「休養をお願いしたところ、了承をいただいた」
同席した佐々木崇夫球団社長兼オーナー代行の言葉である。プロ野球界は『休養=解任』の世界だ。まだ40代の谷繁監督の将来を傷つけないようにと思っていたとしても、「お願い」「了承」の言葉はフォローになっていない。最下位に沈む戦況について、指揮官が責任を取らされたのだ。勝負の世界の厳しさは谷繁監督も分かっている。回りくどい言い方はかえって、相手を傷つけるだけだ。
「中日は世代交代の過程にあり、戦力的に厳しい。谷繁監督のせいばかりではないと思うが…」(取材記者の1人)
記者団は会見でこうも質問している。この現有戦力を構成し、谷繁監督を選んだ「落合博満GM(62)の責任論」についてだ。
「どう言ったらいいのか。(責任は)GMだけではございませんが、時間とともに(責任の)所在を…」
佐々木社長は考えながら答えていた、記者団はそんな印象を受けたという。
後半戦の指揮はヘッドコーチだった森繁和氏が執る。経験豊富な森監督代行であれば、間違いはないだろう。
「中日は『大人のチーム』です。年長者の多かったチームなので、ハプニングがあっても動じないというか、そういう気構えの大切さは現レギュラーに受け継がれています」(ベテラン記者)
佐々木社長の曖昧な物言いから察するに、世代交代が上手くいかない現有戦力を託した落合GMの責任追及は行われない可能性のほうが高い。
「落合GM自らが現場復帰するのではないか、と。それで勝てなければ『落合GM-谷繁監督』体制が間違っていたことになり、中日の生え抜きOBによる新体制も作りやすくなる。仮に『監督・落合』で勝てば、それはそれで近年の課題だった世代交代が達成されたことになる。落合GM主導で構成されたこの3季のチーム作りは間違っていなかったと証明することにもなるし…」(球界関係者)
落合GMは62歳。セ5球団は40代の監督で固められ、時計の針を逆戻りさせることになる。森監督代行が正式に監督に就任したとしても、同じだ。
「落合GMは森監督代行を高く評価しています。監督・ヘッドコーチだったころの信頼関係からしても、人事権を持つ落合GMが選ぶ『ボスト谷繁』は森監督代行でしょう」(プロ野球解説者)
生え抜きのOBや落合体制を快く思っていない中日関係者も、虎視眈々と巻き返しを狙っているともいうが…。
世代交代とは、チームを作り替えることでもある。仮に落合GMが“監督復帰”したとしても、同時にポスト落合の後継者も検討しなければならない。中日のチーム再建は長引きそうである。