「選手会側が強く抗議しているのは、巨人と山口投手の間で交わされた『複数年契約の見直し』です。山口と巨人は謝罪会見(同18日)でそのことは公表していません。選手会側がNPBに伝えた限りだと、こうした事態が『今後のFA選手の契約にも影響しかねない』、と。自主退団を迫られたとも選手会側は報告しています」(球界関係者)
また、選手会はこの事務折衝の席で、契約更改交渉における提示金額の書面通知も求めてきたという。巨人以外の他11球団もこれには応じられないと混乱しているそうだ。
「複数年契約の見直し」だが、巨人と山口本人しか知らないことになるが…。山口は29日、一部メディアの直撃取材を受け、選手会と接触したことを認めている。しかし、一連の抗議については、「そういう状況も知らなかったですし…」と、返事に窮していた。
「選手会の訴えは、山口本人が求めたものではないとの見方も出てきました」(ベテラン記者)
選手会も経営陣と衝突することを目的にはしていないはずだ。謝罪会見に同席した石井一夫球団社長も「過去の出場停止処分に比べても最も厳しいのでは」と発言していたが、巨人側は再起のチャンスを与えたとも強調していた。山口もこの重い処分に言いたいことはあったのかもしれない。しかし、それを受け入れての再スタートを選択したわけだが、先の書面通知といい、もうひと波瀾起こりそうである。
「巨人フロントの山口に対する評価にも影響しそうです。契約年数の短縮、自主退団ウンヌンは山口が喋らなければ分からなかったことです。『再起の機会を与えてやったのに』と山口に不信感を抱く者も出ないことは限らない」(前出・ベテラン記者)
29日、一軍は首位広島との一戦を落としてしまった。高橋由伸監督の右腕である井端弘和・内野守備走塁コーチが稲葉ジャパンのコーチを兼任する可能性も出てきたため、巨人はその調整にも負われており、選手会の抗議を質問する雰囲気ではなかったという。
先の球界関係者がこう続ける。
「謝罪会見以降、山口は二軍施設でマジメに練習していました。巨人はその態度が本物かどうかを見守っていた感もありましたが、近く、高橋監督や一軍ナインに合わせ、直接謝罪させる機会を設けようともしていました」
抗議直前の27日、ドラフト2位・畠世周が阪神打線を7回1安打無得点に抑え、菅野、田口、マイコラスに次ぐ「ローテーションの4番手」として認められつつある。二軍では23日のヤクルト戦でドラフト6位の大江竜聖投手(18/二松学舎大付高)が6回被安打3失点1奪三振5と好投し、翌24日も同5位・高田萌生投手(19/創志学園高)が先発し、3回無安打無失点に封じ込めた。宇佐見真吾、長谷川潤、篠原慎平も一軍で結果を出した。限られたチャンスしかなくても、這い上がってくるヤツはいるのだ。こうした現状に「フロントも敏感に反応している」と聞かされると、山口の復帰は遠のくばかりだ。