新日本
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スポーツ 2018年03月28日 17時40分
AJとの大一番を前に中邑真輔がシェルトン・ベンジャミンと元新日本対決!【WWE】
世界最大のプロレス団体WWEは日本時間3月28日、ペンシルベニア州ピッツバーグで主力ブランド、スマックダウンを開催。同4月9日にルイジアナ州ニューオリンズのメルセデス・ベンツ・スーパードームで開催するWWE年間最大のイベント『レッスルマニア34』で、AJスタイルズが持つWWE王座に挑戦する中邑真輔がシェルトン・ベンジャミンとシングルで対決した。 中邑とベンジャミンは、新日本プロレス時代の2013年に中邑が保持していたIWGPインターコンチネンタル王座を懸けて2回、G1クライマックスで1回の計3回、シングルで対戦している。中邑が2勝1敗と勝ち越しているが、3試合とも鈴木軍のシェルトン・X・ベンジャミンとして活動していたベンジャミンの強さが引き出された好勝負だった。 ベンジャミンは2015年から鈴木軍とともにプロレスリング・ノアに戦場を移し、そのままWWEに復帰を果たしてしまった。中邑との再戦を期待していたファンの落胆は大きかったのだ。 しかし、予想だにしない形で2人のシングルが実現することになったのだ。中邑はAJともIWGPインターコンチ王座を懸けて好勝負を演じただけに、その前にベンジャミンと対戦するのは必然だったのかもしれない。 試合は中邑がAJをセコンドに指名すると、ベンジャミンはパートナーのチャド・ゲイブルをセコンドに付けてゴング。あの頃の鈴木軍のように試合介入を試みるゲイブルをAJがアシスト。中邑はリング上でベンジャミンとの再会を楽しむかのように、サブミッションとレスリングを織り交ぜながらニュージャパンスタイルをベンジャミンと展開していく。最後はジャンピングキンシャサから、コーナーで「滾(たぎ)るポーズ」を決めてトドメのキンシャサでフォール勝ち。ベンジャミンはWWEでも中邑のキンシャサ(ボマィエ)を防ぐことができなかった。 試合後、中邑は「今日は俺が、レッスルマニアでどうやってお前を倒すかを見せるためにセコンドに呼んだんだ」とAJにマイクアピール。AJは「俺はお前に勝ってベストであることを証明する」と切り返すと、中邑は「お前は感情的すぎるから俺が勝つ」とAJに勝利宣言した。 すると、会場にまだ残っていたベンジャミン&ゲイブルが背後からAJを襲撃。中邑が蹴散らすと、何とAJにキンシャサを狙う構えを見せる。しかし、キンシャサをお見舞いするフリをして寸止めすると「ニー・トゥ・フェイス」と語り、中邑はAJを馬鹿にするかのように頭を叩き、リングを降りた。レッスルマニアまで残るスマックダウンは1回。最後にどんな“前哨戦”が行われるのか注目したい。 AJとベンジャミンは2015年に新日本でリングをともにしていたが、AJがリーダーを務めていたバレットクラブと鈴木軍の絡みがあまりなかった。2015年は両選手ともフル参戦していなかったこともあり、シングル対決は実現していない。試合後にベンジャミンがAJを襲撃したことを見ても、中邑も含めた元新日本3戦士は、レッスルマニア以降も複雑に絡み合っていくのではないか。 今後もフィン・ベイラー、カール・アンダーソン、リコシェら、新日本マットで好勝負を繰り広げた選手たちによる数々のカードが、WWEの舞台で実現していくのは間違いない。AJ対中邑もその第一歩に過ぎないと思うと、今後が非常に楽しみである。文・どら増田写真提供・©2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
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スポーツ 2018年03月25日 18時00分
プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「上田馬之助」日本プロレス界の発展に尽くした“金狼”
日本人では初の本格ヒール(日系レスラーを除く)として新日本、全日本、国際プロレスの各団体で暴れ回った上田馬之助。悪逆の限りを尽くしながら、日本マット界への思い入れは人一倍であったという。 「悪役の方が、実は裏ではいい人」というのは、プロレス界においてよく言われることだが、確かにそうした傾向はあるようだ。 誰もがスターを目指す中にあって、ベビーフェイス(善玉)を盛り立てる憎まれ役をあえて引き受けるのだから、お人好しとすら言えようか(もちろん例外はあるのだが…)。だいたい根っからの悪人が凶器攻撃などの反則を犯した日には、どんな大事故が起きるか分かったものではない。 そんな“悪役=善人”をまさに地で行ったのが、上田馬之助であった。 「生前の上田は『悪役のイメージが崩れるから』と公表を拒んでいたが、障害者施設への慰問などボランティアに熱心だったことは、関係者の間ではよく知られた話でした」(スポーツ紙記者) インディー団体IWAジャパンの巡業中、自動車事故に遭った際には、自身が全身麻痺の重傷を負ったにもかかわらず、運転していた営業部員が亡くなったと聞くと「なんで若い者が死ななきゃいけないんだ。俺が死ねばよかった」と、人目もはばからず号泣している。 日本プロレス時代に“裏切り者”の汚名を着せられた件も、そうした人の好さに起因している。アントニオ猪木が腐敗した会社幹部の一掃を画策した際、当初は賛同していた上田が密告し、それが猪木追放につながったという事件である。 しかし、のちの関係者の証言によれば、猪木の“日プロ乗っ取り”を幹部に伝えたのは、上田を詰問してその計画を吐かせたジャイアント馬場だったという。これについて上田は「(馬場をエースに担いでいた)当時の社内状況ではとてもそのことを言える状態ではなく、自分が罪をかぶらざるを得なかった」と、後年に語っている。 日プロ幹部にしてみれば、「上田を悪者にして事態を収束し、これからも馬場と猪木で稼いでいこう」との気持ちがあったのだろう。 しかし、当事者である猪木だけでなく馬場までもが退団していく中で、冷遇された上田は、日プロ崩壊のそのときまでリングを守り続けた。裏切者とのそしりを受けようが、尊敬する力道山が創設した団体を離れることができなかったのだ。 その後、いったんは馬場率いる全日本プロレスの所属となるが、これを離脱して1974年頃からアメリカへと主戦場を移す。東洋人としては珍しく、長身で見栄えのする上田は、アメリカマットで悪役人気を高めることになるが、そうなると放っておかないのが日本のプロレス界である。 当時としては、まず本格的な日本人ヒールというのが珍しく、日プロ仕込みの技術があって仕事はバッチリ。外国人と違って交渉もしやすく、何よりファイトマネーが安くつく。 「安いというのはあくまでも日本の団体の都合で、本来ならフリー参戦の上田には、外国人並みの処遇をするのが当然。しかし実際のところは、団体所属の日本人選手と同等の扱いだったようです」(同) 新日本プロレス参戦時には、主にタイガー・ジェット・シンのパートナーを務めた上田だが、これはまだ粗削りだったシンを手助けする“お守り”の意味も大きかった。それでいてファイトマネーは、シンよりも格段に安かったという。 ならばアメリカで、トップヒールを目指した方がビッグマネーをつかむチャンスはあっただろう。'74年の渡米時には骨を埋める覚悟で、家族も連れていっている。しかしながら、上田は日本での闘いを選んだ。 「その理由は一つではないかもしれないが、上田にとっては“日本のプロレス界のため”という意識が大きなウエートを占めていたことは確かでしょう」(同) 言うなれば、メジャーの契約を蹴って広島カープへ戻った、黒田博樹のプロレス版といったところだろうか。師と仰ぐ力道山がつくった日本のプロレス界、これに対する上田の愛情は深く、日プロ時代に交付されたプロレスラーのライセンス証を終生にわたって肌身離さず持ち続けた。 インディー団体に参戦するようになってからも「力道山先生の頃の本格的なプロレスを復活させたい」と、事あるごとに口にしてきた。 自動車事故で車椅子の生活となった後、自身のリングネームを九州の小さな地域団体の選手に譲って2代目を名乗ることを許したのも、「自分はリングに上がれなくても何か役に立ちたい」との気持ちがあってのことではなかったか。 「力道山の頃とは時代が違う」との声もありそうだが、自身の損得よりも日本プロレス界の発展を願った上田の遺志は、決して軽んじられるべきではない。上田馬之助1940年6月20日〜2011年12月21日。愛知県出身。身長190㎝、体重118㎏。得意技/竹刀攻撃、クロスチョップ。文・脇本深八(元スポーツ紙記者)
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スポーツ 2018年03月23日 17時42分
WWE中邑真輔が語るプロレス界世界最大の祭典『レッスルマニア』の楽しみ方
先週からスタートした週末の新連載『どら増田のプロレス・格闘技aID』。普段取材しているプロレス、格闘技の記事と並行して執筆している。取材を通して感じたことや取材秘話はもちろん、プロレス観戦歴36年目の私がこれまで見て感じてきたこと、そして最新情報まで紹介する。団体や歴史の枠にとらわれることなく、プロレスの面白さを少しでも伝えることができたらと思う。 2回目は、先週公開した中邑真輔のインタビューの後編だ。2016年に新日本プロレスから世界最大のプロレス団体WWEに移籍し、主力ブランド、スマックダウンに所属する“ロック・スター”の中邑。レッスルマニアでのAJスタイルズ戦に向け、先日、電話で日本のマスコミ向けに伝えたロングインタビューの後半をたっぷりとお伝えする。−−最近、肉体がシェープになりましたが? こっちだと自分で運転して、自分で宿泊先を探して…とスケジュール管理が非常に厳しくなっている。タイムスケジュールを管理し予定を立てているので、体に関しては(厳しい管理を)やってますね。−−ホテルのジムでトレーニングしているんですか? どうしても年間200試合(をこなし)、かつ飛行機移動、自分でドライブもしている。自分でジムを探してトレーニングしています。自分の好きなトレーニング方法を入れるとしたら、インターナショナルツアー以外の週3日しかないんですよ。それで体を回復させるのか、それともスパーリングやボクシング、キックボクシングとかのトレーニングをするのか。どうしてもジムワークが多くなってくるので、そこを工夫しながらやってますね。あとは食事が大きいです。−−食事は外食が中心ですか? 日本はどの街に行ってもおいしいものがあふれてる。アメリカは(食事に)そこまで期待できないので、ダイエットに対する誘惑が少なくて済むんですよ。ちゃんとした日本食は超難易度が高いですから。あとはアメリカにはヘルシーフードの流行りがあって、ジムに通ってトレーニングする人が日本より圧倒的に多い。自己管理する環境に接しやすいというのはありますね。−−プロモーションの時間が増えていますが、しゃべりについて自己採点すると何点ですか? 100点でないことは確かです。例えば発音の悪さなんてものは、いいようにとらえれば、それもフックになると思ってます。コミュニケーションは普通に取れているので、気にはしてないですけど、どこで印象を残せるかですよね。いい印象にしろ、悪い印象にしろ。−−コスチュームへのこだわりは? レッスルマニアのコスチュームはかなりの時間とお金をかけました。日本で今まで作ってもらってた方が辞めてしまって、しばらくはアメリカでやってたんですけど、どうしてもクオリティーの差が…。日本で作ってもらえる方を探して、アメリカまで来てもらってます。レッスルマニアのコスチュームは自分のテーマに沿ったものになると思います。−−全体的な注目度が高まる中、他の試合とどんな違いを見せたいですか? すでに全く(他の試合と)違いますからね。それを狙ってAJスタイルズを指名したわけですけど、他のWWEの選手の組み合わせではできない試合をしようと思います。−−勝ったらどんな姿を見せたいですか? うーん。どうも形容しがたい。試合に勝ちたいというよりも、内容も含めてレッスルマニアに出場するすべての選手に勝ちたいな。−−大観衆からの声援については? 客が乗れば乗るほど、自分も気持ち良く試合ができますから。パフォーマンスは上がりますね。楽しみです。特にレッスルマニアですから。意思を持って(観に)来ている人たちなんで。『たまたまレッスルマニアに来ました』っていう人はまずいないじゃないですか。−−ロイヤルランブルに優勝したことで、注目度が高まりましたが? こっち(アメリカで)は普段からけっこうカジュアルに声をかけてくるので…。そこまで効果があった印象はないですね。アメリカ人は「ヘイ、シンスケ!」って感じで声をかけてくれるので、友だちだったっけ?みたいな(笑)。−−インスタグラムにサーフィンの写真を載せていますが、週に何回行ってますか? 行ければ毎週ですね。毎日は行けないので。インスタグラムには趣味を載せて、気が向けば宣伝。サーフィンに関してはただ単に記録の写真です。もうちょっと上手くなりたいというのもありますし、どこかサーフィン系のスポンサーが付いてくれないかなというのもあります(笑)。−−日本のファンへ、レッスルマニアの楽しみ方を教えてください。 僕も生で観て3回目。もっと長く観ている人もいる。いちばんの醍醐味はどデカイ会場で、世界中の人たちと楽しむということ。ライブ配信も含めて、世界が一体になるという部分はありますね。−−WWEの環境には100%慣れましたか? 100%ではないですね。アメリカで生活している以上、文化の違いもあるし。大阪の人が東京に来ると慣れないとかあるじゃないですか。だいぶ心地良くやってますけど、それにおごらずって感じで、日々やっています。−−移動中の車中では何をしてるんですか? 英語の教材を聴いたり、YouTubeで落語を聴いたり。他のレスラーといるときはダラダラしゃべったりします。運転が長い時は次の街まで5時間(かかる)とかあるんですよ。3時間ぐらいでストップして宿泊みたいな。雪が降ってたら、泊まる予定だった宿泊先をキャンセルして、ちょっとだけ行ったところの宿泊先にしてとか(日程変更する)。けっこう車中でできることってないんですよね。−−昔から落語は聴いていた? 聴いてないですね。何かないかなと思ってて。たまたまYouTubeのオススメに出てきたのは立川志の輔さんだったんですけど。音声だけで楽しめるっていうのはよくありますね。音楽も聴きますけど、それだけじゃ飽きるので。−−バレンタインデーはインスタグラムに赤福の写真をアップしていましたが? コスチュームをデザインする方をアメリカに呼んだときに、ダメもとで賞味期限が切れるのを承知の上で、赤福をお願いしたんですよ。赤福は日本にいるときも自己責任のもと1週間ぐらいかけて食べていたので。あれは1日でサラッとは食えないでしょ(笑)。−−中邑さんのマネをする中邑珍輔は知っていますか? その方だけじゃなく、世界中のいろんな方がコスプレのネタにしてくれる。パフォーマンスしてる方としては、いいことなんじゃないかなって。−−最後に日本のファンにレッスルマニアや夏の日本公演に向けたメッセージをお願いします。 レッスルマニアには最高の形で出場できるので、結果を手にし、最高の形で日本公演に出場できればと思ってますね。−−ありがとうございました。 新日本時代もインタビューは“長め”だった中邑だが、先週、今週とお届けしたロングインタビューは、予定をはるかに超えるものだった。レッスルマニアで勝利を収めるようなことがあれば「プロレス版メジャーリーガー」として、チャンピオンリングならぬチャンピオンベルトが舞い込んで来る。世界最大のプロレス団体であるWWE最高峰のベルトを、英語圏、スペイン語圏以外、なおかつ世界的に見ても割合が少ない日本語圏の選手が巻くのは不可能と言われていたこともあった。それだけに、歴史的快挙に期待が高まる。 次週は中邑と同じく、アメリカで活躍するレスラーをインタビューした。レッスルマニアで“リビングレジェンド”リック・フレアーの実娘、シャーロット・フレアーが持つスマックダウン女子王座に挑戦する日本人スーパースター、アスカのロングインタビューをお届けする。お楽しみに。【どら増田のプロレス・格闘技aID vol.2】文・どら増田写真提供・©2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
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スポーツ 2018年03月23日 06時45分
「TAKAは手相を見て優勝を予告した」ザックがイギリス人初のIWGPヘビー戴冠宣言【新日本】
『ニュージャパンカップ』決勝で棚橋弘至を破り、初出場にして初優勝を果たしたザック・セイバーJr.が激闘から一夜明け、都内の新日本プロレス本社で会見を開いた。新日本は先日、本社を中野坂上からフロアの広い目黒のビルに移したばかり。新本社で行われた初の一夜明け会見に姿を現したザックの表情は自信にあふれていた。4.1両国国技館大会ではオカダ・カズチカが保持するIWGPヘビー級王座への挑戦が決定したザックが、どんなことを話したのか。なかなか興味深い会見だったので、最後まで読んでいただきたい。 まず優勝から一夜明けての心境について「まだ一夜しか経っていない。たが、あと2週間でIWGPヘビー級という大切なベルトに挑戦することとなった。自分は史上初のイギリス人IWGPヘビー級チャンピオンとなる」といきなり戴冠宣言。さらに「海外のプロレスファンは、誰もこの勝利に驚いていない。なぜならイギリス、アメリカ、アイスランド、北極、北極クマだろうと、サンタクロースだろうと、北半球にいるみんな、自分の強さを知っているからだ」と語ると「サンタクロースのところは必ず書いてくれよ(笑)」と笑顔で報道陣に注文した。 続けて報道陣から、オカダのように体格差がある選手に対して関節技は通用するのか?という質問が飛ぶと「『いえ。サブミッションで勝てるとは思えません』と答えるんだったら、実家に帰った方がいいんじゃないかと思う。自分はオカダを倒すだけでなく、サブミッション、ピンフォール、何でもいい。自分がフィニッシュをして、オカダをIWGPヘビー級王座から陥落させる。それもギブアップでな。そして、イギリス人として初めてのIWGPヘビー級チャンピオンというのが記憶に残るはずだ。新日本プロレスはもともとサブミッションをベースとしているプロレスラーが多かったのに、どうしたんだ?」と元来、新日本のベースだったはずのストロングスタイルについても言及。「ストロングスタイルはボクのことだよ。ボクは新弟子として新日本プロレスの道場でトレーニングをしていたわけではないが、このスリムでブリットなボクの方がストロングスタイルとは何かを理解しているんじゃないかと思っている。誰がそんなボクに挑戦できるのかな?オカダ?メキシカンサブミッションスタイル?俺こそがストロングスタイルなんだ」とまで言い切った。 また『ニュージャパンカップ』からザックのマネージャーとしてサポートしているTAKAみちのくの存在について質問すると「TAKAは自分にとって、先見の明のある占い師のような人だ。で、手相を見てくれたんだけど『ザックが優勝するよ』と言ってくれた。自分の後押しをしてくれる人だ。彼も90年代、ジュニアヘビー級の選手として1人で海外に出て行って、成功を収めたという観点からしても、自分のことを一番理解してくれている人である。いま、TAKAはハンサムで若いブリットボーイをボニー&クライドのようにサポートしてくれている。TAKAとは初めて一緒にこのツアーに参戦したが、初めての『NJC』でトロフィーを獲得することができた。これだけ大きなことを成し遂げたのならば、次はどんなことが起こるのだろうと楽しみになるよね。次はもしかしたら、IWGPヘビー級チャンピオンシップなんじゃないのかなと思うよ。なぜならば、『NJC』が始まる前、自分は“ダークホース”だった。いや、ダークホースとも言われないぐらい、誰にも期待されていない選手だった。でも、TAKAは自分を信じて、自分が勝てるということを知っていてくれた。そして、勝つことができた」と感謝の気持ちを口にしていた。 「英国もサブミッションレスリングというものが根底に広がっている。それを自分は戻したいと思っている。アメリカのいま流行しているカッコつけただけのカメラ目線をキメて、Tシャツを売るだけのプロレスではなく、自分を見てほしい。こんなスキニージーンズをはいたオシャレ男子が、日本と英国の歴史あるプロレスのスタイルというものを持ち帰りたいと思う。そして、ブライアン・イーノを知ってるか? アンビエント・ミュージックを創り上げた人だけど、自分は彼のように古き良きものから新しいものを創り上げる。そういう人になりたい」 ザックがここまで自身のことについて話をしたのは、プロレスリング・ノアに留学していた時も含めて初めてではないだろうか。カール・ゴッチ、ローラン・ボック、ダイナマイト・キッド、初代ブラックタイガー、スティーブ・ライト、ピート・ロバーツ、トニー・セント・クレア、デーブ・フィンレー、スティーブン・リーガルら、グラウンドを得意とするヨーロッパの選手は過去何人も“ストロングスタイル”を求めて新日本のマットに上がり、アントニオ猪木や坂口征二、藤波辰爾、長州力、闘魂三銃士といった日本勢を苦しめてきた。ザックの快進撃を見ていると歴史は繰り返すと思わざるを得ない。 会見の最後には「ベルトを英国に持ち帰る」と改めて王座奪取を宣言。「欧州で初めてのIWGPヘビー級王座の防衛戦をやりたい。IWGPの“I”というのはインターナショナルの意味だが、このベルトは常に日本にあるもの。新日本プロレスは世界最高の団体だと思っている。でも自分は世界中を転戦している。もし、このベルトと団体をこれ以上に拡大したいのなら、それをやるのは自分しかいない」とインターナショナルな防衛ロードプランも明らかにした。 チャンピオンのオカダは現在10回連続防衛中で、棚橋が保持している防衛記録11回に王手をかけている“絶対”王者。ザックはそんな“絶対”王者からタップアウトもしくは、関節絡みでオカダの動きを止めてレフェリーストップ勝ちを収めることができるのか?4.1両国大会もザックから目が離せない。取材・文・写真 / どら増田
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スポーツ 2018年03月22日 21時50分
ザックの勢い棚橋も止められずタップアウト!ザックがNJC初優勝【新日本】
『ニュージャパンカップ2018』新日本プロレス▽21日 新潟・アオーレ長岡 観衆3,996人(札止め)▼ニュージャパンカップ2018決勝戦(時間無制限1本勝負)●棚橋弘至(34分02秒 オリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デス)ザック・セイバーJr.○※ザックが『ニュージャパンカップ』初優勝“JUST TAP OUT” 3.6大田区大会で鈴木軍のTAKAみちのくが、内藤哲也を挑発した時にこの言葉を使ってからわずか15日。『ニュージャパンカップ』(NJC)に初出場したザック・セイバーJr.はこの言葉を実践するかのように、1回戦で内藤をオリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デスでタップアウトを奪うと、2回戦は飯伏幸太をジム・ブレイクス・アームバーで締め上げてレフェリーストップ勝ち。準決勝ではSANADAから変形アームバーでタップアウトを奪ってみせた。 ザックは85キロと、本来であればジュニアヘビーの体重。いくら現在のヘビー級戦線の平均体重が落ちたとはいえ、ザックの体の線は他のヘビー級選手と比べると細く見えるのは事実だ。しかし、ヒトの生態を知り尽くしているとしか思えないザックの関節技の数々は、ウエイトの差をカバーするには十分。内藤も飯伏も試合後、ザックの実力に脱帽していた。 ここに、飯伏が「邪魔」とまで言い切ったTAKAみちのくがマネージャーとしてセコンドにつき、ザックを精神的にアシスト。ザックは鈴木軍お得意のメンバーの試合介入なしで、決勝まで上り詰めたのだ。そのスタンスは決勝の棚橋戦でも貫かれた。 昨年2度対戦している棚橋とザックだが、棚橋がIWGPインターコンチネンタル王座防衛に成功した昨年9月の試合では、序盤の約10分間、棚橋とザックがレスリングの攻防を楽しむ場面があった。棚橋は「ヤングライオン時代を思い出した」と語っていたが、今回の対戦ではザックの勢いを警戒したのだろう。レスリングに「付き合った」のは序盤の数分だけで、どちらかといえば力で圧倒するファイトスタイルで勝負していたように思う。テキサスクローバーホールドなども見られたが、ストンピングで蹴り上げる場面がいつにも増して多かった。 ザックは力技で来る棚橋の隙を見逃さなかった。病み上がりの棚橋にとっては、ザックの粘りが次第に関節の痛みへとつながり、終盤は苦悶の表情に変化。気がつけば試合はザックのペースになっていた。ザックのしつこさや、つかみどころがないところに棚橋は苦手意識を持つ。ドラゴンスープレックスまで繰り出した棚橋だが、最後は不用意に後方回転エビ固めに行ったところを切り返され、オリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デスを完璧に決められて万事休す。棚橋には“TAP OUT”する選択肢しか残っていなかった。 ザックは、NJC初出場にして初優勝を飾った。優勝者にはIWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル、NEVER無差別級のいずれかの王座に4.1両国国技館大会で挑戦する権利が与えられるが、ザックは迷わず「オカダ(・カズチカ)のIWGPヘビー」を選択した。 試合後ザックは、TAKAに呼び込まれて外道とともに現れたオカダと“視察戦”を繰り広げた。TAKAと外道の舌戦の後、退場したオカダに対してTAKAは「チャンピオン、ひとつだけ忠告しておくよ。ザック・セイバーJr.のサブミッションホールドの前では、ユー!ジャスト!タップ!アウト!ギブアップのみなんだよ」と忠告。確かにNJCでザックが勝つ時はギブアップ、もしくは相手が逃げられずにレフェリーストップという結末が待っていた。 オカダのギブアップ負けと言えば、腕ひしぎ逆十字固めで敗れた2015年8月の中邑真輔戦ぐらいだ。自身をレインメーカーと称して2012年に凱旋帰国してからは数えるほどしかない。今年の春男ザックを止めるのはオカダか?それともザックがオカダのV11を止めるのか?もしザックがオカダに勝つようなことがあれば、新日本マット内で鈴木軍の影響力がさらに強くなりそうだが…。文・どら増田写真・萩原孝弘
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スポーツ 2018年03月22日 21時40分
新日本ロス大会メインは飯伏&ケニー対ヤングバックス!ミステリオ負傷欠場【新日本】
新日本プロレスは会見を開き、米国現地時間25日に開催するロサンゼルス大会『STRONG STYLE EVOLVED』の全対戦カードを発表した。日本の大会でもビデオメッセージで参戦を予告し、獣神サンダーライガーとの日墨レジェンド対決が決定していた元WWEスーパースター、レイ・ミステリオJr.は左上腕二頭筋損傷により、残念ながら欠場となってしまった。 同大会の目玉だったミステリオの代役としてIWGPジュニアヘビー級王者ウィル・オスプレイがライガーと対戦する。関係者の話によると「ミステリオが当日来場するかどうかは未定」とのこと。ミステリオは親日家として知られているだけに、ケガが完治したら新日本のマットでライガーと対戦してもらいたい。 メインイベントではタッグ世界一の座を懸けて、飯伏幸太&ケニー・オメガのゴールデンラヴァーズが、ヤングバックスと対戦する。日本で実現すれば両国国技館クラスの会場を札止めにするのが確実な黄金カードだが、世界的な“引き”があるこのカードをアメリカ大会のメインに持って来るところがニクい。セミファイナルでは昨年アメリカ大会のために創設したIWGP USヘビー級選手権試合を行う。チャンピオンのジェイ・ホワイトにハングマン・ペイジが挑戦するタイトルマッチをラインナップした。 IWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカは石井智宏とのタッグで、4.1両国大会でタイトルマッチが決定したザック・セイバーJr.と、同じくオカダの首を狙うIWGPインターコンチネンタル王者、鈴木みのるとタッグ対決。棚橋弘至はKUSHIDA、ドラゴン・リー、田口隆祐からなる“タグチジャパン”をアメリカで結成。内藤哲也、SANADA、BUSHI、高橋ヒロムの“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”との8人タッグに臨む。 前半戦の注目としては、タマ・トンガ&タンガ・ロアのゲリラ・オブ・デスティニーが、Cody&マーティー・スカルとバレットクラブ対決を行うこと。バッドラック・ファレも含めたバレットクラブのオリジナルメンバーと言ってもいいサモア勢は、ケニーとCodyによるバレットクラブの“内紛”に「我関せず」の姿勢を貫いていた。しかし『ニュージャパンカップ』でタンガ・ロアは、高橋裕二郎、チェーズ・オーエンズ、飯伏幸太とタッグを組み、試合をしっかり成立させている。サモア勢はケニー派なのか?この試合はメインとは違う意味でバレットクラブの今後を占う戦いになるだろう。 その他、オープニングマッチではロッポンギ3Kが3人揃い踏みで、クリストファー・ダニエルズ率いるROHトリオと対戦。NEVER無差別級王者の後藤洋央紀は、外道とのタッグでジュース・ロビンソン&デビッド・フィンレーと戦う。矢野通はチャッキーTとのタッグで、K.E.Sと激突。世界中の誰が見ても、分かりやすく楽しめるカードが組まれた。 ほぼフルメンバーかつ、昨年より良いカードをラインナップしたのは、LA道場や現地法人の設立まで視野に入れている新日本プロレス世界戦略の本気度の表れ。もちろん2週間後にニューオリンズで開催されるWWEの『レッスルマニア』も意識しているはずだ。同大会は新日本プロレスワールドで全世界に生配信される。取材・文・写真 / どら増田
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スポーツ 2018年03月19日 21時45分
「もう1度頂点に立ちたい」棚橋弘至、決勝の相手は“苦手”ザック・セイバーJr.【新日本】
『ニュージャパンカップ2018』新日本プロレス▽16日 後楽園ホール 観衆1,712人(札止め)▼ニュージャパンカップ2018 準決勝(時間無制限1本勝負)○棚橋弘至(29分52秒 片エビ固め)ジュース・ロビンソン●※ハイフライフロー▽18日 アクトシティ浜松 観衆2,750(満員)●SANADA(25分35秒 変型アームバー)ザック・セイバーJr.○ 21日に新潟・アオーレ長岡大会で行われる『ニュージャパンカップ2018』(NJC)決勝戦の対戦カードが、棚橋弘至 対 ザック・セイバーJr.に決定した。 右膝変形性関節症により、2月シリーズを全休し、今シリーズから復帰を果たした棚橋は、体重を3〜4kg絞り、さらなる肉体改造に着手。欠場前よりも明らかに研ぎ澄まされた肉体に変貌を遂げた。1回戦でタイチに圧勝すると、2回戦は戦績が決して良いとは言えないバッドラック・ファレにリングアウト勝ち。準決勝では普段はタッグを組むことが多く、成長著しいジュース・ロビンソンとのベストバウト級の試合を制して決勝進出を決めた。 今シリーズより、TAKAみちのくをマネージャーに付けたザックは、1回戦で内藤哲也からギブアップを奪うと、2回戦では飯伏幸太にレフェリーストップ勝ち、準決勝では目まぐるしい関節技の攻防の末、SANADAから変形アームバーでギブアップ勝ちと、3人の優勝候補を相手に3連勝して、決勝に駒を進めている。 棚橋とザックは昨年2度シングルで対戦している。▽7月17日 札幌・北海きたえーる▼G1クライマックス公式戦(30分1本勝負)●棚橋弘至(17分18秒 ジム・ブレイクス・アーム・バー)ザック・セイバーJr.○▽9月16日 広島サンプラザ▼IWGPインターコンチネンタル選手権試合(60分1本勝負)<王者>○棚橋弘至(30分13秒 片エビ固め)ザック・セイバーJr.●<挑戦者>※ハイフライフロー 両者の対戦成績は1勝1敗のイーブンだが、昨年の『G1クライマックス』では、最終戦の8.13両国大会での6人タッグマッチでも棚橋はザックにギブアップ負けを喫しており、試合後に「ああいうタイプすげぇ苦手」とシリーズ中に2回もギブアップを奪われたザックについてコメントを残している。ザックには、昨年の対戦でもTAKAやエル・デスペラードなど鈴木軍のメンバーがセコンドに付き、試合に介入をしていたが、TAKAがマネージャーとなった今年のNJCでは、TAKAが言葉以外で試合に介入する場面は今のところない。内藤、飯伏、SANADAを相手に3連勝したのは、ザックの実力にTAKAの頭脳が加わったことで、“JUST TAP OUT”という結果に繋がっているのは間違いない。 「もう1度、新日本プロレスの頂点に立ちたい!いやっ。絶対に立ーつ!」 16日の後楽園大会で決勝進出を決めた棚橋は、得意のエアギターを全力で“演奏”後、ファンに再び“頂点”に立つことを約束した。ということは優勝の先に見据えるベルトはあのベルトか?その“頂点”に辿り着くには、今年のNJCで既にMVP級の飛躍を見せているザックwith TAKAを決勝でしっかりと倒さなければならない。欠場前の満身創痍な状態とは比較にならないぐらい気力もコンディションも良くなっているが、「手術しないと100%治ることはない」という両腕をはじめ、関節技を得意とするザックの技の数々は棚橋を苦しめることだろう。 「キャリア19年目にして、いちばん凄い1か月を過ごしたんで、NJCに優勝したら2018年の2月は奇跡の2月と呼びます」 今年のNJCは棚橋が10年ぶり3度目の優勝を飾り、欠場していた1か月を「奇跡の2月」と呼ぶのか?それともザックが、初出場にして初優勝を飾るのか?そして、優勝した選手が4.1両国大会でどのタイトルに挑戦するのか?新日本プロレス2018年の春男がまもなく決まる。取材・文・写真 / どら増田
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スポーツ 2018年03月18日 20時30分
「レッスルマニアはメインに出たい」 WWE中邑真輔、現在の心境を語り尽くす!
今週からプロレス新連載『どら増田のプロレスaID』を、通常取材しているプロレスや格闘技の記事と並行して執筆し、週末にアップしていくことになった。取材を通して感じたこと(取材秘話も含む)はもちろん、今年でプロレス観戦歴36年目に突入した私が、これまで見て感じてきたこと、そして、最新情報まで、団体や歴史の枠にとらわれることなく、プロレスの面白さを少しでも伝えることができたらと思うので、末永くご愛読いただけたら嬉しい。 第1回目は、2016年に新日本プロレスから世界最大のプロレス団体WWEに移籍し、主力ブランド、スマックダウンに所属している日本人スーパースター“ロック・スター”中邑真輔が、レッスルマニアでのAJスタイルズ戦に向けて、先日、日本のマスコミ向けに電話でロングインタビューを行った。文字起こしに苦心したこのインタビューを2週にわけてノーカットで掲載する。中邑節炸裂の読み応えがあるインタビューを堪能してもらいたい。ーーおはようございます。おはようございまーす。ゆっくりやりましょう(笑)ーーご機嫌いかがですか?ご機嫌ですか(笑)。オーランドは今、夜の8時なんですけどサマータイムに突入してて、ニューヨークの寒波の影響で、少し寒いですね。日本の方が暖かいんじゃないですか。ーーでは早速、レッスルマニアに出場する感想をお願いします。レッスルマニア初出場が、ロイヤルランブル優勝という最高の形でできてうれしいです。ーーロイヤルランブルで優勝するということは、1年に1回しかないわけですよね。WWEやユニバーサルやUSといろんなタイトルがありますけど、きっとロイヤルランブルで優勝するほうが難易度が高いと思うんですよね。ーーチャンピオンになるより難しいと?はい。日本で例えるとG1(クライマックス)で優勝するほうが難しいみたいな部分もあると思います。それを制してレッスルマニアに行けるというのは、いちばんの最高の出場の仕方かなと思いますね。ーーもうひとつ最高なのはAJスタイルズとの対戦であるということかなと思いますが?そうですね。ーーようやくAJとのカードが決定して、AJとレッスルマニアで闘うことについてはいかがですか?数少ない心から尊敬できる選手と対戦できるというのは、興奮するというのもあるし、別にお互いに口裏を合わせてるわけじゃないんですけども、何というか…やってやろうという気持ちが高まってますね。ーーもちろん魅せてやるという自信もあるわけですか?もちろんありますね。やっとロイヤルランブル優勝してから、調子がつかめてきたというのもあるので、自分の魅せ方だったりとか、相手の引き出し方だったりとか、総合的に感覚が元に戻るというよりも、地に足がついてきた感はあるので、レッスルマニアで爆発できればいいかなと思いますね。ーーアメリカでは2回ぐらい現場でレッスルマニアをご覧になってますよね?そーですね。2016年から行ってデビュー戦、オーランド、次が3回目になりますよね。ーー現場で見られたレッスルマニアへの感想は?日本のプロレスを観ている感覚から言うと、興行が長いとかあるんですけど、世界最大で、これ以上ないイベントという上では、これぐらいのボリュームは当たり前かなという気はしますね。長丁場、試合の数もある、総合的な演出も半端ないと。その中でインパクトを残すにはどうすればいいかということの方を考えますね。全体を通して観てしまうと、どうしても淡白になりがちなんですけど、あそこでどうやってエッジを効かせるかなって。ーーそれは過去2回現場で観て思ったことですか?そうですね。僕がこんなことを言っちゃいけないのかもしれないけど、ダレるのは当たり前。全体でって感があると。その中で世界中の観ている目を覚ますには、どういうものが求められてくるのかなと思いますね。ーーいつかは出られる日が来ると思ってたと思いますが、出場までのスピード感についてはいかがですか?スピード感については、早いと言われれば早いかもしれないし、僕がWWEで過ごしてきた僕だけの感覚で言うと、“やっと”というところがありますね。ーー日本でもAJとは試合をしてますが、今度AJと闘うことで、AJの印象が変わっていたりしますか?日本で試合をしていたときよりも、AJの総合的な力は感じますね。今、僕がアメリカにいるように、AJが日本にいるときは、違う文化のもとで、まったく違う環境のもとで試合をしているというところがあったと思いますけど、その中でAJはあれだけの実績を残して、それが今逆転して、僕が今、日本にいた頃のAJの立場になっているのかなと思いますね。AJに関しては水を得たというか、いかんなく力を発揮しているように感じます。ーーアメリカに行って何年か経ちますが、心境の変化はありますか?日々のことだから、変化の積み重ねなので、大きく変わったことは、そこまでは感じ取れないんですけど、WWEは選手がとても多いのと、見ている観客も違いを見てますから、他の選手との差別化を図るのか。上手いにしろ下手にしろ、どうやって他人と差別化を図るか。それは非常に意識をしてやってますね。ーーメインイベントと言われてますが?メインイベントだといいなと思いますね。ロイヤルランブルの優勝者がメインに出られることになってますけど、去年の例を見ると、優勝したランディ(オートン)はメインイベントじゃなかった。そういうイレギュラーは起こりうるというのと、そこは駆け引きなのか?運なのか?会社の意向だけなのか?自分ではわかりかねますが、それは誰にもわからないですよね。その試合順を決定する人間以外は。当日に変わったりするわけだから。ーーメインイベントに出たい気持ちはありますか?もちろんありますね。レッスルマニアに出るってこと自体がそうそう普通じゃない。そんな簡単なことじゃない。特に今年に関してはロイヤルランブルを制して、チャンピオンを指名して、かつ公式なアナウンスでもメインイベントってうたわれたり、うたわれなかったりって部分では、不安定な状態ならば、率先してメインイベントって言った方がいいなって思いますけどね。ーーWWE選手権への挑戦とAJとの試合、どちらに対する方が気持ちが大きかったですか?どちらもってところですね。それはタイミングなので。どちらかっていうのもないしね。ーーWWE王座にはこれまでにも挑戦していますが、勝てばレッスルマニアでの初戴冠になりますが?確実に爪痕が残せるかなって思いますね。結果については勝ちたい。勝とうと思っているのは、もちろんのことですが、それ以上に中邑真輔を全世界にアピールしたいですね。ロングインタビューの前半はここで終了。次週公開する後半では、中邑の現在のコンディションの話からアメリカでの生活、中邑が語るレッスルマニアの楽しみ方などなど、後半もボリューム満点なので、リアルライブでのスマックダウンの記事を読みながら楽しみにしてもらいたい。【どら増田のプロレスaID vol.1】文・どら増田写真・広瀬ゼンイチ
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スポーツ 2018年03月17日 16時00分
プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「スタン・ハンセン」善悪の枠を超えた絶対的強者の“不沈艦”
来日した歴代外国人レスラーの中でもトップの人気を誇るスタン・ハンセン。一撃必殺のウエスタン・ラリアットで日本のプロレスファンの心を鷲づかみにし、2000年の引退から18年の時がすぎた今もなお、善悪の壁を超越したヒーローとして記憶されている。 昨年、テレビ朝日系で放送された『プロレス総選挙』においても、ハンセンは外国人選手でトップとなる10位に選ばれている。 しかし、日本においては絶大なる人気を誇りながらも、母国アメリカではいま一つだったとの印象も拭えない。キャリア初期からWWF王座に挑戦したり、後年にはAWA王座を獲得したりと、トップクラスの扱いを受けた時期もあったが、結果的に大ブレイクには至らなかったというのが実情であろう。 「一つには日本が主戦場となり、スケジュール面でアメリカに定着することが難しかったということはあるでしょう。また、アメリカ人からすると、ハンセンに対する違和感もどこかあったようです」 こう語るのはアメリカのマット事情に詳しいプロレスライター。違和感とはどういうことか。 「テキサス出身だからカウボーイのキャラクターを選んだというのですが、あの透けるような白い肌や明るい金髪、そして何より“ハンセン”という名前がいかにも北欧系移民のそれで、カウボーイに扮しても感情移入しづらいんですね」 実際、ハンセンはデンマーク移民の系譜にあり、ハンセンという姓が最もポピュラーなのはノルウェーだが、デンマークでもトップ3に入るといわれる。 「顔つきもやっぱり北欧風で、南部の荒くれ者のイメージとは異なります。アメリカのファンからするとそんなハンセンのカウボーイ姿は、例えるなら、日本人がハーフタレントの演じる侍を見るような感覚だったのでは?」(同) また、ハンセンは「自分がヒール(悪玉)かベビー(善玉)か、さほど意識していなかった」と引退後に語っており、そういうところも善悪の区別がはっきりとした米国マット事情にそぐわなかったようだ。 「だから、カウボーイのギミックにしてヒールかベビーかというキャラ付けにしても、ぶっちゃけ自己演出においては二流だったかもしれませんね」(同) ただ、日本のファンはそうしたアメリカ的な感覚が薄いため、ハンセンのファイトスタイルそのものを受け入れた。それが大成功につながったともいえる。 「例えばストンピングにしても、当てる場所を意識しながら手加減しているように映るレスラーが多い中、ハンセンは急所も何も関係なく踏みつぶさんばかりに放っていく。そこが真剣勝負志向の強い日本のファンにマッチしたのでしょう」(スポーツ紙記者) 実は極度の近視で加減が利かず、闇雲に技を放っていたところもあるようだが、これが全力ファイトとして歓迎されたのだ。 初来日は'75年の全日本プロレス。当時はウエスタン・ラリアットという代名詞こそ誕生していなかったものの、がむしゃらなファイトスタイルはほぼ確立していた。だが、エンタメ志向の強いジャイアント馬場は、これに対して「馬力だけで不器用」と低評価を下したという。 しかし、'77年の再来日で新日本プロレスのマットに闘いの場を移すと、ハンセンは一気にブレイクを果たすことになる。 「もとよりハードヒットだったハンセンは、'76年のWWF王座戦でブルーノ・サンマルチノを故障させ、全米マット界で“壊し屋”の烙印を押されてしまった。干されて仕事場を失っていたとき、これを全面的に受け入れたのがアントニオ猪木でした」(同) ハンセンのファイトを“過激さの象徴”と受け入れた猪木は、すぐさま外国人エースに抜擢。ウエスタン・ラリアットを“サンマルチノの首を折った(実際はボディスラムの失敗)危険な必殺技”と喧伝すると、自らそれを真正面から食らってみせた。 その後は、水を得た魚のごとく躍進したハンセン。古舘伊知郎による“ブレーキの壊れたダンプカー”なるフレーズは、その不器用さまでも持ち味とし、善悪の枠を超えた絶対的強者の“不沈艦”として君臨することとなった。 「日本での人気爆発を受けて、'81年にはアメリカでもボブ・バックランドのWWF王座に連続挑戦していますが、そこで定着できなかったのは、やはりアメリカのファン感情に合わなかったのでしょう」(前出・プロレスライター) しかし、その一方、日本における人気上昇ぶりは天井知らずで、全日本へ移籍した後の'83年には、PARCOのCMキャラクターにも起用されている。 「ラリアットを放つ際の一撃必殺の切れ味は、時代劇の剣豪にも通じるものがあり、その点でも日本のファンにはなじみやすかったのでしょう」(同) ラリアットをめぐる左腕殺しのストーリーが、類いまれな緊張感を生み出したのも、そのすごみがあってこそ。余人にはなかなか真似のできない、ハンセンならではの“至芸”であった。スタン・ハンセン1949年8月29日、アメリカ・テキサス州出身。身長192㎝、135㎏。得意技/ウエスタン・ラリアット、エルボー・ドロップ。文・脇本深八(元スポーツ紙記者)
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スポーツ 2018年03月16日 21時30分
「オモロいもん見ぃーっけ!」内藤哲也 対 鈴木みのる、超刺激的なシングルへ発展か?【新日本】
『ニュージャパンカップ2018』新日本プロレス▽15日 後楽園ホール 観衆1,718人(札止め)▼6人タッグマッチ(30分1本勝負)内藤哲也&●BUSHI &高橋ヒロム(12分46秒 体固め)○鈴木みのる&金丸義信&エル・デスペラード※ゴッチ式パイルドライバー 今でこそロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのリーダーとして、新日本プロレスナンバーワンのカリスマレスラーとなった内藤哲也だが、鈴木みのるが2015年から鈴木軍を率いてプロレスリング・ノアに2年間侵攻するまでは、もがき苦しんでいた。しかし、みのる不在の2年間、ロスインゴで新たなスタイルを確立した内藤は別人のように、大きな進化を遂げることになる。 そんな内藤とみのるが、新日本のリングで“再会”を果たした時、どんな化学反応が起きるのか注目されていた。昨年1月に鈴木軍が新日本に復帰して以降、両者の対戦はなかなか実現しなかった。しかし、今シリーズの『ニュージャパンカップ』1回戦で、内藤が鈴木軍のザック・セイバーJr.と対戦することがきっかけとなり、3.10愛知県体育館大会でロスインゴと鈴木軍の6人タッグが実現した。ただこの時は、内藤とザックの前哨戦という色合いが強かった。 しかし内藤がザックに敗れたことで、15日の後楽園ホール大会で再び両者は対峙することに。みのるは入場すると、内藤に近づき威嚇。内藤に「出てこいよ」と促す。明らかに内藤を意識している。何より会場のファンがその空気をすぐに察して、後楽園を大「内藤コール」に包んだ。 みのるのリクエストに応えるかのように、内藤が先発でゴング。だが、内藤はロックアップすると見せかけてこれをスルー。怒るみのるに蹴飛ばされながら、ツバを吐きかけ、場外へ。結局、内藤はまともに当たることなく、BUSHIにタッチ。その後、両軍による大乱闘から、リング上でヒロムが孤立する状況が続くと内藤が救出。しかしみのるが出てきてアキレス腱固め。さらに場外で鉄柵を使って内藤の古傷であるヒザをメッタメタにした。 リングに上がると、内藤はみのるに反撃すると見せかけて、ツバを吐きかける。これにみのるは激怒し、凄まじい形相で拳を振るった。しかし、内藤はこれをあざ笑うかのようにマンハッタンドロップをお見舞いして、鈴木の動きを止めてみせた。試合はみのるがBUSHIをスリーパーで捕獲し、すぐさまゴッチ式パイルドライバーを決めて3カウント。鈴木軍が勝利を収めた。 試合後、鈴木軍はそれぞれが保持するインターコンチ、そしてIWGPジュニアタッグのベルトを誇示。そして、みのるは場外に残っていた内藤と睨み合う。その内藤は、試合後に流れていたBGM『風になれ』がサビに入ると、みのるのようにエプロンへ。みのるも客席に拍手を促すが、内藤は結局ロープをまたぐと見せかけて、そのまま引き上げていった。 みのるが新日本にいなかった2年間でトップにまで登り詰めた内藤をみのるは“おいしい”と感じたようで… 「立場的に、対外的に、オマエたちの妄想的に、俺の頭を踏んづけてる野郎がいるとしたら、あの野郎は、直接俺の頭を踏んだ野郎だなぁ。内藤!ハハハ!オイ、内藤よ!オマエの行く先に何がある? オマエは何を持ってる? オモロいもん見ーっけ!」試合後にみのるはこのように話すと笑いながら控室に戻っていった。 「鈴木みのる。いや、プロレス界の王様? そんなに俺のことが気になってしょうがないか。まぁ、その気持ちは分かるよ。でもさぁ、いまは『ニュージャパンカップ』中だから、まだ勝ち残ってる選手もいるわけで、失礼な話ですよ。鈴木には、あの言葉を送りたいね。分かるでしょ?」 内藤のみのるに送りたい言葉が「トランキーロ(焦んなよ!)」であることは言うまでもない。今の内藤はみのるを前にしても、決して見劣りしない。内藤自身もみのるとの対戦に手応えを感じたのではないだろうか。内藤のレスラーとしてのステージを上げたことで、両者がシングルを行えば超刺激的な黄金カードになる。またIWGPヘビー級王座という“新日本の宝”を獲りたい気持ちは両選手とも持っているだけに、どのタイミングでシングルマッチ実現に発展するのか期待を込めて見守っていきたい。取材・文 / どら増田写真 / 萩原孝弘
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