金メダリストとの対戦が決定したKIDに珍指令が下された。
5月3日のHERO'Sで神懸り的な秒殺劇をやってのけた“神の子”KID。元五輪レスリング日本代表の宮田和幸を相手にゴングと同時に飛び出し、左跳びヒザ蹴りでKO。HERO'S史上最短となるわずか4秒での瞬殺劇だった。
その後、KIDは7月22日に突然レスリング転向を表明。2008年の北京五輪を目指してレスリングに専念することを明かし、総合のリングを“小休止”することにしたが、大みそか「Dynamite!!」にだけは参戦する意欲をみせていた。
谷川貞治プロデューサーによれば「KID選手が北京オリンピックを目指すことを発表したときから大みそかには出てくれることになっていた」。KIDも「来年の1月にレスリングの大会があるからケガしたら怖いけど、大みそかに出るのはノリ」と口をそろえた。
この日の会見ではアテネ五輪レスリング・グレコローマン55kg級金メダリストのイストバン・マヨロシュと対戦することが発表。北京五輪で金メダル獲得を目指すステップマッチとして格好の相手にKIDは「グレコの選手なんで、組む力がすごい強いでしょうね。クリンチの時にどれくらいのパワーがあるのか。たぶん、今まで組んだことのないパワーでしょうね」と胸を高鳴らせた。
ただし、KIDの大みそか出撃には思わぬところからある“注文”がついている。TBS関係者は言う。「KID選手はKOが多いので視聴率が取れる試合をしてくれるんですが、欲を言えば1Rは闘ってほしい。5月のHERO'Sのときは4秒殺でしたから番組の編成上、こっちが面食らってKOされた感じでしたからね。秒殺だけは勘弁。勘弁…」
そればかりか、マッチメークした谷川プロデューサーも「なにせ今年KID選手はまだ4秒しか試合してない。もうちょっとみてみたいですね。今度は大みそかなので視聴率のことも考えて、ちょっと長めに試合をしてくれればありがたいんですけどね…」と早くも気をもんでいる。
異例の秒殺禁止令を下されたKID。相手がレスリングの相手だけに、高速パンチがうなりを上げれば再び秒殺劇が展開されるのは必至。約6カ月ぶりに総合のリングに立つKIDの戦いから目が離せない。