スポーツ
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スポーツ 2017年03月30日 15時00分
熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times 今オフか19年オフか 大谷翔平のメジャー移籍
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)東京ラウンドの開催に合わせて大リーグのトップであるマンフレッド・コミッショナーが来日し、「大谷は大リーグ行きを'19年のオフまで待たなければならない」「(昨年11月末に改定された新ルールに例外を設けて)大谷を特別扱いすることはしない」と明言した。これを受け、今オフの大谷のメジャー挑戦を危ぶむ声が出ている。 大リーグの旧労使協定では、「(1)海外で5年以上プロ経験がある」「(2)23歳に達している」という二つの条件を満たしていればメジャーに年俸面で制約がないFA移籍をすることが可能だった。'17年オフにメジャーに挑戦する場合、大谷はこの二つの条件を満たしているため、契約規模は田中将大の7年1億5500万ドル(178億円)を上回る8年2億ドル(230億円)規模になると予想されていた。 しかし、昨年11月末に新労使協定が締結され、FA移籍できるのは「(1)海外でのプロ経験が6年以上」「(2)25歳に達している選手」という条件に変更になった。 大リーグではドラフト経由でプロ入りする選手(米国、カナダ、プエルトリコの高校、大学を出た選手)は、どんな選手でもマイナーで1〜3年プレーしてから20〜23歳でメジャー入りすることになる上、メジャー入りした後の3年間は最低年俸期間、4年目から6年目までは年俸の制約を受ける年俸調停期間になってしまう。そのため、早くても26歳か27歳にならないと年俸が超高額(2000万ドル以上)にならない。 例えば、大リーグNo.1投手のクレイトン・カーショウ(ドジャース)は20歳でメジャーに昇格後、最初の3年間は最低年俸でプレー、次の3年間の年俸は400〜1100万ドルで、27歳の時に初めて実力に見合った超高額年俸(3000万ドル=34億円)を受け取った。 メジャー2年目の昨シーズン、24歳でナ・リーグのMVPに輝いたケビン・ブライアント(カブス)は、今季はまだ3年目。なので年俸は最低年俸に毛が生えた程度の金額だ。 このようにメジャーの「正規ルート」である、ドラフト指名→マイナーリーグを通ってメジャーに上がった選手は、いくら傑出した成績を出しても、26〜27歳までは超高額年俸を取ることができない。 その一方、キューバや日本から来るトップレベルの選手は、FAで大型契約をゲットし、超高額年俸を受け取る現実がある。 その結果、両者の間に極端な年俸格差が生じるようになった。そのため労使協定の改定に合わせて、FA入団できる年齢が23歳から25歳、海外プロ経験の年数が5年から6年に引き上げられたのだ。 ただ、この「(1)25歳」「(2)プロ経験6年」という縛りは、あくまでもFA入団する場合である。マンフレッド・コミッショナーが今回の来日時に「大谷は大リーグ行きを'19年のオフまで待たなければならない」と発言したのも、「金銭的にメリットの大きいFA入団をする場合は」という前提があっての話だ。 二つの条件を満たしていなくても「(1)マイナー契約」「(2)格安契約金」で入団することはできる。年俸体系もドラフト経由の選手と同じになることを呑めば、実力次第でメジャーのマウンドで投げることは可能だ。 大谷はカネに無頓着で、あるのは早くメジャーのマウンドで投げたいという青雲の志だけだ。金銭的な損失は障害にならず、来季はメジャーのマウンドに立ってパワーピッチングを見せている可能生が高い。 マイナー契約は3Aの球団と契約を交わすことになるが、これは何の障害にもならない。ハイレベルな選手はすぐにメジャー契約に変更になるからだ。大谷は飛び抜けた実力の持ち主なので、開幕からローテ入りして投げることになるだろう(球団によってはFA権取得年限を1年遅らせる目的で4月下旬からメジャーで使い始めることもある)。 ハッキリ言って金銭的欲求が希薄な大谷にとって、今回のルール改定で失うものはあまりない。表に示したように金銭的に100〜130億円損をすることになるが、獲得を目論む貧乏球団にとっては、逆に願ってもない状況が出現したことになる。 大谷は金満球団より弱体球団に入団し、自分が牽引車になってチームを強くしたいという希望を持っているという。その本命として日ハムにキャンプ地を提供しているパドレスの名が取り沙汰されているが、他の弱小球団も獲得に乗り出すのは必至だ。 バッティングでも活躍したい大谷は、投手も打席に入るナ・リーグのチームに入る可能性が高い。だが、ア・リーグの球団がDHでも一定の出場機会を与えることを条件に獲得合戦に加わる可能性もあり、成り行きが注目される。スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2017年03月29日 15時00分
速さとパワー復活! ホンダがF1世界王者を狙える3つの理由(2)
期待できる2つ目は、興行主の変更だ。 グランプリ・サーカスの異名を持つF1は、世界最高峰の自動車レースであるとともに、3000万ポンド(約42億円)の分配金を賭けた世界最大のショーでもある。当然、主役チームは数年周期で変わる。バブル期のマクラーレン・ホンダの後はルノーの天下となり、M・シューマッハ擁するフェラーリが全盛期を築いた後、現在はメルセデスが圧倒的な力でF1界を支配している。それを差配していたのが、F1オーナーのバーニー・エクレストン氏だった。 ところが昨秋、米最大のケーブルテレビ会社リバティー・メディアが44億ドル(約4400億円)で運営会社を買収し、「フォーミュラ・ワン・グループ」に社名を変更。エクレストン氏は犬猿の仲だったロン・デニス氏とともに、F1の表舞台から姿を消し、F1は新時代を迎えた。 大リーグのアトランタ・ブレーブスも保有するリバティー・メディアが期待するのが“Powerd by Honda”の復活だ。トランプ大統領も、米国内に工場を持ち、米国人雇用に貢献しているホンダに好意的で期待も大きいという。 「北米のインディカー・シリーズでも、ホンダは6チームにエンジンを供給し、参戦8年目を迎える佐藤琢磨は今季、名門アンドレッティ・レーシングのステアリングを握る。トランプ氏が評価するのは、'03年からインディカーにエンジン供給を始めたホンダが、米国の自動車産業界の不況で'12年にシボレーが復帰するまで、'11年までの6シーズンをワンメークでシリーズを支えたこと。トランプ氏がトヨタや日産に辛辣なコメントを発してもホンダに寛容なのは、そのためです」(大手広告代理店) 3つ目は大規模な規則の変更だ。F1は今シーズンからレギュレーションを過去に例がないほど変えた。クルマ全体の最低重量を728㎏に増量(昨年は702㎏)。自然、ワイドなタイヤが必要となり、リアは昨年より8センチ太くなった。これは、ホンダには願ったり叶ったり。 昨年3月にホンダF1総責任者に就いた長谷川氏は、'08年の撤退前にエンジニアを務めた人物。ホンダの市販のハイブリッド車などの研究開発を経験してF1現場に戻った。ホンダの復帰1年目の'15年は、全19戦でポイント圏内(10位以内)でのフィニッシュがチーム2台で計6回という惨憺たるものだったが、長谷川氏が就任した'16年は、弱点だったパワー・ユニットの効率を一歩一歩改善し、年間6位にジャンプアップした。 「王者メルセデス・ベンツが強いのは、エンジンの熱効率をディーゼル車並みの40%以上に上げているからです。欧州では伝統的にディーゼル車の需要が高く、市販車開発のノウハウが活かされている。レースで使用できる燃料の総量が100㎏に制限されていた昨季までは、だから圧倒的に戦闘力が高かった。しかし、今季から燃料の総量が105㎏に引き上げられたことで、馬力で勝るホンダのパワー・ユニットにとって強力な追い風になっている」(自動車誌編集者) もっと言えば、新レギュレーション1年目は、規則を巡って混乱するのがF1界のお約束。敗れたチームが、勝ったチームのサスペンションや空力パーツにクレームをつけることが予想され、過去にはFIA(国際自動車連盟)がそれを受け入れ、制裁を下すことが何度もあった。今シーズンもそれは織り込み済み。 '09年シーズンは、泡沫候補のブラウンGPがシーズン前半を支配し、世界中を驚かせて盛り上げた。今季は判官びいきでホンダを応援するシナリオができているという話も囁かれている。 マクラーレンは'15年にメルセデスがワークス参戦(シャシーもエンジンも自社製)にスイッチしたことで、ホンダをF1復帰させてチームを組んだ。しかし、まだ一度も表彰台にすら上がっていない。最後の勝利は2012年のブラジルGPでのジェンソン・バトン。現在のエースドライバー・アロンソは今季が3年契約の最終年で「今季も勝てなければチームを去る」と話している。 陣営は背水の陣。ホンダが下馬評を覆す環境は十分に整っている。(F1ライター・朝吹颯)
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スポーツ 2017年03月28日 15時00分
速さとパワー復活! ホンダがF1世界王者を狙える3つの理由(1)
3月24日の開幕戦「オーストラリアGP」が近づき(※執筆時点)、中高年のF1ファンには久方ぶりに胸をときめかせている人も多い。今季からホンダに有利な新レギュレーション(F1規則)に変わったことで、「マクラーレン・ホンダ」復活が期待されているのだ。 ホンダF1総責任者の長谷川祐介氏は2月24日、イギリスで開かれた2017年の新型マシン「MCL32」の発表会で、「復帰3年目でホンダのパワー・ユニットは進化を遂げ、先頭集団に追い付くことができると確信している。開幕戦から表彰台を目指す」とその手応えを口にした。 しかし、2月末からスペイン・バルセロナ郊外にあるカタルーニャ・サーキットで行われた公式プレシーズンテストでは、散々な結果だった。直線スピードのトップはメルセデスの時速338㎞。続いてレッドブル・ルノーの331㎞。3位はフェラーリで327㎞。マクラーレン・ホンダはメルセデスより26㎞も遅い312㎞。ステアリングを握った元世界王者のフェルナンド・アロンソも「問題は1つだけ、ホンダ製のパワー・ユニットだ。信頼性に足を引っ張られ、プログラムを消化できなかった」と公然と批判。これでマクラーレン・ホンダの評判はガタ落ちした。 セナ・プロスト全盛の1980年代後半から90年代前半のF1は、車体(シャシー)とエンジンの勝負だった。しかし、現在はエンジンが「パワー・ユニット」という新方式に変わり、マシン作りを煩雑にしている。 「ホンダが復帰する1年前の'15年に大幅なレギュレーション変更があり、従来の自然吸気の排気量2.4リットルからハイブリッドターボの1.6リットルエンジンにスイッチしました。小型車並みのエンジン変更に伴い、ブレーキの摩擦熱や排気熱をエネルギー転換させて電気でモーターを回す方式に変わり、もはやエンジンとは呼び難い高度な動力装置となりました。これが現在のパワー・ユニットです。ホンダはこの新システムに1年遅れて参戦したため、常に後手後手を踏んでいる状態でした。それが、今季から新レギュレーションに変わることで、ようやく横一線のスタートが切れるのです」(スポーツ紙デスク) 今季のホンダに、期待できる裏付けは3つある。 まずはニューマシンだ。マクラーレンは伝統的な名称“MP4”を廃止し(昨年はMP4-31)、今季から“MCL”冠の「MCL32」にチェンジした。これは、かつての総帥ロン・デニス氏(70)との決別を意味している。 かつてセナ・プロストを擁し、マールボロで知られるフィリップ・モリス社とのコンビで黄金時代を築いたマクラーレン・ホンダの総監督を務めたのがデニス氏だ。その栄光の象徴こそが“MP4”シリーズのシャシーだった。 そのデニス氏はホンダのF1撤退もあり、'09年にF1部門を離れ、市販車スーパーカー・マクラーレンの経営に専念していた。それが'15年のホンダF1復帰とともに総帥に返り咲いていた。それにより何かとチーム運営に口を挟むようになり、エンジンのスタイルが様変わりする中、従来のシャシー優先主義を貫き、チームを大混乱させた。 「これではホンダが真価を発揮できないと判断したTAGグループ(マクラーレン社株式の25%保有)の総帥マンスール・オジェ氏と、バーレーン政府投資ファンド『マムタラカト』は、昨年11月にデニス氏を解任。“老害”を取り除いたことで、シャシーに合わせたエンジン作りから、エンジンに合わせたシャシー開発へ、チーム方針を大転換したのです。ホンダにとってこの差は大きい」(F1ライター)
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スポーツ 2017年03月26日 15時00分
あるぞ! 早実・清宮幸太郎いきなりメジャー挑戦
清宮の『今後の野球人生』は、このセンバツで決まるのかもしれない。 3月19日、第89回選抜高校野球大会が開幕した。注目のスラッガー・清宮幸太郎(新3年=早稲田実業)は大会5日目に登場した。 12球団スカウトは「センバツの勝敗は評価に影響しない」と言いつつも、「できるだけ多くの打席を見ておきたい。将来性を正しく見極めるために」と、エールを送っていた。 その清宮にとって今大会は人生の岐路になりそうだ。 「甲子園に5回出る。日本一になって…」 早実に進学した当初、清宮はそんな『夢』を語っていた。「5回出る」ということは、1年夏から3年夏までの完全出場を意味する。目標は大きいほうがいい。だが、清宮自身も強豪ひしめく西東京地区のレベルの高さは分かっていた。あくまでも夢で、レベルの高い東京都大会でもまれ、また、そこから這い上がってきた。 「清宮は甲子園出場に強いこだわりを持っています。目標は甲子園出場ではなく、全国大会で日本一になることなんです」(関係者) 競技こそ違うが、父・克幸氏は日本一を何度も経験している。息子・幸太郎が全国制覇を目標とするのは当然の流れである。 「清宮には日本一になった後の“夢”があるから全国制覇にこだわるんです。たとえ高校生のステージでも、甲子園での優勝は全国制覇に変わりありません。清宮はその目標を果たした後、次の目標、つまり進路に関して公表する可能性が出てきました」(同) 清宮の夢は、東京五輪出場だ。「プロ入りか、進学か」。半年後のプロ野球・ドラフト会議までには、進路を表明しなければならないが、その前に、すでに3年先を見据えているというわけだ。 こうした大胆な発想については本誌既報の通りだが、夢ではなく将来の“具体的な目標”もキャッチした。 「メジャーリーグでホームラン王になる」 日本一を成し遂げた後、清宮は野球を始めた頃から掲げてきた、この『真の目標』に向かって歩み出す。 「現時点で、高野連は高校卒業時のメジャーリーグ挑戦に難色を示しています」(学生野球担当記者) 高校球児のメジャー挑戦願望といえば、二刀流の大谷翔平(日本ハム)が思い出される。'12年ドラフト会議では進路をメジャー1本に絞ったが、強行指名された後、態度を一変させた。'08年には田澤純一(マーリンズ)が日本野球機構(NPB)側との交渉を完全拒否し、海外に渡っている。 この『田澤問題』以降、NPBは当該選手が日本球界に復帰する際、「大卒・社会人は2年、高校生は3年」の間、契約できないとするハンデを設け、今日に至っている。 「その是非はともかく、日米間には有力ドラフト候補を獲らないとする紳士協定があります」(同) それでも、近年のドラフト候補たちは「メジャーリーグへの憧れ」を臆することなく口にしている。その影響で「特定球団以外は入団しない」とダダをこねる選手は激減したが、「復帰にペナルティーを掛けた条文が効果を喪失するのは時間の問題」と見る関係者は少なくない。仮に清宮のような影響力の大きい球児が「自分の夢を抑えられない」と表明した場合、日米紳士協定は一気に瓦解してしまう可能性がある。 「早実の練習が公開された3月7日、清宮は『オルティス流』の練習を取り入れている旨も話してくれました」(スポーツ紙記者) 「オルティス」とは、通算541本塁打を放った元メジャーリーガー、デービッド・オルティスのことだ。打撃時に右肩が開かないようにするための練習を指すが、きっかけは昨秋の東京大会決勝で5打席連続三振を喫したことだった。練習方法、課題をすべてメジャーに置き換えて考える点からしても、相当な思い入れがあるのだろう。 また、その5打席連続三振を喫した後の明治神宮大会決勝戦でのことだ。早実は清宮に対抗する好スラッガー・安田尚憲のいる履正社(大阪)と対戦した。その両選手を視察していた阪神・畑山俊二統括スカウト補佐が試合後、記者団に囲まれ、こう語っていた。 「清宮はメジャーの打者みたい。日本でああいう打ち方をする選手はなかなかいない」 プロのスカウトならではの目線だ。清宮の打撃フォームが特異に映るのなら、NPB、早大のどちらに進んでも改造の指導を受ける。ならば、ペナルティーを覚悟で挑戦したほうが自分の意志を貫けるはずだ。 「NPBは今回の侍ジャパンの選手招集において、田澤にも声を掛けています。メジャーに挑戦しても、東京五輪出場の夢は消えません。マイナーでも頑張っていれば、五輪に招集される可能性はある。メジャー球団は国際試合出場に難色を示しますが、むしろ、メジャーに昇格していないほうが拘束されずに済みます」(ベテラン記者) 野球人生の選択は「日本一」の第一段階をクリアできるか、どうかで変わってくる。目標を達成したとき、退路を断つ。 いきなり世界へ挑戦してこそ怪物だ。
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スポーツ 2017年03月26日 12時00分
“あの頃”も“現在”も新日本を知る男“柴田勝頼”、満を持してオカダ・カズチカに挑戦!
「リング上で『約束した相手がいる』って言った瞬間、『まさか、同級生じゃないだろうな』ってみんな思ったかもしれないですけど、『オカダ!』って言った瞬間、みんなが『これを期待してたのかな』っていう。『俺のやろうとしてることは間違ってないな』とは思いましたね」 20日のアオーレ長岡大会で、バッドラック・ファレに勝利を収め、『NEW JAPAN CUP 2017』(NJC)を優勝した柴田勝頼が、21日に一夜明け会見を行い、試合後にオカダ・カズチカが保持しているIWGPヘビー級王座への挑戦を表明したことに対して、「間違ってなかった」と確信したことを明らかにした。両選手の対決は、4.9両国国技館大会で実現することが正式決定した。 柴田がIWGPヘビー級王座に挑戦するのは、実に13年振り。当時は王者だった藤田和之に挑戦し、「惨敗だった」と本人も会見で話していたように、玉砕している。新日本マット復帰以降も、後藤洋央紀との同級生抗争(対決やタッグ結成も含む)や、棚橋弘至や中邑真輔との同世代との再会、NEVER無差別級王座を巡る第3世代との抗争、他団体との対抗戦など、柴田がIWGPヘビー級王座と絡む機会がなかった。しかし、たった一度だけ挑戦表明をしたことがある。それは2014年2月にエディオンアリーナ大阪大会で行われた、IWGPヘビー級王者のオカダに、盟友後藤が挑戦し敗れたあと、柴田がリング上でオカダと対峙。一気に対戦ムードが高まったが、オカダは「し、柴田…さん? …向き合っただけで挑戦できると思うなこのヤロー! ちゃんとNJCを優勝してから挑戦して来い!」と突き放し、柴田が同年のNJCに優勝できなかったこともあって実現しなかった。あれから3年の月日が経ち、ようやく柴田に約束を果たす機会が訪れたというわけだ。 「ようやくですね。一回、『G1』で闘ったことがあるんですけど、タッグでも数回ですよね。4、5年いて、ホントに数回、リング上にいた時間なんて20、30分もないんじゃないかぐらいの。『こんなことってあるのかな』っていう思いでずっといて。これは俺の中で、『言ったら言っただけ、オカダから離れていくな』と。オカダを別に否定するわけではないんですけど、そこにまったく触れることができなかったっていうのが…ずっと常に虎視眈々としゃべらずに狙ってはいましたね」 柴田はこの3年間、オカダとほとんど絡めなかったことに対して不満を抱きながらも、挑戦する機会を虎視眈々と狙っていたという。NEVER無差別級王者になった辺りから、試合後のコメントも多く出すようになってきた柴田だが、言いたいことをストレートに発言し続けている内藤哲也を見て、「許されるんだな」という思いになり、向き合っただけで挑戦が決まった鈴木みのるをNJCの1回戦で破ったことも、挑戦表明への決断を後押ししたようだ。 これまでNEVER無差別級王座や、ブリティッシュ・ヘビー級王座といったシングルのタイトルを獲得してきた柴田だが、ベルトを腰に巻かないなど、ベルトへのこだわりがあまり感じられない選手のように思われてきた。しかし、これらのベルトの防衛戦を積み重ねてきたことで、考えが変わってきたという。 「やっぱり『ベルトってどうなのかな』とは思ってたんですけど、去年一年(NEVER無差別級のベルトを)持って。まぁ、言ってみれば3番目のベルトですよ。3番目のベルト、そしてイギリスのベルトを持って闘っていく中で、『ベルトって必要ない』とそれまで思ってたんですけど、『やっぱり、ベルトって大事なんだな』って思いましたね。『中心として、いろいろ動かしていくものなんだな』と思いましたね。IWGPは新日本プロレスの象徴ですから」 また、近年IWGPヘビー級王座戦線の顔ぶれが、オカダを中心に固定化していることに関しても、 「(IWGPヘビー級王座戦線の)『新しい風景にしていきたいな』と。ずっとオカダなんで。俺が再び上がり出した時もオカダだったし、いまもなおオカダ。『IWGPで組まれる対戦カードも似たような選手ばっかりで、そこに一つ風穴を開けたいな』っていう気持ちはあります」 と語り、自らがベルトを獲得することで、新たな流れを作って行きたい意向を示した。とはいえ、今年に入ってからのオカダは、1.4東京ドーム大会でのケニー・オメガ戦、2.5北海きたえーる大会での鈴木戦と、IWGPヘビー級選手権を期待値を遥かに超えるハードな試合で防衛に成功しており、3.6大田区総合体育館大会で行われたタイガーマスクW戦でも、ノンタイトルながらギリギリかつ、ワクワクするような素晴らしい試合を行い勝利を収めている。向かう所敵なし状態と言っても過言ではない。柴田優勝後のリングには現れなかったオカダだが、長岡大会のセミファイナルに出場後、「(決勝に進出した)柴田さんもファレも防衛戦をやったことがないので、新しい闘いを見せることができる」と自信あるコメントを残している。 「俺はオカダが知らないあの頃の新日本を知ってるし、現在の新日本も知っている。オカダと闘えることに楽しみである部分、オカダ・カズチカの素の部分をどれだけ引き出して、俺の土俵で試合してやるかっていうのが、俺の中では凄い楽しみ。俺がプロレスラーとやってきた18年間、どこを区切ってもプロレスラーなんですよ。そこは誰も真似できない部分だと思います。昨日も言ったんですけど、『流す涙より、汗の方が美しいですよ』と。嘘つかないですから」 オカダはこれまでにも、鈴木みのるをはじめ、第3世代や真壁刀義、そして棚橋や中邑といった“あの頃”の新日本プロレスを知る選手と試合をしてきているが、柴田は新日本の旗揚げメンバーである、故・柴田勝久氏の子息なだけに、「産まれたときから新日本」という自負がある。柴田が放つ独特な雰囲気は、古くからのファンには“あの頃”を最も感じるレスラーだと思うし、現在のファンには新鮮に映っているところがある。 そんなシチュエーションの中、組まれたオカダ対柴田の一戦は、旗揚げ45周年という節目に実現するに相応しい、IWGPヘビー級選手権試合になるだろう。(どら増田)【新日Times vol.61】
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スポーツ 2017年03月24日 17時00分
心技体の“心”が折れた「大横綱白鵬」の満身創痍に“引退”の声
春場所の土俵を見ていて「軽い」と感じていたのは角界雀ばかりではあるまい。体重は落ちてはいないはずなのに土俵上の白鵬(32)の取り口を含めて、存在自体がかる〜く見えたのだ。心技体の“心”が折れた瞬間だった。 まさか、最初に脱落するのが白鵬だとは…。 稀勢の里フィーバーで盛り上がる大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)もいよいよ終盤戦。新横綱稀勢の里と関脇高安はともに初日から10連勝(21日現在)と、田子ノ浦部屋の勢いが止まらない。果たして賜杯を抱くのは誰か。連日、熱戦が繰り広げられているが、本命視された白鵬が17年ぶりに出現した4横綱揃い踏みの状態からまさかの第1号の脱落者となり、日本中のファンはどよめいた。 白鵬が休場したのは5日目。プレッシャーをはね除けて好スタートを切った稀勢の里とは対照的に、初日に続いて4日目の勢戦でもあっけなく敗れて2敗となり、その白鵬らしからぬ負けっぷりが話題になった。そして5日目、右拇指捻挫と右大腿筋群損傷で全治3週間という診断書を提出。実にあっさりと姿を消してしまった。白鵬の休場は去年の秋場所以来、横綱になって3度目だ。 そもそも4横綱時代というのは、先に上がった横綱たちが衰え、それまでのような強さがなくなったために起こる現象だ。そうでなければ、横綱が4人もできるワケがない。このことは、いずれの4横綱時代も短命だったところにも表れている。17年前の曙、貴乃花、若乃花(2代目)、武蔵丸の4横綱時代も、たった5場所しか続かなかった。1場所で終わったこともある。 今回も長くは続かないであろうことは、序盤戦で見せた日馬富士や鶴竜の不甲斐ない相撲からも想像に難くないが、この休場で白鵬の衰えぶりも予想以上に深刻であることが分かった。 「場所前は元気そのものでした。稀勢の里らのいる田子ノ浦部屋に出稽古に行き、高安ばかりでなく、稀勢の里とも6番取って4勝2敗と勝ち越して健在ぶりをアピール。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)も、『まだまだやれるってことが確認できたんじゃないか』と目を細めていました。休場の原因はケガとはいえ、信じられないという顔の親方衆も多かったですね」(大相撲担当記者) 気になるのは、気力の衰えだ。以前は負けると顔を真っ赤にして相手を睨みつけたものだったが、最近は淡々としたもの。 「(今場所は)仕切っている時から元気がないというか、今までのような闘志が感じられなかった」(藤島審判部副部長=元大関武双山) すでにモチベーションの低下は明らかだったのだ。 優勝も、記録も、できることはすべて達成し、残るは引退だけだが…。 一人横綱を支え切った時代も孤独な土俵だった。さすがの「大横綱白鵬」も満身創痍に違いない…。不死鳥のごとく蘇って来ることを期待したい。
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スポーツ 2017年03月24日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND44 〈信頼が結実した世紀の一戦〉 最強カレリンとの引退マッチ
1999年2月21日、前田日明のラストマッチが横浜アリーナで行われた。相手は人類最強とも称されるロシアの英雄、アレキサンダー・カレリン。 得意のカレリンズ・リフトで前田の体をオモチャのように投げ飛ばし、持ち前のパワーをいかんなく披露したその試合の裏では、さまざまな人間模様が交錯していた。 日本のプロレス団体において、とかく付きまといがちなのが金銭トラブルの話。 アントン・ハイセル事業で団体分裂を招いたアントニオ猪木の新日本プロレスはもちろん、健全経営とみられた全日本プロレスですら御大ジャイアント馬場の没後には、待遇への不満を主な理由として所属選手が大量に離脱している。 「プロレス団体は興行で日銭が入ってくるため、どうしても『金ならどうにでもなる』という“どんぶり勘定”になりがち。また、看板選手が社長を兼ねることが多く、そのため『俺の顔と名前で稼いだ金だから』と、手前勝手に浪費してしまうケースも多々あります」(スポーツ紙記者) そんな中にあって、希少な存在といえるのが前田日明だろう。目立つ金銭トラブルとしては、新生UWFとビッグマウスラウドにおいて、それぞれ事務方の不透明経理を糾弾したぐらい。 「周囲には前田の直情的な性向を嫌う人間も多いだけに、少しでも後ろ暗いところがあれば、きっと罵詈雑言の嵐となったはず。それでいて一切、前田個人の金にまつわる醜聞が出てこなかったのは、よほど身ぎれいだったという証拠でしょう」(同) 金銭面における前田の堅実さは、これまで随所で見受けられる。 旧UWF時代には、会社の収入増のため興行を増やすことを主張して、格闘技志向の佐山聡と対立。団体存続が立ち行かないと見るや、すぐに新日復帰を決断した。 そもそも新日からUWFへ移ったのも「理想の実現のため」などではなく、「母親の入院により移籍金を必要とした」ことが理由だったという。 リングスにおいても、試合を放送していたWOWOWとの契約が切れると、即座にリングスジャパンは活動休止。前田のネームバリューがあれば別口のスポンサーを募りつつ、借金でつなぎながら興行開催を続けることも十分に可能だったろうが、前田はそれをよしとしなかった。 今では不良少年たちを集めた低予算の格闘大会『THE OUTSIDER』のプロデュースに専念している('12年にはリングス再旗揚げ戦も行われたが、同年3回の大会開催の後に再度休止状態)。 また、リングス活動休止の遠因となったPRIDEによる看板選手の引き抜きに際しても、ファイトマネーの積み合いをしようとしなかった。 '10年の参院選では、当時、政権与党だった民主党からの出馬が取り沙汰されたが、民主党側からの金銭的支援体制が不十分だとして、これを取りやめている。 「そんな前田の契約や金銭面におけるクリーンな姿勢は、むしろ国内よりも海外勢から評価され、多くの実力派選手が初来日時にリングスのマットを選ぶこととなりました。そして、多くの国で今もなお、リングスの名前で活動をしている実態もあるようです」(格闘技記者) 前田の引退マッチとなった'99年の対アレキサンダー・カレリン戦も、そうした前田への信頼が結実したものだった。五輪レスリングのグレコローマン130キロ級で、前人未踏の3連覇を果たしたカレリンは、このとき4連覇を目指すシドニー五輪を翌年に控えていた。 ちなみにカレリンのグレコは、近年、日本で吉田沙保里ら女子勢の活躍で認知度の上がったフリースタイルと異なり、下半身への攻撃が認められていない。また、グレコは古代五輪から続く種目であり、フリーはカール・ゴッチやビル・ロビンソンのバックボーンでもある欧州のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンを源流とする、いわば近代種目である。 「ごくごく簡単に言えば、技術の比重が高いフリーに対し、上半身だけで競うグレコは肉体的パワーをより多く要求されるもの。そんな、ある意味でごまかしの利かない歴史ある競技において、長年にわたり頂点に君臨したカレリンこそは、まさに“人類史上最強”と呼ぶにふさわしい選手なのです」(同) ロシアにおいては国家的英雄であり、そんな偉大な選手が異種格闘技で戦うとなれば、格闘技史上の大事件。世界的には猪木vsモハメド・アリにも匹敵するビッグマッチであった。 また、カレリン出場の決め手となったのは、何も法外な高額ファイトマネーではなかった。新日が旧ソ連時代に多くの選手をスカウトした際、カレリンにも声を掛けたが、結局、そのときは競技専念を選択している。 そもそも金で動く選手ではないのだ。 カレリン戦実現の裏には、前田を信頼する人々の尽力があったという。 「ソ連崩壊後、国家からの支援がなくなり食い詰めたロシア人格闘家の多くが、リングス参戦によって経済的に助けられた。リングス・ロシアの幹部たちが涙ながらにそれを訴えたことで、カレリンは人生唯一となる異種格闘技戦を決断したのです」(同) なお、カレリンはこの試合に関して、「私に挑戦してきたのは彼が初めてで、真剣だったから受けました」とだけ答えている。
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スポーツ 2017年03月23日 17時00分
センバツネット裏情報 「あのルール変更」に高校野球はどんな準備をする?
メジャーリーグで今季から『敬遠四球の申告制』が導入される。2016年、プロ野球がメジャーよりも“1年遅れて”コリジョンルールを採用した。こうした経緯を考えると、来年の今頃、プロ野球と日本国内のアマチュア、学生野球も『敬遠四球の申告制』を取り入れているかもしれない。プロ、アマチュアともに国際試合を戦う際、ルールが違えば混乱も生じかねないからだ。 『敬遠四球の申告制』に関する是非は、各メディアが報じている。プロ野球各球団首脳陣、解説者など意見はさまざまだが、高校球界は意外にも冷静だった。 「アマチュア球界は人を介して、メジャーリーグでそういう動きがあることを聞かされていたようですね」(社会人野球関係者) 独自の情報ルートを持っているのはプロ野球会も同じだ。それでも冷静である理由は、今回の申告制と類似した“変則ルール”をアマチュア野球界は経験してきたからだという。 「20年以上前になりますが、アメリカ遠征で敬遠を省く特別ルールで試合をやった思い出話を(指導者の)先輩たちに聞かされたことがあります。アメリカは時間短縮に力を入れており、近年でも、二死の場面で捕手の打者が出塁したら、特別代走を出して、攻守交代時のレガーズ着装の時間を省かせる試合もありました」(学生野球指導者) “特別ルール”の試合を経験してきたからだろう。「やっぱり、出たか」というのが正直な感想のようだ。 もっとも、申告制そのものについては賛否両論で、日本国内のアマチュア公式大会にそれを導入するかどうかを検討することになれば、それなりの時間は掛かるようだ。アマチュア野球の大会は主に公営競技場で行われる。「日程内、時間内に試合数を消化するため」であれば、受け入れざるを得ないと予想する声も聞かれたが…。 「試合中に生じる失策のほぼ半分は『送球関連』なんですよ。敬遠が申告制になれば、敬遠球の暴投もなくなるわけですから、まさに時間短縮となるでしょうね」(学生野球指導者) しかし、失策をハプニングと置き換えた場合、「敬遠球を打ち返す」「タイトル争いに水を差す行為に抗議して」「ベンチの指示を無視してライバルとの勝負に出る」といったドラマは見られなくなる。投手出身のプロ野球解説者もこんな話をしてくれた。 「敬遠で4球を投じる約30秒間に守っている側が呼吸を整える、守備陣全員でサインを確認するという『間』がなくなります。野球は『間』のスポーツだと思っているので、申告制になればゲームが単純化していくと思う」 メジャーリーグが時間短縮を目指す背景に、テレビ文化との共存がある。コマーシャルを入れるタイミングもそうだが、試合が長時間化すれば視聴者は離れていき、広告出資する企業も二の足を踏んでしまう。 高校野球はどうか? 1試合平均は2時間台である。試合途中、プロ野球と同じようにグラウンド整備も行われているのに、だ。プロ野球はバッテリー間で交換するサインも複雑で、リリーフ投手を何人も投入するので自ずと時間も長くなってしまう。それはそれで分かる。だが、高校野球の試合時間はさほど長くない。『敬遠死球の申告制』で高校球界が動じないのは、それを導入しなくても試合時間を短縮する方法を知っているからではないだろうか。攻守交代時にダラダラと歩くヤツもいないし…。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2017年03月23日 16時00分
熱き侍たちが躍動!! メジャーリーグ Times 35歳正念場を迎えた青木宣親
先週は今シーズン、いくつもの「追い風」が吹く可能性が高い日本人選手としてヤンキースの田中将大を取り上げた。今週は「逆風」が吹きすさぶ中でシーズンを迎えることになる日本人選手として、アストロズの青木宣親を取り上げたい。 メジャー6年目を迎える青木は今季、新天地のヒューストンでプレーすることになるが、4月3日から始まる2017年シーズンはメジャーリーガーとしての選手生命を賭けた年になる可能性が高い。★ア軍が青木を獲得した理由 青木のアストロズ入りは昨年11月8日に、前所属のマリナーズとトレードが成立したからだ。ア軍が青木を獲得した理由は、外野のレギュラーでただ1人の左打者だったラスマスがFAになってチームを出たため、左打者の補強が不可欠になったからだ。 ただ、青木をトレードで獲得後、ア軍は長距離砲で守備力も高い左打者の外野手ジョッシュ・レディックを4年5200万ドル(約57億円)で獲得。さらに、昨年ヤンキースとレンジャーズで主砲として活躍したスイッチヒッターの外野手カルロス・ベルトランを1年1600万ドルで獲得したので、青木は不要になったかに見えた。だが、ア軍は熟慮の末、青木とも1年550万ドル(6億円)で契約した。どんな判断があったのだろう? 「メジャーではトレードで獲得した選手を球団の都合で自由契約にすることは、ざらにあることなんだ。アナリストや記者連中は、アストロズがレディックを取った時点で青木との契約を見送る可能性が高いと見ていた。それでもアストロズが青木と契約したのは、レディックが好不調の波が激しいタイプでスランプになると長引くこと、ベルトランが39歳になる大ベテランで故障リスクが高いことなどを考えて、青木を彼らの保険としてキープすることにしたんだ。青木は毎年2割8分台の打率を出している計算できる打者。保険にするにはうってつけだからね」(スポーツ専門チャンネルのアナリスト) このような経緯でア軍と契約することはできたが、青木の今季は多難なシーズンになりそうだ。大きな逆風になりそうな要素が二つあるからだ。■二つの逆風★逆風1:強力なライバルがいっぱい 今季、ア軍の外野には強力な人材がひしめいている。 チームの構想では、外野のレギュラーはライトが長期契約で入団したレディック。センターが昨年29本塁打のスプリンガー。レフトは同じく昨年29本塁打のベルトランだ。ただし、ベルトランは半分ほどDHで起用される可能性が高く、その場合は4人目の外野手である青木がレフトで先発出場する。 ただ5人目の外野手に守備の名手マリズニクがいるため、ベルトランがDHにまわる場合でも、相手の先発投手が左の場合は右打者のマリズニクがスタメンで使われる可能性が高い。それを考えると、今季ア軍の外野陣に長期故障者が出なければ、青木は主に「9番レフト」で80〜90試合程度にスタメン出場するのがやっとだろう。 今季、青木が何よりも心掛ける必要があるのは、序盤から高打率をキープすることで、スロースタートは許されない。昨年のようにシーズン序盤の打率が2割2〜3分台に低迷するようだと、ア軍は3Aにハイレベルな若手を2、3人抱えているため、早い時期にマイナー落ちするだろう。解雇される可能性もある。★逆風2:メジャーで生き残りが難しくなる35歳 メジャーリーグでは20代後半の選手が過大評価される反面、年齢が30台半ばになった選手は過小評価されて買い叩かれる。イチローのように特別な選手は別だが、松井秀喜は35歳でワールドシリーズMVPになる活躍をしながら、翌年36歳になるという理由だけでヤンキースから再契約を見送られ、前年の半分以下の年俸(1300万ドル→600万ドル)でエンジェルスと1年契約するしかなかった。福留孝介に至っては、成績が下がったわけでもないのに35歳の年は年俸が前年の10分の1以下になり、満足に出番も与えられないままシーズン途中で解雇された。 青木は現在35歳。メジャーで生き残りが難しくなる“厄年”に差し掛かっている。大リーガーとしての選手生命を終わらせないためには、打率2割8分台、出塁率3割5分台くらいの数字をシーズンを通じてキープし、同時に100試合以上にスタメン出場する必要がある。★WBC参加は来季への布石? 青木自身も、大リーグでは30代半ばになると特別な選手以外、生存が難しくなることを重々承知しているはずだ。ア軍でレギュラーが保証されているわけでもないのに、WBC・侍ジャパンに参加したのも、まだまだやれることを日本球界とファンにアピールしたいという気持ちが強いからだろう。30代半ばを過ぎたベテランにとって、メジャーリーグが極端に冷淡であることを考えると、そう思わずにはいられない。スポーツジャーナリスト・友成那智(ともなり・なち)今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2017」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2017年03月22日 17時50分
WBC準決勝敗退 「侍ジャパンは米代表リーランド監督の苦悩を参考にすべき」の声
侍ジャパンが準決勝で散った。試合終了後、小久保裕紀監督(45)は「力を尽くしたと思う。選手はよくやってくれた。感謝したい」と語っていたが、試合前のアメリカ代表指揮官、ジム・リーランド監督の言葉を思い出していたのではないだろうか。 前日、リーランド監督は侍ジャパンの守備力の高さを称賛し、「ミスをしたほうが負けると思う」と答えていた。自分たちへの戒めとして話していた感もあったが、名手・菊池涼介(27)の失策が侍ジャパンの失点につながった。8回表にも松田宣浩(33)のファンブルが三塁走者を帰還させ、試合を決定づけてしまった。 「選手は責められません。ただ、守備でリズムを掴めなかったのは、予選6試合との大きな違いです」(現地入りしたメディア陣の一人) 前日練習でこんなシーンも見られた。緊急招集したクローザー、マーク・メランソンについて話題が及ぶと、リーランド監督は自国メディアからこんな質問を受けた。 「また、制約が増えるんでしょ?」 米国人ライターによれば、今回の代表招集にあたって、リーランド監督はかなり苦労したという。日本との準決勝戦で守備についた野手8人は全員、ゴールデングラブ賞の受賞経験者。ホスト国なのに、まだ一度も決勝ラウンドに進出していない屈辱…。メジャーリーグもようやく本気になったのか? 全体会見では「アメリカのために戦うとの思いが強い者を集めた」と語っていた同監督の言葉も思い出されるが、内幕は違っていた。 「大半の選手と、試合出場に関する契約を交わしているんです。選手本人だったり、所属球団だったりと契約先は異なりますが、契約書があるため、リーランド監督は選手起用に『制約』を受ける形になりました」(米国人ライター) その制約を聞くと、たとえば、スタメン捕手は登録したキャッチャーを交互に使う、リリーバーはイニングまたぎをさせない、一度肩を作ったリリーフ投手が登板せず、待機となった場合、二度目の準備はさせないなど…。たしかに、インディアンス所属のアンドリュー・ミラーは、シーズン中、当たり前のようにイニングまたぎをしてきたリリーバーなのに、日本戦では6回途中で出てきて、3分の2イニングを投げたところで交代している。全員ではないが、こうした制約だらけのなかで、リーランド監督は勝ち上がってきたのだ。 先のメランソンの緊急招集に対し、日本のメディアは「また強敵が加わった」という見方をしていたが、アメリカ側は「どういう制約があって、メランソンを追加招集できたんだ?」と聞きたかったわけだ。 今さらだが、リーランド監督は97年にマーリンズを世界一に導き、タイガースを指揮した8年間で3年連続地区優勝も果たした名将である。制約があっても必要な選手だから招集したわけだが、「自分の采配でなんとかしてみせる」との強い決意もあったのだろうか。 同時に、こんな見方もできる。起用法に関する制約を受け入れるのならば、日本人メジャーリーガーも招集できるのではないか…。小久保監督は昨夏、日本人メジャーリーガーのもとに自ら足を運び、侍ジャパン入りの説得を重ねた。その熱意は称賛に値するが、それだけでは国際大会は勝てなくなってきたのだ。 次の日本代表監督は誰に決まるのか、まだ分からない。しかし、日本人メジャーリーガーの所属球団と対等に話のできる代理人もスタッフに加えるべきではないだろうか。次期監督にはリーランド監督の精神的な強さも見ならってもらいたい。(スポーツライター・飯山満)
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