「栗山英樹監督は、何も抑え投手として斎藤を蘇生しようとは思っていません。クローザー起用の目的は、斎藤に必死さを植え付けるためです」(担当記者)
しかし、このクローザー試験に合格しなければ、斎藤は“厳しいオフ”を迎えることになるだろう。
「斎藤をリリーフに転向させる案は、前季オフに栗山監督が実際に口にしていたことなんです。捕手だった近藤健介を三塁手で使ったシーズン後でもあったので、本気かなと思いましたが、クローザーの適性を語っていたのではなく、本当は先発で通用しないから、斎藤を生かす方法としてリリーフに転向させようと考えていたようです」(日ハムOBのプロ野球解説者)
斎藤は今季、開幕ローテーション入りを果たしたが、連続KOを食らって二軍落ち。初セーブ後の成績は以下の通りだ。
【5月10日対DeNA、1回失点0、対戦打者数5、被安打1、与四球1、2セーブ目】
【5月16日対ヤクルト、1回失点2、対戦打者数6、被安打3、与四球0】
【5月20日対西武、1回失点2、対戦打者数5、被安打1、与四球1】
「ストレートが速いわけではないし、ウイニングショットになる変化球もないから、苦しいピッチングしかできないんです」(前出の担当記者)
斎藤の二軍登板を観戦したスポーツライター・飯山満氏はこう言う。
「常に走者を背負い、薄氷の登板でした。ゲームセットの瞬間まで気が抜けないので、むしろ、斎藤が投げて試合は面白くなった。そういう意味では、さすがエンターテイナー」
ファイターズの二軍にはクローザー候補が他にもいる。プロ2年目の白村明弘と6年目の大塚豊だ。ともにチャンスは限られているが、防御率は2点台。対して斎藤は7.16。クローザーとして4試合を投げ、計4失点だから、先発で投げていたときよりも防御率は悪くなった。
「大卒5年目の投手が二軍でモタモタしているようではヤバイ。これまで斎藤が救われてきた最大の要因は人気です。日ハムは各先発投手の観客動員数やマスコミ露出度も査定に加えますが、斎藤は入団以来、営業面での貢献度が大きかった。でも、その役目も大谷翔平の活躍によって終わりました」(ベテラン記者)
前出の飯山氏が皮肉ったように“薄氷のリリーバー”に徹すれば、営業的な貢献度は回復できるかもしれないが…。
「松坂にしても斎藤にしても、プライドが捨てられないのか、自分から教えを請うような姿が見られない。2人とも性格的には好人物だが、特に斎藤はエリート街道を歩んできたせいか、這い上がるすべを知らない。松坂は自分を過信しすぎです」(同)
我流の代償は自己責任。引き際も自分で決めるしかない。