大貫は一番印象に残っているゲームに、「7月10日の1回3失点でKOされた試合」を挙げた。7月2日の初登板では4回2失点でゲームを作れず、2回連続で首脳陣の信頼を裏切ってしまった試合だ。この試合では30球しか投げていないこともあり、次登板は中3日でのドラゴンズ戦にすぐに決定。「後がない、背水の陣のような」状況に「三嶋(一輝)さんやヤスさん(山崎康晃)に声をかけてもらって、気持ちが凄く変わった」とメンタル面での強化と、「木塚(敦志ピッチングコーチ)さんとKOされた翌日からブルペンに入って」フォーム改造に着手。「腕からリズムを作るフォームを身体に染み込ませて、再現性も高めた」ことで、「腕から動き始めることによって、足が固定され、フォームに一定のテンポが生まれた」と成果を実感。そこからはローテーションを守り切り、エース級のピッチャーへと急成長したターニングポイントとなった試合を振り返った。
2019年オフにはオーストラリアに武者修行を敢行し、実戦の中でカットボールなどの取得に課取り組むなど、レベルアップに励んだ。このオフは「体重を増やして怪我をしない身体と球速アップ」をターゲットに、70キロ前半だった体重は「食事とトレーニングで順調に増えています。今既に目標体重の78キロから79キロくらい」まで増量。「初めての挑戦なので自分に合っているかはわからない。合っていなければ戻し、合っていれば続ける」とフレキシブルに調整していくと明かした。
今シーズンからは三浦大輔新監督が就任する。「三浦さんのようなファンに愛される存在になって、もう一回しっかりとアピールしていい仕事ができるように。優勝して街を盛り上げられるように」とさらなる飛躍を誓った。生粋の浜っ子で、ベイスターズファンだった大貫が、自らの力で横浜の街に元気を与えていく構えだ。
写真・取材・文 / 萩原孝弘