長野・松本第一高校から2014年ドラフト6位でベイスターズに入団した百瀬は、俊足と高い身体能力が武器の内野手だったが、2020年オフに戦力外通告を受け、トライアウトも受けずに引退となった。
2019年には初めて1軍に昇格し、2020年は2月中旬のキャンプから1軍に帯同。目標であった開幕一軍は逃したが、マルチポジションを守れるユーティリティ性が重宝され、直後には昇格するなど、内野手の中で序列は上位だった。
課題は打撃にあったが、2019年の「7月8日から西武第二球場でカーブマシンを打っている時、調子も悪く全然打てないので思い切って右足を内側に入れてみたら、急に今までとは違う感覚が掴めた」とその月は打率.390と突然覚醒。2015年から18年まで打率は2割を超えることは無かっただけに、そのまま上昇気流に乗るかと思われた。
9月3日には念願のプロ入り初ヒットもマークし、ファームの最終戦でもシュアなバッティングで猛打賞との活躍を見せていただけに、ファン目線では自由契約は意外とも写ったが、ファームでも打率.182と振るわなかったのも事実だった。2020年ドラフト2位、牧秀悟は百瀬と同じ松本第一高校出身で、内野手として切磋琢磨する姿も楽しみだったが、叶わぬ夢となってしまった。
「ファンの皆さま、6年間という短い時間ではありましたが応援ありがとうございました。どんな時でも温かいご声援をくださった事は一生忘れませんし、皆さまの温かい言葉で何度救って頂いたことか数え切れません。本当にありがとうございました」とファームでは何度も「ももちゃーん」との声援が飛んでいたことを感謝。「もっと球場で皆さまに見てもらいたかったのが本音ですが、今シーズン、プロ初ヒットを打ったことが1番の思い出です」と晴れ舞台での唯一の安打を振り返った。「今年で現役を引退しますが、このプロ野球人生に悔いはありません。様々な方々に支えられながら、6年間横浜 DeNA ベイスターズで野球が出来たことに感謝、誇りを持ち今後の人生に活かしていきたいと思います。最後になりますが、この横浜の地で野球が出来たこと、ファンの皆さまに出会えた事、本当に嬉しく思います。6年間沢山のご声援ありがとうございましたI☆YOKOHAMA!」とファン思いの百瀬らしいコメントを残した。
屈託のない笑顔と、ひたむきなプレースタイルは、いつまでもファンの脳裏に焼き付いている。キッパリと野球人生に別れを告げた百瀬大騎は、第二の人生に向かって歩み出した。
取材・文・写真 萩原孝弘