岡村信悟代表取締役社長は「10年目の節目を迎える記念すべき年。更に成長して行くために大切な一年」と位置付け、「第2の創業」のような気構えでと、会社としての行動指針を示した。
新しく発表したCIは「心を打つ野球。」コロナ禍での生活環境の激変を踏まえた上で「今まで掲げてきた“継承と改革”での良質な非常識にチャレンジしてきたが、更に挑戦を推し進めていく」とし、「感動のある野球を。スポーツ界の先頭へ。」をミッションに、「100年先へ、野球をつなごう。この横浜で、感動を分かち合おう。」とのビジョンを打ち出した。
岡村社長は今までの挑戦に対し、「成功も失敗もあった」と振り返っていた。確かに入念なリサーチに基づき、横浜スタジアム近隣に通うサラリーマンの動員から女性ファン、ファミリー層までがスタジアムに集い、チケットはプラチナ化。チームも徐々に強くなりCSの常連まで成長、TBS時代の暗黒期の面影は一蹴された。しかし、買収直後は戦力が整わず順位は低迷し、「全額返金!?アツいぜチケット」など奇抜なアイデアは賛否両論を引き起こしたこともあった。
トライアンドエラーを繰り返し、現在の位置まで辿り着いたDeNA。2020年にはレフトウイング席も完成し、増収が見込まれた中でのコロナ禍。岡村社長は「コロナは数年影響するだろう。持久戦になる」としながら、「良質なエンターテインメントは棄損したくない」と基本コンセプトは崩さない。「元々はITサービス業。VRなどでも楽しめるように整えていく」と、昨年既にスタートしているVRハマスタなどで新たなサービスを提供し、収益増に取り組む構えだ。
「スポーツビジネス全体から注目されたい。先頭を走っていきたい」と岡村社長は力強く宣言した。ベンチャー企業らしいチャレンジ精神で、閉塞感のある世の中をベイスターズは打ち破ってくれそうだ。
写真・取材・文 / 萩原孝弘