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優勝カウントダウンの広島に正念場「代役4番」の新井次第でドラフト候補も変わる?

 8月27日のマツダスタジアムは“新井デー”となった。1回表、一死走者ナシ、中日の2番バッター・谷哲也が三ゴロ、一塁塁審がアウトをコールすると、「4番・一塁」でスタメン出場していた新井貴浩(40)がベンチに戻ろうとした。ベンチスタートとなった後輩たちが指を2本立てる。その2アウトのジェスチャーでアウトカウントの間違いに気づく。球場は和んだが、その直後、広島の先発・岡田明丈は釣瓶打ちに遇い、初回から4点を先制されてしまった。
 8回裏の攻撃もそうだった。3番・丸佳浩が3ランで1点差まで詰め寄る。マツダスタジアムのボルテージは一気に頂点に達したが、続く新井は空振りの三振…。新井は下を向き、自分自身に腹を立て、何かを吐き捨てながらベンチに帰って行った。

 「2位阪神とのゲーム差は7・5。阪神は広島よりも消化試合数が『4』少ない。3位DeNAが勢いづいており、4位巨人も息を吹き返しつつある。優勝できたとしても、クライマックスシリーズで苦戦しそう」(プロ野球解説者)
“4番”鈴木誠也を右足首の骨折(くるぶし剥離骨折)で欠き、終盤戦に来て最大の試練を迎えてしまった。
 鈴木が骨折を被る4日前だが、こうした試練を予見するような言動が球団スタッフから出ている。

 去る8月19日、広島はスカウト会議を開いた。夏の甲子園の真っ只中であり、高校球児に関する調査結果がメインとなったそうだが、同会議を経て、広島の指名リストに残った高校球児は、約30人。1位候補にリストアップされた高校球児は、2人。早実の清宮幸太郎と地元・広陵高の中村奨成だという。会議後、苑田聡彦スカウト部長が記者団に囲まれたときだった。地元出身の中村について聞かれ、こう答えている。
「捕手でも日本一になれるけど、日本一の三塁手にもなれる」
 三塁手? 中村は高校球界屈指の好捕手であり、甲子園で「1大会6本塁打」の新記録達成で「強打者であること」も証明した。肩の強さと軽快なフットワークから、「将来は4番を張れる捕手に」と各球団スカウトが評価していたのだが…。
「5月24日にも、広島はスカウト会議を招集していますが、その時点では清宮に対する関心が高かったようです。清宮クンの弱点は守備にやや難があること。苑田スカウト部長は『(清宮は)三塁も守れると思う』と話していました」(取材陣の一人)

 広島が探しているのは、ベテラン新井の後継者のようだ。新井は年齢的な理由や他選手との兼ね合いで一塁を守ることが多くなったが、元々は三塁手だ。
 また、こんな情報も聞かれた。
「昨秋指名した捕手の坂倉(19=将吾)が予想以上の早さで成長しています。坂倉も肩の強さ、フットワークでは二重丸。二軍打撃戦績でも現在2位、彼を育てていくのが良策でしょう」(関係者)
 広島は“戦力の重複”を嫌う。中村を“三塁手”で育て、新井の後継者にしようとしているようだ。坂倉が順調に育っているので、あえて中村を1位候補から外し、清宮がプロ入りを表明した際には競合抽選の勝負に行くという見方もできる。
 新井がファンに愛され、後輩たちからも信頼されるのはベテランとは思えない練習量をこなすからだ。「新井さんが手を抜かないから、自分も…」と、若手は考える。

「初回の守備はご愛嬌として、8回の悔しがりようは広島ナインを鼓舞させています。鈴木のいない正念場を救えるのは、精神的支柱である新井です。優勝、クライマックスシリーズの行方は新井が握っています」(前出・プロ野球解説者)
 広島スカウトが清宮と中村のどちらを選ぶか、その最終判断はまだ先になるが、後継者として育てたいのなら、新井の現役中の姿を見せるべきである。

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