「NOVAのホームページによると、英会話教室の統合などのリストラで今期中間期の売上高は285億4700万円。この数字は前年同期の11.6%減です。利益面でも営業利益はマイナス21億6700万円、経常利益はマイナス21億400万円、中間純利益はマイナス33億6500万円と赤字のオンパレードです。売上高は第4四半期(1月〜3月)に集中することから下半期に最大の効果が現れてくる、と言っていますが、今回の中途解約トラブルが表面化したことで、かなり難しくなりましたね」(経済ジャーナリスト)
NOVA(本社・大阪、猿橋望社長)の中途解約トラブルは何も今に始まったことではない。かなり以前から、問題にされてきたのだ。
NOVAの内情に詳しい元同社幹部は言う。
「生徒から授業料を前受け金として受け取っているのに、なぜ半期で21億6700万円もの赤字を出さなければならないんだ、ということです。“現金商売”なのに赤字というのは固定化した経費が多すぎるんです。もっとリストラしなければ、このままでは破綻しますよ」
悲惨なのは株主だ。96年の公開時は6610円だったNOVAの株価は、現在200円前後で見る影もない。経営危機を裏付けるような内部告発もある。
「株式会社NOVAの反社会性を告発する」というタイトルの怪文書は、「…ただ客を食い物にした反社会性に満ちている。また女ずきな社長の女性関係で会社組織は動いていて、社長の趣味のマルチメディアに莫大な金が注ぎ込まれている。その上、経済ゴロと思しき輩が社内を横行する様は、とても健全な経営など望むべくもない状態だ」と、怒りに満ちている。この怪文書の冒頭には「私はNOVAの社員であり上層部のスタッフです」という書き出しがある。信憑性はかなり高いと言われている。
また、“お茶の間留学”の電話システムが足を引っ張っていると指摘する元幹部もいる。
「テレビ電話システムの機器はNOVAの子会社が販売しているんですが、約9万円もするんです。このほかに入会金、月会費、さらに利用料、通信料、授業料がかかる。インターネットの普及がここまで浸透して、接続料もますます安くなっている。インターネットの英会話教室も登場していますから、このテレビ電話システムは大誤算というわけです」
さらに、前出・元幹部はNOVAの不透明な資金調達法を暴露する。
「関連子会社がNOVAの株式を担保に銀行から借りているんです。この関連子会社は非連結ですから、決算のとき『非連結の会社ですから、NOVAとは関係がありません』と逃げられるんです。しかし、非連結とはいえ関係会社の役員には猿橋社長はじめNOVA本体の役員が就任している。そのうえ、この関連子会社はNOVAの利益で設立されたものです。商法上は問題ないかもしれませんが、社会常識からいえばNOVAと一体といえます。株主代表訴訟が起きても不思議ではありません」
現在、英会話教室は乱立し多様化している。加えて、インターネットでも簡単に英会話が出来るようになった。こうした現状を考えると、NOVAの苦境は察しがつく。前納した授業料を中途解約者に返金したくない気持ちは分かるが、経営危機説も流れるNOVAの奮起を望みたいところだ。