名古屋高検の濱克彦次席検事は「判決では、捜査機関において、誘導等の不当な働きかけを行い、その結果、関係者の1人の嘘の供述に沿う他の関係者供述が形成された疑いがあるなどとして、関係者供述の信用性が否定された。証拠の信用性の評価に関する裁判所の指摘を重く受け止めている」とコメント。「前川さんが相当の期間、服役して今回、無罪になっていることを厳粛に受け止め、判決の問題点については真摯(しんし)に教訓にすべきと考えている」と述べた。
87年に逮捕された前川さんは、一貫して事件への関与を否定してきた。一審は無罪だったものの、二審で懲役7年の有罪判決が言い渡され、最高裁で確定。服役した後、2011年に再審を認める決定が出たが、検察の異議申し立てを受けて取り消された。昨年10月に、2度目の再審請求を高裁金沢支部が認め、やり直し裁判が決定した。
ネット上では、「ずっと無罪を主張していたのに、時間がかかり過ぎ」「無罪が確定しても、失われた人生は決して戻ってこない」「金銭的補償をもってしても、38年間という時間は返すことができない」「『疑わしきは被告人の利益に』ではないのか」
逮捕から38年もの間、司法の判断に翻弄されてきた前川さん。47年にわたって身柄を拘束され、昨年9月に無罪を言い渡された袴田巌さんを思い起こす人も多いだろう。失われた時間はあまりに重い。