新日本
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スポーツ 2020年06月23日 17時30分
新日本プロレス“34年ぶり”金曜夜8時の生中継が決定!7月3日にBS朝日で実現
新日本プロレスは22日、32選手が参加しているトーナメント『ニュージャパンカップ2020』(NJC)の1回戦を、CSテレ朝チャンネルで生中継、動画配信サービス新日本プロレスワールドで世界生配信した。 オープニングに菅林直樹会長がリングに登場し、驚きの発表を行った。 菅林会長は「15日に大会を再開しましたが、国内外、多くの皆さんに生中継を視聴していただき、様々な形で、皆さんからの応援、激励の声が選手に届いております。お客様のいない会場での試合が続きますが、画面越しでも選手たちは、皆さんからの声援を力に変えて闘います。引き続きよろしくお願いいたします。本日は一つお知らせがありまして、冒頭にお時間をいただきました。まずはVTRをご覧ください」と挨拶をすると、映像が流れる。 このVTRで、7月3日にBS朝日で夜8時から放送される『ワールドプロレスリングリターンズ』が、NJC準決勝の生中継として放送されることが明らかに。 「1986年9月以降、34年ぶりに“金曜夜8時”の生中継が実現します。4月からBS朝日で放送中の『ワールドプロレスリングリターンズ』で、7月3日金曜日はNJC準決勝2試合を生中継いたします。この日は新日本プロレスワールドも無料開放し、より多くの皆さんに見ていただきたいと考えております。どうぞご期待ください」 VTRが流れ終わると、菅林会長は再びマイクを持って、実に34年ぶりとなる“金曜夜8時”の生中継実現を改めて発表した。1時間枠だが、準決勝2試合はノーカットで見られる確率は高い。「試合の途中ですが…」という時間内に入らない時の古舘伊知郎アナウンサーのお詫びも懐かしいが、7.11大阪・大阪城ホール大会で開催される決勝戦に進む闘いを、一人でも多くの人たちに見てもらいたい。 『ワールドプロレスリングリターンズ』は、大会休止中にストックが尽きていただけに、今回の反響によっては、ネクストが実現する可能性もあるのではないだろうか。BSは全国で同時に見られるのが利点なだけに、今後もコンテンツの一つとして、有効的に使って欲しいところである。(どら増田)
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芸能ネタ 2020年06月23日 12時00分
美女ざんまい「実話劇場」あべみほインタビュー
歩くフェロモンと呼ばれるほどのエロむちのボディー。グラビアやDVDでの活躍だけでなく、ものまねバラエティー番組では女王様コスチュームでネタを披露したり、新日本プロレスではタイチ選手のディーヴァとして存在感をアピールする。彼女はいったい、何者なのか?あべみほ 私のこと、プロレスがきっかけで知っていただいた方も多いと思うのですが、もともとはモデルなんです。札幌の短大で服飾の勉強をしていた時に「札幌コレクション」というファッションショーを見て衝撃を受けました。“モデルになりたい!”って。――上京したのが23歳。事務所に入り、雑誌などでモデルをやりつつグラビアの仕事も。そのうち、ミス・ユニバース・ジャパンのファイナリストになったり、人気番組『アウト×デラックス』(フジテレビ系)のカウンターガールになったり。謎のオンナ的なポジションでしたよね。あべみほ その番組を見ていた新日本プロレスのタイチ選手から連絡があったんです。石狩出身の同郷で、なまら(非常に)近所でした。何度か試合を見に行くようになっていたある日、2015年の12月23日の大田区体育館で、ある試合に出てくれと言われました。――選手として?あべみほ いいえ、花道を一緒に歩くだけでいいからと。そういう女性の存在をディーヴァと言って、アメリカのプロレス団体WWEが最初だったそうです。試合に介入する女性のセコンドというか、恋人的な立ち位置ですね。いまではWWEのディーヴァが消滅したので、実質、私だけが唯一のディーヴァなんです。――試合に介入するなら、プロレスの技も習った?あべみほ 技どころか、細かいルールも受け身の仕方も分からずに毎回、リングに立っています。タイチ選手の対戦相手に担ぎ上げられたり、尻を叩かれたり。容赦なく投げ飛ばされてます。私はあくまでタイチ選手に恋い焦がれるディーヴァですから。――どうしてその仕事を引き受けようと?あべみほ お話をいただいた時には、私も「なんで?」と思いました。でも、役割とかイメージを伝えられた時に、「それって私にしかできないな」と思ったんです。実は私、10歳の時に父から「お前は酔っぱらった勢いのオマケの子だ」と言われたことがあるんです(笑)。ショックだったけど、そこから「オマケならオマケらしく楽しく生きよう」と心に決めたんです。――よくポジティブになれたもんだ。あべみほ だから今でも、私にしかできないことが大好き。1回きりのつもりでしたが、どんどん続いて、女の子にも人気が出てきて、12月で5年になります。――恋人役であって、本当の恋人ではないんだよね?あべみほ そこは試合を見に来てください。私がいかにタイチ選手を愛しているか分かります。負けた試合では泣かないんです。とってもいい試合をした時に自然と涙が出ます。ただ彼は、愛を捨てた「聖帝」なんですよね。だから、一方的な恋心です。――彼氏が欲しいとか、結婚願望だってあるでしょ?あべみほ それはものすごくあります! 自粛期間は試合もなくてタイチ選手にも全く会えてないし、ラインも返ってこないくらい。――あべみほは今後、どこにいく? ひょっとしたらタイチ選手と結婚!?あべみほ えー、どうしよう。私、自分の指輪のサイズ、分かんないや(笑)。――逆に、タイチ選手が誰かと結婚しちゃうかも。あべみほ そういうことだって十分にあり得るんですよね。明日捨てられるかもしれないし、今日、突然電話が来て「もうこなくていいよ」と言われるかもしれません。だからこそ、面白いんだと思います。でも、実際にそういうことになったら私、もう生きていけないと思います。もしくは婚活サイトに大至急、登録してそれをツイッターに書きます。登録したのでよろしくねって(笑)。★亀甲縛りにも挑戦!――グラビアDVDはどれくらいのペースでリリースしている?あべみほ 年に3本くらいは出したいと思って活動しています。昨年は『むきだしの愛』(竹書房)というのが過去最高に売れたんですが、今月も同じ出版社から『愛のしたたり』(6月26日発売)という作品がリリースされます。今回も新しいことがやりたくて、亀甲縛りに挑戦しています。――バラエティー番組『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』では「みょーちゃん劇団」の一員として女王様のコスチュームで出演。Sキャラのイメージの方が強いですが…。あべみほ そうですよね。だから、あえて逆を狙いました。首輪で繋がれたり、猿ぐつわをされたり。全部、私が企画したんですよ。 あべみほは5年前に突発性難聴を発症し事務所を退所。バニーガールのアルバイトなどをしながら暮らし、’18年に自身初となるヌード写真集を出してグラビア界に復帰した。その後は、フリーランスとして活躍している。――歩くフェロモンと言われるくらいだから、こうすればセクシーに見えるとかの研究はしている?あべみほ う〜ん。みなさんにはそれぞれのフェチってあると思うんですよ。私のカラダは尻フェチにもハマるし、脚フェチにもハマる。“あなたたち、好きなところ、それぞれあるんでしょ?”ていう感じかな。――最後に聞きますが、初デートの思い出などはありますか?あべみほ それがねぇ、人妻だったんですよ。高1の時、私はバンドが好きでライブハウスに通っていて、彼女はお客さんとして来ていたコスプレイヤーでした。当時23歳だったかな? 会場で一目惚れして、初めてお出かけに誘われたのが札幌デートでした。友人に借りたハイヒールを履き、スカートもバッグも借りてドキドキしながら札幌の街に向かったのをよく覚えています。私があまりにもトキメいてたものだから、プリクラを撮った時に、彼女は私をもてあそんだんでしょうね。チュッとされて「キャー」となったのを覚えています。彼女とは今でも仲良しで、去年のクリスマスは横浜でデートしました。――もしかして、ソッチ!?あべみほ いえいえ、もう恋愛感情ではないんです。愛情はタイチ選手に捧げてますから(笑)。◆あべみほ 1988年1月10日生まれ。ミス・ユニバース・ジャパン2012ファイナリスト。ミスFLASH2015グランプリ。T165、B87・W62・H88。
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スポーツ 2020年06月22日 22時30分
新日本プロレスがアメリカでも無観客試合による大会を再開!ジェフ・コブら参戦
新日本プロレスは、15日から国内で大会を再開したことを受けて、アメリカでも大会を再開すると発表した。 次世代の才能にスポットライトを当てる『Lion’s Break』を日本同様、無観客試合による配信のみの大会『Lion’s Break Collision』としてアメリカで開催。4週連続で、新日本プロレスワールドでの世界配信が決定している。 出場選手はLA道場のヤングライオンを始め、LA道場トレーニングキャンプに参加した若手選手が出場、Collision=激突の意味通り、若手レスラー同士のフレッシュな激突が実現。さらに、ジェフ・コブやTJP、ロッキー・ロメロといった新日本プロレスの常連選手に加えて、元MLW世界ヘビー級チャンピオンで、UFCファイターのトム・ローラーも新日本プロレスに初参戦を果たす。日程は次の通りだ。『Lion’s Break Collision #1』 日本時間:7月4日午前11時『Lion’s Break Collision #2』 日本時間:7月11日午前11時『Lion’s Break Collision #3』 日本時間:7月18日午前11時『Lion’s Break Collision #4』 日本時間:7月25日午前11時<出場選手>ジェフ・コブカール・フレドリックスアレックス・コグリンクラーク・コナーズ ロッキー・ロメロトム・ローラー(初出場)ミステリオッソラスト・テイラー(初出場)TJPダニー・ライムライト(初出場)THE DKC(初出場) 新日本プロレスのハロルド・メイ社長は、日米で無観客試合から大会を再開することを明らかにしており、日本の選手同様、新型コロナウイルスの影響で、試合から離れているアメリカに在籍している選手たちにとっても、今回の決定は朗報だろう。 しばらく、日本に来て試合を行うことが難しいだけに、無観客試合で試合の感覚を取り戻しておきたいところである。今回初参戦する選手たちが、日本に上陸する日があるのかも含めて、ファンにとっても選手を見定めるいい機会になるのは間違いない。(どら増田)
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社会 2020年06月21日 18時00分
蝶野正洋の黒の履歴書 ★ヤラセに近いリアリティー番組
木村花選手のご冥福をお祈りする。俺は花さんと面識はなかったが、今後の女子プロレス界を牽引するスター候補生だったことは知っていたし、その実力も才能もある選手だと感じていたから、非常に残念だ。 花さんを追い詰めたとされるSNSでの誹謗中傷については、法整備も進んでいるけど、いくらルールを作っても見えない所から罵詈雑言を浴びせてくる奴は絶対にいなくならない。そういうやつは少数派だと思うけど、100の中に1でも嫌な言葉があったら気になってしまうのが人間心理だよ。 それに、彼女たちの世代にしたら『テラスハウス』に出ることはものすごいステータスだと思うし、それに対するプレッシャーやストレスもすごかったと思う。プロレスでいえば、ドーム大会のメインの試合をやって、それがゴールデンタイムで放送されるくらいのイメージだよ。俺も経験あるけど、そういうビッグマッチのときは、小さいミスでも心の中にずっと残る。反応が少し遅かったとか、動きがもつれたとか、お客さんが気づかない細かい失敗でも意識し続けてしまう。そんな心境のときに言葉の暴力が襲いかかって、彼女は自分自身を責めてしまったのかもしれない。 彼女はプロレスラーという看板を背負って、プロレスの知名度を上げたい、広告塔になりたいということで番組に出演してくれたんだと思う。でも、そこは外の世界だから、いろんな声があるし、雑な扱いを受けるときもある。だからこそ、団体がしっかりケアしてあげないといけなかった。 ただ、今回はテレビ番組の制作側に問題があると思う。アンチがいて炎上するほうが番組は盛り上がるから、人間の暗い所を煽るような演出を仕掛けていたんじゃないかな。 実際、俺があるドキュメンタリー番組に出たときは、自分たちが意図した方向に持っていこうとする演出家がいた。俺は共演者と仲良くしてたんだけど、演出家はもめてほしいと思っていて、共演者に「蝶野さんとぶつかってほしい」みたいな意図を伝えてたんだよ。普通に考えれば、テレビの撮影中にケンカなんてしない。俺もぶつかってくる共演者を流してた。でも、演出家は自分の描いた番組にしようと、何度もそういうことを仕掛けてくる。その共演者も困ってたよ。俺はドキュメンタリーだと思って出演してたから、やってることが違うじゃねーかと思ったし、腹も立った。 テレビ制作者のやり方は、マッチポンプで自分の演出に導く手法なんだよ。狙われるのは純粋で忠実な出演者。「嫌がってるよ…」「好意的みたいだよ…」と入れ知恵して、最後にささやく「仕掛けてみれば」はイコール「行動を取れ」という意味になる。この心理コントロールは、プロレスやスポーツでもよく使われる。どのビジネスも同じかもしれない。狙われるのは真面目で純粋な人間。 テレビで編集が掛かった放送に、みんなが思っているようなリアリティーはないよ。報道だって10分の会見を3分に編集しなきゃいけない。この連載だって俺が1時間喋った暴言を、週刊実話の記者がきれいにまとめる。俺が原稿チェック? するわけねーだろ。消し役のいないマッチポンプ、火遊びは絶対にやってはいけない。******************************************** 木村花選手のご冥福をお祈りする。俺は花さんと面識はなかったが、今後の女子プロレス界を牽引するスター候補生だったことは知っていたし、その実力も才能もある選手だと感じていたから、非常に残念だ。 花さんを追い詰めたとされるSNSでの誹謗中傷については、法整備も進んでいるけど、いくらルールを作っても見えない所から罵詈雑言を浴びせてくる奴は絶対にいなくならない。そういうやつは少数派だと思うけど、100の中に1でも嫌な言葉があったら気になってしまうのが人間心理だよ。 それに、彼女たちの世代にしたら『テラスハウス』に出ることはものすごいステータスだと思うし、それに対するプレッシャーやストレスもすごかったと思う。プロレスでいえば、ドーム大会のメインの試合をやって、それがゴールデンタイムで放送されるくらいのイメージだよ。俺も経験あるけど、そういうビッグマッチのときは、小さいミスでも心の中にずっと残る。反応が少し遅かったとか、動きがもつれたとか、お客さんが気づかない細かい失敗でも意識し続けてしまう。そんな心境のときに言葉の暴力が襲いかかって、彼女は自分自身を責めてしまったのかもしれない。 彼女はプロレスラーという看板を背負って、プロレスの知名度を上げたい、広告塔になりたいということで番組に出演してくれたんだと思う。でも、そこは外の世界だから、いろんな声があるし、雑な扱いを受けるときもある。だからこそ、団体がしっかりケアしてあげないといけなかった。 ただ、今回はテレビ番組の制作側に問題があると思う。アンチがいて炎上するほうが番組は盛り上がるから、人間の暗い所を煽るような演出を仕掛けていたんじゃないかな。 実際、俺があるドキュメンタリー番組に出たときは、自分たちが意図した方向に持っていこうとする演出家がいた。俺は共演者と仲良くしてたんだけど、演出家はもめてほしいと思っていて、共演者に「蝶野さんとぶつかってほしい」みたいな意図を伝えてたんだよ。普通に考えれば、テレビの撮影中にケンカなんてしない。俺もぶつかってくる共演者を流してた。でも、演出家は自分の描いた番組にしようと、何度もそういうことを仕掛けてくる。その共演者も困ってたよ。俺はドキュメンタリーだと思って出演してたから、やってることが違うじゃねーかと思ったし、腹も立った。 テレビ制作者のやり方は、マッチポンプで自分の演出に導く手法なんだよ。狙われるのは純粋で忠実な出演者。「嫌がってるよ…」「好意的みたいだよ…」と入れ知恵して、最後にささやく「仕掛けてみれば」はイコール「行動を取れ」という意味になる。この心理コントロールは、プロレスやスポーツでもよく使われる。どのビジネスも同じかもしれない。狙われるのは真面目で純粋な人間。 テレビで編集が掛かった放送に、みんなが思っているようなリアリティーはないよ。報道だって10分の会見を3分に編集しなきゃいけない。この連載だって俺が1時間喋った暴言を、週刊実話の記者がきれいにまとめる。俺が原稿チェック? するわけねーだろ。消し役のいないマッチポンプ、火遊びは絶対にやってはいけない。********************************************蝶野正洋1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。
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スポーツ 2020年06月21日 08時00分
一度は使ってみたいプロレスの言霊 「山田恵一は死んだ。リバプールの風になった」発言者・獣神ライガー
今年1月の新日本プロレス東京ドーム大会で引退した獣神サンダー・ライガー。マスクマンとしてのデビューから30年以上、常にハイレベルな試合を提供してきたライガーを支えていたのは、日々の鍛錬に加えて、そのコメントなどからもうかがえる“センスのよさ”であった。※ ※ ※ 1989年4月、テレビアニメ『獣神ライガー』のタイアップとして、マスクマンの獣神ライガー(その後にアニメのタイトルに合わせて、ファイヤーライガー、獣神サンダー・ライガーへと変名)が誕生。東京ドームでのデビュー戦では、かつて初代タイガーマスク(佐山聡)とも抗争を繰り広げた小林邦昭を相手に、オリジナルのライガー・スープレックスで堂々たる勝利を収めた。 しかし、テレビ中継においては、実況の辻よしなりアナの配慮不足で「あの山田恵一が獣神ライガーの中に入っていると噂される」などと頻繁に実名を出され、マスクマンにもかかわらず謎も何もあったものではないという状況にあった。 そうした中で、正体について問われたライガーの発したコメントが、「山田恵一は死んだ。リバプールの風になった」である。「正体は山田ではない」と言えば白々しいし、「山田だ」と言ってしまっては味気ない。そこで「山田恵一は死んだ」とすることで、「もしかして山田ではないのかも…」という含みを残し、さらに「心機一転、生まれ変わった別人格のキャラクターである」ことを印象付けたわけで、実に味わい深い名セリフである。★卓越したセルフプロデュース力 このとき“リバプール”というビートルズゆかりの地名を出したことも秀逸だった。素顔の山田はどちらかというと試合ぶりもルックスも泥臭いタイプであったが、そこから一転して、ライガーのキャラクターに華やかなイメージを与えることになった。 選手の大量離脱により、素顔の時代から試合をテレビ中継される機会があったとはいえ、この当時はまだデビュー5年目の若手にすぎない。マスクマンとしての成否も分からない状況で発したコメントが、それから30年以上たった今もなお多くのプロレスファンの記憶に残っているということは、他になかなか例を見ないことである。 同じようなコメントとして、ザ・グレート・カブキの「高千穂明久(カブキの前のリングネーム)はミズーリ川に身を投げて死んだ」もあったが、それと比べても“リバプールの風”の鮮烈さは際立っている。 こうしたセンスのよさが活かされて、橋本真也戦で発達した上半身を見せつけたバトル・ライガーやパンクラスのリングで鈴木みのると闘った格闘技仕様などは、大きな話題を呼ぶこととなった。 デビュー戦を飾ったオリジナル技を「見た目が分かりにくい」という理由で早々に封印し、よりインパクトの強いフィッシャーマン・バスターやライガー・ボムなどをフィニッシュに使うようになったあたりにも、セルフプロデュース能力の高さが見て取れる。 ライガーは自身のことだけでなく、ジュニア界全体のプロデューサーとしても手腕を振るった。’94年に開催された『スーパーJカップ』では、ザ・グレート・サスケやハヤブサなどインディー界の逸材を満天下に知らしめ、日本のプロレスビジネス全体を底上げすることに成功している。★引退してすぐにWWE殿堂入り また、新日本プロレスのジュニア戦線においても、ライガーのデビュー当初はそれまでのトップ選手がヘビー級に転向して手薄になっていたが、外国人、日本人を問わずさまざまなレスラーを積極的に取り上げることで、新たな世界観を創り上げた。 初期のライバルとして激しく争った佐野直喜(現・佐野巧真)は、すぐにSWSへ移籍してしまったが、その後は新日の練習生として来日していたクリス・ベノワをペガサス・キッド(のちにワイルド・ペガサス)として自身のライバルにまで育て上げた。 ベノワはその後、同時期に新日へ参戦していた2代目ブラック・タイガー(エディ・ゲレロ)とともに、WWEのトップスターにまで成り上がったが、そこには少なからずライガーの影響があったに違いない。 こうした近い世代の選手たちのみならず、引退試合で相手を務めた25歳下の高橋ヒロムに至るまで、団体や世代を問わず数多の選手たちと長きにわたって闘ってきた。全身コスチュームのマスクマンであるため、見た目に年齢を感じさせないという利点はあったにせよ、そんな選手は世界中のプロレス界を見渡してもライガー以外にほとんど見当たらない。 その実績や実力からしてライガー自身がジュニア帝国のトップに君臨することもできただろうが、決してそうはせずに、たとえ未熟な相手であっても自分のレベルまで引き上げることによって、高度な試合を提供し続けた。 つまり自分だけがスポットライトを浴びることよりも、ジュニアの世界を盛り上げることを常に選んできたわけで、引退から間もなくWWE殿堂に選ばれたのも当然のこと、まさにプロレス界の偉人なのである。獣神ライガー***************************************PROFILE●1964年11月10日生まれ。広島県広島市出身。身長170㎝、体重95㎏。得意技/垂直落下式ブレーンバスター、掌底、ロメロ・スペシャル。文・脇本深八
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スポーツ 2020年06月17日 17時30分
新日本NJC開幕!永田裕志と鈴木みのるが激しい前哨戦
新日本プロレスは16日、32選手が参加するトーナメント『ニュージャパンカップ2020』(NJC)開幕戦など5試合を、CSテレ朝チャンネル2で生中継、動画配信サービス新日本プロレスワールドで世界生配信した。 第3試合では、トーナメント1回戦で対峙する棚橋弘至とタイチ(6月22日)、飯伏幸太とザック・セイバーJr.(6月22日)、永田裕志と鈴木みのる(6月17日)、上村優也と金丸義信(6月17日)が、それぞれカルテットを組んだ前哨戦がラインナップ。 試合は鈴木軍がダーティーファイトで棚橋の左ヒザを集中攻撃。7年振りのシングル対決となる永田とみのるは、時代が平成から令和になっても激しい攻防を繰り広げる。この自粛期間中に体が大きくなったヤングライオンの上村が奮闘を見せるも、金丸がウィスキー瓶で一撃を加え、最後は鈴木がゴッチ式パイルドライバーで万事休す。試合後、因縁の深い永田と鈴木は番外戦を展開。この2人の対戦は、今年のNJC1回戦の中で最も注目すべきカードと言っでもいいだろう。 試合後、みのるは「タダで帰れると思うなよ、永田。腕、足、そしてお前の選手生命……ここで終わりだ。ぶち殺してやる…!」。と永田を挑発。明日が待ちきれない様子だった。(どら増田)
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社会 2020年06月14日 18時00分
蝶野正洋の黒の履歴書 ★緊急事態宣言解除と自粛警察
緊急事態宣言が解除されて、ようやく街に人が戻ってきたな。でも、以前のような状態に戻るには、まだまだ時間がかかりそうだ。 新型コロナウイルスそのものがなくなったわけではないし、第2波がくる可能性も高い。ワクチンなどの治療法が確立されるとか、集団免疫が獲得できたとかの目処が付かないと、本当の解除にはならないと思う。 だから引き続き、衛生に対する意識は高く持って、免疫力を高めるような生活を心がけていきたい。 まず、しっかり睡眠を取って基礎体力を保つ。あとは栄養を取って、適度に体を動かす。要は健康管理。体力づくりの基本だよね。そう言ってる俺も、自粛期間中は家で夜ふかしするようになって、昼夜が逆転してしまった。生活リズムが乱れてしまったから、ここから戻していこうと思っているよ。 夏の甲子園も中止になってしまった。観客を入れたスポーツイベントは段階的に許可されていくようだけど、大人数で応援しながら観戦するというにはまだ先の話だね。特にプロレスは、観客の3密を回避するだけじゃなくて、選手同士も密接してしまうから、よりハードルが高い。試合だけじゃなく練習をするときの道場やジムの3密にも気をつけなくちゃいけない。 俺が通っていたスポーツジムでも、コロナの陽性反応が出た方が利用していたことが分かって、閉鎖になっていた。コロナウイルスの感染が判明したのは数週間後だから、その間にもジムに通っていた人はどうすればいいんだってことになる。今後はジムの運営側は感染対策だけでなく、すべての利用者の経路や記録を徹底的に取っておかないといけなくなると思う。 テレビの撮影現場なんかも少しづつ元に戻ってるけど、みんなでスタジオに集まって収録するときは、スタッフも含めて非常に気を使っている。 やっぱり、そこで感染者が出たらその番組だけじゃなくて、テレビ局全体を封鎖しなきゃいけない。世間からの批判もすごいだろうからね。そのダメージというのは、ある意味コロナそのものよりも大きい。 飲食店も世間からの批判を恐れてるよね。「自粛警察」っていう言われ方をしてるみたいだけど、休業期間中に営業してる店に苦情の電話を入れたり、他県からきた車にキズをつけたりする人たちがいて、様々な被害が報告されている。 みんな自粛しているのに許せないという同調意識が元にあるんだろうけど、クレームを入れる側は自分たちに正義があると思っているから、容赦なく叩く。 でも、自粛期間中の営業時間内を守り、消毒の徹底や3密を避けるといったコロナ対策をやっている限りは、文句を言われる筋合いはないんだよ。 政府が配布した「アベノマスク」だって、文句言う人はいっぱいいたけど、あれをありがたいと思っている人もたくさんいるはず。この前、長州(力)さんと対談したとき、サイズの合ってないアベノマスクを着けてきたから思わず笑ってしまったけど、しっかりと活用していたしね。 どこにでも文句を言う人はいる。「自粛警察」なんていうと怖い集団のように感じるけど、実際にはほんの数人が騒いでるだけだろうね。***************************************1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。
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スポーツ 2020年06月10日 17時30分
興行再開発表の新日本プロレス、6.11&12大阪城大会概要を発表
新日本プロレスは9日の記者会見で、無観客試合による『ニュージャパンカップ2020』(16日~)の開催および、有観客試合による同決勝戦(7月11日)・『DOMINION in OSAKA-JO HALL』(7月12日)の大阪・大阪城ホール大会2連戦の開催を発表しているが、10日、大阪城大会の概要を発表した。 「大阪城ホール2連戦は、通常の三分の一程度となりますが、お客様を入れた形での開催を予定しております」 記者会見で菅林直樹会長は、ソーシャルディスタンスの確保のため、大阪城大会の動員を三分の一まで削減するとしていたが、座席は前後左右に約1メートルの間隔を空けて、固定席(スタンド席)は、連番で購入した場合でも間隔が空くため、座席番号が続いていないことがあるとのこと。予め了承の上、必ずチケットに記載されている座席で観戦するよう呼び掛けている。 また、関西圏外からの来場は極力控えてもらうことを喚起しており、県をまたいでの移動が伴う場合は、各自治体の指針に従って来場して欲しいとしている。鼻と口を覆うマスク着用を義務化し、会場入口にはサーモグラフィーを設置するなど、業界最大手として、プロレス観戦者から新型コロナウイルスの感染を徹底して防いでいく。チケットは全席指定10,500円で、当日券の販売はされない。 「大変な状況は続きますが、選手・スタッフが力を合わせて、多くの皆様に元気な姿をお見せできるよう努めて参ります。どうぞご期待下さい! 」。菅林会長は新日本の闘いを通して、コロナ禍で暗い雰囲気の日本や配信を通じて試合が見られる世界中に、元気を届けていく思いだ。(どら増田)
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社会 2020年06月07日 18時00分
蝶野正洋の黒の履歴書 ★検察庁法改正案&意見する芸能人
「検察庁法改正案」の成立が見送られることになった。この改正案は、政権が必要と判断すれば検事総長などの定年を延長できるという「特例」が盛り込まれていて、それに反対意見が続出した。 確かにこれは問題があったけど、俺は単純に「国家公務員の定年延長」ということに対してはアリだと思ってる。やっぱり有能な経験者に、もう少し長く現場で働いてもらうことは今の日本で必要なことだからね。 昔と違い60代はまだ元気だし、バリバリ働ける。そういう人材を、リタイアさせるんじゃなくて、その業種の中で培った経験を活かしてもらったほうが有意義だと思う。 新型コロナで役所も保健所も人が足りないところはたくさんあるし、それは警察や消防も一緒。だから、ベテランの人たちがあと5年長くいてくれたら、全然違ってくるはずなんだよ。 言い方を変えると、公務員でも上のほうまでいったお偉いさんなんて、60歳で定年になっても天下りでどこかの団体に移るだけ。だったら、そんな人材をもっと必要とされる組織の中で、バリバリ仕事をさせたほうがいい。 だけど、それを今この時期に急いで通そうとするのは怪しいし、そりゃ、見送りになるよ。誰が考えたのかは分からないけど、カードの出し方がおかしいし、焦りすぎだよね。 こういうことを言ってると、俺もいろいろ突っ込まれそうだけど、今回の問題で芸能人やスポーツ選手がツイッターで意見を述べたり反対の立場を表明すると、ファンから「芸能人は政治の話をしないほうがいい」と避難されることがあったようだ。それで実際に意見を引っ込めた人もいるみたいだけど、俺は政治でもなんでも、関心があることだったら、それに対して意見を積極的に述べるできだと思う。 そりゃあ、ファンの中には意見が違う人もいるだろうし、それで嫌いになることもあるかもしれない。でも、それで芸能人側が黙ることはないと思う。 俺も消防について話したりしていると、反対意見が来ることがある。かつて消防団員だった人から「今の消防団は、蝶野さんが応援しているような組織じゃないです」とかね。 俺は「俺が知っている消防団員の方々は、みんな一所懸命で社会のために頑張っている。そこは世間に伝えないといけないから協力しています」と。その時は「分かりました」って返事が返ってきた。ただ、俺は彼が言っていた批判も分かる。その点は協会なり組織が変えていかなきゃいけない。でも、現場で一所懸命にやっている消防団員が同じように見られるのは間違っているし、俺はこれからもそういう人たちを応援したい。 これは俺が実際に思っていることだから、どう捉えてもらってもかまわない。もしかしたら「蝶野が言ってることは間違っている!」という意見が出てくるかもしれない。ただ、俺の意見をきっかけに消防団について考えてくれれば、それはそれでいいと思っているんだよ。「芸能人が政治の話をする」のも一緒で、もし間違ったことを言っていたとしても議論が活性化するはず。ならば、社会全体がいい方向に行くんじゃねーかな。***************************************1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。
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スポーツ 2020年06月07日 08時00分
一度は使っってみたいプロレスの言霊 「1年半、UWFとしてやってきたことがなんであるか確かめに来ました」発言者・前田日明
今もなおカリスマ的人気を誇る前田日明。現役時代にはファイトぶりはもちろんのこと、強固な信念から発せられる数々の言葉においても、多くのファンの心を鷲づかみにしてきた。今回取り上げるのは新日復帰時のあの言葉だ。※ ※ ※ 前田日明が「UWF軍」として新日本プロレスに参戦していた当時、実況の古舘伊知郎が「黒髪のロベスピエール」と連呼するのを、意味も分からず聞いていた人も多いのではないか。 正式な名前はマクシミリアン・フランソワ・マリー・イジドール・ド・ロベスピエール。フランス革命における代表的な革命家の1人であるが、世界史の授業でようやく名前が教科書に出てくるくらいだから、少年ファンなどは「何が何やら」となっても仕方のないところだ。「ロープに飛ばない」「場外乱闘をしない」「打撃から入って関節技で極める」というUWF流のファイトスタイルが、従来のプロレスと比べて革命的だということで古舘はロベスピエールと形容したわけである。それもあってか前田は、時代の改革者として熱狂的な支持を集めることになり、現役引退から20年以上がすぎた今もなお、「前田信者」と呼ばれるファンを中心に高い人気を誇っている。★理想を追求するより現実を重視 では、前田は本当にプロレス界の革命家だったのか。 1985年12月、業務提携の名目で新日マットに復帰した前田は、「1年半、UWFとしてやってきたことが何であるか確かめに来ました」とリング上であいさつしている。 これまでにやってきたスタイルが新日や観客に受け入れられるのかどうかを試しにきたという言葉自体は、極めて常識的なものであり、ここに「体制をぶっ壊す」「プロレスを変革する」というような過激な意図は感じられない。 そもそもUWFスタイルからして、そのすべてを前田が発想したものではない。遅れて加わった佐山聡が新日退団後に試行錯誤していた新たな格闘術と、UWFの主流を占めたカール・ゴッチ門下生たちによるゴッチ流プロレス、この2つが融合したものがUWFスタイルの原点で、前田にしてみれば意識してこれを採用したというよりも、自然の流れということであろう。 新日からUWFへ移籍したのも何か理想を追い求めて独立したわけではなく、実際は実母がケガで入院してまとまった費用が必要だったときに新間寿から声をかけられ、移籍金目当てのことだったと、のちに前田自身が語っている。 そのUWFの旗揚げ前にはWWFのリングに上がり、WWFインターナショナルヘビー級王座を獲得(藤波辰爾がMSGで獲得したのとは別物の新設タイトル。フィニッシュはコブラツイスト)。ベルトには大きくUWFの文字が刻まれていたことからも、新間の仕込みであったことに疑いはなく、前田は新間の描くストーリーにそのまま乗っかってUWFに参加したわけである。 師匠アントニオ猪木のように夢を追いかけるよりも、現実主義の色が濃いのが前田の特徴だ。 第1次UWFで佐山と対立したのは、佐山が「格闘競技としての試合を月1回の開催」という意向を示したのに対して、前田が「選手やスタッフ、その家族の生活を考えればもっと試合を増やすべき」と引かなかったことが原因だった。 団体継続が困難となったときには、ジャイアント馬場が前田と髙田延彦だけを好待遇で獲得しようとしたものの、前田は「仲間全員でなければ受けられない」として新日との業務提携に舵を切った。★前田こそ生まれながらの革命家 また、団体の長となったプロレスラーの多くは、団体運営において多かれ少なかれ金銭トラブルを抱えるものだが、前田に限ってはそうした噂が聞かれず(第2次UWFの金銭問題は前田とは関係のないフロントによるもの)、引退後の’09年に民主党から参院選への出馬の要請があったときにも、当初は選挙活動費について、党が援助するといっていたものが覆されたことを主な理由として出馬辞退している。 基本的には堅実かつ常識的なのだ。 ところが、試合においては特に相手を傷つけるような意図がなくとも、打撃の当たり具合や関節の極めの強さのせいで、対戦相手から「シュートを仕掛けているのではないか」と思われてしまう。 その思想信条が常識的なところから発したものであっても、これを曲げることなく徹底するから周囲との軋轢を生むことになる。 新日との提携時の試合を改めて見直してみても、UWF代表者決定戦での藤原喜明との首と脚の取り合いや、藤波とのダブルKOなど調和を意識した結果も多く、伝説のアンドレ・ザ・ジャイアント戦も最初に仕掛けたのはアンドレのほうである。また、新日離脱の原因となった長州への蹴撃は、あくまでも事故的なものだった。 本人としては特別な意識のないままに自然と革命が起こってしまったわけで、ということは、既存の革命家をも上回る「生まれながらの革命家」というのが前田の実像だったのかもしれない。 今もなおカリスマ的人気を誇る前田日明。現役時代にはファイトぶりはもちろんのこと、強固な信念から発せられる数々の言葉においても、多くのファンの心を鷲づかみにしてきた。今回取り上げるのは新日復帰時のあの言葉だ。※ ※ ※ 前田日明が「UWF軍」として新日本プロレスに参戦していた当時、実況の古舘伊知郎が「黒髪のロベスピエール」と連呼するのを、意味も分からず聞いていた人も多いのではないか。 正式な名前はマクシミリアン・フランソワ・マリー・イジドール・ド・ロベスピエール。フランス革命における代表的な革命家の1人であるが、世界史の授業でようやく名前が教科書に出てくるくらいだから、少年ファンなどは「何が何やら」となっても仕方のないところだ。「ロープに飛ばない」「場外乱闘をしない」「打撃から入って関節技で極める」というUWF流のファイトスタイルが、従来のプロレスと比べて革命的だということで古舘はロベスピエールと形容したわけである。それもあってか前田は、時代の改革者として熱狂的な支持を集めることになり、現役引退から20年以上がすぎた今もなお、「前田信者」と呼ばれるファンを中心に高い人気を誇っている。★理想を追求するより現実を重視 では、前田は本当にプロレス界の革命家だったのか。 1985年12月、業務提携の名目で新日マットに復帰した前田は、「1年半、UWFとしてやってきたことが何であるか確かめに来ました」とリング上であいさつしている。 これまでにやってきたスタイルが新日や観客に受け入れられるのかどうかを試しにきたという言葉自体は、極めて常識的なものであり、ここに「体制をぶっ壊す」「プロレスを変革する」というような過激な意図は感じられない。 そもそもUWFスタイルからして、そのすべてを前田が発想したものではない。遅れて加わった佐山聡が新日退団後に試行錯誤していた新たな格闘術と、UWFの主流を占めたカール・ゴッチ門下生たちによるゴッチ流プロレス、この2つが融合したものがUWFスタイルの原点で、前田にしてみれば意識してこれを採用したというよりも、自然の流れということであろう。 新日からUWFへ移籍したのも何か理想を追い求めて独立したわけではなく、実際は実母がケガで入院してまとまった費用が必要だったときに新間寿から声をかけられ、移籍金目当てのことだったと、のちに前田自身が語っている。 そのUWFの旗揚げ前にはWWFのリングに上がり、WWFインターナショナルヘビー級王座を獲得(藤波辰爾がMSGで獲得したのとは別物の新設タイトル。フィニッシュはコブラツイスト)。ベルトには大きくUWFの文字が刻まれていたことからも、新間の仕込みであったことに疑いはなく、前田は新間の描くストーリーにそのまま乗っかってUWFに参加したわけである。 師匠アントニオ猪木のように夢を追いかけるよりも、現実主義の色が濃いのが前田の特徴だ。 第1次UWFで佐山と対立したのは、佐山が「格闘競技としての試合を月1回の開催」という意向を示したのに対して、前田が「選手やスタッフ、その家族の生活を考えればもっと試合を増やすべき」と引かなかったことが原因だった。 団体継続が困難となったときには、ジャイアント馬場が前田と髙田延彦だけを好待遇で獲得しようとしたものの、前田は「仲間全員でなければ受けられない」として新日との業務提携に舵を切った。★前田こそ生まれながらの革命家 また、団体の長となったプロレスラーの多くは、団体運営において多かれ少なかれ金銭トラブルを抱えるものだが、前田に限ってはそうした噂が聞かれず(第2次UWFの金銭問題は前田とは関係のないフロントによるもの)、引退後の’09年に民主党から参院選への出馬の要請があったときにも、当初は選挙活動費について、党が援助するといっていたものが覆されたことを主な理由として出馬辞退している。 基本的には堅実かつ常識的なのだ。 ところが、試合においては特に相手を傷つけるような意図がなくとも、打撃の当たり具合や関節の極めの強さのせいで、対戦相手から「シュートを仕掛けているのではないか」と思われてしまう。 その思想信条が常識的なところから発したものであっても、これを曲げることなく徹底するから周囲との軋轢を生むことになる。 新日との提携時の試合を改めて見直してみても、UWF代表者決定戦での藤原喜明との首と脚の取り合いや、藤波とのダブルKOなど調和を意識した結果も多く、伝説のアンドレ・ザ・ジャイアント戦も最初に仕掛けたのはアンドレのほうである。また、新日離脱の原因となった長州への蹴撃は、あくまでも事故的なものだった。 本人としては特別な意識のないままに自然と革命が起こってしまったわけで、ということは、既存の革命家をも上回る「生まれながらの革命家」というのが前田の実像だったのかもしれない。前田日明***************************************PROFILE●1959年1月24日生まれ。大阪府大阪市出身。身長192㎝、体重115㎏。得意技/キャプチュード、フライング・ニールキック。文・脇本深八***************************************PROFILE●1959年1月24日生まれ。大阪府大阪市出身。身長192㎝、体重115㎏。得意技/キャプチュード、フライング・ニールキック。文・脇本深八
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