社会
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社会 2012年11月19日 11時45分
捜査員を不審者と勘違い JAL便が2時間運航見合わせ
兵庫県伊丹市の大阪空港にある日本航空の保安検査場で、警察手帳を見せて中に入った大阪府警の私服捜査員が不審者と勘違いされ、同空港発の日航機の全便が約2時間にわたって、出発を見合わせるという前代未聞のトラブルがあった。 11月17日午前6時20分頃、同空港の保安検査場で、捜査員が「捜査で急いでいるので通してほしい」として、警察手帳を示して通過。身体検査を受けず、航空券もなく、行方が分からなくなったため、不審に思った検査員が6時50分頃、空港警備派出所に通報。日本航空は「警察から事前の連絡がなく、目的も分からない」として、乗客の安全確保を最優先する必要があると判断。始発の羽田行き(7時5分発)などの乗客らを航空機からいったん降ろすなど、すべての乗客を検査場の外に退避させた。 捜査員は7時前に別のゲートから出て府警本部に戻っていたが、空港のトラブルを伝えるテレビのニュースを見て同派出所に連絡。日本航空は7時45分から搭乗手続きを再開したが、羽田行きの初便が約2時間遅れの9時頃に運航を再開するなど、ダイヤに大きな乱れが出た。 府警や兵庫県警伊丹署によると、捜査員は府警本部所属の40代の男性警部補で、捜査対象者を尾行中だった。 日航や府警は、入場の際の身分確認が不十分だったことに加え、捜査員が立ち去る際に、検査場職員に声を掛けなかったことが原因としている。 このミスで各地の空港で、同日夜までに70便以上が遅れた。乗客にとっては、はなはだ迷惑な話となってしまった。(蔵元英二)
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社会 2012年11月18日 11時00分
イタリア・地震の予知外れで“有罪”に賛否両論
先ごろ、イタリアで大地震発生直前に出された「安全宣言」に関わったとして、地震の犠牲者遺族に訴えられた科学者7人が有罪となり、傷害致死罪で禁固6年の実刑判決を言い渡された。これに対し、「研究者が委縮してしまう」という意見も出て、地震大国・日本でも賛否両論となっている。 「気象庁には東海地震の前兆現象を検討する『地震防災対策強化地域判定会』がある。気象庁長官の諮問機関なので、最終的には長官が責任を取らされますが、もし判定が外れた場合、多数の犠牲者が出ることが予想される。委員の研究者が遺族から訴えられないとは誰も言い切れませんからね」(サイエンスライター) 研究者の「安全宣言の予知」自体が無謀だとする意見もあれば、技術的な面に関しては、「現代科学で予知できないというのは言いすぎ」という意見も。 これに関しては、琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏が言う。 「地震予知には中長期、短期、直前とあり、中長期はかなり当たることがあり、短期もかなり進んでいます。それで東海地震、首都圏の直下型地震については『来る』と政府機関は言っている。問題は東日本大震災。国の作った防災マップでは三陸沖は色が一番薄く、安全だとされてきた。ところが、世界でも最大級の巨大地震が発生して多数の犠牲者が出たんです。これではイタリアの例とまったく同じ。それなのに、“外れた原因”を究明せず、最も危険な首都圏では『これだけ差し迫っている』と言ってみせる。こういうやり方は問題があると思います」 地震予知には国民の税金がつぎ込まれている。「予知は可能」と言いきれるほどの有効なカネの使い方と環境作りが必要ではないか。
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社会 2012年11月18日 11時00分
パチンコマネーにのみ込まれる ゴルフの名門「太平洋クラブ」
11月8日から4日間、静岡県にある太平洋クラブ御殿場コースで開催される三井住友VISA太平洋マスターズ。ゴルフ好きなら誰もが知るこのトーナメントの裏で、大きな騒動が繰り広げられている。 主催の一社である株式会社太平洋クラブが民事再生法の適用を申請したのは今年1月のこと。民間信用調査会社帝国データバンクによると、負債総額は約1260億円にも上る。今思えば、現在の西武ライオンズ(当時は太平洋クラブライオンズ)のオーナー企業だったころが絶頂期。バブル崩壊以降の法人客の減少、客単価の下落により、他の破綻したゴルフコースと同様、太平洋クラブの経営は厳しくなっていった。 ありがちなこの倒産劇は、最初からドロ沼の様相を呈した。まずスポンサーとして名乗り出た東証1部上場の株式会社アコーディア・ゴルフが、パチンコメーカー大手の『平和』からターゲットにされていることから、不信感をあらわにした会員たちが発起。会社側の提出した再生計画案に反対し、会員側から会社更生法の適用を申請することになった。この間、会員側には『太平洋クラブ会員の権利を守る会』『太平洋クラブ被害者の会』が相次いで設立されるなど“名門コースのプライド”を全面に押し出した展開が繰り広げられた。 さぞ、格式の高いスポンサーを見つけてくるものと思われた会員側だが、何とここにきて新しいスポンサー候補が『株式会社マルハン』であることが発覚。マルハンは年商2兆円を誇るパチンコホール業界最大手。パチンコマネーの象徴ともいえる企業を連れてきたのだ。 ちなみに国内で上場できる(信用されている)のはメーカーであり、グレー企業とされているのはホールである。会社側も新しいスポンサー候補を擁立すべく動いているため、正式決定はまだ先だが、国内ゴルフ場が次々とパチンコマネーに呑み込まれていく流れは、もう止まりそうにない。
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社会 2012年11月17日 17時59分
名古屋市営バスで寝ていた女性が車内に2時間半閉じ込められる
名古屋市交通局は、市営バスの男性運転手(56)が車内で寝ている女性客に気付かずに、バスを中川営業所(同市中川区)の車庫に入れてしまい、乗客の女性が2時間半にわたって車内に閉じ込められたと発表した。 同交通局によると、女性は12日午後10時32分、始発の金山(同市中区)で乗車した。バスは同11時12分、終点の野跡駅(同市港区)へ到着。運転手は車内の点検をせず、寝ていた女性に気付かないまま、次の目的地の港区役所まで営業運転を継続。その際も点検しないまま、港区役所まで運転。女性を乗せた状態で、中川営業所まで回送し、同11時50分頃、営業所の駐車場に車両を格納した。 13日午前2時20分頃、営業を終えた深夜バスが入庫。格納確認のため、営業所構内に出た助役が、「ドンドン」と窓ガラスを叩く音を聞き、車両内を確認したところ、女性が車内に閉じ込められているのを発見した。ドアは運転手が操作しないと、車内からは開かないような設定になっていたという。 女性は後ろから3列目の2人がけの席に座っていた。担当者が事情を聴き、自宅まで送ろうとしたが、女性は断って立ち去ったという。 同交通局では、今後の対応として、「終点到着後のバス車内の点検を、改めて乗務員に徹底いたします」としている。 バスが終点に到着したら、運転手が車内をチェックするのは初歩的なこと。それを怠ったというのだから、お話にならない。(蔵元英二)
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社会 2012年11月17日 11時00分
やっぱりやめられない!? 原発ビジネス 「イギリス・リトアニア・ベトナム」にどっぷり浸かる 日立の打算(2)
その背景にあるのが2011年度に1600億円だった原子力事業の売上高を、'20年度には2倍超の3600億円に拡大させようとの計画である。日立はハードディスク駆動装置や中小型液晶パネルなど、不採算事業のリストラに大ナタを振るったが、巨大市場が見込める原子力事業は聖域として温存した。国内市場の拡大が絶望的になった今、世間からどう陰口を叩かれようと原発との心中に舵を切ったといえば話は早い。 ホライズンの買収と、正式受注が秒読み段階を迎えたリトアニアの陰に隠れているが、日立はフィンランド、カナダ、ポーランド、ベトナムなどでも受注活動を展開している。同社単独のケースもあれば、原発事業でタッグを組む米ゼネラル・エレクトリック(GE)との二人三脚で交渉しているケースもある。各国の電力事情も絡んで対応はさまざまだが、ライバル陣営が「そこまでやるか」と目を剥くのがベトナムで打ち込んだ強力なクサビである。 茨城県日立市に本社がある日立GE(日立とGEの合弁会社)は、昨年から国営ベトナム電力グループが設立したベトナム電力大学で出張講座を開催した。東南アジア各国が原発の導入を計画している中、将来を担う人材を育成しようとの試みで、講師は日立GEと東京工業大学が出した。要するに今後の原発新設の8割を担うとされる新興国に、早々とツバをつけようとの戦略である。 それにしても、なぜ東京工業大学なのか。耳を疑いたくなる話がある。ことの発端は一昨年10月、菅直人首相(当時)とベトナムのグエン・タン・ズン首相が「原子力分野での人材育成への協力」で合意。日本はベトナムが計画する第二原発のパートナーとなることが決まった。その縁から菅前首相の母校である東京工業大学は、「国際原子力人材育成」の寄付講座を開設した。技術者育成といえば耳障りはいいが、これぞベトナムで原発ビジネスのうま味にありつきたい日立の“肝いり講座”に他ならない。その先棒を担いだ菅前首相が、今や“脱原発”の闘士に変身し、正義の味方らしく振る舞っているのだから皮肉でしかない。 「原発を“金のなる木”とにらむ日立にとって最大の誤算は、強力な援軍となるはずだった東電の身動きが全く取れなくなったこと。海外の受注競争では建設や保守だけでなく、運営までのノウハウがセットで要求される。東電が自分の頭上を飛び交うハエさえ満足に追い払えなくなった以上、日立は英国の原発会社に大枚を投じざるを得なかったのです」(業界関係者) 将来のドル箱ともくろむ新興国とはいえ、どこまで受け入れるかは疑問符もつく。日立の野望が頓挫したら、それこそ東電の二の舞である。
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社会 2012年11月16日 16時00分
新装開店梅田「阪急百貨店」に現れた大物名物スリ「駒崎姉妹」捕り物劇
10月26日、装いも新たにオープンした大阪・梅田の阪急百貨店で起きた、老姉妹スリの逮捕劇−−。 満員の買い物客で賑わう地下食料品売り場に、アイコンタクトを交わす2人の老女がいた。前を歩く一人は背伸びしながら買い物客の後ろから陳列ケースを覗き込み、もう一人は少し離れたところからその様子を見ている。いかにも知り合い同士、買い物につきあっているという風情だ。 「と、その瞬間、前を歩く女が、すぐ前方にいた客の鞄に素早く手を突っ込んだ。すると左右と後ろから私服の女性警察官がさっと現れ、女を取り押さえたのです。それを見て逃げだした“見張り”の女も、すぐに行く手を塞がれ、御用となりました」(地元紙記者) 2人は、地元警察の間でも名を知られた名物スリ師・駒崎恵美子(80)と、妹の妙子(72)。2人のスリ歴は、なんと約60年にも及ぶ。 「若いときに悪い友人と仲間になってこの道に入り、その後はスリ一筋で刑務所を出たり入ったり。2人が稼業に入った頃に人気があった“こまどり姉妹”をもじって、いつしか“駒崎姉妹”と呼ばれるようになったのです」(同) 若い頃の2人は、どちらもスリ役だったという。しかし最近は齢には勝てず、高齢で動きの悪い姉・恵美子容疑者が「幕」と呼ばれる見張り役になり、妹の妙子容疑者が「真打」という実行役を務めていた。それでも、2人は自分の仕事にこだわりを持っていた。それが、いわゆる“オープン荒らし”だ。 「2人は過去にも、大型百貨店や話題の商業施設の新装開店の際、ほとんど顔を出していました。そんな犯歴から、大阪府警は今回の阪急百貨店の新装開店にも2人が必ず現れると読み、女性を中心に30人の捜査員を投入し張り込ませていたのです」(同) 調べに対し、恵美子容疑者は「店内を見ていただけ」と犯行を否認。妙子容疑者は「一人でやった。一緒にいたのは女友達で無関係」と供述しているという。 「お互いをかばいあってみせるのも駒崎姉妹ならではの演技。『誰にも頼らず生きている』などとうそぶいているようですが、とんでもない話です」(捜査関係者) 2人にとって今年の年末は、いつにも増して辛いものになりそうだ。
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社会 2012年11月16日 11時45分
“NHKの朝の顔”森本アナが痴漢の疑いで逮捕される!
NHKは森本健成(たけしげ)同局専任アナウンサー(47=千葉県浦安市)が、11月14日に強制わいせつ容疑で、警視庁玉川署に現行犯逮捕されたと発表した。 逮捕容疑は同日午後7時45分頃から同55分頃まで、東急田園都市線の渋谷〜二子玉川間を走行中の急行電車内で、女性(23)の下着の中に手を入れ、胸を触った疑い。女性が二子玉川駅で森本容疑者を電車から降ろし、取り押さえた。 ただ、森本容疑者は酒に酔った状態で、「記憶がない。体に触った覚えはない」などと、容疑を否認しているという。 同局によると、この日、森本容疑者は番組出演がなかったが、午前中に出社し、打ち合わせを行った。午後に局を出て、この日の放送を終えた「おはよう日本」の同僚と渋谷周辺で食事をして、その帰りだった。ところが、森本容疑者が乗った電車は自宅と進行方向が逆で、同署では経緯を調べている。 森本容疑者は90年に入局。釧路、大阪、札幌放送局などを経て、06年から東京アナウンス室勤務。07年から「おはよう日本」の平日午前5〜6時台のキャスターを務め、08年4月からは同番組の土日祝日の担当をしており、まさに“NHKの朝の顔”だ。 同局は「ニュースキャスターを務めている職員が逮捕されたことは、誠に遺憾。事実関係を調べた上で、厳正に対処する」とコメントしている。 同局では2月に40代のディレクターの男(懲戒免職)が麻薬取締法違反で逮捕されるなど、ここ最近、職員の不祥事は少なくはないが、テレビに出演しているアナウンサーが逮捕されるのは異例中の異例だ。(蔵元英二)
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社会 2012年11月16日 11時00分
やっぱりやめられない!? 原発ビジネス 「イギリス・リトアニア・ベトナム」にどっぷり浸かる 日立の打算(1)
日立製作所が英国の原発事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーの買収に踏み切った。買収額は約850億円。これで海外の受注拡大に弾みがつくのは間違いない。 とはいえ、今や原発自体が白い目で見られるありさま。実際、インターネットの掲示板には「国民の多くが原発ゼロを願っているご時世に困ったものだ」「日立はババを引いている。将来の子供たちに核廃棄物処理という重いツケを残してばかりだ」など、個人投資家の批判的な書き込みが溢れている。 ここに言う“日立のババ”には多少の説明が要る。ホライズンはドイツの大手電力会社2社が設立。英国内2カ所に建設した原発が老朽化したことから、隣接地に原発4〜5基を建設する計画を立てた。ところが、昨年3月の東電福島第一原発事故の直後にドイツ政府が「脱原発」政策に転換したことから、電力会社は新規の原発建設から撤退。ホライズンの売却を決断して入札にかけた結果、日立がライバルを競り落とした図式である。 発表会見で日立の羽生正治執行役常務は「(海外で)原子力発電所を建設する場所が欲しかった」と買収の目的を力説した。原発の建設費用は「精査中」として公表しなかったが、関係者によると原発建設は「1基5000億円前後」とされており、日立にとっては膨大な先行投資となる。これに対して投資マネーの回収には「順調に運んでも20年余はかかる」(関係者)のが実情。これでは中西宏明社長をはじめ日立首脳が「東電事故の悪夢再現だけは御免被りたい」と、神にも祈る心境になったとしても無理はあるまい。 ところが、日立は原発の海外進出への野望をたぎらせる。バルト3国のリトアニアでも、昨年7月に原発建設の優先交渉権を獲得。近く同国政府と正式契約し、2021年の稼動を目指す計画だった。そんな折、先ごろ実施された国民投票で、原発建設に対する反対が6割を超えたことから、にわかに雲行きが怪しくなってきたとの報道が相次いでいる。しかし、業界筋はいささか楽観的にこう話す。 「国民投票には強制力がない。しかも同じ日に行った議会選挙で第1党となった野党労働党は、当面の条件付きながらも原発計画の継続を表明しています。福島の原発事故への関心が高い反面、その経験に基づくノウハウが蓄積されているだろうとの“期待”も、リトアニアにはあるようです」 確かに日立は、東電福島第一原発で1号機と4号機を主契約者として納入したほか、福島第二原発の2号機と4号機、柏崎刈羽原発の4〜7号機、中部電力浜岡原発の1〜5号機などの納入実績がある。その点では東芝(=傘下の米ウエスチングハウス)、三菱重工と並ぶ“原発御三家”の面目躍如だが、福島原発の大惨事を機に国内の新規受注など望むべくもない。言い換えれば、だからこそ日立は海外に活路を求めるべくシャカリキになっているのだ。
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社会 2012年11月15日 21時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 郵政上場は財務省の焦りか
日本郵政は10月26日、2015年秋までに株式を上場する方針を政府に示した。郵政民営化見直し法にもとづき、株式を段階的に売却して、最終的に政府保有分を3分の1まで減らす方針だ。日本郵政が自ら株式放出を進めようとしている理由は明確だ。これを機に、一気に新規事業に打って出ようというのだ。 実際、下地幹郎郵政民営化担当相は、閣議後の記者会見で、「新規業務を議論できるスタートラインに立った」と述べて、政府としても新規事業参入を認める意向を明らかにした。新規事業は、住宅ローンや医療保険などになりそうだ。 しかし、日本郵政の新規事業参入に関しては、民間金融機関が強く反発している。金融業界を監督する財務省は、なぜ日本郵政の新規事業参入を認めることにしたのか。 それは、明らかに株式売却収入との引き換えだろう。日本郵政株の連結純資産は11兆円ほどあるから、株式の3分の2を売却すると、国庫に7兆円程度が入ってくる勘定になる。国家財政が厳しくなる中で、財務省がついに郵便局のたたき売りに出たのだ。 日本郵政が保有する子会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式売却は、日本郵政自身が判断することになっているから、当面はこれらの株式が売却されることはない。したがって、郵便事業の赤字をゆうちょとかんぽの黒字で穴埋めするという経営構造は維持できる。だから、日本郵政株を放出したとしても、すぐに問題が起きるわけではない。 しかし、長い目で見れば、新たに株主となる投資家にとっては、郵便事業がいつまでも赤字を出してよいわけがないので、郵便事業の合理化への圧力が高まることは間違いない。 ただ、一番大きな問題は、株の放出で「民間企業」となったゆうちょやかんぽが、資金運用を国債中心から、他の金融資産に移す可能性だ。 現在、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が保有している国債は、約220兆円で、国債発行の3分の1近くにのぼる。これまで日本が膨大な国債を発行しても、順調に消化することができたのは、官営のゆうちょ銀行やかんぽ生命が、黙って国債を買い続けてきたからだ。 それだけではない。ゆうちょ銀行の貯金者やかんぽ生命の契約者は、自分が預けたお金の大部分が国債で運用されていることを知らない。だから、国際投機資本、すなわちハゲタカたちが、どんなに日本国債を暴落させようと画策しても、実現することはなかった。いくら格付け会社が日本国債の格付けを下げたところで、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の利用者が、動揺して解約に走ることがないからだ。 今回の日本郵政株の上場は、こうした日本財政の安全装置をゆるがす第一歩になりかねない。財務省は7兆円の株式売却収入欲しさに、自ら発行する国債の最大の買い手を失ってしまうことになるのかもしれないのだ。 それだけではない。ゆうちょ銀行が住宅ローン市場に参入して、それがうまくいく保証はどこにもない。民間銀行でさえ住宅ローンで多くのこげ付きを出しているのだから、融資経験のないゆうちょ銀行に事故が起こらないはずがないのだ。 日本郵政株を売るくらいだったら、中央官庁が保有しているグラウンドとか研修所とか、先に売るべきものがたくさんあるのだ。
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社会 2012年11月15日 21時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第2回「国の借金というプロパガンダ」
日本のデフレ脱却を妨げている「最悪の情報の歪み」は、いわゆる「国の借金」問題だ。財務省がマスコミに叫ばせている「日本は国の借金で大変だ。だから増税」というキャンペーンは、根っ子の芯から完璧なまでのプロパガンダ(政治的意図を持つ宣伝活動)である。そもそも「国の借金」という用語自体が「誤用」なのである。 国の借金とは、何だろうか。普通の日本人が「国の借金」という言葉を聞くと、「ああ、日本国が外国から借りている借金のことね」と思うだろう。そう思わせるためにこそ「国の借金」という言葉が使われているわけだから、当然だ。「国の借金が莫大」というフレーズを聞いたとき、日本国民の多くは「自分を含めた国民の借金が多いという話か! 大変だ!」と認識してしまい、増税に対して「仕方がない」という諦観を持つようになる。まさに、それが財務省の手だ。 筆者は「用語」「フレーズ」の定義を極めて重要視する。筆者が使う用語で、明確な定義(しかも数値データベースの定義)がされていないものはない。とはいえ、普通の人はこの種の発想(必ず定義する)をしないため、財務省式「用語を故意に誤用する」タイプのプロパガンダに、一発で引っかかってしまうのである。 財務省が「国の借金」と呼んでいる概念は、正しくは「政府の負債」である。「国」でも「国民」でもなく、日本政府の借金のことなのだ。これは別に、筆者のオリジナル定義というわけではなく、グローバルに「政府の負債」なのだ。英語で書くとGovernment Debtになる。 ちなみに、日本銀行の資金循環統計上は、グローバルな定義通り「政府の負債」として統計されている。すなわち、同じGovernment Debtについて、日本銀行は「政府の負債」と正しい用語を用い、財務省は「国の借金」と呼んでいるわけだ。 この時点で、財務省が「用語の誤用」により、何らかの印象操作を試みていることが明々白々となる。 筆者がある番組において、アシスタントの女の子に「日本は国の借金が莫大と言われているけど、誰から借りているか知っている?」と訊ねたことがある。彼女は少し考えた末に、「外国?」と答えたのだ。財務省の「用語の誤用」プロパガンダが、見事なまでに望まれた効果を上げていることがわかる。 国の借金ならぬ「政府の負債」の詳細については、次回以降に解説していくが、まずは正真正銘の「日本国家の借金」について書いておきたい。 実は、財務省式の「インチキ国の借金」の話は脇に置いておいても、日本国は国家として外国から莫大な借金をしている。すなわち、対外負債がそれなりの規模で存在しているのだ。その額は、驚くなかれ372.1兆円である(日銀資金循環統計'12年6月末速報値より。以下同)。 確かに、財務省の言う「日本の国の借金は1000兆円!」はウソなのだが、それにしても現実に400兆円近い「国の借金」が存在しているわけだ。 ところが、我が国は何も外国からお金を借りているばかりではない。無論、外国に「貸し付けているお金」というのも存在するのである。対外資産もそれなりに持っているのだ。 いや、それなりに、ではない。何しろ、日本国の対外資産は630兆円というとてつもない金額に達している。 日本は世界に630兆円のお金を貸し付けている(日本の対外資産が630兆円)。それに対し、世界は日本に371兆円貸している(日本の対外負債が371兆円)。 すなわち、現在の日本は世界に対し259兆円(=630兆円-371兆円)の対外純資産状態にあるわけだ。 そして、日本の対外純資産額259兆円というのは、実は世界最大だ。 普通に考えて、お金持ちの定義は「金融資産が多いこと」ではない。たとえば、ある人物が100億円の金融資産(銀行預金など)を持っていると聞くと、「お金持ち!」と思うかも知れない。だが、実は彼には120億円の負債(借金)もあると聞くと、「え? 大丈夫?」と、判断を翻すことになるだろう。何しろ、この人物は実際には20億円の債務超過状態なのだ。 それに対し、「金融資産が100億円。負債はゼロ」という人がいたとすると、これは間違いなくお金持ちと評価していいだろう。何しろ、100億円について「返済等は一切考えず、好きに使える」のである。 というわけで、お金持ちの定義は「金融資産が多いこと」ではなく、「純資産が多いこと」になるのだ。そして、日本の対外純資産の額は259兆円に達し、世界最大だ。 実は、日本は「国家」としてみれば借金大国どころか、世界最大のお金持ち国家なのである。これは統計的に証明された事実であり、たとえ財務省といえども否定することはできない(ちなみに、世界で最も対外純「負債」が多い国、すなわち貧乏国はアメリカである)。 日本の対外純資産が世界最大なのは、我が国が延々と経常収支の黒字を積み重ねてきたためだ。実は、対外純資産は経常収支の黒字の積み重なりで増えていくのだが、この手のマクロ経済の知識を持たず、さらに新聞やテレビで財務省発「日本は国の借金が莫大で破綻する!」という論説にのみ触れている国民は、「じゃあ、増税も仕方がないね」と、自分たちの生活を破壊し、所得を押し下げることが確実な消費増税にさえ賛成してしまう。現実の日本国は「世界一のお金持ち国家」であるにも関わらず、だ。 情報の歪みとは、かくも恐ろしいものなのである。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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都知事選 ラストサンデーで石原氏を袋叩き
2007年04月02日 15時00分
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都知事選特集 占い師対決
2007年04月02日 15時00分
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谷隼人が都知事選候補者を応援
2007年04月02日 15時00分
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都知事候補 黒川氏がメイドさんと“合体”
2007年03月31日 15時00分
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都知事選 ドクター中松、夜の渋谷交差点で新発明「回転舞台」披露
2007年03月30日 15時00分
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都知事選 石原氏「厳戒歌舞伎町演説」で語った手柄話
2007年03月29日 15時00分
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石原陣営に焦りアリアリ!? 今朝の政見放送でまさかの慎太“老”ぶし炸裂!!
2007年03月28日 15時00分
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都知事選政見放送で仰天マニフェスト
2007年03月27日 15時00分
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都知事選「浅草雷門で時間差対決、石原VSドクター中松」
2007年03月26日 15時00分
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都知事選 浅野スニーカー街頭演説でセクシーポーズ
2007年03月24日 15時00分
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都知事選 石原氏満員電車でGO!
2007年03月23日 15時00分
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都知事選きょう告示、石原氏ら第一声
2007年03月22日 15時00分
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桜金造都知事選正式表明
2007年03月20日 15時00分
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社会
都知事選 黒川氏が石原知事をホリエモン呼ばわり
2007年03月19日 15時00分
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社会
ホリエモン実刑
2007年03月16日 15時00分
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社会
丸山弁護士東京都知事選出馬へ
2007年03月09日 15時00分
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社会
石原カジノ構想消滅!?浅野氏に“追い風”吹く
2007年03月07日 15時00分
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上層部スタッフが告発 NOVA 怪文書
2007年02月21日 15時00分