日本のエースは悩まされていた。
意識しないはずはない。「涌井を真似をして7分丈(のアンダーシャツ)にしたけど、投げにくかった」と冗談めかしたダルは、WBC日本代表のチームメートであり、同期入団でライバルでもある涌井と通算4度目の対戦を迎えた。
スライダー、シュート、フォークと、多彩な変化球を操り、8回を2失点。要所をきっちり締めたピッチングに終始したダルに軍配が上がった。6-2でチームも勝利し、3連勝で首位に並んだ。
試合後、節目の50勝を奪い「これが対涌井でよかった」と喜んだ。
開幕戦こそ黒星スタートとなったが、これで2連勝。心配されていたWBC後遺症も克服したかに思えた。だが、やはり激戦の疲れが溜まっているようだ。事態は予想以上に重症だ。
梨田昌孝監督はダルの出来について「エラー(暴投)もあったし、四球も2つもあって、らしくないピッチングだった」と証言した。
吉井理人投手コーチも「3安打で2失点というのはらしくないですね」と首をかしげた。
問題はそれだけではない。この日、直球は150キロを記録することは1度もなく、得意のツーシームもなかなかストライクが入らなかった。
そのため、内角を中心とした攻めができず、攻略法を再考せざるを得なかった。マスクを被った鶴岡慎也は「インコースにキレがなかった」と外角中心の攻めに切り替えていたことを明かした。
ダルといえば、2008年のクライマックスシリーズで内角のツーシームを武器に西武打線を翻ろう。強力な武器が現時点では使い物にならないというから大変だ。
3月に患った“病”をいまだにひきずっているダル。ただ、それでも2失点にまとめるあたりはアッパレというしかない。
◎“恐怖の9番打者”金子
日本ハム“恐怖の9番打者”金子誠の勢いが止まらない。
この日も3安打猛打賞を記録し、最多安打、出塁率でもリーグ1位に躍り出た。
今シーズンの金子は、7試合連続二塁打のプロ野球新記録を打ち立てるなど、開幕から絶好調をキープしている。
この日も、センター前に2本、レフト前に1本のヒットを放ち、打率を5割4分8厘とした。
もはやとどまることを知らないが、本人はいたって冷静だ。「そのうち(打率は)必ず落ちてきますよ。それを考えたら怖いです。落ちきってから話しますよ」と言い残し球場を後にした。