新日本
-
スポーツ 2019年01月10日 06時00分
新日本退団のKUSHIDA、ラストマッチは棚橋弘至と1.29後楽園でシングル対決!
新日本プロレスは今月末での退団を発表していたKUSHIDAのファイナルマッチの相手に棚橋弘至を選んだと7日、発表した。29日、後楽園ホール大会で対戦する。KUSHIDAと棚橋がシングルで対戦するのは初めてとのこと。 「僕がライガーさんを両国に連れて行きます!」 新日本ジュニアの象徴、獣神サンダー・ライガーをベスト・オブ・ザ・スーパーJr.(BOSJ)公式戦で破ったKUSHIDAは、かつてBOSJの決勝の舞台だった両国国技館で、再び決勝を開催するとライガーに誓った。そして今年、ようやくBOSJの決勝が6.5両国大会で開催されることが決定した。 その両国大会にKUSHIDAはいないことになるが「今年、ようやく両国国技館で決勝戦ができるということを初めて聞いた時はメチャクチャうれしかったです」と話す。 「数年前、『スーパーJr.』を優勝して『明るい未来に連れて行きます』と僕は言いました。この両国国技館になることだけが明るい未来だとは言いませんし、僕一人がこのまま新日本プロレスで闘っていく立場であれば『俺が両国まで連れてったんだぞ』と言うかもしれませんけども」と前置き。「今の率直な気持ちを言わせていただくと、これだけジュニアが上がってきたのはいろんな選手の頑張り、盛り上がり、ジュニアへの想い、これが形になって会社が動いた結果だと思います」とBOSJの両国進出がジュニア全員の努力の結晶であると語っている。 KUSHIDAは師匠のTAJIRIの仲介でハッスル、SMASHを経て、2010年から新日本に参戦。翌11年にSMASHから新日本へ円満移籍をした。IWGPジュニアヘビー級王座を6回獲得し、ヘビー級転向直前の飯伏幸太やケニー・オメガから王座を奪還するなど、新日本ジュニアの中心として長きに渡りけん引してきた。 新日本退団後は「海を渡りプロレスを隅から隅までもっともっと自分の目で見てみたいと。知ったかぶりとか、見て見ぬふりじゃなくて、この目で見ていきたいなと思っております」と話しているが、アメリカの世界最大のプロレス団体WWEと契約することが濃厚。もし実現すれば新日本からWWEに移籍する日本人選手は、ヨシタツ、中邑真輔に続いて3人目となる。師匠・TAJIRIを世界的なプロレスラーに押し上げた世界一の舞台でKUSHIDAがどんな活躍をするのか注目だ。 ラストマッチの対戦相手となる棚橋とはかつて、SMASH所属時にTAJIRIとともにタナスマを結成。また所属してからは選手バスが隣ということもあり、仲が良かった。会見に記者側で乱入した棚橋からの質問に「ズルイっすよ」と涙を浮かべる場面もあった。 KUSHIDAはCMLLとの合同興行『ファンタスティカマニア』への参戦も決まっている。29日までは新日本のKUSHIDAとして、全力で突っ走る考え。最後の棚橋戦は新日本のKUSHIDAの集大成を見せるにはベストな相手と言えるだろう。 タイム・スプリッターの新日本カウントダウンが始まった。取材・文 / どら増田写真 / 萩原孝弘
-
スポーツ 2019年01月08日 17時30分
新日本、飯塚高史が2.21後楽園で電撃引退!テレビ朝日、野上慎平アナへの襲撃が話題に
新日本プロレスは7日、鈴木軍の飯塚高史が2月21日の後楽園ホール大会で引退すると発表した。同大会は飯塚の引退記念興行として行われることになった。会見では菅林直樹会長が「引退記念興行として行います」と発表しただけで、引退の理由などは明らかにされていない。 飯塚は1985年5月に新日本プロレスに入門し、翌年11月にプロレスデビューを果たした。89年4月に初の東京ドーム開催をすることになり、新日本はアメリカ、ソビエト(現ロシア)との日米ソ3国対抗戦を企画。ソビエトの元メダリストらを新日本のリングに上げ、レッドブル旋風を巻き起こした。 飯塚はソビエトにサンボ留学し、ブリザード・スープレックスや裏投げ、ビクトル式膝十字固めを会得。先輩の船木誠勝、2年後輩の鈴木みのるがUWFに移籍していく中、期待の若手選手としてチャンスを与えられ、同年7月には長州力とのタッグでIWGPタッグ王座を獲得している。 その後も故・橋本真也とのタッグで、小川直也&村上和成と抗争。村上を絞め落とした“魔性のスリーパー”は飯塚の代名詞となった。永田裕志とのタッグでもIWGPタッグ王座を獲得するなど本隊の中堅選手として活躍していたが、2008年3月に天山広吉との友情タッグを裏切りG.B.H(当時はヒールユニット)に加入すると、頭をスキンヘッドに刈り上げた。当初は「カネのため」などと少しは言葉を発していたが、天山や永田との抗争に入ると現在の凶悪スタイルに変貌し、叫び声以外に発言することはなくなった。 またテレビでは『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)の実況・野上慎平アナウンサーを入場時に襲撃することが話題となり、テレビ収録がある会場では、どのタイミングで野上アナが襲われるのかがファンに注目されていた。また会場の意外なところから入場し、客席を暴れながら渡り歩きリングに向かう。今では入場時に観客が逃げなければ襲われそうな数少ない選手の一人である。 昨年11月に開幕した『ワールドタッグリーグ2018』では鈴木とのタッグでエントリー。後楽園で行われたザック・セイバーJr.&タイチとの鈴木軍同門対決では、敗れはしたもののザック相手に“魔性のスリーパー”を久々に披露。場内は大飯塚コールに包まれた。この試合は近年の飯塚の試合の中でもベストバウトと言ってもいい。ここ数年は怪我で欠場することもあった飯塚だが、現在52歳。平成が終わりを迎える前にリングを降りる決意をした。 10年間ノーコメントを貫いた男が、引退試合で誰と相まみえ、どんな試合をするのか?またファンに挨拶をするのか?そして野上アナとの最後の絡みも大いに注目されるところだ。取材・文 / どら増田写真 / ©︎新日本プロレスリング
-
スポーツ 2019年01月08日 06時00分
新日本、棚橋弘至が満員の東京ドームでIWGP王座奪還!完全復活を証明
新日本プロレス『レッスルキングダム13』▽4日 東京・東京ドーム 観衆 38,162人(満員)IWGPヘビー級選手権試合 60分1本勝負<王者>●ケニー・オメガ(39分13秒 片エビ固め)棚橋弘至○<挑戦者>※ハイフライフロー※ケニーが4度目の防衛に失敗。棚橋が第67代王者となる。 「正直、もうこの舞台には立てないと思ってました」 40分近い激闘の末、ファイトスタイルが異なるケニー・オメガとの“イデオロギー闘争”を制し、4年ぶり8度目のIWGPヘビー級王者に就いた棚橋弘至は、1992年に開催された初の1.4東京ドーム大会と同様に埋まった満員ドームの真ん中で、正直な気持ちをファンに伝えた。 棚橋は2015年2.11大阪府立体育会館大会でAJスタイルズに敗れIWGPヘビー級王座から陥落。2016年の1.4東京ドーム大会ではオカダ・カズチカに、2017年の1.4東京ドーム大会では内藤哲也に敗れるなど、新日本マットの中心になかなか戻ることはなかった。さらに新日本プロレスをV字回復させるために酷使してきた肉体も悲鳴を上げていく。昨年の1.4東京ドーム大会でジェイ・ホワイトを相手にIWGPインターコンチネンタル王座を防衛したが、コンディションの悪さは一目瞭然。さらに自身がメインを務めていないのに、東京ドームのスタンドが埋まっていく光景が“エース”として歯がゆかった。昨年は会見終了後「クソーッ!俺が4万人(実際は34,995人)集めたかったぁー!」と悔しさをにじませている。 昨年は1月末、鈴木みのるにIWGPインターコンチ王座を奪われると、みのるの膝攻めがトドメを刺す形となり、2月から膝の負傷で1ヶ月間欠場。3月の復帰会見では「振り返ったときに奇跡の2月と言えるようになりたい。それぐらい充実していた」と欠場期間について話している。 3月の『ニュージャパンカップ』では準優勝、5月の福岡国際センター大会では、自身の連続防衛記録(11回)に並ばれたオカダに挑戦するも敗戦。しかし、このオカダ戦あたりから棚橋の動きにキレが戻ってくる。夏の『G1クライマックス』でAブロックを勝ち上がり、決勝では飯伏幸太に勝ち優勝。この頃から「Bブロックとは違うプロレスを見せる」とBブロックの代表格だったケニーに対して、イデオロギー闘争を投げかけている。9月には「オカダに勝たなきゃ復活したとは言えない」とオカダと対戦し3年半ぶりに勝利。10月にG1で敗れたジェイを破ったことで、ドームのメインへ返り咲いた。 「何回も巻いてきたベルトなんですけど、初めて巻いたような感覚。これから思い出すこともあると思うけど、また一緒に歩んでいけたらいい。自分1人では戻ってこれなかった。柴田さん、本間さん、他のレスラーからいい刺激を受けました。あとファンのみなさんからの『頑張ってくれ』という祈りに近い声援が背中を押してくれました」 久々に愛着のあるベルトを手にした棚橋は勝利をかみしめつつ、懐かしむ表情を浮かべていた。ケニーとのイデオロギー闘争については「ケニーへの怒りは最初から抱いていたものではない。ケニーが新日本を侵攻していく中で、大切なものが失われていくんじゃないかという危機感から生まれたもの。長岡(2016年)で負けて、ドームで勝って1勝1敗。次いつやりますか?まだ終わってない」とケニーとはまだ決着がついてないことをアピール。ケニーもツイッターで「1-1」とイーブンを主張しており、今度、またフラットな形で対戦する可能性が高い。かつてはイデオロギー闘争を制して新時代を築いた棚橋だが、今回は時代を守る側に回った。 これについては「そうなんですよね。『新日本らしくない急先鋒』だった棚橋弘至が、いつの間にか新日本側にいるというか、新日本らしさになってたというか。ズルいですよね。ズルいと思いますけど、G1クライマックスで優勝したことで、やっとケニーに物を言ってもいい資格を得た。そんな発言も(前なら)『棚橋、何言ってんだ』で終わってたと思うんですよ。G1クライマックス優勝というのは、価値ある優勝だったと思います」とG1から始まったイデオロギー闘争の流れについて振り返った。 会見中にはジェイが登場し、次期挑戦者として名乗りを上げている。棚橋は「ジェイは俺とオカダを組ませたわけですなら、間違いなく新日本のキーマンですよね」とこの1年でモンスター化してしまったジェイを冷静に分析していた。 「ベルトといいスタートを切れた。新日本プロレスにはイキのいい選手も居るし、じっくりと腰を据えてこのベルトと向き合って、一歩ずつさらに新日本プロレスを前に進めていきます」 ケニーの土俵に上がり、その上で勝つ棚橋らしい内容だった。これで「完全復活」と言ってもいいだろう。棚橋は再び“エース”として新日本マットをけん引していく。取材・文 / どら増田写真 / 萩原孝弘
-
-
スポーツ 2019年01月07日 21時30分
【新日本プロレス】内藤哲也「ベルトに好かれている」 クリス・ジェリコにリベンジ成功!2019年もロスインゴの勢いは止まらない!
<1月4日 東京ドーム 観衆38,162人(満員)> 新日本プロレス恒例の“イッテンヨン”東京ドーム大会のダブルメインイベントとして、また、IWGPインターコンチネンタル選手権試合として、チャンピオン・クリス・ジェリコvs挑戦者・内藤哲也が行われた。ジェリコと内藤は、去年の1.5後楽園大会でジェリコが内藤を襲って以来の因縁。ジェリコは6.9大阪で内藤からベルトを奪取し、11.3ではロスインゴのEVIL相手に初防衛を成功。その際に内藤がリマッチを要求し、東京ドームの大舞台での対戦が決定した。内藤にとっては連敗は許されない、ジェリコにとっては返り討ちにし、WWEのスーパースターとして活躍した実力を見せつけたい戦いとなった。また、試合形式は反則、凶器の使用が認められる「ノーDQマッチ」として行われ、2018年一年間通しての抗争の清算に相応しい完全決着ルールとなった。 試合はゴング前から内藤がジェリコを急襲し、花道でパイルドライバーを仕掛けるなどで優位に試合を進める。リングに戻った内藤が場外のジェリコに向けてトペ・スイシーダを放った際に、事前に用意してあった竹刀で迎え撃つと一気に形勢逆転。首に置いた竹刀を踏みつけるなど、徹底的に内藤を痛めつけると、本部席の机にパイルドライバーを敢行。リング上ではライオンサルト、バックドロップと畳みかけ、故・冬木弘道氏に向けるマッチョポーズを決めると、オールドファンも大喝采した。 このままではいられない内藤は、ジャンピングエルボーからペースを取り戻し、つばを吐きかけるなど”制御不能男”らしい暴れっぷりを見せ、ネックブリーカードロップを決めて、またもやつば吐きしてポーズ。しかし、ジェリコもドロップキックをキャッチしてのウォールオブジェリコで反撃するも、内藤もスウィングDDTやグロリアで流れを渡さない。再びウォールオブジェリコで絞り上げるも、マットに落ちていた竹刀で叩きつけ脱出。そこからカープファンの内藤に“新井貴浩”が乗り移ったようなヘッドを効かしたフルスイングでジェリコをジャストミートするも、2度目はかわされ、逆にコードブレイカーをお見舞いするもカウントは2止まり。 お互いを知り尽くしている両雄は、一進一退の攻防の中、勝負を分けたのは「ベルト」。大量の椅子がリングに散らばる中で、お互い凶器として使用していたが、ジェリコが本部席からベルトを持ち出し内藤に殴りかかるも、間一髪で避けて金具むき出しのコーナーに振ってからのデスティーノ。これは返されるも、内藤は視界に入った白いベルトを手にし、ジェリコに殴りかかってからのデスティーノで勝負を決めた。 試合後、「散々要らないと言っていたベルトだが、インターコンチネンタルの王座から近づいてきた感じ」と振り返り、「ジェリコから奪い取る目的があったにせよ、このベルトは俺のことが好き。今日の試合もこのベルトに助けられたし」と、自らが不要と唱えていたものの、実は“相思相愛”なのではと感じさせるほどの、ベルトへのただならぬ因縁を口にした。「2019年、内藤哲也は必要のないインターコンチネンタル王座を、次はどのように扱おうかな」といたずらっぽく笑った。 2019年のビッグマッチで、メンバー全員がベルトホルダーとなり、絶好のスタートを切ったLIJ。今年も新日本のリングの中心で大暴れするであろうことは、想像に難くない。取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘
-
スポーツ 2019年01月06日 15時30分
新日本プロレス人気のルチャシリーズ『ファンタルティカマニア』9度目の開催!
新日本プロレスは4日の東京ドーム大会、5日の後楽園ホール大会を終えると、しばしの“正月休み”に入る。11日からはルチャリブレの祭典『NJPW PRESENTS CMLL FANTASTICA MANIA 2019』(以下、『ファンタスティカマニア』)を開催する。 今年で通算9回目を迎える『ファンタスティカマニア』は、11日に大阪府立体育会館・第二競技場、12日に愛媛・テクスポート今治大会、13日に京都KBSホール大会、14日の岐阜・岐阜産業会館大会を開催。その後は関東に移動し、16日の千葉・幕張メッセ国際展示場・11ホール大会を経て、ラストは18、20、21の東京・後楽園ホール大会と計8大会を予定。今回も新日本と提携するメキシコの老舗団体CMLLから、総勢20名のトップルチャドールが参戦する。 今回の目玉は、“初代ミスティコ”ことカリスティコが久々に登場すること。しかも今回は2代目ミスティコも来日メンバーに名を連ねており、両雄によるドリームタッグが、日本のマットでも見られるのか期待されるところ。また“本家”ロス・インゴベルナブレスからは、昨年ロスインゴ入りをしたテリブレが来日。内藤哲也を特集したNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも、内藤がメキシコマットで現在のスタイルを確立したことがクローズアップされ注目を浴びた。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン勢との合体は間違いないだろう。 さらに“大陸王者”アトランティスの息子・アトランティスJr.が初来日し、日本でデビュー戦を行うという。これは異例の出来事。新日本とCMLLの関係の強さが分かる。 新日本とメキシコマットの関係は長い。80年代はUWA、90年代はAAA、そして2000年代はCMLLと時代に合わせて、メキシコのルチャリブレを日本マットで提供。新日本の選手をメキシコマットに派遣している。現在は川人拓来が「カワトサン」のリングネームで武者修行中。またルチャリブレの殿堂・アレナメヒコで行われるCMLLの定期戦は、新日本プロレスの動画配信サイト『新日本プロレスワールド』で中継している。新日本の選手が解説しており、CMLLの現状を日本のファンがリアルタイムで知ることができるのだ。 大会のチケットは毎年完売しており、日本でのルチャ人気は衰えるどころかさらに高まっている。これは他団体がルチャの大会を開催したり、フリーランスの大物ルチャドール、そしてルチャドーラが毎年来日していることが証明しているだろう。 エル・サント、ミル・マスカラス、カネック、ドスカラス…昭和のファンは彼らがメキシコでどんな試合をしているのか専門誌でチェックし、同じページに載るかっこいいマスクマンに夢を躍らせた。その気持ちは現在のファンにもしっかりと受け継がれている。取材・文・写真 / どら増田
-
-
スポーツ 2019年01月05日 17時00分
オリックス2019年のキーマン、23歳の“ピープルズ・エース”山岡泰輔がチームを変える!
昨年2年連続で4位に終わったオリックス・バファローズは、“エース”金子千尋(現登録名・金子弌大)が自由契約で退団し、北海道日本ハムファイターズに入団。“ネクスト・エース”西勇輝はFA権を行使して阪神タイガースを選び、チームの精神的な支柱だった中島宏之は自由契約を選び読売ジャイアンツに入団、小谷野栄一は引退し東北楽天ゴールデンイーグルスの一軍打撃コーチに就任するなど、これまで“対世間”的にもチームの顔を担ってきた選手が一気に抜けた。福良淳一監督が辞任し、西村徳文新監督のもと2019年シーズンに突入するのだが、補強は新外国人内野手のジョーイ・メネセスと、ドラフトで指名したルーキーぐらいで、今後、自由契約になっている選手が入団する可能性はあるが、若い選手を中心とした現有勢力で戦っていくことになりそうだ。 「去年と何も変わらないですよ。一緒!」 昨シーズンのキーマンになるべき男は、シーズン終盤にこのように吐き捨てた。春季キャンプで「自分も含めて何人か二桁勝利以上は勝たないと優勝できない」と話していた“太陽の逸材”山岡泰輔である。山岡はルーキーイヤーだった2017年シーズンを「ファンの方には申し訳ないんですけど…勝っても負けても4位というのは、耐えられなかった」と振り返り、「二桁以上」という“中目標”と「優勝」という“大目標”を掲げていた。ちなみに“小目標”は「1年間怪我をしないこと」。山岡は「目標が達成できなかった時の絶望感ってすごくダメージが大きいので、僕は目標を大・中・小とたくさん作るんですよ」と複数の目標を作るようにしているのだという。 さらに、「チームを人気球団にしたい」という気持ちも強く、髪型やカラーなどにも細部にわたって拘っているのだ。実際、昨年は京セラドーム大阪で、山岡を意識した髪型をした“山岡少年”を何人も目撃している。このように自身の人気は上がって来ているが、「チーム全体がメディアに取り上げられないと」と考える山岡は、「俺が勝たなきゃダメ!」と自身が勝っていくことで、チームを変えていきたいという思いを描いている。しかし、昨年は7勝12敗と大きく負け越してしまった。 「勝たないとね。何を言っても批判されちゃうでしょ」 勝たなきゃ説得力を持たないことを一番理解しているのは山岡本人である。そんな山岡だが、秋季キャンプでは投手陣のリーダー的な存在として、激しい練習に励み、ファンサービスも率先して行っていた。また先輩、後輩問わず、いろんな選手から「自主トレは山岡(さん)と」という声が聞かれていた。山岡は、“太陽の逸材”から“ピープルズ・エース”へとシフトチェンジしている。金子、西の退団により、オリックスのエースは23歳の右腕に託されたのだ。「チームを変えたい」「人気球団にしたい」という気持ちを実行するには「1人じゃ無理」とも語っていただけに、投手陣は自らが引っ張っていくことで、変えていけたらという気持ちが強いのだろう。 山岡が弟のように可愛がっている“神童”山本由伸が、先発でも実績を積んで“ダブルエース”体制になれば、プロレス界に例えるなら、新日本プロレスの棚橋弘至とオカダ・カズチカのような盤石なツートップ体制が築かれることになり、ここに田嶋大樹やアルバースなどイキのいい先発陣が、内藤哲也やケニー・オメガのような存在になってくれたら、金子や西の穴は埋まるどころかプラスになる可能性を秘めている。 2019年のオリックスは、“ピープルズ・エース”山岡泰輔がキーマンになることで、“主砲”吉田正尚、“鉄人”福田周平ら野手にも良い影響をもたらし、チーム全体で新たな世界を見せてくれるはずだ。 なお、山岡が希望しているとされる背番号19への変更について、球団関係者に取材したところ、「少なくとも今年はない。あるとすれば来シーズン以降」との返答があった。山岡には今年1年間エースとして活躍した上で、金子がつけていた背番号19を背負ってもらいたい。取材・文 / どら増田写真 / 垪和さえ
-
スポーツ 2019年01月03日 06時00分
4万人超えの1.4東京ドームで、棚橋弘至が愛を叫ぶか?新日本伝統のイデオロギー闘争!
新日本プロレスの年間最大興行『レッスルキングダム13』が4日、東京ドームで開催される。今年は、年々高まる新日本の人気に加えて、金曜日開催ということも重なり、新日本の東京ドーム大会としては久々に外野席を開放。選手、社員、スタッフが目標としてきた実数での観衆4万人超えが見えてきたという。昨年は34,995人を動員しているが、木谷高明オーナーは「東京ドームの札止めは実数なら45,000人ぐらい」と話す。この45,000という動員数にどこまで近づくのか注目される。 16時から開始する第0試合の『NEVER無差別級6人タッグ王座 ナンバーワン・コンデンダー・ガントレットマッチ』が終わると、17時からは本編がスタート。オープニングマッチはNEVER無差別級選手権試合として、王者の飯伏幸太に、飯伏に憧れを抱き続けてきたウィル・オスプレイが挑戦。ヘビー級対ジュニアヘビー級によるドリームマッチが実現する。このカードが組まれただけでも好勝負になるのは確実だが、それがオープニングから見られるというのは、東京ドーム大会ならではだ。 第2試合のIWGPジュニアタッグ選手権試合では、王者組の金丸義信&エル・デスペラードに、ジュニアタッグリーグ優勝チームのSHO&YOHと、最後まで三つ巴の優勝争いを演じた鷹木信悟&BUSHIが挑戦する3WAY戦。第3試合は、石井智宏にザック・セイバーJr.が挑戦するブリティッシュヘビー級選手権試合。第4試合のIWGPタッグ選手権は、王者組のタマ・トンガ&タンガ・ロアに、ワールドタッグリーグ優勝のEVIL&SANADA、そしてヤングバックスが挑戦する3WAY戦がそれぞれラインナップされた。 第5試合はIWGP USヘビー級選手権試合。Codyを相手にジュース・ロビンソンがリターンマッチに挑む。昨夏の『G1クライマックス28』から不調続きのジュースが巻き返せるのか注目したい。第6試合のIWGPジュニアヘビー級選手権試合は、KUSHIDAにバレットクラブの石森太二が挑戦。石森はプロレスリング・ノア時代に、新日本のリングでKUSHIDAをあと一歩まで追い詰めたことがある。現在はバレットクラブでダークサイドとして冷酷さに磨きをかけているだけに要注意だ。 第7試合はスペシャルシングルマッチで、オカダ・カズチカとジェイ・ホワイトがシングル対決。オカダにとっては制裁の意味が込められた一戦ではあるが、この試合の前にバレットクラブ勢が全員試合を終えているのが不気味なところ。敵はマネージャーの外道と、竹刀を持つセコンドの邪道だけではない。またジェイはこの試合に勝って、メインの勝者との対戦を視野に入れているのは間違いなく、オカダもCHAOSと新日本本隊のセコンドで脇を固めたいところ。第8試合のクリス・ジェリコに内藤哲也が挑戦するIWGPインターコンチネンタル選手権試合は、内藤が嫌がる『ダブルメインイベント』の『I』という肩書きが付けられた。これを逃すと内藤が再び“お忙し”のジェリコと対戦できる保証はない。新日本にとってもタイトル奪還が至上命題の試合である。 そして『ダブルメインイベントⅡ』、事実上のメインイベントは、ケニー・オメガに、『G1クライマックス28』優勝者で、平成最後の『プロレス大賞』MVPの棚橋弘至が挑戦するIWGPヘビー級選手権試合だ。 “エース”棚橋にとっては3年ぶりの東京ドームメインイベント返り咲きとなる。オカダ、内藤、ケニーの台頭と、自身のコンディション不良により、しばらくメインストーリーから離れていた棚橋だが、昨年の2月、1ヶ月間に渡りケガ治療と肉体改造に着手。「完治はしないけど、充実した日々を過ごすことができた」という棚橋は、3月の『ニュージャパンカップ2018』で復帰すると準優勝。5月にはオカダが保持していたIWGPヘビー級王座に挑戦し敗れるも「あの試合でまだやれると思えた部分はあった」と自身に手応えを感じ、真夏の最強戦士決定戦『G1クライマックス28』では飯伏を破り優勝を果たした。9月の神戸大会ではオカダ、10月の両国大会ではG1で敗れたジェイをそれぞれ破り、東京ドームのメインに再びたどり着いた。 6月にオカダをIWGPヘビー級王座初の時間無制限3本勝負で破り、王座を奪取したケニーは、破天荒な試合も辞さないスタイル。棚橋はG1期間中から、ケニーが入っていた「Bブロックとは違うプロレスを見せる」と話しており、G1優勝後は「ケニーのプロレスは嫌い」「ケニーのプロレスには品がない」とケニーのプロレスを全否定。謎かけのような言葉を毎試合繰り返し話題を呼んだ。 そんな棚橋が核心に触れたことがあった。11.29宮城大会の試合後、唐突に謎かけの“ネタ明かし”をしたのである。 「自分が良くないと思う方向にプロレスが行くのが我慢できない。よくね、俺も新日本プロレスを変えたんじゃないか?って言われるけど、新日本プロレスの伝統、レスリング、試合内容っていうのは変わってない。分かりやすく言うと、包み紙を派手にしただけ。中は伝統のものだから…」 棚橋の試合を見続けていれば分かるのだが、棚橋はロックアップから始まるプロレスを大切にし続けている。一連の“謎かけ”も新日本の歴代の名レスラーが見せてきたもの。また時には左張り手を放ち、試合を殺伐とした雰囲気に持ち込むこともある。 棚橋にとっては包み紙を“派手”にしたことで、世間が抱いているプロレスの悪いイメージを変えて、プロレスの窓口を広くしただけ。今回、ケニーをはじめとする“新時代プロレス”とのイデオロギー闘争を持ち出すあたりは、やはり新日本の選手だなと感じてしまう。新日本はイデオロギー闘争の歴史が節目節目で訪れている。棚橋が包み紙を“派手”にできたのもイデオロギー闘争を制したからである。 「もうちょっとなんで期待してください」 昨年は映画『パパはわるものチャンピオン』に主演し、テレビをはじめとしたメディア露出は1000件を超え、お茶の間での知名度が一気に上がった。今年は同映画の映像作品化も決定しており、そのプロモーションにはIWGPヘビー級王座のチャンピオンベルトも“同席”させたいところ。「団体はチャンピオンの色になっていく。だからこそまたチャンピオンになって新日本のプロレスに戻したい」そんな思いを胸に抱く。 4年ぶりにIWGPヘビー級王者に返り咲き、完全復活を宣言したい棚橋はキレを取り戻している。リスクが高いのを承知の上で、飯伏戦同様、ケニーの土俵に踏み込んだ上での勝利を狙っているのは間違いない。そして、棚橋は外野スタンドまで埋まった東京ドームのステージで、最後に愛を叫びたいのだろう。 ケニーの想像を超えた“新時代プロレス”に、棚橋が貫いてきた“新日本のプロレス”が待ったをかけるのか?“平成最後”のイッテンヨンは、今後の新日本マットの方向性を決めるイデオロギー闘争の集大成になるのは間違いない。ファンの意見が割れるのも当然だろう。近年では対戦が決まってから、ここまでファンに考えさせているような試合はない。ケニーと棚橋のどちらに支持が集まるのかも含めて、最後までじっくりと楽しみ尽くしたい一戦である。取材・文・写真 / どら増田
-
スポーツ 2019年01月01日 13時00分
那須川天心対武尊のドリームマッチ遂に実現か?新日本対WWEの行方は?【2019年マット界展望】
2018年もいろいろあったマット界。 締め切りの都合上、RIZIN12.31『RIZIN平成最後のやれんのか!』&『RIZIN.14』さいたまスーパーアリーナ大会と、新日本プロレス1.4『レッスルキングダム13』東京ドーム大会を見る前にこの原稿を書かなければならない。それでもギリギリまで取材をした結果をもとに、2019年のマット界を大胆に占っていきたい。 まず、格闘技界。昨年は“神童”那須川天心を中心に動いていたのは周知の事実。KNOCK OUTやRISEでは強豪タイ人と、RIZINのリングでは、UFCファイター堀口恭司とキックルールで戦った。元プロボクシング5階級王者のフロイド・メイウェザーとの試合は、アントニオ猪木対モハメド・アリ、前田日明対アレクサンドル・カレリンとともに、どんな内容、結果に終わろうとも何十年にも渡って語り継がれる出来事になったことは間違いないだろう。 今年の天心はホームリングのRISEで、3月から10月にかけて行われる世界トーナメントの『RISE WORLD SERIES 2019』57〜58kgトーナメントにエントリーしている。同トーナメントには昨年、天心を苦しめたロッタン・ジットムアンノンや、スアキム・PKセンチャイムエタイジムのタイの強豪、そして日本人キックボクサー志朗も名を連ねている。 しかしK-1のエース武尊が、K-1の昨年最終興行(12.8エディオンアリーナ大阪)のリング上で、「いろいろ団体とかありますが」と話した後に客席から『天心!』の声が飛ぶやいなや「分かってますよ!」と叫んだことが波紋を呼んでいる。 武尊はリング上で続けた。「実現するのは難しいことなんですよ。全く実現できない状況で発言するとファンを裏切ることになる。中途半端なことは口にしたくないんです。難しいことがありますが、僕が格闘技を背負う、変えるとずっと言ってきている。時期は分からないですが、僕は必ず実現させようと思っています。そして、実現させるだけでなく僕は勝つ気でいます」と強調。「ずっと僕が言っているK-1最強を僕が証明する」と初めて天心戦について言及したのだ。インタビューブースでは、かつてのK-1のエース魔裟斗が武尊の背中を押したことを明かし、一夜明け会見では「実現させるための発言。向こうがベストと言うなら体重を落としてもいい」と一踏み込んだ発言をしている。 この原稿を書いている時点では、那須川親子はメイウェザー戦に備えて渡米している。情報が伝わっているのは間違いないが、「今はそれどころではない」というのが本音だろう。またK-1は那須川側を民事訴訟で訴えている。対戦を実現させるにはまずこのあたりをクリアにしなければならない。ただし、那須川弘幸会長は昨年「天心が純粋にやりたがっているのは確か」とも話している。双方と接点があるAbemaTV(またはグループ会社のCygames)あたりが仲介に入れば一気に実現する可能性がある。 一方、K-1で武尊に敗れた皇治は12月10日にツイッターを更新。「武尊君との戦争が終わった。来年は対抗戦で戦争やろう。ドームで。K-1対RIZIN」と言及した。すると格闘技ファンからは、『格闘技夢のオールスター戦』実現を期待する声が殺到。対抗戦のカードを予想するツイートも数多く見られるようになった。 天心、武尊、皇治の共通点は「再び日本の格闘技界を盛り上げること」。皇治が書いているように、それを発信するのにふさわしい大きな舞台で実現させてほしい。一昨年の大晦日で「来年やりたい」と話していた天心に対して、1年後に反応したエース武尊の発言を受けてK-1の対応が注目される。おそらく両者が顔を合わせる“最後の”チャンスだと思われるだけに、「選手ファースト」の対応に期待したい。 プロレス界では、今年も新日本プロレスが話題の中心になるのは間違いない。今年の4月6日には提携しているアメリカの団体ROHとの合同興行を、ニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデン(MSG)で開催することが決定。関係者の話によるとチケットは完売が濃厚な情勢だという。 この新日本の動きに対して、世界最大のプロレス団体であるWWEは、新日本がアメリカ、しかもお膝元であるニューヨークのMSGに侵攻するのとは逆に、今年は日本へさらに侵攻するのでは?という話も伝わってきている。今年も新日本からWWEへ移籍する選手が出る可能性も否定できない。現在のWWEは資金も潤沢。新日本の木谷高明オーナーも「資本力だけで向こうに行かれたら仕方ない」と割り切っているようだ。 またCody、ケニー・オメガ、ヤングバックスが中心になって設立する予定の新団体が、新日本とどんな関係を築いていくのかにも注視していきたいところ。新日本に関しては、1.4東京ドーム大会以降の棚橋弘至とオカダ・カズチカの関係性や、飯伏幸太の動向などがポイントになってくるだろう。 他団体では、全日本プロレスやプロレスリング・ノアが昨年大きく巻き返していった。大日本プロレス、DDTグループ、ドラゴンゲートの人気も継続中で、ヒートアップ(ゴーイングアップ含む)は、ガッツワールドとの合流で頭角を現してきている。 また夏には長州力がファイナルマッチを行うことが決定しており、膝の手術から長期欠場中であるW-1の武藤敬司も今年復帰予定。自身がプロデュースするプロレスリング・マスターズも2月15日に開催する。天心対武尊が実現すれば格闘技界は再び熱を取り戻す。それだけに、プロレス界も新日本やWWEだけではなく、女子も含めて明るい話題を提供し続けてほしい。 2019年はプロレス・格闘技界にとって、オリンピックイヤーに向けた新たな時代の幕開けになることを願うばかりだ。取材・文・写真 / どら増田
-
スポーツ 2018年12月29日 17時30分
『格闘技記者が選ぶプロレス・格闘技大賞2018』第1回目のMVPは棚橋弘至と那須川天心!
今年ネットには、新日本プロレスの躍進や、アメリカWWEでの日本人スーパースターの活躍、RIZINやK-1、KNOCK OUT、RISEなど、格闘技ブームの再来から、プロレスや格闘技のニュースが溢れていた。そこで、『格闘技記者が選ぶプロレス・格闘技大賞』を発表したいと思う。昨年の12月1日から今年の11月31日までに開催された大会が対象。 今年は、MVP、年間ベストバウト、殊勲賞、敢闘賞、技能賞、最優秀タッグ・ユニット賞(プロレスのみ)、新人賞、最優秀外国人選手、最優秀女子選手、年間ベスト興行の8部門をプロレス・格闘技の取材班で制定した。◎MVP賞プロレス部門棚橋弘至(新日本プロレス)格闘技部門那須川天心(TARGET / Cygames) MVPはプロレス、格闘技ともに満場一致で決まった。プロレス部門は、新日本プロレス真夏の最強戦士決定戦『G1クライマックス28』を制し、映画『パパはわるものチャンピオン』で主演を務め、1000本を超える取材を受けるなど、メディアへの露出も目立っていた棚橋弘至が受賞。来年1月4日の東京ドーム大会ではケニー・オメガが保持するIWGPヘビー級王座への挑戦が決定し、3年ぶりに東京ドームのメインに返り咲くなど、怪我に悩まされながらも見事な復活劇は多くのファンの心を掴んだ。格闘技部門は、デビュー以降、33戦無敗と連勝街道を突き進んでいる格闘技界の“神童”那須川天心が受賞。2月にスアキム、6月にロッタン、そして9月には堀口恭司(キックルール)といった国内外の強豪選手を相手に勝利を収めたのはスゴイの一言。「日本のキックや格闘技を広めるため」今年はバラエティ番組などメディアへの露出も一気に増えた。31日には元プロボクシング5階級制覇のレジェンド、フロイド・メイウェザーとのスーパーマッチが控えている。棚橋、天心ともに、年末年始の大一番を終えた2019年はどんな闘いを見せてくれるのか期待したい。◎年間ベストバウト賞プロレス部門新日本プロレス『G1クライマックス28』Bブロック公式戦、ケニー・オメガ 対 内藤哲也(7月15日 大田区総合体育館)格闘技部門KNOCK OUT『KNOCK OUT FIRST IMPACT』那須川天心 対 スアキム・シットソートーテーウ(2月12日 大田区総合体育館) ベストバウトは奇しくもプロレス、格闘技ともに大田区総合体育館での一戦が選ばれた。プロレス部門は、昨年の『G1クライマックス27』決勝戦のカードが、Bブロック公式戦の開幕カードで実現。昨年はケニーを破りG1を制した内藤だったが、「この試合を超えるような試合はないんじゃないか」という声が多く聞かれるほどのベストバウトだった。しかし、今年の再戦で2人は昨年をさらに上回る好勝負を展開し、ファンを大熱狂させた。結果はケニーが激戦の末、昨年のリベンジを果たしている。格闘技部門は、連勝中の天心に深刻な「相手不足」が叫ばれる中、「今まで対戦した選手で一番強い」対戦相手としてタイの強豪スアキムが参戦し、天心と対戦した。格闘技通の間で「今度こそ天心が負けるかもしれない」という声も少なくなく、当日の会場はいつにも増して緊張感が漂っていた。尋常じゃないプレッシャーの中、天心は「本当に一番強かった」スアキムに判定ながらも勝利を収め、試合後は珍しく疲労困憊の表情を浮かべていたのが印象的。RIZINでの堀口恭司戦を推す声もあったが、高田延彦対ヒクソン・グレイシーの時と同じような観客が固唾を飲むような緊張感を出していたこの試合が選ばれた。その他の賞は以下の通り。◎殊勲賞プロレス部門中邑真輔(WWE / スマックダウン)格闘技部門森井洋介(ゴールデングローブ)◎敢闘賞プロレス部門ケニー・オメガ(新日本プロレス / バレットクラブELITE)格闘技部門不可思(クロスポイント吉祥寺)◎技能賞プロレス部門ザック・セイバーJr.(鈴木軍)格闘技部門堀口恭司(アメリカン・トップチーム)◎最優秀タッグ・ユニット賞ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(新日本プロレス)◎新人賞プロレス部門井土徹也(プロレスリングHEAT-UP)格闘技部門田丸辰(平井道場)◎最優秀外国人選手賞プロレス部門クリス・ジェリコ(フリー)格闘技部門ヨードレックペット・オー・ピティサック(T-Ded 99 Muay Thai Gym)◎最優秀女子選手賞プロレス部門アスカ(WWE / スマックダウン)格闘技部門浅倉カンナ(パラエストラ松戸)◎最優秀興行プロレス部門新日本プロレス『G1クライマックス28』8月12日日本武道館格闘技部門RIZIN『RIZIN.13』9月30日さいたまスーパーアリーナ MVPの次点とも言える殊勲賞は、WWEの中邑真輔と、初代KING OF KNOCK OUTライト級王者の森井洋介が受賞。今年の中邑は、新日本プロレス時代からのライバルであるAJスタイルズと、世界最大のプロレスの祭典『レッスルマニア』でAJが保持していたWWE王座を賭けて対戦することが、フジテレビ系『ワイドナショー』でも取り上げられるなど、プロレス版日本人メジャーリーガーとしてお茶の間でも度々紹介された。東京公演では怪我により試合には出場出来なかったものの、挨拶をしただけでも大きな声援を送られるなど日本での人気はさらに増えたように感じる。リアルライブでも記事として取り上げる回数が多かった。森井はライト級のみならず、キックボクサー全般に天心とは違った意味で良い影響を与えた功績は大きい。ベルトは初防衛戦でヨードレックペットに落としてしまったが、この試合も「ベルトの価値を上げたい」とワンマッチを自ら直訴する形で、タイトルマッチに変更させている。敢闘賞は、絶対王者と化したオカダ・カズチカからIWGPヘビー級王座を奪取したケニーと、初代KING OF KNOCK OUTスーパーライト級王者の不可思が、技能賞には、想像がつかない関節技の数々を披露しているザックと、RIZINでUFCファイターとして強さを発揮しながらも、天心とキックルールでドリームマッチを行うなど、引き出しの多さでファンを魅了した堀口がそれぞれ選ばれた。 最優秀タッグ・ユニット賞は、タッグチームを優先して選出したかったのだが、全国どこに行ってもロスインゴグッズを身につけている人を見かける。これは90年代終盤に巻き起こったnWoブームと同じような現象だ。内藤が出場しない大会でもメンバーへの会場人気が凄まじいこともあり、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンが選ばれた。新人賞は、インディー団体ながら、18歳にしてとどろきアリーナのメインを務めるなど将来が有望視されている井土と、16歳にして初代RISEスーパーフライ級王者になった田丸辰(とき)が選ばれた。田丸は8戦8勝と連勝街道を走っており、“天心二世”と言われているスーパー高校2年生。本人は天心戦を熱望しており、こちらも楽しみな逸材である。最優秀外国人選手は、それぞれインパクトを残したジェリコとヨードレックペットが、最優秀女子選手は、WWEのアスカと、RENAに2連勝した浅倉カンナが満場一致で選ばれている。ちなみにカンナは三賞の候補にも挙がっていただけに、来年もさらに飛躍してもらいたい。 最優秀興行は、G1決勝が行われた新日本の武道館3連戦の最終戦と、台風接近により、試合順を変更するなど選手や裏方が苦労する中、開催され神興行となった『RIZIN.13』が選ばれている。どちらの大会も話題性が多く、チケットが完売した点が大きなポイントとなった。 2019年も記事にしなきゃいけないと思うような大会や選手が数多く現れることを、プロレス・格闘技取材班一同、心から願っている。文 / どら増田(選定メンバー代表)写真 / 萩原孝弘
-
-
スポーツ 2018年12月29日 15時00分
故・三沢光晴さんの思いを胸に、ノア潮崎豪が越中詩郎40周年記念興行に参戦!
来年1月30日に開かれる越中詩郎デビュー40周年記念興行『祭り〜平成最後の平成維震軍〜』(後楽園ホール)にプロレスリング・ノアから潮崎豪が参戦することが決定した。 全日本プロレス時代、越中とプロレスリング・ノアを創設した故・三沢光晴さんは、若手のライバルとしてしのぎを削っていた。当時、全日本の若手にとって登竜門だった『ルー・テーズ杯』の決勝でも両者は対決し、先輩の越中が勝利。その後一緒に海外武者修行のためメキシコ遠征へ。三沢さんは2代目タイガーマスクとして先に日本に呼び戻されるも、越中には帰国命令が出ず、新日本プロレスへの移籍を決めた経緯がある。 三沢さんが全日本を退団し、ノアを旗揚げすると、全日本時代の「鎖国政策」から方針を変えて、新日本をはじめ他団体やフリーの選手も積極的に上がれるリングにした。特に全日本時代に苦楽をともにし、袂を分かっていた天龍源一郎氏や、故・冬木弘道さん、川田利明、そして越中と三沢さんはノアのリングでシングルを行っている。潮崎は不慮の死を遂げた三沢さんの最後のパートナーだった。三沢さんは最後となったシリーズに潮崎とのタッグで臨むことについて「俺の仕事はシオ(のステータス)を上げること」と話していた。 「この度、越中さんの40周年記念大会に出場させていただきます。今大会に指名していただきすごく光栄です。今回は対戦するカードではないですが、越中さんの『侍魂』をしっかりと受けていきたいです。よろしくお願いします」 潮崎は参戦にあたり、このようなコメントを寄せた。越中と三沢さんの“つながり”は、越中の40年に渡るプロレスラー人生において欠かせない。もし三沢さんがいれば真っ先に駆けつけただろう。天国の三沢さんも潮崎の参戦を喜んでいるはずだ。潮崎の出番はセミファイナル。藤波辰爾、佐藤耕平と越境トリオを結成し、NOSAWA論外&MAZADA&KAZMA SAKAMOTOと6人タッグで対戦する。藤波と潮崎は2007年、三沢さんとのタッグで対戦した。あの頃はまだ大型ルーキーだっただけに、同じコーナーに立ち、成長した姿を見せたいところだ。取材・文・写真 / どら増田
-
スポーツ
全日本プロレス 全日プロ本隊が高山包囲網
2009年03月18日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 永田IWGP返り咲き宣言
2009年03月16日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 前田日明が因縁の地で後輩にゲキ
2009年03月07日 15時00分
-
スポーツ
王と長嶋〜プロ野球を国民スポーツにした2人の功労者〜(2)「30年越し実現した“幻のバトンタッチ”」
2009年03月04日 15時00分
-
その他
ドラゴンゲートのチケットプレゼント
2009年03月04日 15時00分
-
スポーツ
ノア 秋山GHC2冠獲り宣言
2009年03月03日 15時00分
-
スポーツ
ノア 杉浦VS中邑因縁深まる
2009年03月02日 15時00分
-
スポーツ
ZERO1 敗れた永田が大谷にエール
2009年02月28日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 棚橋激白! 目指すは世界のエース
2009年02月26日 15時00分
-
スポーツ
ZERO1 大谷社長が覚悟のベルト挑戦
2009年02月26日 15時00分
-
スポーツ
サスケ容疑者覆面取られた
2009年02月21日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 棚橋に試練の防衛ロード
2009年02月17日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 対ノアにミラノ投入
2009年02月17日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 棚橋初防衛成功 4・5両国でアングルとのV2戦決定
2009年02月16日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 真壁&矢野がリベンジに失敗
2009年02月16日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 中邑真輔 “ナルシスト”棚橋をバッサリ
2009年02月10日 15時00分
-
スポーツ
新日本プロレス 永田が2・15両国での後藤戦要求
2009年01月31日 15時00分
-
スポーツ
長州力 リキプロ道場閉鎖
2009年01月29日 15時00分
-
スポーツ
ノア 仲田龍統括本部長に聞く 世代交代で大不況の荒波越え
2009年01月28日 15時00分