スポーツ
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スポーツ 2017年09月03日 12時00分
楽天が着手する J1ヴィッセル神戸の本拠地に新国立競技場
アマゾン大躍進の前にジリ貧傾向にあるネット通販の楽天だが、どっこい、サッカー界ではスペインの名門クラブ・FCバルセロナと約320億円ものスポンサー契約を結ぶなど、大攻勢に歯止めがかからない。同社の三木谷浩史会長の狙いは、サッカーJ1・ヴィッセル神戸の東京進出、“新国立競技場”への本拠地移転にあるという。 Jリーグ・ヴィッセル神戸は、次期社長にプロ野球楽天の球団社長である立花陽三氏(46)が就任すると発表した。立花社長は外資系証券会社勤務を経て、'12年8月から東北楽天ゴールデンイーグルスを運営する『株式会社楽天野球団』社長に就任。'15年3月からはJ1神戸を運営するクリムゾンフットボールクラブ(当時)の副会長も兼務していたが、今回の人事により、楽天と神戸、両球団の社長を兼任することになる。 「今回の人事から透けて見えるのが、2020年東京五輪・パラリンピック後の“新国立競技場”の獲得です。楽天グループの総帥である三木谷氏は、ここにJ1神戸の本拠地を移すとともに、世界的なビッグクラブを設立する戦略を立てていると言われます。そこで、懐刀である立花氏の投入を決めたのです」(経済誌アナリスト) スポーツ庁は7月26日、東京五輪・パラリンピック後の新国立競技場について、大会後はサッカー・ラグビーの球技専用競技場にする方針を決めた。 これにより、読売グループが狙っていた巨人の新国立競技場への本拠地移転計画は消滅。「築地は守る、豊洲は生かす」という小池百合子都知事の動向を探りながら、築地に新ジャイアンツ球場を建設する構想に方向転換した。 ともあれ、新国立競技場は国が所有権を持ったまま、民間企業に運営を委託する「コンセッション方式」が有力で、今後1〜2年かけて事業者を選ぶこととなったわけだ。その新国立競技場は五輪後、陸上トラックを残さずに観客席を増設。収容人数を6万8000人から8万人に増やす。このキャパシティーを満たすことができるのは、サッカーの日本代表戦と、J1の有力クラブしかない。 サッカーファンの間では、東京FCや鹿島アントラーズなどが候補に挙がっているが、いずれも平均観客数は2万人程度('16年)。新国立競技場を埋めるには力不足で、世界的なビッグクラブとはとても言い難い。 平均観客数3万6000人('16年)と断トツの人気を誇る浦和には埼玉スタジアム、かつて一時代を築いた横浜F・マリノスには日産スタジアムがあり、どちらも移転は至難の業だ。 そこで、一気に浮上してきたのが、資金力に長けた三木谷氏がオーナーを務める神戸なのだ。 楽天は、今季から4年総額約320億円という破格の条件でバルセロナの胸スポンサーとして契約。世界的チームのユニホームに“RAKUTEN”の文字が入ることになった。あのメッシやネイマールを招いて派手は契約会見を開き、その模様は欧州はおろか世界中で話題になっている。 「楽天は今夏に元ドイツ代表のスター選手、FWポドルスキを3年総額6億円で神戸に入団させました。さらに8月11日には、成績不振を理由にネルシーニョ監督との契約を解除し、世界的名監督を招へいする方針を打ち出しています。今や三木谷氏は、ロシアの石油王から英プレミアリーグの名門、チェルシーのオーナーになり、世界有数のクラブに育て上げたロマン・アブラモッチ氏のような存在になりつつあるのです」(スポーツ紙デスク) 新国立競技場を本拠地とする新しいクラブを作るとなると、J1昇格まで最短でも数年かかるため、現実的とは言い難い。その点、既存クラブの本拠地移転ならば手っ取り早い。三木谷氏がプロ野球に続いて、サッカーでも読売グループを打ち負かす日はすぐそこまで来ているのだ。 前記した立花氏の社長就任には、東北楽天を含めたクラブ組織としての『RAKUTEN』の株式上場の計画が秘められているという。日本では初の試みだが、欧米では珍しくない。そこには、あのホリエモンこと堀江貴文氏が一枚噛んでいるという情報もあり、兜町雀も興味津々だ。 「'15年8月にJリーグのアドバイザーに就いた堀江氏は、すぐさま東京に世界的なビッグクラブを作る構想をぶち上げました。これを高く評価したのが三木谷氏。脳裏にあったのは、株式上場です。堀江氏の旧友でもある立花氏はゴールドマン・サックス、メリルリンチ日本証券などで実績を残した証券のプロ。ファンに株主になってもらえば、経営が安定するし、集客にもつながります。2年前から描き始めた構想が、いよいよ実現へ向けて動き出したということです」(J1クラブ首脳) 新国立競技場への本拠地移転となれば、バルセロナの日本ツアーが毎年恒例となるはずだ。さらに、来年は独ドルトムントに所属する香川真司や、メキシコ・CFパチューカへ移籍した本田圭佑ら現日本代表の主軸獲得にも乗り出すという。 夢は膨らむばかりというわけだ。
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スポーツ 2017年08月31日 16時00分
「プロレス解体新書」特別編2 藤波辰爾が語る 俺の名勝負!
ドラゴン殺法のジュニア時代から長州力との名勝負数え唄、UWFや外国人勢との闘いなど、数々の名勝負を残してきた藤波辰爾。そんな中から自身がベストバウトとして選んだのは、1988年8月8日、横浜文化体育館で行われたアントニオ猪木との一戦、60分フルタイムを闘い抜いた師弟対決だ! 僕がベストバウトを選ばせてもらうとなれば、やっぱり猪木さんとの8・8です。この試合に先立って、僕の持つIWGPのベルトへの挑戦権を懸けた決定戦があったけれど、周りのムードからしても猪木さんが勝ち上がってくるものだと準備はしていました。 だから当日は無心で闘いに臨めたけれど、今になって思うとやっぱり夢の世界ですよね。猪木さんの待つリングに僕が後から上がって行くなんて、まずあり得ないことですから。 弟子である僕をリングで待つというのも、またすごいことですよ。あの人は本当に捨てるものがないというか、いざとなったら何でもやってしまうんです。あれだけプライドの高い人だから、普通はそういう試合を組まれてもまず出てこない。でも、あのときは身をもってすべてのものをさらけ出した。そこが猪木さんの底力なんでしょうね。 この試合より前、'85年にはタッグマッチで猪木さんからフォールを取っていますが、それで猪木越えを果たしたという気持ちはなかったですね。そもそも僕の場合は、新日本プロレスの立ち上げからずっと猪木さんと一緒にいるわけでしょ。だから、猪木さんとの闘いに100%の気持ちを向けられないんです。どこかで「会社のためにも猪木さんを支えていかなきゃ」って部分がある。 でも、ファンの期待に応えるために、自分の殻を破って猪木さんを越えなきゃいけない、という部分も当然あるんですよ。その意味で8・8は猪木越えの最大のチャンスだったわけですが、あのときは自分の中で気持ちがすごく楽だったんですね。それまでの闘いはいろいろと考えが交錯する中でやってきたけど、あのときは素直に「よし、自分の気持ちをそのままぶつけられる!」と、猪木さんが相手でもプレッシャーを感じなかった。 試合になっても不思議と時間がたつほどにアドレナリンが出て、あの60分は気持ちがよくて「時間よ止まれ」って思ったぐらいでした。試合の序盤でジャイアントスイングを仕掛けたんですけど、それまでやったことがない技ですよ。猪木さんが跳んできたときに自分がその脚を抱えて、たまたま体勢に入ったから振り回しただけです。本当に成り行きで、本能のまま闘っていたんですよね。 あと、改めて思うのが猪木さんのすごさですよ。あのとき45歳、それもいろんな障害というか負担を抱えている中で、60分間の最後まで闘志や動きが衰えることがなかったですから。猪木さん自身も引退を間近にして、きっと心のどこかで「選手として燃え尽きたい」「出し切りたい」というものがあったと思うんですよね。だから僕が感じるに、あのときは猪木さんが最後に燃え尽きた試合だったと思います。 試合の前には猪木さんが“負けたら引退”という報道があって、ファンもこの試合が大きな山場になると感じていたのでしょう。猪木さんへの声援もすごかったし、あとで映像を見たら、テレビカメラが会場の絵をずっと追っていくときに、お客さんたちの悲壮観まで伝わってくる。あれじゃあ、もし僕が勝っていたら暴動が起きてましたよ。 今から思えば、引き分けというのは一番いい結果だったじゃないかな。勝っていたら僕の時代が来るんじゃなくて、新日本のファンはきっとさめていたでしょう。試合が終わったときは気持ちよかったっていうか、やっぱり自分の中でいろんなものがすっきりしました。 もちろん勝ちたかったというのはあるけれど、それでも猪木さん相手にIWGP王座を防衛できた。翌年の腰の故障がなければね、僕なりのエース像というのが確立できたのではないかと思います。でも、それが人生、うまくいかないもんですよ。だから8・8で、本来あるべきプロレスの試合ができたことは、本当によかったと思います。 この試合について猪木さんと話したことは、いまだにありません。まあ、レスラーっていうのは「あのときの試合はこうだった」とか「あのときの技は」なんて、あんまり振り返らないものですよ。長州(力)や前田(日明)ともそうです。だって僕から「猪木さん、あのときの試合はどうだったですか?」なんて聞けます? 聞けないですよ(笑)。
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スポーツ 2017年08月30日 22時00分
“事件”再燃 巨人・山口俊の処分を巡って選手会がNPBに猛抗議!
一件落着とはいかなかった。日本プロ野球選手会が『泥酔事件』で世間をお騒がせした山口俊(30)の処分が重すぎるとして、巨人に“抗議”してきたのだ(8月28日)。これを受け、選手会と日本野球機構(NPB)も、翌29日に事務折衝を行った。選手会側は、1億円強とされる罰金、減俸が科されたこと、複数年契約の短縮が山口に通達されたことなどを指し、「再検討」を求めたという。対応したNPBスタッフは9月4日に行われる実行委員会で協議する旨を伝えたが、この問題は他球団にも“飛び火”しそうである。 「選手会側が強く抗議しているのは、巨人と山口投手の間で交わされた『複数年契約の見直し』です。山口と巨人は謝罪会見(同18日)でそのことは公表していません。選手会側がNPBに伝えた限りだと、こうした事態が『今後のFA選手の契約にも影響しかねない』、と。自主退団を迫られたとも選手会側は報告しています」(球界関係者) また、選手会はこの事務折衝の席で、契約更改交渉における提示金額の書面通知も求めてきたという。巨人以外の他11球団もこれには応じられないと混乱しているそうだ。「複数年契約の見直し」だが、巨人と山口本人しか知らないことになるが…。山口は29日、一部メディアの直撃取材を受け、選手会と接触したことを認めている。しかし、一連の抗議については、「そういう状況も知らなかったですし…」と、返事に窮していた。「選手会の訴えは、山口本人が求めたものではないとの見方も出てきました」(ベテラン記者) 選手会も経営陣と衝突することを目的にはしていないはずだ。謝罪会見に同席した石井一夫球団社長も「過去の出場停止処分に比べても最も厳しいのでは」と発言していたが、巨人側は再起のチャンスを与えたとも強調していた。山口もこの重い処分に言いたいことはあったのかもしれない。しかし、それを受け入れての再スタートを選択したわけだが、先の書面通知といい、もうひと波瀾起こりそうである。 「巨人フロントの山口に対する評価にも影響しそうです。契約年数の短縮、自主退団ウンヌンは山口が喋らなければ分からなかったことです。『再起の機会を与えてやったのに』と山口に不信感を抱く者も出ないことは限らない」(前出・ベテラン記者) 29日、一軍は首位広島との一戦を落としてしまった。高橋由伸監督の右腕である井端弘和・内野守備走塁コーチが稲葉ジャパンのコーチを兼任する可能性も出てきたため、巨人はその調整にも負われており、選手会の抗議を質問する雰囲気ではなかったという。 先の球界関係者がこう続ける。「謝罪会見以降、山口は二軍施設でマジメに練習していました。巨人はその態度が本物かどうかを見守っていた感もありましたが、近く、高橋監督や一軍ナインに合わせ、直接謝罪させる機会を設けようともしていました」 抗議直前の27日、ドラフト2位・畠世周が阪神打線を7回1安打無得点に抑え、菅野、田口、マイコラスに次ぐ「ローテーションの4番手」として認められつつある。二軍では23日のヤクルト戦でドラフト6位の大江竜聖投手(18/二松学舎大付高)が6回被安打3失点1奪三振5と好投し、翌24日も同5位・高田萌生投手(19/創志学園高)が先発し、3回無安打無失点に封じ込めた。宇佐見真吾、長谷川潤、篠原慎平も一軍で結果を出した。限られたチャンスしかなくても、這い上がってくるヤツはいるのだ。こうした現状に「フロントも敏感に反応している」と聞かされると、山口の復帰は遠のくばかりだ。
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スポーツ 2017年08月30日 16時00分
清宮幸太郎超え! 夏の甲子園で急成長したドラフト候補(2)
また、岡崎スカウト部長がよく口に出すのが、西浦颯大(明徳義塾)と増田珠(横浜)の2人。西浦はすでにU-15ジャパン入りも果たしている。U-15の当時の監督は鹿取義隆・巨人GMだった。2回戦で前橋育英に敗れたが、9回に1点を返す適時打を放っており、「土壇場でも動じない精神力」に巨人関係者は“成長”を確信した。 「増田は1回戦で散ったが、三盗も決めています。俊足強肩、センター中心の素直な打撃スタイル、どれをとっても一級品だが、『プロ一本』と進路を明言しているので、清宮、安田から増田に切り換える球団も出てくるでしょう」(ベテラン記者) 巨人とオリックスは、ドラフト指名の重複を嫌う。巨人はスカウト部長を岡崎氏に代えたので変更してくるかもしれないが、DeNAの吉田孝司スカウト部長は「いい選手になっちゃったなあ」と、11日の秀岳館戦後にコメントしていた。地元・横浜の高校ということで「早くから密着してきた」と言いたかったのだろう。 増田は1年途中で故障したため、懐疑的なスカウトもいたが、三盗まで決めた野球センスで、一気に1位候補に躍り出たようだ。 甲子園のネット裏ではこんな光景も見られた。 「聞いてる?」 スカウト同士、情報を交換するわけだが、やはり清宮の動向が気になるようだった。9月1日からのU-18大会に招集されるのは間違いないが、プロ入りか進学か、いまだ進路を明確にしていないからだ。 「ソフトバンクは複数体制でU-18大会の行われるカナダに向かうことが確認されました。『王会長の後輩』ということで、清宮指名に鬼気迫るものを感じる」(球界関係者) 8月6日、清宮は小学校時代をすごした北砂リトルのグラウンドに突然現れ、子どもや父母たちを驚かせた。スカウトは振りまわされているようだが、当人は子どものような笑顔で少年野球を見入っていた。 「大阪桐蔭の徳山壮磨も評価を高めた1人。早くから注目されていましたが、今夏の甲子園では『試合を作れる右腕』と言われるようになりました。オリックス、中日、楽天、西武などはエース候補として指名に臨むようです」(同) 盛岡大付・平松竜也投手の評価も高い。「岩手のパワーピッチャー」として知られていたが、特にヤクルトの小川淳司SDは熱い視線を送っていた。 「1回はともかく、9回に143キロが表示された。縦、横のスライダー、カーブといった変化球でも腕が振れ、死球もあったが、インサイドで空振りを取れていた」と評し、こうも語った。 「岩手県の決勝から10日間ノースローで、この日(9日の作新学院戦)136球を投げ切った肩の状態はどうなのかな。春のセンバツ前に(肩を)傷め、完治しても不安は残るもので、それが9三振、9四死球になって表れた」 この発言は地方予選から見守ってきた証明だ。 リップサービスの場でここまで具体的に話をするのは珍しいが、惚れ込んでいる投手だからだろう。その小川SDが独自の観点で「逸材」と評しているのが、前橋育英・丸山和郁外野手だ。もともとは投手だったが、2回戦の明徳義塾戦の9回二死、エースの皆川喬涼が連打を浴びると、カウント2ボールからの“緊急登板”を命じられた。暑さで丸山も足をつっていたが、小川SDはその足に早くから着目していた。 「打席から一塁ベースを駆け抜けるスピードが4秒を切っているんです」(前出・ベテラン記者) 他球団は貴重な左投手と見ているが、ヤクルトは野手として指名してきそうだ。 「捕手の逸材がもう1人、います」(在京スカウト) 日本文理の背番号9・川村啓真だ。川村は右投左打、1年時に同校の4番を任された強打者で、「捕手で1番」で登場することもある“俊足捕手”としても知られていた。一部のスカウトは「地方大会の数字」とし、高い打率を少し疑ってきたが、「課題だった変化球にも対応できるようになった」と、他の多くのスカウトが成長を認めていた。 鳴門渦潮戦で3安打5打点1本塁打。捕手で再スタートさせるか、野手で育てるべきか…。各チームは中村指名に失敗した場合も想定し、村上以下、成長著しい選手に迷い始めている。 清宮のいない甲子園はスカウトに「他選手」を見る時間を存分に与えた。
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スポーツ 2017年08月30日 12時00分
新日本プロレス真の主役奪取へ!“G1覇者”内藤哲也、1.4東京ドーム大会メイン出場なるか?
新日本プロレス毎年恒例の真夏の最強決定戦『G1 CLIMAX 27』優勝決定戦が13日、両国国技館で行われ、Aブロック首位の内藤哲也と、Bブロック首位のケニー・オメガが対戦。『G1』決勝戦史上最長となる34分35秒の激闘の末、内藤が必殺技デスティーノを決めて見事勝利を収め、4年ぶり2度目の優勝を果たした。「4年前に、俺はこの『G1 CLIMAX』、頂点に立ったんですが、あのときは背伸びをしていて、正直なことを言えませんでした。ただし、いまの俺なら、自信を持って言える!この新日本プロレスの主役は…俺だ!」 試合後に行われた優勝セレモニーの後、10,280人超満員札止めの大観衆から送られた大内藤コールに包まれる中、マイクを掴んだ内藤はファンの支持が得られなかった4年前に『G1』初優勝をしたときの決め台詞「新日本プロレスの主役は俺だ」というフレーズを久々に叫んだ。 現在はロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのリーダーとして、新日本プロレスで一番の人気を集めている内藤だが、4年前、エース棚橋弘至を優勝決定戦で下し『G1』初優勝という、本来であればその後のスター街道が保証されるほどの価値ある勲章を得たにもかかわらず、まったく活かすことができなかった。2014年の1.4東京ドーム大会でオカダ・カズチカに挑戦したIWGPヘビー級選手権は、ファン投票の末、中邑真輔対棚橋弘至のIWGPインターコンチネンタル選手権に敗れ、セミファイナルに降格した。ラフファイトをするわけでもないのにブーイングを浴びる日々。しかし、2015年のメキシコCMLL遠征で現地のユニット、ロス・インゴベルナブレスに合流したことから流れが変わり、新日本マットにも持ち込んだことで日本でもロスインゴ旋風が起こり、内藤は制御不能の反体制派レスラーとして大ブレイク。昨年はIWGPヘビー級王座の初戴冠、プロレス大賞のMVPを受賞。決め台詞の「トランキーロ!焦んなよ」はプロレス流行語として広く認知されている。 リング上で、4年前は「背伸びをしていた」と当時の素直な気持ちを明らかにしていたが、あの苦しんだ時期を乗り越えたからこそ内藤やロスインゴの大ブレイクに繋がったのは間違いない。大会翌日、『G1』覇者の内藤に4年前と同じく『2018年1月4日東京ドーム大会メインイベントでのIWGPヘビー級王座挑戦権利証』が与えられた。一夜明け会見でも語っていたが、内藤にとって1.4東京ドームメインの舞台は未知なる領域。IWGPヘビー級のベルトよりもドームのメインに立ちたい気持ちのほうが強いという。権利証には防衛義務があるが、内藤は「挑戦権利証の防衛戦が組まれるのであれば、俺は石井(智宏)を指名しますよ。あとは、昨日バックステージで言いましたよ。思ってることは口にしないと、思ってるだけじゃ、誰に何も伝わらないよ。何か意見があるなら、言葉にして口にして皆様に伝えないと、何も始まらないからね。もし、この権利証であったり、内藤であったり、東京ドームのメインイベントに関しても、『俺が挑戦したいんだ』と『俺がやりたいんだ』という意見があるのであれば、それは口に出すべきですよ。『俺がいまやりたい』とハッキリと口にしてるのは、石井だけですからね。俺に勝った(バッドラック)ファレであり、俺と対戦していないBブロックの選手でありね、『俺にやらせろ』という選手がいるなら、ハッキリ口に出すべきですよ」とコメント。後日、10.9両国国技館大会で石井との防衛戦が発表された。同時に10.9両国大会のメインで、オカダ対EVILによるIWGPヘビー級選手権試合の開催も決定。内藤対石井、オカダ対EVILの勝者が1.4ドーム大会のメインに立つことになりそうだ。内藤は「ドームのメインはEVILとやりたい」と言うだろうが、4年前のリベンジを果たすなら相手はオカダしかいない。 7月17日の札幌・北海きたえーる大会から、最後の両国国技館3連戦まで全19大会に渡って開催された『G1 CLIMAX 27』だが、今年は全国的に前売券が飛ぶように売れたという。両国3連戦は3日連続札止めの快挙。各会場のファンの熱狂ぶりも半端ではなかった。新日本プロレスの勢いはとどまることを知らない。 下半期の新日本マットは、『G1』覇者として1.4ドーム大会のメイン出場へ王手をかけた内藤を中心に回って行くのは確実だ。1.4ドームまでに内藤の存在を脅かす選手が出てくるとは考え難い。そう思ってしまうほど、今年の『G1』での内藤の試合は負けた試合も含めて自信に満ち溢れていた。内藤が東京ドームのメインでIWGPヘビー級王座を奪還したとき、真の新日本プロレスの主役になる。取材・文/どら増田カメラマン/広瀬ゼンイチ
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スポーツ 2017年08月30日 11時35分
【オリックス】福良監督「DHは一個しかない」守れない野手に嘆く…“天敵”唐川に今季3敗目
▽29日オリックス2-6千葉ロッテ(ZOZOマリン)オリックス8勝12敗観衆20,965人 オリックスは初回、ミスなどが重なり2点を先制されるが、4回にT-岡田の2ランで同点に追いつく。しかし5回、先発の山田が踏ん張れず猪本に2点勝ち越しタイムリーを許すと降板。7回にはヘルメンが角中に2ランを浴びてしまう。打線は9安打もチャンスを活かすことが出来なかった。今季5勝目をあげたロッテ先発の唐川だが、オリックス戦は5試合に登板し3勝0敗、防御率1.16と完全にオリックスキラー化してしまった。山田は(0勝)2敗目。6三振を奪うも4四球と前回に続いて四球に泣く結果となった。試合後、福良淳一監督はビジター球場としては異例の40分近くに渡り、監督・コーチミーティングを行った。 ■福良淳一監督 一問一答 −−試合後、長い間ミーティングをされていたが? 「まぁいろいろと。いろいろ(笑)」 −−山田については? 「3回までは良かったんじゃないっすか。いつもの課題の立ち上がりというとこやと思いますけど。きょう真っ直ぐは走ってたと思いますよ。力のある真っ直ぐを投げてたんじゃないですか。4回からちょっとへばって来たかなというのはあったんですけどね」 −−ちょっと守備が風で… 「ちょっと可哀想なところはありましたね」 −−次もチャンスは与える? 「ないですね」 −−前回に続いてフォアボールが… 「そうですね。そこですよね。2点、2点のところはフォアボールが絡んでいるから…」 −−ビジターにしては長いミーティングだったが、こういう話も含んでのものだった? 「野手もそうだし、いろいろ話すことがあったというのはありますよね」 −−きょうロメロがスタメンから外れましたが? 「みんなDHなら出られるって言うから(苦笑)。DH一個しかないですからねぇ(笑)。それ難しいですよね」 −−(27日西武戦の)デッドボールの影響? 「そうです。(守りはキツイ?)守りはダメ。(吉田)正尚もダメだって。ナカジもどうか?って言ったら…DH一個しかないんだよ(笑)。明日、正尚かロメロか状態のいいほうに守ってもらわないとというのはあるんですけどね」 −−吉田正はコンディションが悪いということだが腰が原因? 「いやいや。腰はもう問題ないでしょう。腰のほうは」 −−小谷野がだいぶ痛んでいたが? 「その話もけっこうあったんですけどね」 −−最後まで出ていたが明日の出場は微妙? 「無理でしょう。さっきの報告では」 −−左肩を痛めたのは守備の着地のとき? 「そのときは肩って言ってたけど、違うところみたいですよ。どこか分からないですけどね。そのときは肩やったんですけどね」 −−最悪のケースも考えられる? 「そうです。そうです。(抹消というケースも?)考えなきゃいけないですね。たぶん明日はゲームダメでしょうね。(戦略的には)またやりくりをして、いるメンバーが頑張ってくれるでしょう」 −−ロッテ先発の唐川に関しては? 「きょうはヒットは出てましたよね。前回、前々回とは違うところは見えたかなというのはありましたけどね」 −−きょうは風が… 「それは向こうもそうですからね。条件は同じですからね」■選手談話山田修義投手※先発4回1/3、7安打、4失点の内容「打線が追いついてくれましたし、5回はなんとか0で粘って投げきりたかったです。立ち上がりもそうですが、フォアボールが絡んでの失点もしっかりと反省しなければいけません」T-岡田選手※4回1死1塁からライトスタンドへ一時は同点となる26号2ランホームラン「打ったのはカットボール。完璧です。逆風でしたが、打った瞬間いってくれると思いました。とにかく同点に追いつくことができてよかったです!」取材・文・写真/どら増田(オリックス番ライター)
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スポーツ 2017年08月29日 16時00分
清宮幸太郎超え! 夏の甲子園で急成長したドラフト候補(1)
ドラフト戦線に異常あり。「清宮不在」となった夏の甲子園大会(第99回全国高校野球選手権大会)で、スカウトの評価を“上方修正”させた逸材が現れた。当初、清宮幸太郎(早稲田実業=3年)に対し、「史上初の12球団指名もあり得る」と目されていたが、事態は急転した。日本一早いドラフト情報を一挙公開――。 「清宮の12球団指名説の根拠にもなっているんですが、今年は社会人に好投手が多い。補強の面で考えれば、たとえ1位指名の抽選で外れても、社会人投手に切り換えればダメージが少ないからです。清宮の進路がはっきりしないままドラフト直前まで待つのがイヤだという球団は、甲子園で知名度を上げた球児に切り換えるかもしれない。それだけの価値のある球児が出たからね」(在京球団スカウト) “上方修正”された一番手は、広陵の中村奨成捕手(3年)だ。同校は巨人・小林誠司捕手の出身校だが、「中村のほうが上!」と言い切るスカウトも少なくない。 「中国・四国担当のスカウトの間では、1年時から有名でした」(在阪球団職員) 1回戦の中京大中京戦で、右方向に2本塁打。守備でも6回無死一塁の場面で送りバントをされたが、軽快なフットワークと「強肩」で一塁走者を刺してみせた。強肩で俊足、打撃力も二重丸というわけだ。 「その後の仕種がよかった。味方投手にこそ、『イケるぞ!』と笑顔は見せましたたが、『これくらいは出来て当然』と言わんばかりに、淡々とプレーを続けていた。右バッターなのに逆方向のライトに本塁打を放ったところからも、リストの強さを感じる」(在阪スカウト) 中村に対し、巨人スカウト陣は異例となる2試合連続の集中視察まで行った。 「岡崎郁スカウト部長は、『清宮(が進路を明言するの)を待つ』と語っていますが、進学となれば、中村の1位入札に切り換えるのでは?」(ベテラン記者) 阪神は14日に定例のスカウト会議を開いた。会議後、佐野仙好統括スカウトが各メディアにリップサービスをしてくれたが、甲子園大会の話題に触れ、中村を絶賛していた。同日にスカウト会議を開いたDeNAでも中村の名前が挙げられており、社会人、大学生の捕手と比べても「ナンバー1だと思っている」と明言した。 「“打てる捕手”は巨人・阿部慎之助以降、出現していません。捕手は“守備の人”のイメージもありますが、強打の捕手を得れば、それだけでチームのストロングポイントになります」(スポーツライター・飯山満氏) 中村の競合は色濃くなってきた。“ストロングポイント”を作るため、中村を外した球団は、九州学院・村上宗隆捕手に切り換えると見られている。村上は熊本県大会決勝で散ったが、複数球団が視察している。 巨人スカウトは「阿部2世」と評し、西武・渡辺久信SDは「清宮、安田(尚憲=履正社)、村上。3人とも左バッターだね」と、“超高校級スラッガー・ビッグ3”と位置付けていた。 その村上を打ち砕いたのが、甲子園でも好投を見せた秀岳館の田浦文丸、川端健斗の両左腕だ。まず、田浦だが、大会中、広島・鞘師智也スカウトが「プロでも十分活躍できる」とコメントし、川端に関しては複数球団が将来性を認めていた。 巨人・岡崎スカウト部長は、各メディアにこう話している。 「左腕では木更津総合の山下輝、秀岳館の川端が光っていた」 山下は2年秋から本格的なピッチング練習を開始した。140キロ台後半の球速を常時マークし、体格的にも恵まれている。しかし、進学希望との情報も交錯しているため、注目度は川端、田浦の方が高い。
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スポーツ 2017年08月28日 16時00分
優勝カウントダウンの広島に正念場「代役4番」の新井次第でドラフト候補も変わる?
8月27日のマツダスタジアムは“新井デー”となった。1回表、一死走者ナシ、中日の2番バッター・谷哲也が三ゴロ、一塁塁審がアウトをコールすると、「4番・一塁」でスタメン出場していた新井貴浩(40)がベンチに戻ろうとした。ベンチスタートとなった後輩たちが指を2本立てる。その2アウトのジェスチャーでアウトカウントの間違いに気づく。球場は和んだが、その直後、広島の先発・岡田明丈は釣瓶打ちに遇い、初回から4点を先制されてしまった。 8回裏の攻撃もそうだった。3番・丸佳浩が3ランで1点差まで詰め寄る。マツダスタジアムのボルテージは一気に頂点に達したが、続く新井は空振りの三振…。新井は下を向き、自分自身に腹を立て、何かを吐き捨てながらベンチに帰って行った。 「2位阪神とのゲーム差は7・5。阪神は広島よりも消化試合数が『4』少ない。3位DeNAが勢いづいており、4位巨人も息を吹き返しつつある。優勝できたとしても、クライマックスシリーズで苦戦しそう」(プロ野球解説者)“4番”鈴木誠也を右足首の骨折(くるぶし剥離骨折)で欠き、終盤戦に来て最大の試練を迎えてしまった。 鈴木が骨折を被る4日前だが、こうした試練を予見するような言動が球団スタッフから出ている。 去る8月19日、広島はスカウト会議を開いた。夏の甲子園の真っ只中であり、高校球児に関する調査結果がメインとなったそうだが、同会議を経て、広島の指名リストに残った高校球児は、約30人。1位候補にリストアップされた高校球児は、2人。早実の清宮幸太郎と地元・広陵高の中村奨成だという。会議後、苑田聡彦スカウト部長が記者団に囲まれたときだった。地元出身の中村について聞かれ、こう答えている。「捕手でも日本一になれるけど、日本一の三塁手にもなれる」 三塁手? 中村は高校球界屈指の好捕手であり、甲子園で「1大会6本塁打」の新記録達成で「強打者であること」も証明した。肩の強さと軽快なフットワークから、「将来は4番を張れる捕手に」と各球団スカウトが評価していたのだが…。「5月24日にも、広島はスカウト会議を招集していますが、その時点では清宮に対する関心が高かったようです。清宮クンの弱点は守備にやや難があること。苑田スカウト部長は『(清宮は)三塁も守れると思う』と話していました」(取材陣の一人) 広島が探しているのは、ベテラン新井の後継者のようだ。新井は年齢的な理由や他選手との兼ね合いで一塁を守ることが多くなったが、元々は三塁手だ。 また、こんな情報も聞かれた。「昨秋指名した捕手の坂倉(19=将吾)が予想以上の早さで成長しています。坂倉も肩の強さ、フットワークでは二重丸。二軍打撃戦績でも現在2位、彼を育てていくのが良策でしょう」(関係者) 広島は“戦力の重複”を嫌う。中村を“三塁手”で育て、新井の後継者にしようとしているようだ。坂倉が順調に育っているので、あえて中村を1位候補から外し、清宮がプロ入りを表明した際には競合抽選の勝負に行くという見方もできる。 新井がファンに愛され、後輩たちからも信頼されるのはベテランとは思えない練習量をこなすからだ。「新井さんが手を抜かないから、自分も…」と、若手は考える。「初回の守備はご愛嬌として、8回の悔しがりようは広島ナインを鼓舞させています。鈴木のいない正念場を救えるのは、精神的支柱である新井です。優勝、クライマックスシリーズの行方は新井が握っています」(前出・プロ野球解説者) 広島スカウトが清宮と中村のどちらを選ぶか、その最終判断はまだ先になるが、後継者として育てたいのなら、新井の現役中の姿を見せるべきである。
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スポーツ 2017年08月28日 12時30分
那須川天心対小笠原瑛作実現へ待ったなし!KNOCK OUTが生み出した新たな価値観
ヒジありのキックボクシングイベント『KNOCK OUT vol.4』が20日、大田区総合体育館で開催され、3050人(超満員)の観衆を集めた。 会場は試合開始時間が過ぎても観客が会場内に入れないほどの大入りで、試合開始時間を少し遅らせて選手入場式が行われた。 オープニングマッチでは、那須川天心との対戦をアピールし、来月6日に後楽園ホールで行われる『REBELS.52』でISKA世界バンタム級王座決定戦に出場する小笠原瑛作が強行出場。韓国のファン・ヒョシクを相手に2R 42秒、ヒジ打ちがズバリと決まりTKO勝ちを収めた。試合後、瑛作は「12月に天心とやりたい」と初めて対戦時期にまで言及。今大会は天心が参戦するから強行出場したと発言した上で「きょうの大会は僕がオープニングマッチで、天心がメイン。もうストーリーは出来上がっている」と俳優との二刀流を目指している瑛作ならではの表現でアピール。最後は「天心戦までは全勝します」と力を込めた。 第2試合では、『KNOCK OUT vol.3』6.17TDCホール大会のメインで行われたKNOCK OUT認定ライト級王座決定トーナメント1回戦で、新日本キックの勝次と6度のダウンの応酬の上敗れた不可思が、17歳の“新鋭”茂木俊介と再起戦を行った。不可思はこれまでのガンガン行くスタイルだけじゃなく、幅広いテクニックを披露し、若い茂木を翻弄。4R 35秒、セコンドのタオル投入によるTKO勝ちを収めた。試合後、7.20『ROAD TO KNOCK OUT 2』渋谷TSUTAYA O-EAST大会のメインに出場し、キックボクシング初挑戦で中尾満をTKOで破ったMMAファイター金原正徳からの対戦要望に対して「いつでもやりますよ。でも向こうはMMAの選手。片手間で勝てるほどキックは甘くない。俺とやりたいと言ったのを後悔させるぐらいの差を見せつけてやります」とギラつきを取り戻した瞳で次なる標的を金原に定めた。 休憩明けの第5試合にはミスターKNOCK OUTの呼び声高い森井洋介が登場。トーナメント2回戦で対戦予定だった町田光が怪我による欠場により、このカードが10.4『KNOCK OUT vol.5』後楽園ホール大会にスライドしたため、韓国のジュ・キフンと対戦。2Rにギフンの飛びヒザ蹴りにより左目尻からまさかの出血。ドクターチェックを受けると、スイッチが入ったのか森井が猛攻。ギフンは何とか2Rは耐えたが、3Rに入っても森井の勢いは止まらず、強烈な左ボディが決まり49秒でKO勝ちを収めた。試合後、森井は「夏は暑いから苦手。今回がいちばん調整がキツかった」と調整に苦労したことを明らかにするも、記者が「(出血で)森井さんキレましたか?」と質問すると「はい(笑)。でも大丈夫です。このまま決勝まで任せてください」と笑顔を浮かべながら自信を覗かせた。 セミファイナルではライト級トーナメント2回戦、前口太尊と勝次が対戦。プロレスを強くリスペクトしている前口は、親交があるプロレスラー飯伏幸太の影響もあり、路上プロレスならぬ路上キックを提唱。実際、小笠原瑛作と都内の書店でエキシビションマッチ『本屋キック』を実現させている。勝次とも“ろくでなしブルース対決”と位置づけて「タイマン勝負」と挑発を繰り返すなど、試合に向けて煽りまくった。一方、1回戦で不可思との激闘を制した勝次の株も急上昇しており、地元蒲田での大会ということで多くの応援団や、前回大会同様、新日本キックのファンが会場に多数詰めかけていた。会場はゴング前から期待感に包まれていたが、試合は予想をはるかに超える大激戦となった。PRIDEでの名場面と言われている高山善廣対ドン・フライを彷彿とさせるような両者の殴り合いに会場は大爆発。試合の途中からは涙を流すファンや関係者の姿も見られた。最後は勝次が最終の5R 2:31、右ストレートを決めたところでレフェリーが止めてKO勝ち。試合後、両選手への拍手が鳴り止まなかった。試合後、バックステージで、勝次がインタビュールームに向かう途中、セコンドに肩を借りた前口が現れ「ありがとうございました」と改めて握手。その後、前口は眼窩底骨折により救急車で搬送(今週手術の予定)された。勝次は「激闘するつもりじゃなかったんだけどな」と話しながらも充実した表情を浮かべながら、新日本キックの伝統と意地を背負って決勝も闘い抜くことを誓った。 メインでは“神童”那須川天心が今年2月以来、約半年ぶりの『KNOCK OUT』参戦。『KNOCK OUT』では初のメインイベントをタイのウィサンレック相手に務めた。ウィサンレックはムエタイで価値が高いとされるルンピニースタジアム認定フライ級とバンタム級王座に就いたことがあり、戦績は300戦を超えるベテラン選手。試合は最近の天心にしては珍しく長期戦になった。2R、ウィサンレックのローが下腹部に入り、試合は一時中断。再開後、ウィサンレックの蹴りが今度はエグい角度で下腹部に入り、天心は声を出しながら悶絶して倒れてしまう。ここでウィサンレックにレッドカード(減点1)。天心は立ち上がると両手を広げて「大丈夫」とアピール。場内のちびっ子からは「天心ガンバレー」の声援が飛び交った。3R、天心の飛びヒザ蹴りでウィサンレックが目じりから流血しドクターチェック。再開後、再び出血しドクターチェックの結果、2分45秒ドクターストップによるTKO勝ちとなった。 試合後、マイクを掴んだ天心は「ちょっと自分らしくない終わり方というか。ここからだと思っていたんですが、狙っていた顔面ヒザが入って勝てたのでよかったと思います。こんな満員の素晴らしい舞台でメインを張れるのは嬉しい。僕は戦うことが使命だと思っています。皆さんが望むなら期間が短くても激しい試合をして誰とでも僕はやります。これからもいい試合をして皆さんを喜ばせる試合をします」と語ると「KNOCK OUTサイコー!」と叫んで初のメインを締めた。 バックステージでは「きょうはいろんな技を出せたから良かった。まだ出そうと思ってた技もあったんですけどね。その前に(終わった)。」と試合を振り返ると、オープニングマッチの試合後に「12月」という具体的な対戦時期にまで言及した小笠原瑛作について「こっちはきょうやっても良かった。でも向こうも勝ってるし、僕はいつでもいいですよ」と語り、12月という時期についても「異存はないです」とキッパリ答え、対戦要望を受諾した。入場時にはRIZIN7.30さいたまスーパーアリーナ大会から着用しているLEDを搭載した電飾コスチュームに場内からどよめきが起きていたが「みんな驚いてましたね。小林幸子さんを目指しているので!」とさらなる進化を予告。天心の髪型を真似た天心カットをした少年ファンが増えていることについては「はじめこの髪型にしたとき、父親には『そんなの流行らないよ』って言われたんですけど、流行ってきましたよね(笑)。嬉しいです」と笑顔で語った。次戦はRIZIN10.15マリンメッセ福岡大会。連戦が続いたためやっと10代最後の夏休みに入るという。インタビューのあとローブローについて「あれかなりヤバかったですよ」と漏らしていたが、秋から年末にかけても試合が多く入ることが予想されるため、ここはしっかりとケアしてもらいたい。 大会を総括した『KNOCK OUT』の小野寺力プロデューサーは「選手たちが本当に頑張ってくれた」と前回の大会に続いて“神興行”になった今大会を振り返った。天心対瑛作に関しては「天心の次の相手は瑛作以外に考えられない。皆さんも観たいでしょう」とコメント。「12月大会(会場未定)での実現を軸に調整に入りたい」としながらも、12月は天心が年末にRIZINへの出場が予想されるため、「もし12月に出来なくてもその次には組みたい」と時期に関しては含みを持たせた。また不可思と金原の対戦に関しては「金原くんを誰が止めるのか?というときに不可思くんが名乗り上げてくれたのは楽しみ」とゴーサインを出した。 今回で4度目の開催となる『KNOCK OUT』だが、勝負論が最優先される格闘技の世界において、勝次に敗れた不可思や前口太尊が戦前よりも価値を高めるという、ちょっとした逆転現象が起きている。連勝を続けている森井洋介は試合内容が保証されていることから旗揚げ当初よりも人気を集める選手に成長した。町田光戦の結果にもよるが、森井が勝次とトーナメントの決勝で対戦するようなことになれば、キックボクシング史に残る激闘になる可能性が高い。勝ち続ける選手に光が当たるのは当然のことだが、『KNOCK OUT』は敗れた選手にも、その続きが見られるストーリー的な楽しみがある。これは格闘技界にとって新たな価値観を生み出したと言ってもいい。天心ブームにより子どものファンや競技者が増えているのも未来への希望を感じる。次回大会『KNOCK OUT vol.5』は10.4“聖地”後楽園ホールで初開催だ。取材・文/どら増田写真(C)キックスロード
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スポーツ 2017年08月27日 17時00分
「プロレス解体新書」特別編(1) 天龍源一郎が語る 俺の名勝負!
連載企画「プロレス解体新書」は夏の特別編「俺の名勝負」と題して、今回から3回にわたりレジェンドレスラーのインタビューをお送りする。第1回に登場願ったのは一昨年の現役引退から舞台を移し、今では芸能界でも活躍著しい天龍源一郎。鶴龍対決からオカダカズチカとの引退戦まで、数多の名勝負の中から選んだのは、1994年1月4日、東京ドームでのアントニオ猪木戦だ。 思い出の試合を一つとなると、やっぱり猪木さんとの一戦ですね。今にして思えば、馬場さんから直接指導を受けた全日本プロレス育ちの天龍源一郎と、一騎討ちに踏み込む猪木さんというのは本当にすごいですよ。 猪木さんはずっと馬場さんと全日本を挑発してきた。だけど馬場さんは「アントニオ猪木とは関わりたくない」という確固たるものがあった。そんな中で俺としては、対抗戦でも何でもやってほしいという気持ちはありました。 だから馬場さんが「社長に就任した坂口征二を助けたいんだ」と言って、東京ドーム大会で対抗戦が実現したときは('90年2月10日)、全日本プロレスここにありというのを見せてやろうという気持ちでしたね。 馬場さんは昔から坂口さんとは馬が合ったみたいで、それで「坂口なら」ということだったんでしょう。でも、やる以上は、やっぱり負けてはいけないからと、俺のパートナーも最初は川田(利明)だったけど、それをタイガーマスク(2代目=三沢光晴)にマッチメークを代えたのを覚えています(新日側は長州力&ジョージ高野。結果はリングアウトで天龍組の勝利)。 その後、俺は全日本を離れてSWSからWARといろいろあったわけですが、その間もずっと変わらずに応援を続けてくれるファンに対して、それまでと同じではなく、違う選手と闘っていく姿を見てほしいという気持ちがありました。高田(延彦)選手とかいろんな選手と手を変え品を変えやっていたんですね。 だから、新日本から猪木戦のオファーが来たときには、対抗戦のような意識ではなくて「とうとうここまで来たか」というのが、正直な思いでしたよ。やっぱり猪木さんといえば新日本の象徴でしたから。 事前には格闘技ルールという話もありましたけど、坂口さんとかいろんな人が間に入って、「じゃあプロレスで」っていうことで落ち着いたんですけどね。 猪木さんのチョークスリーパーは、腕が喉元に入ってくるのが分かって「ああ、これがアントニオ猪木のスリーパーか」って他人事のような感じで、それで気が付いたときには、もう長州から顔面を叩かれているときだったんですよね。完全に落ちてしまって、その間のことはまったく覚えてないんです。 あれは何なんですかねえ。リングで猪木さんの体を見たときは華奢な感じがして、もしもあれが丸太のような腕だったら落とされるわけにはいかないと、こっちも構えたかもしれないんですけど…。ちょっと油断していたところがあったかもしれません。 あの頃の猪木さんは、もう引退ロードで試合をチョイスしながらやっていて、その力がどれほどのものなのか、最後に試してやろうといううぬぼれも少しありました。でもそれ以上に、やめる人に無様に負けてはいけないという、そっちの気持ちの方が強かったですね。 スリーパーで落とされた後、俺もムキになってバババーッと突っ張って、思い切りチョップをしたのを覚えています。もうこうなったら勝っても負けても関係なしに、天龍源一郎というものを見せなければいけないって、気持ちが切り替わったんですね。 勝ったときっていうのは不思議な感じでした。パワーボムでバーンとマットに叩きつけて、ガッと押さえ込んで、それでも返されるんじゃないかなっていう気持ちもあって…。 ワン、ツー、スリーって入ったか入らないかで猪木さんがパッと起きて向かってきたときには、俺自身も頭が混乱していました。勝ったのか負けたのかも分からなかったんですけど、レフェリーに手を上げられて、ああ勝ったんだなって。何といってもその前に、スリーパーで1回落とされていましたしね。 “馬場と猪木の両方から、スリーカウントを奪った唯一の日本人レスラー”ということに関しては、試合前にそういう狙いもちょっとはありました。でも、そんな勝ち負け以上に、俺がこれまでにいろんなことをやってきた中で、猪木さんと闘えるっていうことへの満足感の方が大きかった。 ただまあ、後々になってからは「馬場、猪木に勝った天龍源一郎」と言われることが、うっとうしくもありましたね。 自分でWARという団体を持ったことで、俺自身が食っていくだけでなく、所属する選手たちのことを養っていくという宿命みたいなものがありました。そんな中で電流爆破デスマッチをやったり、女子プロレスの神取(忍)とやったり、あるいは言葉としては悪いけれども、屁みたいなレスラーとも戦わなきゃいけない俺がいるわけですよ。 そんなときに「あの馬場と猪木に勝った天龍が誰々とやる」という目で見られることが、邪魔になるというんですかねえ、そういう試合をしている自分が歯がゆいというか、俺の心の中でも葛藤がありました。 だから今でもよく言うんですけど、猪木さんに勝った時点で「もう腹いっぱいだ」ってリングからスッと引いていたら、格好よかっただろうなって振り返ったりもします(笑)。 それほどまでにあの試合というのは、プロレスラーで居続けることの存在価値をいろんな意味で持たせてくれた試合でした。
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