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新日本、棚橋弘至が満員の東京ドームでIWGP王座奪還!完全復活を証明

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棚橋弘至

新日本プロレス
『レッスルキングダム13』
▽4日 東京・東京ドーム 観衆 38,162人(満員)
IWGPヘビー級選手権試合 60分1本勝負
<王者>●ケニー・オメガ(39分13秒 片エビ固め)棚橋弘至○<挑戦者>
※ハイフライフロー
※ケニーが4度目の防衛に失敗。棚橋が第67代王者となる。

 「正直、もうこの舞台には立てないと思ってました」

 40分近い激闘の末、ファイトスタイルが異なるケニー・オメガとの“イデオロギー闘争”を制し、4年ぶり8度目のIWGPヘビー級王者に就いた棚橋弘至は、1992年に開催された初の1.4東京ドーム大会と同様に埋まった満員ドームの真ん中で、正直な気持ちをファンに伝えた。

 棚橋は2015年2.11大阪府立体育会館大会でAJスタイルズに敗れIWGPヘビー級王座から陥落。2016年の1.4東京ドーム大会ではオカダ・カズチカに、2017年の1.4東京ドーム大会では内藤哲也に敗れるなど、新日本マットの中心になかなか戻ることはなかった。さらに新日本プロレスをV字回復させるために酷使してきた肉体も悲鳴を上げていく。昨年の1.4東京ドーム大会でジェイ・ホワイトを相手にIWGPインターコンチネンタル王座を防衛したが、コンディションの悪さは一目瞭然。さらに自身がメインを務めていないのに、東京ドームのスタンドが埋まっていく光景が“エース”として歯がゆかった。昨年は会見終了後「クソーッ!俺が4万人(実際は34,995人)集めたかったぁー!」と悔しさをにじませている。

 昨年は1月末、鈴木みのるにIWGPインターコンチ王座を奪われると、みのるの膝攻めがトドメを刺す形となり、2月から膝の負傷で1ヶ月間欠場。3月の復帰会見では「振り返ったときに奇跡の2月と言えるようになりたい。それぐらい充実していた」と欠場期間について話している。

 3月の『ニュージャパンカップ』では準優勝、5月の福岡国際センター大会では、自身の連続防衛記録(11回)に並ばれたオカダに挑戦するも敗戦。しかし、このオカダ戦あたりから棚橋の動きにキレが戻ってくる。夏の『G1クライマックス』でAブロックを勝ち上がり、決勝では飯伏幸太に勝ち優勝。この頃から「Bブロックとは違うプロレスを見せる」とBブロックの代表格だったケニーに対して、イデオロギー闘争を投げかけている。9月には「オカダに勝たなきゃ復活したとは言えない」とオカダと対戦し3年半ぶりに勝利。10月にG1で敗れたジェイを破ったことで、ドームのメインへ返り咲いた。

 「何回も巻いてきたベルトなんですけど、初めて巻いたような感覚。これから思い出すこともあると思うけど、また一緒に歩んでいけたらいい。自分1人では戻ってこれなかった。柴田さん、本間さん、他のレスラーからいい刺激を受けました。あとファンのみなさんからの『頑張ってくれ』という祈りに近い声援が背中を押してくれました」

 久々に愛着のあるベルトを手にした棚橋は勝利をかみしめつつ、懐かしむ表情を浮かべていた。ケニーとのイデオロギー闘争については「ケニーへの怒りは最初から抱いていたものではない。ケニーが新日本を侵攻していく中で、大切なものが失われていくんじゃないかという危機感から生まれたもの。長岡(2016年)で負けて、ドームで勝って1勝1敗。次いつやりますか?まだ終わってない」とケニーとはまだ決着がついてないことをアピール。ケニーもツイッターで「1-1」とイーブンを主張しており、今度、またフラットな形で対戦する可能性が高い。かつてはイデオロギー闘争を制して新時代を築いた棚橋だが、今回は時代を守る側に回った。

 これについては「そうなんですよね。『新日本らしくない急先鋒』だった棚橋弘至が、いつの間にか新日本側にいるというか、新日本らしさになってたというか。ズルいですよね。ズルいと思いますけど、G1クライマックスで優勝したことで、やっとケニーに物を言ってもいい資格を得た。そんな発言も(前なら)『棚橋、何言ってんだ』で終わってたと思うんですよ。G1クライマックス優勝というのは、価値ある優勝だったと思います」とG1から始まったイデオロギー闘争の流れについて振り返った。

 会見中にはジェイが登場し、次期挑戦者として名乗りを上げている。棚橋は「ジェイは俺とオカダを組ませたわけですなら、間違いなく新日本のキーマンですよね」とこの1年でモンスター化してしまったジェイを冷静に分析していた。

 「ベルトといいスタートを切れた。新日本プロレスにはイキのいい選手も居るし、じっくりと腰を据えてこのベルトと向き合って、一歩ずつさらに新日本プロレスを前に進めていきます」

 ケニーの土俵に上がり、その上で勝つ棚橋らしい内容だった。これで「完全復活」と言ってもいいだろう。棚橋は再び“エース”として新日本マットをけん引していく。

取材・文 / どら増田
写真 / 萩原孝弘

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