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蝶野正洋の黒の履歴書 ★ヤラセに近いリアリティー番組

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提供:週刊実話

 木村花選手のご冥福をお祈りする。俺は花さんと面識はなかったが、今後の女子プロレス界を牽引するスター候補生だったことは知っていたし、その実力も才能もある選手だと感じていたから、非常に残念だ。

 花さんを追い詰めたとされるSNSでの誹謗中傷については、法整備も進んでいるけど、いくらルールを作っても見えない所から罵詈雑言を浴びせてくる奴は絶対にいなくならない。そういうやつは少数派だと思うけど、100の中に1でも嫌な言葉があったら気になってしまうのが人間心理だよ。

 それに、彼女たちの世代にしたら『テラスハウス』に出ることはものすごいステータスだと思うし、それに対するプレッシャーやストレスもすごかったと思う。プロレスでいえば、ドーム大会のメインの試合をやって、それがゴールデンタイムで放送されるくらいのイメージだよ。俺も経験あるけど、そういうビッグマッチのときは、小さいミスでも心の中にずっと残る。反応が少し遅かったとか、動きがもつれたとか、お客さんが気づかない細かい失敗でも意識し続けてしまう。そんな心境のときに言葉の暴力が襲いかかって、彼女は自分自身を責めてしまったのかもしれない。

 彼女はプロレスラーという看板を背負って、プロレスの知名度を上げたい、広告塔になりたいということで番組に出演してくれたんだと思う。でも、そこは外の世界だから、いろんな声があるし、雑な扱いを受けるときもある。だからこそ、団体がしっかりケアしてあげないといけなかった。

 ただ、今回はテレビ番組の制作側に問題があると思う。アンチがいて炎上するほうが番組は盛り上がるから、人間の暗い所を煽るような演出を仕掛けていたんじゃないかな。

 実際、俺があるドキュメンタリー番組に出たときは、自分たちが意図した方向に持っていこうとする演出家がいた。俺は共演者と仲良くしてたんだけど、演出家はもめてほしいと思っていて、共演者に「蝶野さんとぶつかってほしい」みたいな意図を伝えてたんだよ。普通に考えれば、テレビの撮影中にケンカなんてしない。俺もぶつかってくる共演者を流してた。でも、演出家は自分の描いた番組にしようと、何度もそういうことを仕掛けてくる。その共演者も困ってたよ。俺はドキュメンタリーだと思って出演してたから、やってることが違うじゃねーかと思ったし、腹も立った。

 テレビ制作者のやり方は、マッチポンプで自分の演出に導く手法なんだよ。狙われるのは純粋で忠実な出演者。「嫌がってるよ…」「好意的みたいだよ…」と入れ知恵して、最後にささやく「仕掛けてみれば」はイコール「行動を取れ」という意味になる。この心理コントロールは、プロレスやスポーツでもよく使われる。どのビジネスも同じかもしれない。狙われるのは真面目で純粋な人間。

 テレビで編集が掛かった放送に、みんなが思っているようなリアリティーはないよ。報道だって10分の会見を3分に編集しなきゃいけない。この連載だって俺が1時間喋った暴言を、週刊実話の記者がきれいにまとめる。俺が原稿チェック? するわけねーだろ。消し役のいないマッチポンプ、火遊びは絶対にやってはいけない。

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 木村花選手のご冥福をお祈りする。俺は花さんと面識はなかったが、今後の女子プロレス界を牽引するスター候補生だったことは知っていたし、その実力も才能もある選手だと感じていたから、非常に残念だ。
 花さんを追い詰めたとされるSNSでの誹謗中傷については、法整備も進んでいるけど、いくらルールを作っても見えない所から罵詈雑言を浴びせてくる奴は絶対にいなくならない。そういうやつは少数派だと思うけど、100の中に1でも嫌な言葉があったら気になってしまうのが人間心理だよ。
 それに、彼女たちの世代にしたら『テラスハウス』に出ることはものすごいステータスだと思うし、それに対するプレッシャーやストレスもすごかったと思う。プロレスでいえば、ドーム大会のメインの試合をやって、それがゴールデンタイムで放送されるくらいのイメージだよ。俺も経験あるけど、そういうビッグマッチのときは、小さいミスでも心の中にずっと残る。反応が少し遅かったとか、動きがもつれたとか、お客さんが気づかない細かい失敗でも意識し続けてしまう。そんな心境のときに言葉の暴力が襲いかかって、彼女は自分自身を責めてしまったのかもしれない。
 彼女はプロレスラーという看板を背負って、プロレスの知名度を上げたい、広告塔になりたいということで番組に出演してくれたんだと思う。でも、そこは外の世界だから、いろんな声があるし、雑な扱いを受けるときもある。だからこそ、団体がしっかりケアしてあげないといけなかった。
 ただ、今回はテレビ番組の制作側に問題があると思う。アンチがいて炎上するほうが番組は盛り上がるから、人間の暗い所を煽るような演出を仕掛けていたんじゃないかな。
 実際、俺があるドキュメンタリー番組に出たときは、自分たちが意図した方向に持っていこうとする演出家がいた。俺は共演者と仲良くしてたんだけど、演出家はもめてほしいと思っていて、共演者に「蝶野さんとぶつかってほしい」みたいな意図を伝えてたんだよ。普通に考えれば、テレビの撮影中にケンカなんてしない。俺もぶつかってくる共演者を流してた。でも、演出家は自分の描いた番組にしようと、何度もそういうことを仕掛けてくる。その共演者も困ってたよ。俺はドキュメンタリーだと思って出演してたから、やってることが違うじゃねーかと思ったし、腹も立った。
 テレビ制作者のやり方は、マッチポンプで自分の演出に導く手法なんだよ。狙われるのは純粋で忠実な出演者。「嫌がってるよ…」「好意的みたいだよ…」と入れ知恵して、最後にささやく「仕掛けてみれば」はイコール「行動を取れ」という意味になる。この心理コントロールは、プロレスやスポーツでもよく使われる。どのビジネスも同じかもしれない。狙われるのは真面目で純粋な人間。
 テレビで編集が掛かった放送に、みんなが思っているようなリアリティーはないよ。報道だって10分の会見を3分に編集しなきゃいけない。この連載だって俺が1時間喋った暴言を、週刊実話の記者がきれいにまとめる。俺が原稿チェック? するわけねーだろ。消し役のいないマッチポンプ、火遊びは絶対にやってはいけない。

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蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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