伝わってくる阪神の一位指名候補は「藤浪のライバルになりうる投手」とのこと。藤浪は今年22歳。「22歳=大学4年生」と解釈すれば、やはり、即戦力投手を狙っているということか…。 「昨年、中日はお膝元に近い県岐阜商高の高橋純平投手を1位入札しました。落合(博満)GMが即戦力左腕として今永昇太(駒大・現横浜)を推していたのに、です。落合GMを説得したのは、地元意識ということ」(プロ野球解説者) 金本監督の本命は「鳥谷に代わりうる大型内野手」という声も聞こえてくる。吉川尚輝(中京学院大)、京田陽太(日本大学)の大学生遊撃手は鳥谷と同じ右投左打だ。早大遊撃手の石井一成(右投左打)は作新学院時代、甲子園に出場しているが…。中村路線を引き継ぐのか、それとも、即戦力投手か、ポスト鳥谷か。他球団スカウトが「阪神の出方が分からない」と首を傾げているのは、虎スカウト陣も決めかねているからだろう。
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スポーツ 2016年08月11日 16時10分
長期ロードの金本阪神に「休め」の進言ができる人は?
金本監督の相談役は誰が適任か−−。 夏の甲子園大会も始まり、金本阪神は8月2日からの長期ロードに出発した。この時期、阪神が本拠地・甲子園球場を高校球児に明け渡すのは“恒例行事”であって、今さら、そのリスクを論じるつもりはない。しかし、今夏の長期ロードは金本知憲監督(48)にとって、転換期になるかもしれない。 「フロントと現場の距離を縮める機会にもなるのではないか、と。金本監督になって、一軍と二軍、現場とフロントは近年にないくらい良好な関係となっています。でも、現場とフロントに関しては言うと、お互いに気を遣いすぎているというか…」(球界関係者) 気を遣いすぎる現状から『良好な関係』に発展させるのにはどうすればいいのか? そのキーマンとして浮上してきたのが、前監督であり、現在はシニアアドバイザーを務める和田豊氏(53)だ。 和田SAは4年間の指揮で、この8月の長期ロードをむしろ得意としていた。負け越したのは一度だけ。一時期、阪神は最下位にも沈んだが、息を吹き返しつつある。今夏の長期ロードを巧く乗り切れば、「Aクラス確保」の確率はかなり高くなる。 「阪神はフロント上層部と現場がシーズン中も定期的に会い、意見交換をしていました。中村勝広氏がGMとしてご活躍されていたころは、とくに頻繁に行われていました。『月一回』のペースで行われていた年もありました。今でも『報告会』と称して、定期的に現場とフロント要人が会っているはず」(前出・同) 定期的に会っているにも関わらず、金本監督と和田SAの距離を縮めようとしている理由は? 和田監督時代を知る阪神OBが当時をこう振り返る。 「和田監督の時代? たしかに8月の長期ロードは強かったですね。何か特別なことをやっていたという記憶はないけど…。ビジターのチームは練習時間が短くなります。暑さと寝不足で体が動かなくなることも多いので、和田監督はベテランだけではなく、レギュラーや中堅選手の練習も免除するなどしていました。やっていたのは、それくらいだと思うが…」 遠征試合が2カード以上続く際、練習免除を言い渡す他球団監督も多い。とくに和田SAが特別なことをやっていたわけではないようだ。それでも、経営陣は和田SAと金本監督の距離を縮めようとしている。 関西圏で活動するプロ野球解説者がこう言う。 「金本監督が就任して以来、チームの練習量はかなり増えています。若手は将来のために練習しなければなりませんが…」 一部の球団首脳陣の目には「チーム全体がオーバーワーク気味」と映っているそうだ。 新人・高山俊が不振に喘いでいたころ、その休日返上の打撃練習には金本監督自らが立ち会い、指導もしている。こうした地道な努力がいずれ実を結ぶはずだが、「金本監督も練習の多さで這い上がってきた人。金本監督が目を光らせているとなれば、試合前の練習は単なる『調整』ではなくなる」(前出・関係者)と、危惧しているのだ。 昨秋のキャンプ中、金本監督は宿舎に戻ってから素振りをする選手に「練習が足らないのなら、グラウンドでやれ!」と叱咤し、夜間練習を禁止した。金本監督もメリハリの重要性は分かっている。チームが世代交代の過程にあるため、「選手を休ませる不安」も抱いているのかもしれない。そのことを和田SAにアドバイスさせようとしているのだろう。
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スポーツ 2016年08月10日 14時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 決断のときを迎えたレッドソックス「上原浩治」
レッドソックスの上原浩治は7月8日にクローザーに復帰後、制球が見違えるようによくなり、4連続セーブを挙げてボストンのファンを喜ばせた。しかし、7月20日のジャイアンツ戦の登板で右の胸筋を痛めて緊急降板。故障者リスト入りを余儀なくされた。 今回の故障が厄介なのは、早期の復帰を望めそうもないことだ。 上原は現在、PRP療法(多血小板血漿療法)による治療を受けているが、この療法は自己修復力を高めて回復を図るものなので時間がかかる。一昨年ヒジを痛めた田中将大がこの療法で回復を図った際は、復帰まで2カ月半かかった。上原もそれくらいかかると思われるが、それだと復帰できるのはシーズン終了後の10月になってしまう。 これは「レッドソックス上原浩治」が事実上終わってしまったことを意味する。 今季は2年契約の最終年。42歳(来年4月)になることや成績の急落を考えれば、レ軍が上原を残留させる可能性はほとんどない。 今後、考えられるシナリオは、次の三つだ。 一つは、メジャーの他球団と年俸100〜200万ドルくらいで契約するシナリオだ。 上原は本拠地球場が狭いレ軍では一発を食うリスクが高くなるが、本拠地球場の広いチームに行けば、そのリスクが大幅に減る。一方で三振をハイペースで奪う能力は健在なので、セットアッパーで使えると評価して獲得に乗り出すチームが現れる可能性は十分ある。ジャイアンツ、マーリンズ、アスレチックスなどは本拠地球場が広いうえ、中継ぎ陣がコマ不足なので獲得に乗り出す可能性がある。 上原にとってモデルケースとなるのが斎藤隆だ。 斎藤はドジャースのクローザーを務めた実績がある上、伝家の宝刀スライダーが40歳を超えてもフルに機能したため、42歳になってもダイヤモンドバックスから1年175万ドルのオファーが来て投げ続けた。上原も名門球団のクローザーを務めた輝かしい実績がある上、伝家の宝刀スプリッターで三振を大量生産できるので、本人が望めば来季まで投げて、メジャー人生を締めくくることは十分可能なシナリオである。 二つ目のシナリオは日本球界への復帰だ。 古巣巨人はセットアッパーコンビ(マシソン、山口鉄也)の一角、山口が用をなさなくなっているので、左打者に強いセットアッパーの補強が急務になっている。フォークボールを武器にする上原は右打者より左打者に強く、そのニーズにフィットしている。 古巣復帰となれば黒田博樹のカープ復帰のような熱狂が巻き起こると思われるので、営業面でのプラスも大きい。上原自身も、巨人のユニホームを着て野球人生を終わらせたいという気持ちがあると思うので、とんとん拍子に話が進む可能性がある。 三つ目は今季限りで引退というシナリオだ。 上原は5月以降、一発を立て続けに食うようになり、思いつめた表情で首をかしげるシーンが多くなった。今回DL入りする原因となった胸筋の炎症も長引く可能性があるので、シーズン終了後、レ軍のユニホームで引退の記者会見に臨む可能性は大いにある。 田澤純一はこれまで、5月までは安定した投球を見せるのに、6、7月に失点が多くなるというパターンを繰り返してきた。今季も序盤は好調だったが、6月に入って失投が増え防御率が右肩上がりに上昇。7月初旬には3点代後半まで悪化した。その挙げ句、7月5日に「肩関節の痛み」を理由にDL入りしてしまった。 しかし、このDL入りは、球団首脳が田澤にプレゼントした夏休みだった。 田澤の肩関節の痛みは慢性的なもので、投げようと思えば投げられた。それなのに、球団首脳があえて休ませることにしたのは、このまま使い続けると昨季と同様、立ち直れないままどんどん悪くなり、メルトダウンする可能性があると判断したからだ。 この15日間のDL入りは格好の肩休め、肘休めになったようで、7月22日に復帰後は制球が安定。フォーシームのキレも甦り、セットアッパーとしてフルに機能するようになった。 来季以降を考えると、これは大きな意味を持つ。 田澤は今シーズン中にFA権を取得するので、今季いい働きをすればオフにFAとなり3年契約をゲットできる。だが、働きが悪ければ商品価値を上げることができず、1年契約に甘んじないといけない。 6月から7月初旬にかけて田澤は失点が多くなった上、DL入りも経験したので、商品価値がかなり下がっていた。しかし、復帰後、セットアッパーとしてフルに機能しているため、商品価値が再上昇。現状の防御率(7月28日現在、3.31)を維持できれば、複数年契約をゲットできる可能性が高くなった。もし、防御率を2点台中ごろまで戻すことができれば、3年契約も可能になるだろう。 それもこれも、8月と9月の働き次第なので、田澤は投手人生で最大の踏ん張りどころを迎えたといっても過言ではない。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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