石原氏はこれまでの街頭演説でもあえて高齢であることを持ち出し、高齢有権者の共感を誘うようなところがあった。しかし、28日の政見放送では「老人」という言葉を使い、弱々しさをことさらアピールした。
「私自身も『老いてこそ人生』の歳になりました。老人福祉はまかせてください。これは私自身のことでもありますから」と言い切ったから驚いた。
ベストセラーの自著「老いてこそ人生」にひっかけたわけだが、選挙戦では金ボタンのブレザーにレジメンタルタイという若さを強調したスタイルを好んでいる。他候補とのバトルで高齢であることがマイナスに働かないよう配慮しつつ、高齢ゆえに高齢者福祉には積極的であることを訴える作戦。それは二面性というより、まだまだ元気な高齢者パワーを前面に打ち出しているのだろうが、それにしてもコワモテのイメージが強い石原氏だけに意外な戦略といえる。