総合格闘技の雄、パンクラスが旗揚げ14年目の大勝負に打って出る。
1993年9月23日の東京ベイNKホール大会で産声をあげたパンクラス。UWFの流れをくみ、完全実力主義を掲げたハイブリッド・レスリングを船木誠勝、鈴木みのるの2大エースが体現。激しい攻防から、一瞬で勝敗がつくことも多く、“秒殺”という言葉をマット界に定着させた。
だが、現在の格闘技勢力図を見ると、総合格闘技の「PRIDE」、立ち技の「K-1」が巧みなメディア戦略もあり、2強の地位を確立。パンクラスは2番手、3番手の地位に甘んじているのが現状だ。
この状況を打破するため、パンクラスが来春にも大きな動きをみせるという。
尾崎社長は「以前は、競技性とエンターテインメント性の両方を目指していたが、この3、4年、競技性に偏っていたと思う。格闘技ファンじゃなくても楽しめる試合を組んでいきたい。子供も家族も見れるようなね。競技性のある試合とエンターテインメント性のある試合の両方を、K-1やPRIDEがやっているような大会場で仕掛けていきたいと思ってます」。コアな格闘技ファンだけでなく、ライト層を取り込める話題性のあるマッチメークを取り入れ、首都圏の1万人規模大会場でライバル団体に引けを取らない一大イベントを開催するプランを明らかにした。
エンターテインメント性、話題性のある試合の一例に、芸能人、別ジャンルのスポーツ選手による格闘技戦が浮上する。ボビー・オロゴン、金子賢ら芸能人ファイターがすでにリングデビューしているが、ある関係者によると、パンクラスの12・2有明大会でプロデビューする坂口征夫の弟で俳優の坂口憲二の格闘技デビュープランが浮上。パンクラス道場でトレーニングを行っているお笑いタレント・今田耕司のデビュー戦も考えられるという。
また、「HERO'S」参戦もウワサされる暴走アーティスト・押尾学も十分可能性がある。タレントファイターVSパンクラス所属選手の試合でも話題になるが、憲二VS今田、今田VS押尾、憲二VS押尾…など芸能人同士の戦いが実現すれば、格闘技マスコミはもちろんのこと、芸能マスコミが食いつくことは間違いない。
これまで、競技性の強い確かな戦いをみせるリングを確立したパンクラス。新たな一歩を踏み出すことで、「PRIDE」、「K-1」に並ぶポジションを強奪するつもりだ。