今回の日本プロボクシング協会長選挙、東日本ボクシング協会長選挙(2月26日)は原田氏&大橋秀行氏と輪島氏&具志堅用高氏が真っ向から激突。主要スポーツ紙1面に“ボクシング界内紛”と大々的に報道されたこともあり、普段なら祝賀ムードの強い表彰式会場にきな臭い空気が充満した。
前日の22日に原田&大橋が出馬会見を開いていたため、この日の報道陣の狙いは輪島氏(具志堅氏は表彰式を欠席)に集中。いつものようにアルコールで顔を真っ赤に染めた輪島氏は報道陣に囲まれると、拳を握り締めながら熱弁を振るった。
「本当は争って会長選挙をやるのは好きじゃないんだけど、原田会長が今季限りだってオレに言ったんですよ! 応援してくれる人もいるから今さら辞められないですよ!」
何が何でも出馬の意思を曲げない輪島氏だが、情勢は極めて厳しいと言わざるを得ない。原田&大橋のバックには業界の有力者がズラリと並んでいるからだ。
世界的なプロモーターでもある帝拳ジムの本田明彦会長を筆頭に、歴代1位となる10人の世界王者を輩出した協栄ジム、これまた老舗中の老舗であるヨネクラジム。系列のジムなどを含めると、かなりの数が原田&大橋の支持に回る見込みだ。
年間表彰式の会場で、東日本協会所属のジム会長が声をセンめた。
「確かに帝拳や協栄に反感を抱いている人間は少なからずいる。輪島会長と具志堅会長は世間での知名度も抜群だけど業界の見方は別。彼らに勝ち目はないよ」。別の関係者にいたっては「2人を熱烈に推すグループがいるのは分かるけど選挙をやったらしこりが残るだけ。オレは今からでも辞めさせられないか方法を探している」と言い出す始末だ。
実は輪島氏も苦しい戦いだということは百も承知だ。「オレは原田会長と戦って勝とうとはしてないんだよ!ただ可能性はあると思う。選挙に出て改革したい人間がいるってことをアピールしたいんだ!」
勝てないと分かっていながら出馬となれば、これはもう神風特攻隊か自爆テロリストの精神。現役時代、2度の世界王者返り咲きを成功させ“炎の男”と呼ばれた輪島氏だが、今回ばかりは奇跡を起こせそうにもない。