「昨年は中村勝広GMが亡くなって最初のドラフト会議でした。中村さんは甲子園球児の指名を大切にされていましたが…」(ライバル球団スカウト)
昨夏、故人が坂井信也オーナーとともに東海大相模の小笠原慎之介、吉田凌両投手を視察していたのが思い出される。関係者によれば、故人がオーナーに同行を依頼しての視察だったとのこと。故人は良くも悪くも、「甲子園大会で活躍した球児を獲得し、チームを活気づけていく」の方針だった。その中村氏が他界し、金本体制になって最初のドラフト会議が昨年10月22日。金本監督の強い要望で「将来の主軸打者」の指名(入札)が決まったという。
「阪神の一位(入札)は小笠原君だと予想する関係者も少なくありませんでした。というのも、阪神の担当スカウトは同年1月の年明け最初の練習に顔を出しています。オーナー直々の甲子園視察は(他球団から見て)『決定だな』との印象を受けました」(前出・同)
その前の14年ドラフトでは甲子園出身校・近江高の内野手、植田海を指名した。13年は指名していない。12年は藤浪晋太郎、北條史也が一、二位。中村GMが健在だったころは「絶対」ではないが、甲子園球児を意識していたと見ていいだろう。
「関西の伝統球団として、履正社の寺島(成輝)、山口(裕次郎)の両左腕は無視できないでしょう」(球界関係者)
現時点で漏れ伝わってくる阪神の一位指名候補は「藤浪のライバルになりうる投手」とのこと。藤浪は今年22歳。「22歳=大学4年生」と解釈すれば、やはり、即戦力投手を狙っているということか…。
「昨年、中日はお膝元に近い県岐阜商高の高橋純平投手を1位入札しました。落合(博満)GMが即戦力左腕として今永昇太(駒大・現横浜)を推していたのに、です。落合GMを説得したのは、地元意識ということ」(プロ野球解説者)
金本監督の本命は「鳥谷に代わりうる大型内野手」という声も聞こえてくる。吉川尚輝(中京学院大)、京田陽太(日本大学)の大学生遊撃手は鳥谷と同じ右投左打だ。早大遊撃手の石井一成(右投左打)は作新学院時代、甲子園に出場しているが…。中村路線を引き継ぐのか、それとも、即戦力投手か、ポスト鳥谷か。他球団スカウトが「阪神の出方が分からない」と首を傾げているのは、虎スカウト陣も決めかねているからだろう。