血の雨が降った。
戦前から無法者の真壁に手をこまねいていた永田。タイトル戦決定前にはベルトを盗まれ、6・17後楽園大会では真壁から試合後にいきなり右頭部の髪をハサミで刈られて、屈辱の十円ハゲをつくられるなど、散々な目にあってきた。
それだけに、この日の永田の戦いぶりはいつになく荒々しかった。序盤戦は真壁のふてぶてしい反則攻撃のオンパレードを一方的に受けるのみ。序盤から場外でのイス攻撃に加え、ハサミで額をグサリと刺され流血。間髪入れずチェーンで首を絞められ、イライラは募るばかりだ。
だが、5分過ぎに永田が“プッツン”する。
串刺し攻撃を回避し、逆にコーナーに追いやると脳天めがけてエルボーを乱射。すると真壁のこめかみ付近がパックリと割れ、あたり一面に鮮血がほとばしった。瞬く間に血まみれになった真壁の頭部を容赦なくハイキック。えげつない“キラー殺法”でダウンを奪ったものの、フィニッシュには至らなかった。
逆にスクッと立ち上がり赤鬼と化した真壁からチェーン巻きラリアートで逆襲されると、ピンチ到来。ラリアート、デスバレーで投げ飛ばされた。それでも真壁の十八番キングコングニードロップをかわし、歯をくいしばって真壁の腕をつかんで腕折り。逆襲の狼煙(のろし)をあげると、最後は白目をむいておどろおどろしい表情でのアームロック、バックドロップのフルコース。大血戦に終止符を打った。