スポーツ
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スポーツ 2015年07月07日 12時00分
【記憶に残るプロ野球選手】第12回 強烈なインパクト残した“悪童”伊良部秀輝
なにかとトラブルが多く、“悪童”と呼ばれたりもしたが、どこか憎めない存在で、強烈なインパクトを残したのが伊良部秀輝だった。伊良部は1969年、当時在日米軍の兵士だった父と、日本人の母との間に、沖縄県コザ市(現沖縄市)で生まれた。出生後間もなく、父親は本国に帰国。一家は兵庫県尼崎市に移り住み、伊良部は中学卒業後、香川の強豪校・尽誠学園高に野球留学する。持ち前の速球は、高校生レベルでは、なかなか打てず、86、87年には夏の甲子園出場を果たした。 同年のドラフト会議で、高校生ながら1位指名され、ロッテに入団。とにかく、球は速く、まさに剛速球で鳴らし、1年目(88年)から1軍昇格。ただ、コントロールは悪く、カウントを悪くして、ストライクを取りにいった球を打たれるケースが多かった。成績は14試合登板で、2勝5敗1セーブだった。 2年目(89年)は、ほぼリリーフに専念し、33試合に登板し、0勝2敗9セーブ。以後、90年が8勝5敗、91年が3勝8敗、92年が0勝5敗と、なかなか殻を破れなかったが、93年後半に7連勝を含む8勝(7敗)1セーブをマークして、きっかけをつかむ。同年5月3日の西武戦での清原和博との対決では、当時の日本球界最速の158キロを記録した。 それまで、先発、リリーフの併用だったが、翌94年は先発ローテーションに固定され、27試合に登板し、207回1/3を投げ、15勝(10敗)、防御率3.04の好成績を挙げ、7年目で大器の花を咲かせた。同年は最多勝、最多奪三振(239個)の2冠を獲得。初のオールスター戦出場を果たし、ベストナインにも選ばれた。 95年も200投球回(203回)を突破し、11勝(11敗)をマークし、2年連続奪三振王(239個)となり、最優秀防御率(2.53)のタイトルを獲得し、この年も2冠王となって、ベストナインにも選出された。96年は12勝(6敗)で3年連続2ケタ勝利を記録し、防御率はキャリアハイとなる2.40で、2年連続最優秀防御率のタイトルを獲るなど、堂々たるロッテのエースに君臨。その一方、同年には降板司令に怒って、スタンドにグラブと帽子を投げ込むトラブルも起こした。 同年オフ、FA権のない伊良部はメジャー移籍を熱望する。当時はポスティングシステムが確立されておらず、ロッテ球団はパドレスの選手を獲得することを目的に伊良部の保有権を譲渡。ところが、ヤンキース入りを希望していた伊良部側は、これを拒否し、日米を股に掛けた大騒動に発展。最終的には三角トレードの形で、97年5月に伊良部のヤンキース移籍が決まったが、国内では「わがままを通した」とのイメージがぬぐえなかった。 MLBで迎えた1年目の同年7月、伊良部は初登板初先発で勝利投手となった。しかし、この年は13試合登板、5勝4敗、防御率7.09の成績に終わる。98年は5月に月間MVPを受賞するなど、前半戦で大活躍し、13勝(9敗)をマーク。同年、チームはワールドシリーズを制覇したが、伊良部は後半戦不振のため、ポストシーズンで登板することはできなかった。99年も11勝(7敗)を挙げ、2年連続2ケタ勝利。ヤンキースに欠かせないローテーション投手となったものの、同年オフ、エクスポズにトレードされる。 エクスポズでは故障との闘いだった。00年は右ヒザ半月板、右ヒジ遊離軟骨の手術を受けるなど散々。結局、11試合の登板にとどまり、2勝(5敗)しか挙げられず。翌01年は、右ヒジ痛に苦しみ、8月26日には酒の飲み過ぎで意識不明となり、救急搬送される失態を起こした。球団は謹慎処分にした後、伊良部を解雇した。同年はわずか3試合しか登板できず、0勝2敗だった。 02年はレンジャーズとマイナー契約を交わし、開幕メジャー入りを果たす。この年はリリーフに転向し、フル回転。38試合に登板し、3勝8敗16セーブをマークしたが、7月に肺血栓が見つかり、そのままシーズンを終え退団。失意の伊良部の元には、地元・兵庫を本拠地とする阪神の星野仙一監督からラブコールがあり、7年ぶりに日本球界に復帰。先発で13勝(8敗)を挙げ、7年ぶりにオールスター戦に出場するなど活躍し、チームの18年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。ところが、翌04年はわずか3試合の登板で0勝2敗、防御率13.11の成績で、オフに戦力外を通告される。 伊良部には、どの球団からもオファーはなく引退を決断。米国に戻って、実業家に転身し、カリフォルニア州ロサンゼルスで、うどん店を開業する。09年には、古傷のヒザに負担がかからない投球フォームを編み出して、5年ぶりの現役復帰を決意。4月に米独立リーグ、ゴールデン・ベースボールリーグのロングビーチ・アマンダに入団。8月には四国・九州アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに入団するも、右手首腱鞘炎のため、退団。登板したのは2試合だけだった。独立リーグで投げたものの、MLB、NPBへの復帰はかなわず、2度目の引退となった。 私生活では、08年8月、大阪市のバーでクレジットカードが使えなかったことに腹を立て、店舗を破壊、店長に暴行したとして、現行犯逮捕され、書類送検されたり(不起訴処分)、10年5月にはロサンゼルス郊外で飲酒運転の疑いで逮捕されたりと、お騒がせ続きだった。 そして、11年7月27日、ロサンゼルス近郊の自宅で、首を吊った状態で死亡しているのが発見された。地元警察の捜査では自殺と判断した。享年42歳の若さだった。事業の失敗や、妻子との別居などが自殺の原因との説もあるが、遺書も残されておらず、真相は本人のみぞ知るところ。伊良部は指導者として、日本球界に戻りたいとの願望もあったようだが、それはかなわず。非業の死を遂げた。 生涯成績はNPBで72勝69敗11セーブ、MLBで34勝35敗16セーブと、それほど秀でたものではない。だが、伊良部の剛速球は、その成績以上に強烈なインパクトを残した。(ミカエル・コバタ=毎週火曜日に掲載)
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スポーツ 2015年07月07日 11時00分
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 日本とはまったく違うメジャー球団のオーナーたち 大リーグの球団に親会社が存在しない理由
日本において、球団経営は大赤字が当たり前で、実質的に黒字を計上している球団は巨人、阪神、広島だけ。他の9球団は毎年10億円以上の赤字を計上している。それに対しメジャーでは黒字が当たり前で、30球団中25球団は黒字だ。そのうち12球団は2500万ドル(30億円)以上の黒字を計上している。 五つある赤字球団もドジャースやタイガースのように観客動員はトップクラスで営業収支は大幅な黒字なのに、関連事業への巨額の投資で赤字を計上しているケースが多い。 各球団の収支報告を見て気付くのは、昨季地区最下位で観客動員もワーストレベルのアストロズやマーリンズも1500〜2200万ドル(18〜26億円)の黒字を計上していることだ。 不人気で成績も悪い弱体球団がどこも大幅な黒字を計上できる直接的な要因は、三つの放送網(FOX、ESPN、ターナー)から入る全国放送のテレビ放映権料(年間15億ドル=1800億円)が30球団に公平に分配されるからだ。この制度により、どのチームも年間5千万ドル(60億円)くらいの分配金を受けており、地方都市の球団の場合、それがチーム経営の土台になっている。 しかし、大リーグ球団の多くが黒字なのは、この全国放映権料の分配が最大の要因ではない。一番大きな要因は、どの球団もプロのスポーツ事業家によって運営されていることに尽きる。 日本のプロ野球球団には必ず親会社がある。親会社は球団を持つことで10〜30億円の赤字が出ることを覚悟しており、それを親会社の宣伝予算から補てんしている。 大リーグにはそんな球団は一つもない。球団のオーナーの大半はスポーツ事業をメーンに展開している企業家で、道楽で経営している者は一人もいない。 ヤンキースを所有するスタインブレナー家の先代、ジョージ・スタインブレナーは造船事業で成功した人物だが、同家はとっくの昔に事業主体を儲からない造船業から面白いように儲かる球団経営に移行。現在35億ドル(4200億円)と見積もられる同家の総資産のうち9割はヤンキースと、それに関連した事業によるものだ。 2代目のハル・スタインブレナーはニューヨークのシンボル的な建造物の一つであるヤンキースタジアムを最大限活用してスポーツ・コングロマリットを作ることに注力しており、その手始めとして英プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティと合弁でプロサッカーチーム、ニューヨークFC(NYFC)を起ち上げ、今年からヤンキースの試合がない時は同スタジアムをサッカー場に変身させ、平均2万4千人の観客を集めている。 レッドソックスのオーナー、ジョン・ヘンリーは以前NHK特集で「ヘッジファンド業界の大立者」「金融界で培った情報解析法を球団経営にも応用して成功している」と紹介されたので、日本ではいまだにそれを真に受けている人が多い。しかし、ヘンリーはすでにヘッジファンド業から撤退し、事業の主体をレッドソックスを中心にしたスポーツ事業に移している。 リーマン・ショックで痛めつけられたうえ、ヘッジファンドは元々ウォールストリートでまま子扱いされている聞こえの悪いビジネスだ。レッドソックスのオーナーとなって地元きっての名士になり、大統領とも会えるようになったヘンリーにとって、続ける理由はどこにもなかったのだろう。 フォーブス誌の「大富豪ベスト400」の327位にランクされるヘンリーの現在の総資産16億ドル(1900億円)で、そのうちの約7割はレッドソックスとその関連事業によるものだ。ヘンリーは'10年に英プレミアリーグの名門リバプールを4.7億ドル(約572億円)で買収して話題になったが、それが可能になったのもレッドソックスという金の成る木を所有しているからだ。ヘンリーがレッドソックスを買収したのは'02年のことだが、それ以降チームはワールドシリーズを3度制し、人気、実力ともヤンキースを凌ぐ球団になった。それに伴い球団の資産価値も13年間で480万ドルから2100万ドルに上昇。ヘンリーは球場周辺の不動産事業でも莫大な利益を上げており、リバプールの買収資金はそこから生まれているのだ。 大リーグのオーナーは、今やほとんどがスタインブレナー家やジョン・ヘンリーに代表されるプロのスポーツ事業家で占められるようになった。例外的な存在はマリナーズだ。 この球団は昨年亡くなった任天堂の元会長・山内溥元会長が実質的なオーナーだった球団だ。山内氏はイチローや大魔神・佐々木の活躍を喜んでいたが野球自体には関心がなく、球場を訪れたのはたった1回で、球団経営は自分の米国に於ける利益代表だったハワード・リンカーン氏(任天堂アメリカの元会長)に任せきりだった。マ軍は'02年以降13年間もプレーオフ進出がないが、リンカーン氏は現在も球団社長の座にある。米国ではあり得ないことだが、日本のような感覚で球団経営が行われてきたので地位を保っていられるのだろう。スポーツジャーナリスト・友成那智ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。
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スポーツ 2015年07月06日 15時00分
オリックス球界支配の秘策 星野GM&イチロー監督 誕生!(1)
日経平均株価が15年ぶりに2万円台を回復し、2000年のITバブル期の高値も超えた。6月の株主総会はいずこも順風満帆。中でも話題になったのが、6月23日に東京・虎ノ門ヒルズで開かれたオリックスの株主総会だ。新たに竹中平蔵氏(小泉政権での経済財政担当大臣)が取締役に就任し「一目見よう」とばかり、立ち見も出て土産品が不足するほどだった。 「取材陣の最大の関心は昨年6月に役員を退任し、シニア・チェアマンに就いた宮内義彦前会長(79)の巨額の役員報酬です。総額で54億7000万円。これはソフトバンクのロナルド・フィッシャー取締役(17億9100万円)、日産自動車のカルロス・ゴーン会長兼社長(10億3500万円)と比べても飛び抜けて多い。株主からどんな質問や反発が出るのか、興味津々でした」(全国紙経済部記者) 会社側によれば、宮内氏の役員報酬額のうち44億6900万円が功労金。小泉政権時代に『総合規制改革会議』の議長として精力的に規制の改革を行い、それに伴って、リース業が本業だったオリックスは保険、銀行、かんぽの宿、水族館などマルチ企業に飛躍した。その功績を評価してのものだという。 出席した株主によれば、この“超高額慰労金”の支払いに異議を述べる者はなく、逆に宮内氏を称賛する声が相次いだそうだ。 もう一つ注目されたのがパ・リーグ断トツ最下位に低迷するオリックス・バファローズの売却問題。先んじて行われた阪急・阪神ホールディングスの株主総会では、所有球団の阪神タイガースについて株主から辛辣な意見が続出した。 「球団創設80周年の節目のシーズンだというのに全然ダメ。お客さんも入っていない。来シーズンは岡田彰布さんに監督復帰してもらったらどうか」 「補強を判断する中村勝広GMの立ち位置がいまひとつわからない」 このように現場への非難が集中。総会が開催された時点では勝率5割のメドも立ち、その後、巨人を抜いてセ・リーグ首位(6月29日現在)に躍り出た阪神さえこうだったのだから、パの借金を全て抱えるほど大きく離された最下位のバファローズの現場に対して株主はもちろん、宮内オーナー自身も怒り心頭に違いないと思われた。 今季は19年ぶりの優勝を目指し、日本ハムからFAした小谷野栄一、米球界から中島裕之、DeNAからブランコ、広島からバリントンを獲得。一方でエース金子千尋のFA残留にも成功した。12球団で最も活発な補強を敢行し、優勝候補の筆頭に挙げられたものの、開幕ダッシュに大失敗。5月31日には早々と自力優勝が消滅。宮内オーナーは森脇浩司監督の解任を決断した。このことで「とうとう嫌気が差して球団売却を検討」と一部で囁かれていたのだ。 「オリックスは毎年のように企業の買収や売却を行い、資産の入れ替えを頻繁に繰り返すことで成長し続けてきた会社。それを考えれば、赤字を垂れ流す野球部門を、宮内さんがトップから退いたのを機に切り捨てると思われていたのです。しかし、その流れを見越してか、一般株主の方から『オリックスのスーパースター・イチローを兼任監督にしてほしい。そうすれば株主が毎試合観戦に行く』『フロントには星野さんのようなカリスマ性のある男が必要』との要望が上がり、宮内オーナーの球界支配の野望の背中を押したのです。普通ならいくら功労者とはいえ、44億円もの額なんて株主は許さない。それをあえて容認したのは、その資金を『星野GM&イチロー兼任監督』の体制作りに充ててほしい、と願ったからです。一方、オリックスという会社は外国人投資家が6割で、個人比率が5.4%といういびつな株主構成。これを変えるにはバファローズの人気アップが一番の近道。宮内氏もそう判断したのでしょう」(オリックス事情に詳しい経済評論家)
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スポーツ 2015年07月06日 11時00分
元大関貴ノ浪の急死で各界に広がる禁酒・健康ブーム
ショックは大−−。6月20日、わずか43歳という若さで急性心不全のために亡くなった音羽山親方(元大関貴ノ浪)急死の余波は、まだ収まる気配がない。 貴ノ浪といえば190センチ超の長身を生かし、まるでクレーン車のように相手をつり上げ、あるいは抱きかかえて振り回す基本無視の相撲でファンを沸かした規格外の力士だった。平成8年初場所と翌9年九州場所の2度、いずれも貴乃花を優勝決定戦で破って優勝。未完の魅力に溢れ、もう少し理にかなった相撲を取っていれば横綱も十分に望めたといわれている。 「私生活も豪快そのもの。同部屋の若貴らとは対照的に“斗酒なお辞せず”のタイプで、日本酒なら3升はペロリ。『ブランデーもいいけど、あれはストレートでやるとノドが痛くなる。夕べも10本はイケたけど、その手前で止めた』という話を聞いてビックリしたことがあります。おまけにヘビースモーカーで、そんな破天荒な生活を続けていれば、当然、体のあちこちに赤ランプがともるのは明白でした」(担当記者) 平成16年夏場所限りで引退。貴乃花部屋付きの親方になって以降は病気がちで、去年1月に胃がんが見つかって緊急手術し、3カ月間の入院生活を送っていた。 「いい人間ほど早死にするという言葉の通り、どちらかというと近寄り難かった若貴に比べ、貴ノ浪は開けっぴろげで飾り気がなく、慕っている力士も少なくなかった。最近も、新大関の照ノ富士らに積極的に助言していました。いずれ貴乃花親方が理事長になった暁には、右腕として活躍するとみられていただけに、この早過ぎる死を惜しむ声は多いですね」(同) いまや親方たちの健康管理が進み、力士経験者は短命というイメージを払拭しつつあったが、これでまた禁酒・健康熱がエスカレートするのは確実。引退したらまず痩せろ、を合言葉に、貴乃花親方をはじめ玉ノ井親方(元大関栃東)、錣山親方(元関脇寺尾)ら、一般人と変わらない体型の親方がゾロゾロ。せめて人間のスケールだけは“大器”のままでいてほしいものだが…。
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スポーツ 2015年07月05日 14時00分
中日本社の株主総会でオーナー続投決定 蜜月関係の落合GMもこれで安泰? それとも…
株式会社中日新聞社の株主総会で、白井文吾会長の留任が決まり、兼任していた球団オーナー職の継続も承認された。この白井オーナーの続投によって、落合博満GM(61)の長期政権も予想されるであろうが、必ずしも既定路線であるとは言い切れないようだ。 「白井オーナーは落合GMを信頼し、落合GMも白井オーナーの期待に応えようと思っています。もともと、落合氏を監督に招聘するときもその後ろ楯となったのが白井オーナーでした。二人三脚の関係は続くはず」(球界関係者) このように、落合GM体制の安泰を伝える声も多いが、問題なのは今年のチームの成績と観客動員数だ。交流戦を終え、セ・リーグペナントレースが再開されたが、中日はAクラスはおろか、広島と最下位争いを続けている。もっとも、首位とは5ゲーム差であり、大きく引き話されているわけではない。だが、今季の戦力補強とチーム編成は落合GMの主導で行われた。特にドラフトは異例の高校生指名無し。外国人選手の獲得にしても、落合GMが絶大な信頼を寄せる森繁和ヘッドコーチが決めている。ペナント敗戦の責任を問われた場合、落合GMだけが無傷でいられるはずがない。 「交流戦終了時点での入場者数は前年対比で0.2%減です。昨季も主催最終戦でようやく総入場者数200万人に到達したことからも分かるように、観客動員の長期減少傾向が解消されていません」(地元関係者) 昨年オフも落合GMによる辛口査定に泣かされた選手は少なくない。しかも、「チームスタッフや裏方さんの給料も上がっていない」(同)という。現場を支えるスタッフの士気低下はチームの致命傷になりかねない。 「昨オフに解雇された堂上裕剛は巨人に拾われ、勝利を決める一打を放つなど頑張っています。堂上は地元出身であり、堂上兄弟は外様の多い、いまの中日と地元ファンや地元企業を繋ぐ存在でもありました」(同) 落合GMは監督時代、「勝つことが最大のファンサービス」とし、それを実行してきた。しかし、勝利至上主義のため、マスコミに情報を遮断することもあり、ファンとの交流の場も減ったため、チーム成績と観客増が直結しなかった年もあった。 いまはチームが低迷している。お客が来ないうえに「勝てない」となれば、落合GM体制にメスを入れなければ、他の球団スタッフとの“調和”が取れない。というのが、安泰説を否定する根拠とされている。 「今年も基本的に落合GMがドラフト候補を絞り込む予定です。大学生、社会人の選手が多くなりそうで、中日スカウトは地元中京地区の超高校生右腕である高橋純平の1位入札に参加したいとしていますが、それも叶わないかもしれない」(スポーツ紙記者) 中日は地元有望選手の流出を嫌う。落合GMがこの高橋をどう評価しているのかはまだ分からないが、白井オーナーが説得役となって、“妥協”を求めてくる可能性は高い。 「出場記録で野村克也氏を抜いた谷繁監督が現役を続けるのか、また、2000安打を達成した和田一浩の去就も焦点になるでしょう」(同) チーム低迷、観客減、戦力補強に地元との関係。落合GMはこの状況をどう打開するのか、その手腕は実に見物である。
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スポーツ 2015年07月05日 10時00分
小塚桃子ゴルフ連載(39)第八部・「ラウンド中の素振りについて」
ゴルフのワンショットは、生涯ゴルフを続けていくうえで、同じ天候、同じライで、2度と同じ条件でのショットを打てる事はありません。 多くの方は、ラウンド中にボールを打つ前に素振りをすると思います。 素振りは何のためにしていますか? 身体をほぐすために素振りをする人、癖で素振りをする人、その他諸々…。 私は、アプローチパターの素振りの場合、打球の未来をイメージする素振りはできていますが、ドライバーなどライがよっぽど悪くないセカンドショット前の素振りはただただ癖で素振りをしている感じになってしまいます。 ですので、こう振り返るとアプローチパターは、ショットに比べて打球の未来のイメージがかなりできているので、ショットに比べてミスがとても少ないです。 ドライバーも、ショットも、アプローチも、パターもきちんとイメージを膨らませながら素振りをして打つ事ができるといいですね。 そしてラウンド中の素振り、皆さんは何回素振りをしますか? 私はドライバー、ショットは1回。アプローチパターは、2〜3回素振りをしてから速やかに打ちます。中には素振りを10回〜15回してから打つ人も。 素振りは迷いを引き出す…という側面もありますので、素振りをすればするほど、『ん?』と、なってしまいますし、プレーの遅延行為になってしまったりもするので、程々に。苦しむのは練習場で、楽しむのはコースで。 練習場では、素振りを全くせずにボールばかり打っているのに、コースに出ると素振りをしたがる人。練習は本番のように。本番は練習のように。 私は、ラウンド前の練習場で素振りを2回ぐらい、あとはずっと素振りをせずにボールを打ち続けます。 素振りを全然しないのにどのクラブもナイスショットの連続! 練習場ではプロアマみたいだな…と自分でいつも自分のボールをみて感心します。が、いざ本番になると、やはり良い球を打ちたい、ベタピンしたい、飛ばしたい等々…欲が出て練習場の様にはいきません。 これこそ、「本番は練習のように」ですね。 軽井沢に名門ゴルフコースがあり、そこのゴルフ場は何と『素振り禁止!』なんです。えええええ!! って叫びたくなりますよね(笑)。皆さん、それぞれ自分のルーティーンがあって安心して打つ…ですよね。 でも、ここのゴルフ場は素振り禁止。皆さん、素振りをせずに本番へ。しかし、ここでベストスコアを出す人が続々と! 素振りをしないということは、良い緊張感を持ちながら、未来の打球をイメージして打つ事ができて、素振りをしない事によって何の迷いも無く打てるので逆に良いのかもしれませんね。 私は、ここのゴルフ場へは行った事が無いのですが、この話を聞いて『よし! じゃぁ今日私も素振りしないで打つ!』と決めて、1回も素振りをせずにラウンドを前回してきました。 いつも1ラウンドでパー3以外の14ホールはドライバーを使うのですが、14ホール中4〜5回ぐらいは、ダフったり、てんぷらだったりがありますが、素振りをせずに打ったら14ホール中14ホールがドライバーがナイスショットでした。 「素振りをせずに打つ」ということは、イメージを膨らませて自分自身を信じて打つので、これをきっかけに素振り無しでも良いかなと思いました。 でも、何より1番心掛けたいことは、プレーファストです!
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スポーツ 2015年07月04日 14時00分
打率、本塁打、得点、失点、セ・リーグ最下位 それでも阪神が首位に立ったのはある選手のおかげ?
阪神タイガースが6月24日の広島戦に勝ち、4月4日以来のセ・リーグ単独首位に立った。 「1点差ゲームをコツコツ拾い(14勝9敗)、着実に勝ち星をモノにしてきた」(在阪記者) しかし、トラがこのまま快走できるかといえば、疑問符が出るという。トラの内情は惨憺たる数字が並んでいるのだ。 チーム打率2割3分5厘、チーム総得点215、本塁打34本、盗塁23。全てリーグワーストの数字なのである。投手陣にしても、チーム防御率3.79、総失点287もリーグ最下位である。この数字で、よく首位に立てたものだ…というのが正直な感想である。 「今成が報道陣に『首位浮上だが?』と質問され、素っ気ない対応で通りすぎていきました。けれど、後から慌てて戻ってきて、聞き直していましたよ(笑)」(同) 今成もチーム状況を考えたら「リーグ首位」と言われても、ピンと来なかったのだろう。おそらく、他の阪神ナインもそう思ったはずだ。 たしかに、首位に立った68試合を消化した時点での勝敗は、34勝33敗1分で貯金は1しかない。リーグ首位の成績としてはお粗末すぎる。最下位チーム(同時点では広島)とのゲーム差も3.5しかない。3連戦の直接対決で肉薄可能な数値である。セ・リーグが全体的に差がなく紙一重の差で順位が決まっているというわけだ。 「今年のセパ交流戦は、パ・リーグが61勝44敗3分で終了し、セ・リーグを圧倒しました。今年のセは開幕前から混戦になると予想されたように、どのチームも首位独走になるような決め手に欠いている。そこで、元から交流戦にいいイメージを持っているパのチームに、セの6球団が揃って餌食にされたわけです。交流戦でパ・リーグがセ・リーグに負け越したのは過去に一度しかないですから」(プロ野球解説者) ここで、なぜ阪神が1点差ゲームで高勝率を挙げられる背景に改めて注目してみよう。チーム防御率はリーグワーストでも、セ・リーグトップのセーブ数を稼いでいるのは呉昇桓で、ホールドポイントのトップも阪神の福原忍だ。また、奪三振王も藤浪晋太郎である。藤浪、福原、呉昇桓という“個々の力”が勝因なのかもしれない。 「セ6球団のなかで絶対的なクローザーを持っていないのは広島だけ。DeNAの山崎と、巨人の澤村は息切れし始めており、阪神が1点差ゲームに強いと言われるのは、福原から呉昇桓に繋ぐスタイルが確立されているからともいえます」(同) 開幕から不振が続いていたマートンと、メッセンジャーも本来の調子を取り戻しつつある。他球団が夏場にさしかかるこの時期に、お疲れモードに入っているのに対して、阪神はようやくエンジンが掛かってきたとも言えなくはない。 チーム関係者がこう続ける。 「いや、怪我で出遅れていた今成が一軍ベンチに帰って来たのがいちばん大きい。今成は声だし要員であり、ムードメーカーです。彼のおかげ」 ただ、虎ファンはリーグワーストの部門が軒並み多い現在の状況に、やや悲観的だという。虎のベンチにムードメーカーが復帰して状況が改善したのであれば、虎ファンの中にもムードメーカーが必要だと言われてしまうかもしれない。
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スポーツ 2015年07月03日 15時30分
波紋呼ぶのは必至! 原監督がセ・リーグ2冠王のヤクルト・畠山を球宴に選出せず
これは、ちょっとした遺恨を生みそうだ。 巨人・原辰徳監督が「マツダオールスターゲーム2015(第1戦=7月17日・東京ドーム、第2戦=同18日・マツダスタジアム広島)」の監督推薦において、セ・リーグ打撃部門で2冠王の畠山和洋内野手(ヤクルト=一塁手)を選出しなかったのだ。 NPBは7月2日、オールスター戦の監督推薦選手を発表したが、そのなかに、19本塁打、57打点で両部門の2冠王である畠山の名がなかったのだから驚きだ。 昨年、監督推薦発表時にリーグの首位打者だったエクトル・ルナ内野手(中日)が選ばれない波乱があった。これは、ファン投票、選手間投票の時点で外国人枠がいっぱいになったためで、やむを得ない事態だったが、今回は事情が違う。 畠山は同2日現在、トップを走る本塁打、打点のみならず、打率も.280(リーグ11位)で文句なしの成績を残している。ファン投票は新井貴浩内野手(広島)に次いで2位、選手間投票でもホセ・ロペス内野手(DeNA)に次ぎ2位だった。 当然、監督推薦で選ばれるものと思われたが、まさかの落選に畠山は「1度も出たことがない人なら出てみたいと思うだろうけど、僕は2度(11、12年)出ているから」と感情を押し殺した。ヤクルト・真中満監督は「残念だけど仕方ない。試合に出続けているから、ゆっくり休んでもらえれば」と大人の対応をしたが、両者ともに内心では怒り心頭であるのは間違いない。 原監督はヤクルトからは、抑えのトニー・バーネット投手、中村悠平捕手、山田哲人内野手(二塁手)を選出し、帳尻を合わせた。 畠山が選ばれなかった要因は、ポジションの重複問題とされている。一塁手は新井、ロペスがいる上、捕手の選手間投票で選出された阿部慎之助捕手(巨人)を、原監督が一塁手で起用したいためだ。他のポジションとの兼ね合いを考えると、一塁手を4人も入れるわけにはいかないわけだ。 その一方、原監督は監督推薦で自軍の足のスペシャリスト・鈴木尚広外野手を選出する仰天行動に出た。鈴木の今季成績(同2日現在)は、31試合出場、9打数3安打1本塁打3打点6盗塁、打率.333。原監督は「(全セの)監督という立場でなくても、我が軍で推薦できる選手ではナンバー1」と話した。 某スポーツ紙の野球担当・A記者によると、「原監督が鈴木を選ぶのではないかというウワサは、監督推薦発表の前に広がっていました。ポジション問題を言うなら、阿部は自軍の選手ですから、オールスターでは我慢してもらって捕手で出ればいいわけですし、指名打者制で使うのもいいでしょう。畠山が外野もできることはファンでも知っていることで、一塁ではなく、外野で使えばいいのです。ポジションのバランスは、鈴木を選びたいがための口実にしか聞こえません」と語る。 オールスター戦は選手のためでもあるが、ファンのためのものでもある。チケット代を払うのはファンだ。2冠王・畠山の選考漏れには、ヤクルトファンのみならず、野球ファン全体が首を傾げるだろう。畠山の豪快なバッティングを、オールスター戦で見たかったファンは多いはずだ。 同7日から、東京ドームで巨人対ヤクルトの2連戦が行われるが、このカードが“遺恨試合”となる様相を呈してきた。(落合一郎)
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スポーツ 2015年07月03日 14時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈アントニオ猪木vsモハメド・アリ〉
“世紀の一戦”と称されるものは数あれども、その中でも筆頭に挙がるのがアントニオ猪木vsモハメド・アリ、格闘技世界一決定戦だろう。試合当時は悪評紛々だった猪木の寝転んでの戦いぶりも、今になっては“格闘技的に正しい戦術”との理解が進んでいる。 「どちらも傷つかない形で引き分けに持ち込むために猪木があのような戦法を取ったという見方から“茶番”と言われたりもしましたが、現実にはアリは帰国後、試合中に蹴られた脚に血栓症を起こし入院。それで引退を早めたともいわれています」(格闘技ライター) 試合に際し、アリ側はWWFで鳴らした敏腕マネージャーのフレッド・ブラッシーを帯同するなど、あくまでもプロレスの範疇としてのエキシビションマッチを意識していたことがうかがえる。 アメリカ各地では同時開催で“プロレス”のビッグマッチが組まれており、これも猪木アリ戦が“プロレス界の出来事”と捉えられていた故だろう。 だが、猪木とその片腕である新間寿氏だけは違い、一貫してアリに真剣勝負を求め続けた。 「ビッグイベントとして見栄えのする試合を求めるのであれば、むしろ段取りを決めた八百長をする方が良かった。しかし、そうでなかったことが真剣勝負の証とも言えるでしょう」(同ライター) 試合内容について“猪木は戦いが実現した時点で満足だったから、あえて危険を冒さずに安全運転をした”との見方もあるが、これも正しいとは言えない。勝つためにスライディングキックを採用したのが、格闘技理論的に正しい手段の一つであったことは前述の通りである。 試合後半、ロープ際で両者もつれて倒れ込んだ際に「反則負けになってもいいからアリをつぶしにかかるべきだったし、そうして見せ場を作るのがプロレスラーというものだ」との論もあったが、これも現実的には不可能だ。 それこそ、文字通りの“命懸け”−−。アリの腕一本、折ることはできたかもしれないが、アリの取り巻きには拳銃を所持した連中もいたというまことしやかな噂もあった。そんな中で反則の暴挙に出たとき、その代償は猪木自身の“命”となった可能性は十分に考えられる。 いくら観客でも猪木に「命を捨てよ」という権利はない。それとは逆に、むしろ“いくら見栄えが悪くとも、勝ちを追求したことこそプロレス的だった”とは言えまいか。 プロレスとはすなわち格闘興行であり、一戦毎の盛り上がりも重要ながら、それ以上に興行として後につなげていくことが求められる。こう考えたとき、猪木にとって、アリ戦での「負け」は何の意味もない。 いくら見世場たっぷりであっても、結果、猪木が負ければ「プロレスなどボクシング世界王者の敵ではない」との世間からの評価が下されることになる。試合そのものが“アリのお遊び”の一環としか受け取られなかっただろう。 アリへのファイトマネー支払いのため大借金を背負ってまで実現させた以上、これをその後の興行に生かすことこそがプロレスラーにとっての命題であり、そうとなれば勝ち、もしくは最悪でも引き分けに持ち込まなければならなかった。 どんな手を使ってでも相手を退け、後の興行につなげていくというのは、アメリカンプロレスのダーティーチャンプの系譜に連なるものであり、それに猪木も則ったという見方もできるのではないか。 「実際、アリ戦では不興を買った猪木ですが、その一方でジャイアント馬場を差し置き“日本のトップレスラー”と世間一般から認識されるようになったのも事実です。このことが、'80年代の新日本プロレス黄金期にもつながったと言えるでしょう」(スポーツ紙記者) 猪木のキャリア最晩年、イラクや北朝鮮での興行を実現できたのも、猪木が“偉大なるアリと引き分けた男”であることの影響は大きかった。そのころ参議院議員の肩書があったとはいえ、スポーツ平和党のような弱小野党党首というだけでは、イラクや北朝鮮との直接交渉の場に立てるはずがない。 1976年6月26日−−。大借金と世間の不興という代償はありながら、結果的に猪木は大博打に勝ったのである。
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スポーツ 2015年07月02日 14時00分
USA発 新聞、テレビではわからないMLB「侍メジャーリーガーの逆襲」 日本で花開く恐るべきハングリー精神 デニング(ヤクルト)とセラテリ(西武)
今週はハングリー精神を武器に日本のプロ野球で活躍し話題になっているデニングとセラテリを取り上げる。それにより、日本の読者に米国のマイナーリーグ選手がいかに過酷な環境でプレーしているか知っていただきたいからである。■ミッチ・デニング(東京ヤクルト) 5月26日、ヤクルトはBCリーグ新潟に所属するミッチ・デニング(26歳)と年俸360万円で契約、極端に低い年俸が話題になった。にもかかわらずデニングは入団後瞬く間にレギュラーに収まり、打率は低いが勝負強さをいかんなく発揮。6月7日のロッテ戦では借りたバットで試合を決める第2号満塁アーチを放ち脚光を浴びた。 デニングの異色な点は、ヤクルトと契約するまでずっと「貧困ライン(一人当たりの年間所得が125万円)」以下の生活をしてきたことだ。 表(本誌参照)にあるように17歳でレッドソックスのマイナー球団と契約して以来、デニングはヤクルトと契約するまで、春夏は米国のマイナーリーグ、米国の独立リーグ、日本の独立リーグでプレーし、秋冬は母国オーストラリアのプロリーグでプレーしてきた。 1年を通して給料が支払われる日本のプロ野球では1年間に二つのリーグでプレーする選手はいないが、米国のマイナーリーグでは公式戦期間中の4月から8月までしか月給が出ないためキャンプ期間とオフシーズンは無給となる。そのため選手はスポーツクラブの受付係、スーパーの倉庫係、土木作業員など、さまざまな仕事に精を出して生活を維持する。しかし一部の熱心な選手は微々たる報酬しか出ない中南米のウインターリーグや豪州リーグでプレーして技術の向上に努める。デニングもその一人で母国のシドニーやアデレードのチームでプレーしている。 豪州リーグの月給は日本円で7万円程度だが、野球後進国のオーストラリア出身で経験の蓄積がないため、オフシーズンも自分を野球漬けにする必要があると思って精進していたのだ。 デニングはマイナーリーグでは2A止まりで、少しの間米国の独立リーグでプレー後、BCリーグの新潟と年俸80万円(月給15万円×6カ月分)で契約したが、もともと貧困ライン以下の生活をしてきたので「住居は家賃月4万円の6畳一間(風呂なし)。昼と夜は行きつけの『ラーメン酒場どさん亭』で食べる500円のワンコイン定食。贅沢は大好きな餃子を食べること」という超プアな生活も全く苦にならなかった。 球団との契約は基本年俸360万円に加え、一軍在籍1日当たり7万6千円が加算されるので懐具合はだいぶ良くなったが、それでも10月まですべて一軍に在籍しても1500万円にしかならない。 すでにキャサリンさんという豪州美人と事実婚状態で彼女はデニングの両親と暮らしている。今年ヤクルトで活躍すれば年俸が5000万円くらいになって家を買う金もできるので、デニングの一試合ひと試合にかける意気込みは、日本人選手の比ではない。■アンソニー・セラテリ(埼玉西武) もう一人、ハングリー精神をむき出しにしたプレーで注目されているのが西武のアンソニー・セラテリだ。 セラテリは31歳までメジャーで一度もプレーした経験がないベテラン・マイナーリーガーで、今季西武と契約。年俸は日本のメディアの推定では7500万円になっているが、西武はメジャー経験がまったくないメヒアと初年度(昨年5月契約)3750万円で契約しているので、それ以下の評価だったセラテリは3000万円程度のはずだ。 このセラテリ、序盤は二軍でプレーしていたが5月22日に一軍昇格後はライトのスタメンで頻繁に起用されている。プレースタイルの特徴は日本人選手より日本人的なことで、バントは名人級。パワーはないがボール球に手を出さず四球をよく選ぶ。 このセラテリがキャンプ中「11刀流選手」として話題になったことがあった。投手、捕手以外の七つのポジションをすべてこなせる「守備の7刀流」に加え、スイッチヒッターで左打者にも右打者にもなれる「2刀流」、さらに2年前に「ArS*1プロダクション」という映像制作会社を設立し、オフには社長兼俳優の「2刀流」をやっているので、しめて「11刀流」というわけだ。 それを報じる日本のメディアの記事を見ると、多くの日本人は、セラテリは超人的に器用な人間で、野球以外の才能に恵まれていると思うはずだ。しかし、七つのポジションをこなせるようになったのは、守備力が並で固定できるポジションがないため、故障が出たポジションを転々とした結果、レベルを問われなければたくさんのポジションを守れるようになったに過ぎない。自分の会社を設立して映像関係のスモールビジネスを始めたのは、オフにスーパーやガソリンスタンドの店員をやるよりは多少カネになると思ったからであり、自ら俳優もやるようになったのはプロの俳優を雇う金がなかったからだ。それだけハングリーな生活をしてきた選手なので、日本でもしぶとく生き残るような気がしてならない。スポーツジャーナリスト・友成那智ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は各媒体に大リーグ関連の記事を寄稿。'04年から毎年執筆している「完全メジャーリーグ選手名鑑」(廣済堂出版)は日本人大リーガーにも愛読者が多い。
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