リストラ、派遣切り…100年に1度とも言われる大不況が叫ばれる現在、プロレス界の先頭を走るノアも影響を受けている。一部報道では今年3月末にも地上波放送打ち切りと報じられた。
そんな時代だからこそ夢を与えるのがプロレス。仲田龍統括本部長は「環境が厳しいからこそ、一致団結して乗り切る」と声を大にして言う。
プロレスラーは当然、己の体ひとつで勝負していく。その活動範囲は日本だけにとどまらない。
業務提携を結んでいる米プロレス団体ROHからは、GHCジュニアヘビー級王者のKENTAに「ほしい」とラブコールが届いている。さらに「(興行を)上海でできればと思っている」(仲田統括本部長)と08年6月に初の海外興行を行った英国に続く、海外興行第2弾も狙っている。
他にも計画はある。現在はまだ研究中の段階ながら、派遣労働者で職を失ってしまった人たちに活力を与える興行の開催を考えている。あらかじめ入場料を低価格に設定し、観戦に来た観客にはパンフレットなどの記念品を贈呈するものだ。
新たな試みを実現させるためには団体としての成長が必要不可欠。仲田統括本部長は「若い力の台頭。丸藤(正道)選手、KENTA選手、森嶋(猛)選手、潮崎(豪)選手、そういう人たちに頑張ってもらう時が来ている」と“世代交代”を今年の目標に掲げる。
中でも期待を寄せているのは、米国遠征から帰国し1月シリーズから復帰した潮崎だ。
「今は名前は言えないけど、1月15日からある団体と契約するはずだったが、(今回は見送って)日本で頑張ってくれないかとお願いした。(潮崎の海外遠征は)米国で夏に再度(契約の)ミーティングをする」と海外では実力を証明した。
「潮崎選手がどれだけ成長しているか、お客さんに認めてもらわないと」と今後はベルト戦線に絡む期待も大きい。
海外進出、若手選手の台頭、そして、再開された新日本プロレスとの対抗戦。3・1日本武道館大会で小橋建太の復帰も決定した。今後、ノアマットの動向から、より一層目が離せなくなりそうだ。