昨年行われた12球団合同トライアウトでは、近年スピードがあまり速く表示されないとされている神宮球場で、参加者最速の149キロをマーク。ストレートで押し込み、フォークを決め球に使うピッチングで打者3人に対し2奪三振と好投。ベイスターズスカウトの目に留まり、晴れて入団となった。
編成のトップである三原一晃球団代表は「武藤(祐太)が復活を遂げたような活躍を」と、貴重な中継ぎとして機能している右腕とイメージを重ねていた。
武藤は2017年オフにドラゴンズを自由契約になったが、元来の武器であるシュートとスライダーに加え、フォークの精度を改善。さらにトレーナーをつけて下半身トレーニングや遠投に取り組み、ベイスターズブルペン陣のスピードにも負けない、力強いストレートも手に入れた。昨年はオープナーの役割も果たすなど、今となっては貴重な戦力となっている。2013年に58試合登板を記録したタフネス右腕は、戦力外を経てベイスターズで華麗に蘇った。
風張も「身体が強くて、1年間しっかり投げられること」がアピールポイントで「良かった時の真っすぐも投げられてます」と中継ぎで53試合に投げたキャリアハイの2018年の感覚が戻っていると自信を見せる。また「ヤクルトでは先発もやっていたので、そこを任せられても全然いけるぞとアピールしたい。チームの力となれるように、どんな場面でも何試合でも」と意気込んだ。再びプロ野球選手としてマウンドに上がることになった男は、ベイスターズのためにフル回転を誓っていた。
境遇、ピッチングスタイルと似通った部分の多い武藤と風張。雰囲気の良いベイスターズのリリーバー陣の中で、風張にも武藤先輩の通った道を歩んでいってもらいたい。
取材・文・写真 / 萩原孝弘