スポーツ
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スポーツ 2016年08月26日 12時17分
崩壊か、存続か… “オレ竜”の明日が決まらない中日ドラゴンズ
もうひと波乱起きるかもしれない。中日ドラゴンズの“監督問題”のことだ。成績不振により、谷繁元信監督(45)の途中休養が発表された(8月9日)。その後、ヘッドコーチの森繁和氏(61)が『監督代行』となったが、いまだ最下位脱出の兆しは見えて来ない。森監督代行が指揮を執ってからの成績は、5勝9敗(8月24日時点)。そのせいだろう。キナ臭い情報も交錯している。 「本社サイドは『せめて最下位脱出だけでも』と祈るような気持ちです。森監督代行を以ってしてもチーム浮上が難しいようであれば、新体制について話し合う時期を前倒しすることになるでしょう」(球界関係者) 谷繁監督の休養が発表された会見で、意味シンなコメントも聞かれた。現有戦力を編成した落合博満GM(62)の責任論を記者団に質問された際、佐々木崇夫球団社長は「(責任は)GMだけではございませんが、時間とともに…」と、言葉を濁した。しかし、同社長の口にした「時間」とは、重大な意味を含んでいた。 「落合GMの契約は来年1月までとなっています。来年1月というのがやりにくい…。一般論として、プロ野球チームの新体制を決めるのはシーズン終了後の10月中旬以降です。落合GMと契約更新しないとしても、その新体制を決める話し合いに落合GMが関与することになる」(前出・同) 来シーズンの話し合いをするにしても、「最下位のまま」というのは、芳しくない。今季、中日球団は創立80周年のメモリアルであり、「せめてクライマックスシリーズ進出を」の思いも秘めていた。メモリアルイヤーに最下位ではカッコがつかないのだ。 「仮に落合GMを切って、新しいチーム体制を作るとしても、10月中盤から1月までの約2か月半、選手、コーチの人事権は落合GMにある。本社が新監督をゴリ押ししたとしても、落合GMの影響を受けたチーム編成で来季を戦うことになる」(前出・同) 地元関係者がこう続ける。 「落合GMを切るとなれば、中日グループ全体の問題に発展するかもしれない。白井文吾オーナーが落合GMの後ろ楯となっているのは有名です。落合GMを切るということは、同オーナーの退陣論も意味する」 白井オーナーは中日新聞・同スポーツの代表取締役会長も務めている。昨今、同紙でドラゴンズに批判的な論調も見られるようになった。 「白井オーナーと落合GMを支えていこうとする一派が反対勢力に抵抗するとしたら、森監督代行の代行を選ぶかもしれない。監督代行の代行役として、小笠原道大二軍監督の名前も囁かれています」(地元関係者) 小笠原道大(42)は昨年、現役を引退した。13年オフ、巨人で事実上の戦力外となり、落合GM体制の中日に拾われた。中日での在籍期間は昨季までの2年間と短いが、二軍監督に選ばれた。努力家で、野球に対する真摯な姿勢は誰もが認めていた。チームの将来を左右する重要職に選ばれた理由はここにあるが、“在籍2年の外様”である。落合GMが影響した人事とも目されていた。 「落合GMは日本ハムで現役を終えています。落合GMは若手時代の小笠原を高く評価し、巨人で働き場を失った彼に再起の場も与えた、と」(ベテラン記者) 森監督代行は落合GMの腹心。落合GM体制が続くとしたら、森監督代行から「代行の2文字」を取り、仕切り直す選択肢が考えられる。小笠原二軍監督が“緊急登板”するようなことになれば、落合GM体制は「最後の一手を打った」と解釈でき、来年1月を待たずに“総退陣”という道筋も見えてくるが…。 「ペナントレースは、あと30試合も残っていない。落合GMは批判を受けても保身的な言動を取らない人。それは落合嫌いの人たちも認めています。常に客観的に物事を分析できるので、森監督代行を動かすようなことはせず、来季のチーム構想の話し合いに臨むのではないか?」(前出・同) チーム内外がざわついている。それは、“落合GM体制”の存続を含め、81年目以降のチームビジョンが決まっていないということだろう。
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スポーツ 2016年08月24日 10時00分
プロレス解体新書 ROUND15 〈花も実もある名勝負〉 “夏の夜の夢”鶴田vsマスカラス
昭和プロレスで夏の風物詩といえば“千の顔を持つ男”ミル・マスカラス。その日本でのベストバウトが、1977年8月25日、東京田園コロシアム、ジャンボ鶴田の持つUNヘビー級選手権への挑戦試合だ。 試合直前までの雨を晴らすような熱戦は、当時“プロレス新時代の幕開け”とも称される名勝負となった。 プロレス大賞では年間最高試合にも選ばれた田園コロシアムでの鶴田vsマスカラス、UNヘビー級選手権60分3本勝負。現今のプロレスを見慣れた目には、もしかすると“退屈な試合”と映るのかもしれない。 マスカラスの代名詞とされる跳び技は、30分を超える試合の中でフライング・クロスチョップ5発にドロップキック、そして決着直前にコーナーポスト最上段から、場外の鶴田に向けて放たれたトペ・スイシーダぐらい。 「伝説として語られることも多いこの場外ダイブを、フライング・ボディアタックとする言説も見かけますが、頭からドスンと落っこちるその様子は、やはりトペとする方が正確でしょう」(プロレスライター) 現在の進化した空中戦と比べれば、高さも滞空時間も及ばないが、当時としては実況の倉持隆夫アナが、「人間が空を飛んだ〜!」と絶叫したほどに画期的な技だった。 「そもそもマスカラス以前は、ヘビー級の跳び技といえばドロップキックぐらいのもので、ルチャ・リブレ式の空中戦という概念自体が存在しなかった。それを世に広めた先駆者であるマスカラスを現代の基準で測るのは、ちょっと乱暴ではないでしょうか」(同) では、この試合がオールドタイマーによる懐メロに過ぎないのかといえば、決してそうではない。 「まず目を見張らされるのが、マスカラスの技の多彩さです。序盤からさまざまなメキシカン・ストレッチを繰り出すのですが、似たような技でも極める部位が異なったり、ジワジワ締め付けるかと思えば一転して激しく揺さぶったりと、一つとして同じものがない。グラウンド主体の攻防でありながら、まったく飽きることがありません」(同) 3本勝負の1本目を奪ったのもやはり、腕と首を極める形の日本初公開となる複合ストレッチ技であった。 空中戦ばかりで語られがちなマスカラスだが、そうした多様な技を流れるように繰り出すあたりも、隠れた凄みと言えるだろう。 例えば、ロメロ・スペシャル(吊り天井固め)のような複雑な技に入る際には、どうしても準備段階で間が空いてしまうことも多いのだが、マスカラスは一切それを感じさせることがない。鶴田のような超ヘビー級選手を相手にしながら、これほど流麗に技を繰り出すことのできるレスラーは、現在まで含めてもいったいどれほどいることか。 練習風景などはまず公開することのなかったマスカラスだが、高難度の技をやすやすと使いこなすその裏では、相当な鍛錬のあったことがうかがえる。 「それもあってかシュート(真剣勝負)でも相当強かったようで、全日本プロレス参戦時にキツイ攻めをしてきたスタン・ハンセンに対し、ガチで腕を極めて灸をすえたとの逸話もあります」(スポーツ紙記者) 鍛錬といえば、その分厚い胸板に象徴される肉体についても同じことが言えよう。 「まさに逆三角形と呼ぶにふさわしい肉体美。プロレスデビューの前にはボディービルで“ミスターメキシコ”に輝いたそうですが、あれほどの体形を維持し続けるには、やはり裏でのすさまじい努力があったに違いありません」(同) だが、肉体ということでは一方の鶴田も負けてはいない。このときの公称は身長197センチ、体重115キロ。現在の日本人アスリートでは、阪神タイガースの藤波晋太郎投手が鶴田と同じ197センチである。 それほどの長身でありながら、身長176センチ、体重108キロのマスカラス(当時の公称)に劣らぬ素早い動きができるのは、やはり鶴田の身体能力の高さゆえのこと。中でも、鶴田が2本目を奪ったコーナーポストからのミサイルキックは、その巨躯で仕掛けるには相当な脚力やバネが求められる。 試合の決着となる3本目は、前述の場外ダイブの際にマスカラスの脚が客席のパイプ椅子に挟まり、その間に帰還した鶴田のリングアウト勝ち。激闘を繰り広げた両者に対し客席から惜しみない歓声が送られた。 「ちなみにこの試合は同日のメーンイベントで、セミファイナルはジャイアント馬場&天龍源一郎vsスエード・ハンセン&タンク・パットンという地味な顔合わせでした。外人天国と言われた当時の全日で、このクラスしか呼べなかったところをみると、それだけマスカラスのファイトマネーが高かったのでしょう」(プロレス研究家) 世界的トップスターのマスカラスに、次期エースとはいえ若手である鶴田の負け役を受けさせるには、相応の対価が必要だったとも言えよう。
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スポーツ 2016年08月21日 12時00分
新日本G1、天山&小島「浪漫の夏」終わる
14日に東京・両国国技館で行われた「G1クライマックス26」最終日。G1の出場権を“盟友”天山広吉に譲った小島聡は、ジェイ・リーサルが保持するROH世界ヘビー級王座に挑戦。セコンドについた天山の声援も届かず、惜しくも敗れた。試合後、小島は天山とともにインタビュールームに現れると一気にまくしたてた。 「今回のG1が、今まで参加したG1の中で一番印象に残って、一番尊い時間だったと胸を張って言えます。今まで何回も何回もG1出たけど、今回出なかったG1が一番印象に残るなんて思わなかったよ。それもこれも全部天山のおかげだ。自分が出場しなくたって、関わりを持っていればこんなに印象深いG1になるんだって思い知らされた。今回の事は死ぬまで一生忘れないと思います」 小島は天山の公式戦すべてに、セコンドについて檄を飛ばし続けた。開幕前に天山が「テンコジで闘う」と言っていたが、小島もセコンドにつくことでG1に“参加”していたのは事実である。今までで一番印象に残ったG1だったとまで小島に言い切らせたのは、「最後のG1」を掲げて挑んだ天山の頑張りがあったからである。 天山の成績は次の通りだ。7・18札幌対 石井智宏 ○7・23町田対 タマ・トンガ ○7・25 福島対 丸藤正道 ×7・28 所沢対 真壁刀義 ×7・31 岐阜対 オカダ・カズチカ ×8・3 鹿児島対 バッドラック・ファレ ×8・6 大阪対 後藤洋央紀 ×8・8 横浜対 棚橋弘至 ×8・12 両国対 SANADA × 開幕の石井戦でゴツゴツした試合を制し、タマ・トンガにも危なげなく勝利を収め、順調な滑り出しかと思われたが、その後は7連敗を喫し、Aブロック最下位の4点で公式戦を終了した。しかし、7・25福島大会での丸藤戦では、近年の天山の試合ではベストバウトと言っても過言ではない激戦を繰り広げており、勝った丸藤も「あの世代の人はなんであんなに元気なんだ?」と舌を巻いていた。また決勝進出の夢が途絶えた後藤戦の試合後には、大阪のファンが惜しみない拍手を送り、中には涙を流しているファンもいた。 インタビュールームに現れた後藤は「プロレスラー天山はまだ這い上がる力がある」とかつての師匠にエールを送っている。公式戦最終日に初対決し、普段はあまりコメントを残さないSANADAも「今日は『最後のG1』と言って出場した天山広吉に勝って、世代交代のようなものを見せられたんじゃないか」と天山と対戦して勝つことができた意義を感じていたようだ。 その他の会場でも天山の人気は尋常じゃなかった。今年のG1で多くのファンが天山の姿に浪漫を感じたのは間違いない。「最後のG1」と言って挑んだ以上、これが最後の出場になってしまう可能性は極めて高いが、天山自身も「まだまだやれる」という自信を深めたシリーズになったのではないだろうか。それほど、今回のG1は天山にパワーを与えていた。そして、天山の闘いを近くで見続けた小島も大きな力をもらったのではないだろうか。G1で天山コールを送ったファンのためにも、またテンコジがタッグのベルトを巻く姿を見せてもらいたいし、いつまでも強がってるテンコジであってほしい。 大会終了後、天山に挨拶をすると「またここから頑張りますよ」と力強く話してくれた。 テンコジによる「浪漫の夏」が終わったが、ここから這い上がっていく二人に期待せずにはいられない。(どら増田)<新日Times VOL.31>
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スポーツ 2016年08月21日 10時00分
「キツイよ」最後に漏らした昭和の大横綱・千代の富士の不遇な晩年
鋼のような身体を持ち「ウルフ」と恐れられていた第58代横綱千代の富士が逝った。歴代3位の優勝31回。大相撲界では初の国民栄誉賞に輝くなど、数々の金字塔を打ち立て、“小さな大横綱”と言われた千代の富士(九重親方)が、7月31日にすい臓がんのために死去。8月6日に通夜、7日に葬儀がしめやかに執り行われた。61歳だった。 九重親方がすい臓がんを患い、すでに手術も済ましたことを公表したのは、去年9月の秋場所のこと。「手術は成功。もう健康体だよ。大丈夫だ」と笑顔も見せていたが、今年になって肺や胃などに転移していることが判明。懸命の治療を続けたが、回復は叶わなかった。その姿を関係者が最後に目撃したのは、名古屋場所4日目の7月13日。担当する監察室に重い足取りでやって来るなり、「きついなあ、きついよ」と机に突っ伏したという。 現役時代、負けん気むき出しの精悍な面構えを売り物にしていただけに悲惨としか言いようがないが、引退後の処遇も決して恵まれているとは言えなかった。 「部屋の師匠としては順調そのもの。引退した翌年の平成4年に九重部屋を継承し、大関千代大海をはじめ、13人もの関取を輩出しています。ただ、協会内では不遇でしたね。現役時代、あれだけの実績を残していますから、引退後も大相撲界のトップ、理事長になってやるという思いも強かったと思いますが、ナンバー2の事業部長止まり。晩年は閑職に追いやられ、完全に干されていました」(担当記者) 理由は二つある。一つ目は所属したのが高砂一門という小派閥だったこと。二つ目は、引退後も“オレは大横綱だ”という気分が抜けず、「常に一言多いことから周囲に煙たがられていた」(関係者)点だ。 この2年半はまさに屈辱の日々。北の湖理事長に反抗して平成26年の理事選では落選し、平委員に落とされた。今年2月の理事選で再起を期したが、「票が揃わなかった」と立候補すらできなかった。対照的に弟弟子の八角理事長(元横綱北勝海)が出世階段を快調に駆け上がり、トップの座に上り詰めただけに、内心は歯ぎしりする思いだったに違いない。そんな中での発病、そして死。 「奇跡としか言いようがない勝利を何回も演じてきましたから、本人は最後まで回復すると信じて疑わなかったと思います。残念ですね」(協会関係者) 合掌。
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スポーツ 2016年08月19日 15時00分
2016年夏の甲子園大会 「エースで負けること」の意義
強豪校の指導者に聞くと、チームのピークは夏の甲子園大会に向けて作るという。前年の同大会に出場したか否かによって、新チームのスタート時点は微妙に異なる。しかし、学年ごとに中軸になりそうな選手がいれば、「この学年が3年生になるときは…」という“3か年計画”を進めつつ、学年を跨いだその年のベストチームも作っていく。また、学校によって『目標』も異なる。有名校の中には「甲子園ベスト8以上」なんて高い目標も掲げるところもあったが、大多数は「甲子園出場」と話していた。檜舞台に出て、さらに1勝を積み上げられたら…。指導者はそう考えているようだった。 大会8日目の8月14日、2回戦4試合が行われた。東邦(愛知)が9回裏に4点差を跳ね返す大逆転劇を演じた。 「感動を通り越して、夢のような試合」 これは、主将も務めるエース・藤嶋健人投手の試合後のコメントだ。 「金属バットの高校野球は何が起きてもおかしくはない」とはいえ、ミラクルは年中起きるものではない。東邦はこの試合で最大7点差をつけられたが、逆転勝ちを収めた。資料によれば、夏の甲子園史上で、8点ビハインドをひっくり返したのが最大(1997年と2014年)。4点差を追ってのサヨナラ勝ちとなると、06年の智弁和歌山と帝京の一戦以来となる。藤嶋投手の「夢のような…」の言葉は、甲子園史に残るゲームを体感した者でしか分からない興奮も言い表している。 この逆転劇のグッドルーザーとなった八戸学院光星も、もっと評価されても良いのではないだろうか。 同校は和田悠弥、戸田将史の両控え投手を使い、背番号1の桜井一樹投手を7回からマウンドに送った。今夏の八戸学院光星は「投手層も厚い」との前評判だった。青森県大会のデータも見たが、全6試合に5人の投手を注ぎ込んでいる。東邦との一戦は「和田−戸田−桜井」の継投を事前に決めていたのだろう。2番手・戸田は3回を投げ、打者12人に対し、被安打「1」。結果論だが、東邦戦で無失点の投手はこの戸田だけだ。トーナメントの高校野球において、指揮官がもっとも躊躇うのは「抑えている投手」を交代させること。最後にエースの登板を決めていたとしても、好投した戸田を交代させるには勇気がいる。案の定、最後を託された桜井は7回に2点、8回にも1点を失い、9回に臨む。 「先頭打者を出してから、いやな雰囲気になったと思った」 八戸学院光星の仲井宗基監督は試合後の共同インタビューでそう語っていたそうだ。 仲井監督はその言葉通り、先頭打者を出塁させた直後、伝令をマウンドに走らせている。「守備のタイムは3度まで」。大会ルールでそう決められており、これで八戸学院光星は全てを使い切った。ここから東邦打線の猛攻が始まるわけだが、八戸学院光星の守備陣は“間”を取ろうと思えばできる。奥村幸太捕手が一度マウンドに行っているが、それ以外にも、たとえば内野手が2、3歩前に出て声を掛けるとか、野手の誰かが靴紐を縛り直す、あるいは、守備の交代でインターバルを置くなど、やろうと思えば方法はいくらでもあった。まして、ベンチ入りしたメンバーの中には控え投手も残っていた。 投手交代、エースには次の試合で名誉挽回させてやれば…。そんな選択肢も考えられたわけだが、八戸学院光星ベンチとグラウンドにいた8人の野手は桜井に全てを委ねた。申し合わせたようでもなかった。エースの投球に割って入らず、檄を飛ばすだけだった。守っている野手はもちろん、チーム全体から信頼されるのが真のエースである。「エースなら、なんとかしてくれる」が“全てを託す”の雰囲気となった。しかし、それは残念ながら、「エースで負けたのなら仕方ない」の思いに変わっていく。 今大会は好投手が多い。桜井のように「エースたる姿」を見せてほしいと思う。(スポーツライター・美山和也)*写真イメージ
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スポーツ 2016年08月19日 11時14分
2016年夏の甲子園大会 少子化時代のマンモス野球部
厚生労働省の人口動態統計によれば、主に高校一年生を指す平成12年生まれは111万9055人とある。翌13年は111万7066人で、14年は111万5386人。総務省の人口推計を見ても、この10年間で高校生の人口は約70万人も減っている。野球競技者人口の減少傾向が伝えられて久しいが、今後、高校野球は少子化の影響をさらに受けていくだろう。 10年以上も前の話になってしまうが、高野連に野球競技者の人口拡大について質問したことがある。しかし、対応してくれたスタッフはさほど関心を持っていないようだった。 今大会の公式プログラムによれば、野球部員数がもっとも少ないのは、南北海道代表・クラーク国際の34人。最多は八戸学院光星(青森)と佐久長聖(長野)の159人。100人以上の部員数を誇る高校は9校。90人以上の高校も多かった。「大量部員のなかから選りすぐった精鋭=強豪校」の図式は消えていない。一方、地方大会に目を移せば、部員数不足で出場すら危ぶまれる高校もないわけではない。大量部員数のマンモス校に行けば、レギュラーになるための競争も激しくなる。「それでも進学したい」と思うのは個人の自由であり、その野球部に魅力があるからだろう。今年の夏の甲子園大会に参加した高校は、全部で3874校。地方には少子化による経営難等で経営陣が統廃合を選択した高校もあり、それが参加校数を減少させた一因ともなっている。先の人口動態統計からも分かる通り、「子どもの人数」そのものが減少の一途から抜け出せていない。少子化対策は高野連の職責ではないが、参加校を急激に減らさない対策を考えるとしたら、部員数確保で悩む一部の地方高校を救済することだろう。 私見ではあるが、指導者復帰の資格取得が緩和されたことで、その講義を受講する元プロ野球選手が増えている。「低月収でも構わない。生徒たちとしっかり向き合う覚悟がある」とする元プロ野球選手を無名校に斡旋すれば、有望な中学生球児の進路選択にも影響を与えるはずだ。その学校に非常勤扱いの職員を増やす余裕がないのなら、その一部を高野連が負担しても良いのではないだろうか。 今年4月の理事会で高野連は熊本地震で転校を余儀なくされた野球部員に関する特例措置を決めた。通常、転校した野球部員は一年間公式戦に出られない規則になっているが、その対象外とするとし、熊本県外から転校する場合にも適用するとした。2011年の東日本大震災のときも同様の措置を取っており、大会運営に影響しかねない問題については、高野連は常に迅速な対応を見せている。 参加校数と部員数の減少については過去にも何度か議案に挙がっているが、こちらに対しても、迅速かつ斬新な改革案を示してくれるといいのだが…。(スポーツライター・美山和也)*写真イメージ
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スポーツ 2016年08月17日 15時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 メジャーリーガー「前田健太」−−六つの謎
ドジャースの前田健太は試合ごとの波が大きいものの、大エースのクレイトン・カーショウが長期欠場している中で、ド軍先発陣では最もいい働きを見せている。今週はマエケンファンにとって気になる六つの謎に迫り、解説を加えていきたい。(1)評価の高い技術−−バットの先で打たせる変化球 マエケンは打者を追い込むと右打者には外角にスライダー、左打者には外側にツーシームかチェンジアップを投げ込んでくる。どちらも外側に逃げる軌道になるため、打者が打ちに行くとバットの先っぽに当たって凡ゴロか凡フライになる。この強い打球を打たせないテクニックは一部のアナリストから絶賛されている。(2)評価の高い球種−−スライダー、フォーシーム、チェンジアップ マエケンは米国でもスライダーを高く評価されている。野球データサイト・ファングラフスが掲出している球種別の評価を見ると、スライダーはメジャーの先発投手(規定投球回数以上)63人中4位にランクされている。 意外なのは、スピードが145キロ前後しかないフォーシームが「上」レベルと評価を受けていることだ。これはフォーシームを高めに、変化球を低めに投げ分けて、打者の目線を狂わすことに長けているからだ。チェンジアップは使用頻度が9%程度だが、左打者のタイミングを外す道具として機能しており「上」レベルの評価を受けている。 逆に、評価が低いのはカーブ。メジャーに来てからタイミングを外す道具、目線を狂わす道具として重宝し、日本時代より使用頻度を大幅に増やしている(19%)。しかし、抜けて甘く入るケースが頻発するため評価が低く、前出のファングラフスの球種評価でも、先発投手80人の中で78位だ。(3)魔の3まわり目 マエケンの評価が今一つ高くならないのは、1まわり目、2まわり目は完ぺきに抑えるのに、3まわり目に入ると、とたんに打たれ出すからだ。これは数字にも表れていて、マエケンは1まわり目の被打率が1割7分6厘、2まわり目は1割9分9厘だが、3まわり目になると3割4分4厘に跳ね上がる。そのため最近は3まわり目に入るとヒットを1本打たれたところであっさり代えられてしまうことが多くなった。(4)「新人王」になれるか? マエケンは球団と、新人王に選出されると5万ドル(520万円)のボーナスが出る契約を結んでいるが、選出される可能性は極めて低い。 ナ・リーグは今季、いつにないルーキーの当たり年。新人王争いはオールスターにも出場したドジャースのシーガー弟とカージナルスのアレドミス・ディアズの大型遊撃手同士の一騎打ちの様相を呈している。 投手はマエケン、マッツ(メッツ)、デイヴィース(ブリュワーズ)、グレイ(ロッキーズ)が横一線で並んでいるが、シーガー、ディアズの2人には歯が立たない。 ただマエケンがシーズン終盤に踏ん張り、防御率を2.80くらいまで戻せば、新人王選考の最終候補(3人)に入る可能性が出てくる。(5)ポストシーズンで活躍する可能性は? 大いにある。今季ドジャースは前半、得点力不足で勝ち星が伸びず、ライバルのジャイアンツに前半終了時点で6.5ゲーム差をつけられていた。しかも、6月下旬に大エースのカーショウが肩痛で戦列を離れたため、ジ軍が独走態勢に入ると思われた。 ところが、ジ軍がシーズン後半に入ってよもやの失速。ゲーム差は8月3日現在1.5ゲームに縮まり、ド軍にも地区優勝する可能性が5割くらい出てきた。今後カーショウが復帰すれば、ド軍に一気に流れが傾くかもしれない。 ポストシーズンでは、先発投手を3人で回すので、4、5番手はリリーフに回る。マエケンは現在1番手扱い。カーショウが復帰しても2番手に下がるだけなので、先発で起用され、活躍する余地は大いにある。(6)2016年度の総支給額 マエケンの年俸は基本給が300万ドルで、出来高が1015万ドルを上限に設定されている。このまま故障なくシーズンを終えると、マエケンは先発試合が30、投球イニングは190回前後になると思われる。 契約内容を見ると出来高は先発試合数と投球イニング数の2本立てになっていて、イニング数は90イニングから190イニングまで10イニング増えるごとに25万ドルが加算される。190イニング投げれば、出来高は275万ドルになる。 先発試合の方の出来高は15試合で100万ドル、20試合で200万ドル。25試合で350万ドル、30試合で500万ドル、32試合で650万ドルが支給される。マエケンは30試合の先発となる可能性が高いので、こちらの出来高は500万ドルになる。 イニング数の275万ドルと合わせると出来高の合計は775万ドル。これに基本年俸300万ドル、開幕ロースターに入っていると支給される15万ドルのボーナスを合計すると、マエケンが今季ドジャースから受け取るカネの合計は1090万ドル(約11億円)になる。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2016年08月16日 15時00分
2020年東京五輪 長嶋総監督、ゴジラ松井監督が誕生
国民栄誉賞をW受賞したあの“師弟コンビ”が2020年に再び立ち上がる。 東京オリンピックで野球・ソフトボールが追加競技として行われることが決定した。8月3日、リオデジャネイロで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)での決議を知らされた際、NPB関係者は一様に喜んだが、本当の戦いはこれからだという。 「野球・ソフトの最終目標は“公式種目”として五輪に復活すること。東京の次大会ではまた新たに追加競技を決め直します。野球・ソフトは、もっとアピールしないといけません」(スポーツライター・飯山満氏) まだ具体的な話し合いは始まっていないが、「東京五輪を戦う侍ジャパンは、今以上に魅力のあるチームにしなければならない」とのことで一致している。 「侍ジャパンを指揮している小久保裕紀監督の任期は、来春行われる第4回WBCまで。現時点では小久保監督の続投を含め、後任は白紙状態です」(球界関係者) 小久保監督が今年11月の国際親善試合で日本人メジャーリーガーの招集を示唆したのも、魅力あるチームにするためだ。 「第5回WBCは'21年です。小久保監督が続投するにしても、『次の第5回大会まで託す』という任期になるでしょう」(同) そこで急浮上してきたのが、東京五輪を戦うチームと、常設された侍ジャパンを分けて考えるプラン。第4回WBC後の次期代表監督にも4年の任期を託す。しかし、東京五輪を戦うチームの監督と、常設侍ジャパンの監督が異なってもいいのでは、というのだ。 先の球界関係者は「具体的な話し合いはこれから」と前置きしつつも、NPB内には「東京五輪の野球チームを盛り上げたい」とし、各要人が何人かの大物OBの名前を出し始めたという。 「日本の野球ファンは、誰が監督になるかで感心の持ち方が違ってきます。本命というか、希望はイチローです。ただ、4年後、47歳のイチローはまだ現役を続けている可能性もある。そうなると、ゴジラ松井(秀喜)か黒田博樹。代表監督経験者の原辰徳氏や前広島監督の野村謙二郎氏も候補に入っていますが…」(同) 野球・ソフトの当選後、長嶋茂雄氏が「ありがとう!」と、ファンにお礼を伝えるPRコマーシャルも放送された。巨人の終身名誉監督でもある長嶋氏も東京五輪への協力は惜しまない。コミッショナー特別顧問で、再選定の最終審議でも尽力した王貞治氏にも相談。長嶋氏、王氏が納得する人物となれば、もはや松井秀喜氏しかいない。 「松井氏は原監督の次の巨人指揮官候補でした。若いヨシノブ(高橋)が選ばれたことで、当面、その話は出ないでしょう。しかし、松井もヨシノブも長嶋氏にとっては可愛い存在。長嶋氏は自身の経験から、いきなり監督になるより、コーチか二軍監督を経験したほうがいいという持論のようなものを持っています。兼任コーチの経験しかないヨシノブのことを非常に心配していました」(ベテラン記者) 「監督就任前にワンクッション置く」という考えは中畑、原氏の時代にもあった。 「'04年のアテネ五輪で何事もなければ、野球の日本代表は長嶋氏が指揮するはずでした。当時、長嶋氏は『勉強しろ』という意味で、江川卓氏にもコーチ入閣の打診をしていました。江川氏の『中間管理職のコーチ業はやりたくない』の持論も知っていて、『オレの下でならいいだろ?』と…。これは実現しませんでしたが、松井に勉強させる機会を与えるため、東京五輪代表チームの指揮官を委ねようとしています」(前出・関係者) 松井氏も巨人の監督でなければ、監督業にも抵抗はないだろう。また、松井氏には“負い目”もある。それは第1、2回のWBCの代表招集を辞退していること。当時所属していたヤンキースが強いプロテクトを掛けたためだが、五輪監督を引き受ければ、そのときの借りも清算できる。 「長嶋氏もアテネ五輪に参加できなかったことが心残りなはず。日本中が応援できるドリームチームを作るのなら、『長嶋総監督-ゴジラ松井監督』しかない」(前出・ベテラン記者) また、読売グループも『長嶋総監督-ゴジラ松井監督』をプッシュするはずだ。近年、代表入りする巨人選手が少なくなっている。生え抜きの野手が少ないためだが、『長嶋-松井』コンビとなれば“期待”が持てる。 「野球・ソフトに参加するのは、日本を含め6カ国です。1勝すればメダル獲得ですよ。野球は追加種目に決まりましたが、東京大会後のことなど、今後の課題が多すぎる。現侍ジャパンを見ても、小久保監督は12球団の主力を借りる引け目というか、無理させられないジレンマにも苦しんでいます。これまで目を逸らしてきた問題を解決するには、長嶋氏に一肌脱いでもらうしかない」(NPB関係者) 松井氏は今も野球の本場・アメリカで影響力を持っていて、ニューヨークにもファンが多いという。 「米球界の日本人グループのドンは、今も長谷川滋利氏(元マリナーズほか)です」(米国人ライター) コーチで長谷川氏が松井氏を支えるとなれば、米メディアも放っては置かないだろう。日本中に夢を与えられ、世界にもアピールできるチーム、WBCと東京五輪を切り離したプランが目下、進められている。
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スポーツ 2016年08月16日 12時13分
新日本G1が閉幕! ギラギラの夏、メラメラの闘いを制したのはケニー・オメガ!
7月18日に北海道・北海きたえーるで開幕した新日本プロレス真夏の最強決定戦「G1クライマックス26」の優勝決定戦が、14日、東京・両国国技館で行われ、Aブロックを勝ち上がった後藤洋央紀と、Bブロックを勝ち上がったケニー・オメガが対戦。後藤の力技を凌いだケニーが、怒涛のフィニッシュで勝利を収め、初出場&初優勝を飾った。外国人選手の優勝は、G1クライマックス26回の歴史において初の快挙である。 G1終盤戦を振り返ってみたい。▼Aブロック8.6大阪○タマ・トンガ 対 SANADA×○ファレ 対 真壁×○後藤 対 天山×○石井 対 オカダ×○棚橋 対 丸藤× 若干数発売された当日券もあっという間になくなり、5,270人(超満員札止め)の観衆を集めた大阪大会は、異様な熱気に包まれながらスタート。今年のG1で株を一気に上げたタマ・トンガはSANADAをガンスタンで倒す。SANADAはリーグ戦敗退が決定。続く真壁対ファレはファレがリング内外で圧倒的なパワーを見せつけて快勝した。開幕から連勝したものの、その後4連敗を喫しもう負けられない天山だったが、後藤に敗れ5連敗でリーグ戦敗退。「最後のG1」が終わってしまった天山に対して大阪のファンからは暖かい拍手が送られた。セミファイナルでは、石井がオカダを破る波乱が発生。オカダは所属するCHAOSと友好関係を築いている丸藤に続いて、CHAOS同門の石井にも敗れるという予想外の展開となった。メインは過去にも節目節目に闘ってきた棚橋と丸藤の新日本vsノアのエース対決が実現。二人にしかできないようなハイレベルな攻防に、場内は大熱狂。丸藤の攻めに苦しんだ棚橋だが、最後はハイフライフロー2連発で逆転勝利。破竹の4連勝を収め、4勝3敗と勝ち星を先行させた。8.8横浜○丸藤 対 タマ・トンガ×○SANADA 対 石井×○棚橋 対 天山×○ファレ 対 オカダ×○後藤 対 真壁× 結果によって決勝進出争いが絞られてくる横浜大会は、丸藤がタマ・トンガに順当に勝利を収めると、大阪でオカダを破った石井がSANADAに敗れてリーグ戦敗退。棚橋は天山に勝って連勝を伸ばす。セミファイナルではオカダの背中に狙いを定めたファレが最後はバッドラックフォールで仕留めてオカダは痛い連敗。メインは真壁と後藤が試合開始からゴツゴツとした攻防を繰り広げて、大歓声を浴びる。最後は牛殺しからGTRに一気に畳み掛けた後藤の勝利。「G1のGは後藤のG」とマイクで叫んで大会を締めた。この結果、序盤3連勝と絶好調だった真壁がリーグ戦敗退。決勝進出は5勝3敗で並んだ棚橋、オカダ、後藤、丸藤、ファレの5人に絞られた。8.12両国○SANADA 対 天山×○石井 対 真壁×○タマ・トンガ 対 ファレ×○後藤 対 丸藤×△棚橋 対 オカダ△ 同点の場合、直接対決の結果が反映されることから、棚橋だけが自力優勝が可能という状況で迎えたAブロック公式戦最終日。まず、ファレが盟友タマ・トンガに敗れる波乱で脱落すると、丸藤も後藤に敗れ敗退したため、オカダにも自力優勝が復活。メインは勝った方が決勝進出となり、引き分けた場合に限り、後藤が決勝進出となるシチュエーションで行われた。1.4東京ドーム大会以来となる棚橋vsオカダだが、早期決着を狙ったオカダが序盤から仕掛けていく。しかし棚橋はこれを凌ぐと、徹底した膝攻撃で形勢を逆転する。棚橋優位のまま20分が経過するが、そこからはこの二人ならではの技の読み合いが冴えまくり、一進一退の攻防に場内は大熱狂。最後は残り10秒から正調ハイフライフローを放った棚橋だが、カウント2でタイムアップ。引き分けに終わり、後藤が決勝進出の切符を手に入れた。膝にダメージが残っていたオカダだが、IWGPヘビー級のベルトを渡されると、悔しさを露わにしてセコンドの肩を借りずに自分の足で控室に帰った。Aブロック成績後藤洋央紀 6勝3敗 12点棚橋弘至 5勝3敗1分け 11点オカダ・カズチカ 5勝3敗1分け 11点丸藤正道 5勝4敗 10点バッドラック・ファレ 5勝4敗 10点真壁刀義 4勝5敗 8点石井智宏 4勝5敗 8点SANADA 4勝5敗 8点タマ・トンガ 4勝5敗 8点天山広吉 2勝7敗 4点▼Bブロック8.7浜松○矢野 対 エルガン×○柴田 対 YOSHI-HASHI×○中嶋 対 本間×○ケニー 対 永田×○内藤 対 EVIL× 3,200人(超満員札止め)をマークした浜松大会は矢野がエルガンから勝利を収める波乱の幕開け。今年のG1、矢野は絶好調だ。本間は中嶋に敗れリーグ戦敗退が決まる。永田とケニーのシングル初対決は、ケニーが片翼の天使で勝利。開幕3連勝の永田は4連敗でリーグ戦敗退が決まる。メインは注目のロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン同門対決。戦前、内藤が警戒していたとおり、EVILは怒涛の大技ラッシュで内藤を苦しめるも、最後はディスティーノで切り返して逆転勝ち。試合後は拳を突き合わせてノーサイド。内藤が決勝進出へ大きな1勝を手に入れた。EVILはリーグ戦敗退。8.10山形○ケニー 対 中嶋×○EVIL 対 矢野×○内藤 対 YOSHI-HASHI×○柴田 対 永田×○エルガン 対 本間× ケニーがアメリカROH以来となる中嶋とのシングルを制して自力優勝の可能性を残す。中嶋はリーグ戦敗退。EVILは絶好調の矢野に完勝。矢野は脱落。内藤は今回のG1でダークホース的な活躍を見せているYOSHI-HASHIを寄せつけず、首位で最終日に駒を進める。セミではNEVER王座を争っていた柴田と永田が変わらぬ熱い闘いを展開。柴田がスリーパーで締め落としレフェリーストップで勝利。決勝進出に望みをつなげる。メインは、山形が地元の本間が大ホンマコールに後押しされて奮闘するが、エルガンのパワーに押し切られてしまう。大会を締めたエルガンも柴田と同じく決勝進出に望みをつないだ。8.13両国○本間 対 永田×○矢野 対 YOSHI-HASHI×○EVIL 対 柴田×○中嶋 対 エルガン×○ケニー 対 内藤× 本間が念願の永田超えを果たして最終戦を終える。EVILは柴田をパワーで圧倒し、リーグ戦敗退させることで内藤を援護。中嶋はIWGPインターコンチネンタル王者のエルガンに勝利を収め、新日本に爪痕を残した。これでエルガンも脱落し、メインは勝ったほうが決勝進出できるが、内藤は引き分けでも進出という若干優位のなか行われた。シングル初対決であり、お互いにヒールユニットのリーダーという立場にあるだけにどんな試合になるのか注目されたが、予想をはるかに超える攻防の数々に両国の観客は終始大興奮。ケニーはスワンダイブ式のトペコンヒーローなど高度な技を次々と決めてみせた。最後は残り時間2分を切ったところで、ケニーが片翼の天使を決めてフォール勝ち。本命の内藤が最後の最後で敗れてしまった。ケニーは初の外国人選手優勝を宣言し大会を締める。Bブロック成績ケニー・オメガ 6勝3敗 12点内藤哲也 6勝3敗 12点柴田勝頼 5勝4敗 10点マイケル・エルガン 5勝4敗 10点矢野通 5勝4敗 10点中嶋勝彦 5勝4敗 10点EVIL 4勝5敗 8点永田裕志 3勝6敗 6点本間朋晃 3勝6敗 6点YOSHI-HASHI 3勝6敗 6点▼優勝決定戦8.14両国「G1クライマックス26」優勝決定戦○ケニー・オメガ(26分49秒 片翼の天使→片エビ固め)後藤洋央紀×※ケニー・オメガが初優勝 チケットは前売りで完売し、10,204人(超満員札止め)の観衆を集めた最終日。入場時から両選手には大きな声援が送られた。試合は力で勝る後藤がケニーを追い込んでいくが、ケニーも得意の立体的な技の数々で対応していく。今年の1月にヘビー級に転向したケニーにとって、連日ヘビー級の選手と当たるG1は過酷なものだったに違いない。しかし、ここまでのレスラー生活の全てを後藤にぶつけていくことで、試合のペースを握っていった。シットダウン式ラストライドや、交わされてしまったが、フェニックススプラッシュはかつての盟友、飯伏幸太の技。そしてフィニッシュへの繋ぎとしてバレットクラブの初代リーダー、プリンス・デヴィットのブラッディーサンデー、2代目リーダー、AJスタイルズのスタイルズクラッシュまで使ってみせた。最後の技を自らのオリジナルフィニッシュホールド片翼の天使で決めたのは「新日本がホーム」であるケニーのプライドだろう。文句のつけようがないフィニッシュで、後藤を破り初優勝を飾ったケニーは、ひさびさに流暢な日本語でマイクパフォーマンスを行いファンを喜ばせた。 約1か月、19大会にも及んだ今年のG1は、オカダでも内藤でも、棚橋でもなく、ケニーが優勝という意外なドラマが待っていた。新日本の戦いはケニーを中心にここから来年の1.4ドームへ向かって一気に走り出していく。棚橋は「ここから必ず中心に戻ってみせますよ」と力強く語り、オカダはG1で敗れた選手と防衛戦を行った上で、1.4ドームのメインに立つ意向を明らかにしている。そして内藤も余裕の表情を崩すことなく前を向いていた。 ギラギラの夏は終わっても、メラメラな闘いはまだ終わらない。(どら増田)<新日Times VOL.30>
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スポーツ 2016年08月16日 06時00分
2016年夏の甲子園大会 「スーパー一年生」による夏の継承劇
県予選14本塁打、65得点、チーム打率3割6分4厘と圧倒的な攻撃力で、横浜高校は「3年ぶり16回目」の夏の甲子園の切符を手にした。プロ注目の右腕、藤平尚真投手もいい。しかし、この部員数約80人を誇る名門校は、県予選を戦うベンチ入り20人のなかに、4人の一年生を登録している。その一人である万波中正選手は、県予選3回戦、センターバックスクリーンへの直撃弾を放ち、全国の高校野球ファンからも一目置かれるようになった。今夏は、強豪各校にそんな『スーパー一年生』が多く見られる。 そのスーパー一年生が集大成となる三年生夏、夏の甲子園大会は『第100回』を迎える。それはそれで楽しみではあるが、名門・PL学園も「活動休止」とならなければ、スーパー一年生による“捲土重来”も見られたかもしれない。 大阪府の強豪校、大阪桐蔭にも2人のスーパー一年生が加わった。一人は中学時代に146キロをマークした根尾昂投手、もう一人は地元大阪出身の藤原恭大外野手(左投左打)だ。藤原も府大会で公式戦デビューを果たしている。同校は中村剛也、西岡剛、中田翔、森友哉などのスラッガーをプロに送り込んでいるが、「打撃センスは中田、森以上かもしれない」と、すでにプロのスカウトが熱い視線を送っている。 芝生上での50メートル走を計ったら、5秒9。それも、アップシューズで−−。そんな逸話も聞かされた。その真偽はともかく、走攻守全てが揃った外野手であることは間違いない。その藤原の第一志望校は、PL学園だったのだ。藤原の兄は“PL最後の球児”、62期生・藤原海成外野手だ。藤原海成は右肩を故障しつつも出場し、その奮闘が報じられている。 「弟・恭大は2歳上の兄の影響で野球を始め、兄と一緒にプレーしたいと思っていた」 この情報は弟・恭大が所属した中学硬式野球クラブのスタッフから聞かされたものだ。 PL学園は2015年度から新入部員を募集しない旨を告知した。したがって、二年生以下の野球部員はいないため、現三年生が出場できる今夏の公式戦終了をもって、事実上の廃部となった。春夏通算37回の甲子園出場を誇る名門野球部の消滅を惜しむ声は今も止まない。弟・恭大は影響力もあり、「一緒に甲子園を目指したい」と思う仲間も少なくなかった。また、現代っ子気質で、部員数の多い強豪校よりも、レギュラー狙いで、低迷している学校や公立校に進む球児も多い。 一年生から大舞台を経験した“天才”は過去にもいた。しかし、近年では一年夏からレギュラー番号を背負う天才も珍しくなくなった。大阪府代表の座を勝ち取った履正社にもベンチ入りを果たした一年生が3人いた(府大会)。 通算17回の甲子園出場を果たした名将・上甲正典氏(故人)が、かつてこんな話をされていた。 「抜きん出た才能を持った一年生を育てるのがいちばん難しいんだよ。彼らが練習で70%の力しか出さなかったとしても、(指導者は)見抜けないよ。練習は全力でやらないと巧くならない。かといって、試合で一度痛い目に遭わせてそこから這い上がってくる指導をしようとしても、高校野球は実質2年半しかないから、時間が足らない。要は、本人に『上』を目指す気持ちがあるのかないのか…」 甲子園の土を踏んだ一年生もいれば、ベンチでチャンスを待つ一年生もいた。地方大会で散った一年生もいる。今夏は『100回大会』につながる楽しみも秘めている。(スポーツライター・美山和也)
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