今年は開幕一軍のメンバーに選ばれたものの、主に代走からの守備固めとしての役割として出場に留まり、7月中旬にやっと今季初安打を含むマルチヒットを記録。そこから調子は上向き、7月は.381、8月も.310と高打率をマーク。10月以降はやや調子を崩したが、最終的には打率.276、出塁率.333で、左打者でありながら左ピッチャーに対し.397と無類の強さを発揮。久しぶりにチームに貢献し、復活を印象付けた。
「もう後がない。勝負の年と決めていた。少ないチャンスを頂いた中で、しっかり自分の中でも戦うことができた」と徐々にスタメン起用も増やしていったシーズンを自己評価。「良かったことをしっかり続けてレベルアップしていきたい。色々なことに対応出来るように準備して、必要とされるところで勝負したい」と来季を見据えた。具体的には「打たないと試合には出られない」とバッティングを磨くことに重きを置き、「競争になると思う。試合に多く出たいので、もう一回レギュラーを取れるように」と大和、柴田竜拓の今年のライバル達と、来季 3年目の伊藤裕季也、ルーキーの牧秀悟らの若手も含めたサバイバルレースに勝ち抜く覚悟を示した。
打撃がアピールポイントとしていたが、今シーズンのショートでの守備機会69はチーム最多で、守備率は.987。大和の.974、柴田竜拓の.966と名手と言われる2人よりもいい数字を残している。守備はイマイチとのイメージがあるが、今季はフィールディングもスローイングも安定し、確実にレベルアップしていた。
苦しい時期を経て、再び己の力でのし上がってきた倉本寿彦。7年目のシーズンは、軽快に波に乗り、ショートのポジションを奪いに行く。
取材・文・写真 / 萩原孝弘