新日本
-
スポーツ 2017年11月13日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND71 〈冬の時代に咲いた好勝負〉 迷走期の中邑真輔が川田利明に挑む
昭和のプロレスファンには奇異にも映るクネクネと体をくねらせる闘いぶりで、今やWWEでもトップクラスの人気を誇る中邑真輔。 新日本プロレス時代と変わらぬ試合スタイルで、しかも、本名のままアメリカで通用したのは、日本プロレス史上で中邑が初となる快挙であろう。 2016年のWWE移籍から、ついにトップをうかがえる位置にまできた中邑真輔。 「世界最大級のスポーツエンターテインメント団体といえるWWEにおいて、今夏のビッグマッチ『サマースラム』でメインイベントを任された中邑の世界的な知名度は、イチローやダルビッシュ以上。日本にいるとピンとこないかもしれませんが、エンタメの世界を見渡してもブロードウェイミュージカルに主演した渡辺謙ですら、相手にならない有名人といえます」(スポーツ紙記者) だが、そんな中邑も、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。 '02年に新日本プロレス入りした当初は、その資質から“総合格闘技戦要員”に抜擢されるも、翌年の大みそかにはK-1のアレクセイ・イグナショフと対戦し、膝蹴りでTKOの裁定を下される。中邑側の抗議により無効試合とはなったが、その印象は決していいものではなかった。 プロレスにおいても史上最年少でIWGP王座を獲得するなど、会社からは大いにプッシュを受けたが、実績のなさもあってファンからの信頼は決して厚いものではなかった。 「プロレス的な魅せるテクニックに乏しく、かといって総合格闘技でトップ争いをしているわけでもない。それでいて会社からは“選ばれし神の子”という大仰なニックネームを付けられ、そんな中邑に反感を持っていたファンも少なくなかった」(同) '04年の再戦でイグナショフに雪辱を果たすと、ようやく中邑はプロレス一本となったが、やはり、どこか煮え切らない状況は続く。 同年11月の大阪ドーム大会では、ファン投票によりメインで棚橋弘至とのシングルマッチが組まれたが、アントニオ猪木の横やりで突如のカード変更。中西学と組んで藤田和之&ケンドー・カシンと対戦することになり、藤田にパワーボムからのサッカーボールキックでピンフォール負けした揚げ句、試合後には猪木からリング上で鉄拳制裁を受けるなど、踏んだり蹴ったりの結果となった。 「その理由についてはさまざまな憶測が流れていましたが、カード変更に文句をつけながらシュートを仕掛けるわけでもない中邑に対して、どっちつかずとみた猪木が感情に任せてやったというのが真相に近いのでは…」(プロレスライター) '06年の1・4ではブロック・レスナーの持つIWGP王座に挑戦するも、見せ場なく敗退。これを受けて海外修行に出た中邑は、半年後の凱旋帰国でひと回り大きくなった体を披露し、ヒール転向でイメージの一新を図ると、蝶野正洋とのコンビでG1タッグリーグ優勝を果たした。 しかし、同年末にはレスナーから棚橋へと移ったIWGPヘビー級のベルトに挑むも、ピンフォール負けを喫してしまう。そうして年の明けた'07年の1・4。中邑はメインでもセミファイナルでもない、またタイトルマッチにも絡まない第6試合での出場となった。 新日本プロレスと全日本プロレスの創立35周年記念と銘打たれたこの大会だが、発表された観衆は2万8000人と過去の新日ドーム大会では最低の数字。いわゆる“プロレス冬の時代”の真っただ中であった。 対するは川田利明。その頃に川田が主戦場としていたハッスルは、試合の放送を予定していたフジテレビが離れて先行き不透明。'06年にノアのドーム大会で三沢光晴と対戦したが、試合後に先方から絶縁宣言をされるなど、中邑と同様に川田もまたどうにもさえない状況にあった。 だが、本来であればメイン級の試合に出場すべき選手が浅い出番となったことで、お互いの意地が爆発したのか、両者の試合は大会ベストバウトともいえる好勝負となる。 中邑の持ち味であるグラウンド技には、川田もストレッチプラムで対抗。激しい打撃やスープレックスの応酬となり、最後は川田がパワーボムから垂直落下式ブレーンバスターへとつなぎ、顔面へのミドルキックで3カウントを奪った。 試合後、川田は「真輔、これまで3回戦った中で、今日は一番まともだったよ。お前、新日本を潰すなよ」「真の新日を引っ張るエースになってほしい」とエールを送った。 そこから巻き返しに出るかと思われた中邑だが、同年夏のG1では優勝かというとき、準決勝で大怪我を負って3カ月の完全欠場。 復帰後は今に続く新日復興の一翼を担い、徐々に中邑個人としての人気も高まっていったが、それでも結局、WWEでも通用する今のスタイルにたどり着くまでには、さらに4年ほどの歳月を要することになる。
-
スポーツ 2017年11月11日 22時43分
1・4東京ドーム 問われるオカダカズチカの真価
新日本プロレス毎年恒例のビッグイベントである東京ドーム大会、来年1月4日のカードが一部発表された。 メインにIWGPヘビー級タイトルマッチ・オカダカズチカVS内藤哲也、他にもケニーオメガ対クリスジェリコという大注目のカードも並んだ。特に、クリスジェリコの参戦は、久々の大物の外敵として大きなインパクトをもたらす。 過去、新日本プロレスは、ビッグマッチとなると、ビッグネームの外国人レスラーや格闘家など様々な外敵をリング場に迎え入れてきた。その効果として、観客動員が激増したほか、外部からの刺客と所属レスラーとの戦いで多くのドラマを生み出してきた。 クリスジェリコといえばアメリカ・WWEのスーパースターであり、その名を世界中に轟かせている。新日本ドーム大会史上、トップクラスの外敵レスラーと言っても過言ではないだろう。 その超大物を迎える来年の東京ドーム、真価が問われるのは、現在の新日No.1レスラーのオカダカズチカだ。 超人的な身体能力を擁し、若くして新日本という巨大な組織のトップで、期待以上の存在感を示し続けてきた。そのオカダが、ドームというビッグスケールの大会で、初めて知名度でも遥かに自らの上を行く外敵を迎えることとなり、ジェリコを超えるインパクトをどうやって作り出すか。 また、対戦相手の内藤哲也は、初のドームでのメインとして、圧倒的なファンの支持のもと、こちらも強力な爪痕を残すに充分な要素を秘めている。 早々にメインイベントとして発表されたこともあり、大会の最重要カードであることは間違いないオカダ対内藤。ただし、ジェリコと、今やメインイベンターの風格充分なオメガの試合もメインとなり得るカードだ。このタイミングで、新日本がアメリカ向けのベルト(IWGPUSベルト)を創設するなど、海外へと焦点を合わせてきているのも気になる。全てのアンダーカードを飲み込み、凌駕するインパクトを残すのがオカダカズチカの役割であることは間違いない。だが、今回はオカダをも超える「主役」も「役者」も揃っている。 来年の1・4東京ドーム、新しいストーリーが紡がれても不思議ではないだろう。 例えば、「オカダ時代の終焉」とか。
-
スポーツ 2017年11月06日 22時01分
【新日本】1.4ドームにWWEの超大物“Y2J”クリス・ジェリコが電撃参戦!ケニー・オメガに挑戦へ
新日本プロレス11.5ボディーメーカーコロシアム大会に衝撃が走った。 バレッタを相手にIWGP USヘビー級王座の3度目の防衛に成功した初代王者ケニー・オメガが、珍しく流ちょうな日本語で、次期挑戦者を募るも、対戦相手は現れず、リングから降りようとしたその時だった。 場内が暗転し、会場が騒つく中、場内ビジョンにカウントダウンの数字が現れる。そして、0になるとそこには、つい最近まで世界最大のプロレス団体WWEのトップ選手として活躍していた世界的なスーパースター、Y2Jことクリス・ジェリコの姿が映し出された。ジェリコはニヤリと笑い、ケニーの写真を手に掲げると「ケニー・オメガ。オマエはダイナミックなレスラーだ。そして、すばらしいレスラーだ。だが、世界最高はオマエじゃない」と語り、その写真を引き裂く。そして「この俺だ。ショーン・マイケルズ、エッジ、CMパンク、アイツらは過去の人間になった。だが、俺はいまも現役だ。世界で1番のレスラーだからな。俺こそが史上最高のレスラーで、この業界の“アルファ”(頂点)だ。それを証明してみせよう。俺はオマエに挑戦する。ジェリコvsケニー、アルファvsオメガ。どっちがベストなのかを見せつけてやる。俺はオマエに会いたいぜ。1月4日、レッスルキングダム12 in 東京ドーム。どっちが最高のレスラーか確かめようぜ」と、1.4東京ドーム大会への参戦と、ケニーが防衛したIWGP USヘビー級王座への挑戦を表明したのだ。 これは、メジャーリーグで例えるとするなら、かつて日本で活躍した選手が、契約が絡まない期間を利用して日本の球団に移籍するようなものに近いかもしれない。数年前からジェリコとWWEはジェリコのミュージシャン活動との兼ね合いもあり、大会やシリーズ毎という、他のWWEスーパースターとは違って、契約が緩かったと言われている。 新日本とWWEは80年代に業務提携を結んでいたが、解消後は1990年に全日本プロレスが主導する形で開催された『日米レスリングサミット』にWWEと新日本が合同興行を開催した他、1993年から2年間は、WWF世界ヘビー級王座だったハルク・ホーガンが数マッチの契約をWWEを介さずに、新日本と直接交わすことで、古巣への参戦が実現し、IWGPヘビー級王者だったグレート・ムタとのドリームマッチや、ムタとのタッグでヘルレイザーズと対戦。武藤敬司とのシングルや、藤波辰爾との再会もあったが、ホーガンが希望していた師匠アントニオ猪木との対戦は実現しなかった。WWE離脱後は蝶野正洋とのシングルも実現している。 ジェリコの場合も、2015年に獣神サンダーライガーがWWEのブランドであるNXTに新日本の選手としてゲスト参戦しているが、新日本がWWEの配信サイト『WWEネットワーク』に対抗する形で、『新日本プロレスワールド』を開始したことで、WWEを離脱した選手や、アメリカやヨーロッパで知名度が高く、試合巧者な選手を積極的に起用するようになった。これがWWEに刺激を与えてしまったのか、翌2016年1月に中邑真輔、AJスタイルズら主力選手を新日本から事実上引き抜いたことにより、両団体間には緊張が走っていると言われている。ジェリコのTwitterアカウントやプロフィールを見るとWWEの文字はひと言も掲載されてないことからも、これは、旧知の仲でもある邪道、外道の個人ルートを中心に、WWEを介さず参戦が決まったと考えるのが妥当である。 ただ、興味深いのは、ジェリコが5月までWWE US王座を保持していたこと。そして、今夏のWWE日本公演では、イタミ・ヒデオ(元ノアのKENTA)相手に横綱相撲で圧勝していた。バックステージでケニーが「これは『レッスルキングダム』と『レッスルマニア』の闘いだ」とコメントしていたが、言い換えれば新日本プロレスとWWEの対抗戦としての意味合いも持っている。 ジェリコにとっては、1998年以来となる新日本マット参戦。ワンマッチになるのか、その続きがあるのかは知る由もないが、新日本は、来年3月15日にアメリカ・ロサンゼルス大会の開催を発表している。もし、この大会までジェリコが出場するようなことがあれば、WWEの視界に入るのは確実で、新日本のアメリカ進出計画において、ジェリコが果たす役割は大きいものになるだろう。ジェリコは日本マットで育ったという気持ちが強く、WWEの日本公演に自身がリストに入っていないと「行かなくていいの?」とアピールして来るほどの親日家。現在の新日本には邪道、外道、海野宏之レフェリーなどジェリコがライオン・ハートやライオン道のリングネームでWARマットで活躍していた頃の仲間もいるだけに、今回の参戦は恩返しの意味も込められているのかもしれない。 クリス・ジェリコとしての東京ドーム大会参戦は初めてになるので、WWE同様、カウントダウンから始まる入場に期待したい。そして、このレジェンドを挑戦者として迎えるケニーには、新日本代表として90年代のジャパニーズスタイルと現代のジャパニーズスタイルの違いをしっかりと見せつけてもらいたいと思う。 ジェリコの参戦、そして、ケニーとのドリームマッチ実現により、来年の1.4東京ドーム大会は例年以上に世界中が注目する大会となった。ジェリコのTwitterのフォロワー数は334万人! 対するケニーは19万人。WWE入りを拒み続けていると言われているケニーにとっては、ザ・ロックを筆頭に数々の大物スーパースターを相手に勝利を収め、主力タイトルを総ナメにしてきたジェリコと対戦できるのは、自身の選択が正しかったということを証明するチャンス。ベルトもかかっているので、絶対に負けられない試合である。 日本のプロレスファンには、世界が注目するドリームマッチを東京ドームで味わえることに幸せを感じながら、ワクワク感を持って東京ドームに足を運んでもらいたい。文・どら増田カメラマン・広瀬ゼンイチ
-
-
スポーツ 2017年11月05日 14時00分
プロレス解体新書 ROUND70 〈高田vs橋本と猪木イズム〉 格闘技的な強さとプロレス的表現力
1996年4月29日の東京ドーム、UWFインターナショナルのトップにして“最強”の称号を掲げる高田延彦に、橋本真也が挑むIWGPヘビー級タイトルマッチ。 橋本はプロレス流の技である“垂直落下式DDT”でUWFスタイルに勝利することを宣言し、背中に“闘魂伝承”の4文字を刻んだガウンを背負ってリングに臨んだ。 アントニオ猪木に憧れてプロレス界入りした橋本真也は、やがて“闘魂伝承”を公言するようになる。そのプロレス的な表現力の高さにおいては、まさしく猪木の正統的な後継者であった。 「猪木が格闘技戦を通じて身に付けた技術をアリキックや延髄斬り、魔性のスリーパーとしてプロレス技に転化してきたように、橋本も当時、もてはやされた格闘技的な打撃技を重爆キックや袈裟斬りチョップなど、ダイナミックでプロレス的に見栄えのするものへと昇華させた。より過激に強さをアピールする猪木のスタイルを、橋本ははっきりと踏襲していました」(プロレスライター) 橋本の志向が“より激しく分かりやすく”という部分にあったことは、その代表技である垂直落下式DDTにも明らかだ。 「もともとのDDTは一瞬で終わる技なので、フィニッシュホールドとしては物足りないし、ダイナミックさに欠ける。だから相手を体ごと持ち上げて、滞空時間をかけて落とすことで一つの見せ場にした。技の形だけ見れば垂直落下式ブレーンバスターと同じであっても、橋本にしてみればあくまでもDDTをさらにプロレス的に進化させた技なんです」(同) 重爆キックにしても、指導を受けるにあたって「実戦的な蹴りと見栄えのいい蹴りのどちらがいいか」と問われると、橋本は迷うことなく後者を選んだという。K-1への参戦について問われた際に、あっけらかんと「俺の蹴りなんか通用しない」と語ったのは、自身の目指すプロレススタイルに自信があったからこそであろう。 一方、猪木の道場論をもとに、格闘技的な強さを追求してきたのがUWFである。つまり、'96年4月29日、IWGP王者の高田延彦に橋本が挑んだ一戦は、UWFインターナショナルと新日本プロレスの対抗戦であると同時に、格闘技的な強さを求めた猪木とプロレス的な表現者である猪木、それぞれの遺伝子のぶつかり合いという側面もあったわけだ。 この試合の前に「垂直落下式DDTを決める」という橋本に、高田が「そんな技にはかからない」と応じたあたりにも、そうした色合いが見て取れよう。 東京ドームに詰めかけた新日ファンからの橋本コールが渦巻く中、序盤は高田が軽快なキックと関節技で攻勢に出る。しかし、これを受けきった橋本も、ローキックや袈裟斬りチョップで反撃していく。 「橋本の重い蹴りに、高田が不快な表情を浮かべたのが印象的でした。U系の選手は脚にレガースを着けていますが、橋本はリングシューズのままで、しかも溜めをつくって目いっぱいの力で蹴ってくる。キックボクサーから本式の蹴りを習っていた高田にしてみれば、格闘技的なセオリー無視でいながら痛さだけは人一倍の橋本の蹴りは、相当に腹立たしいものだったでしょう」(プロレス記者) そうなれば高田も黙ってはいられない。蹴りの重さでは橋本に軍配が上がるも、速さと回転数では高田が勝る。ローにミドル、ローリングソバットで追い込んで、とどめの一発とばかりにハイキックを繰り出すと、そこにカウンターで橋本の水面蹴りがさく裂する。 「高田がハイキックの直前に橋本の胸をポーンと押していて、それが『水面蹴りを出すタイミングを知らせるためだった』とする声もありますが、本当に合図を送るとしたら、そんな観客からも分かるようなことはしないでしょう。単にハイキックを当てやすいように、距離を取るためだったと思いますよ」(同) とにかく、そこから一気に攻勢に転じた橋本は、ノーマルタイプのDDTから垂直落下式へとつなぎ、最後は三角絞めでギブアップを奪ってみせたのだった。 だが、高田側にとって敗戦以上に誤算だったのは、この試合を最後に新日が本格的な対抗戦から手を引いたことだった。 「新日のリングで高田が橋本に負けるのは、ある意味で仕方のないことです。だから、Uインターとしては当然、そのお返しがあるものと考えていたんですね。例えば、Uルールでの高田と橋本の再戦のような流れです」(同) ところが、新日は橋本の勝利をもって“勝ち逃げ”を決め込んだ。 IWGP戦に限れば高田の2勝2敗(武藤敬司と1勝1敗のほか、Uインター興行で越中詩朗に勝利)。それでチャラだという理屈なのだが、高田にすれば橋本戦の負けと越中戦の勝ちでは帳尻が合わない。そう思うのも仕方のないところだろう。 結局、対抗戦の再開はならず、猪木流プロレスの権化ともいえる橋本に高田が敗れたことは、結果としてUWFの価値を下げ、それがUインター崩壊の大きな要因の一つとなったことは否めない。
-
スポーツ 2017年10月31日 22時01分
【新日本】松井珠理奈、試合に間に合わずも“タグチジャパン”スーパー69がJr.タッグT決勝進出!
新日本プロレスは、11月5日にエディオンアリーナ大阪で開催されるビッグマッチ『POWER STRUGGLE』に向けたシリーズ『Road to POWER STRUGGLE』の後楽園ホール大会を29日と30日に2日連続で開催した。両大会ではジュニアヘビー級のタッグチームが8チーム参加する「スーパーJr.タッグトーナメント」がメインとなり、田口隆祐&ACH、TAKAみちのく&タイチ、獣神サンダーライガー&タイガーマスク、金丸義信&エル・デスペラード、BUSHI&高橋ヒロム、ドラゴン・リー&ティタン、KUSHIDA&川人拓来、そして12日の両国国技館大会に電撃凱旋帰国を果たしIWGPジュニアタッグ王座の一発獲りに成功した小松洋平&田中翔改めYOH&SHOのロッポンギ3Kが出場。 29日は、田口&ACH、金丸&デスペラード、BUSHI&ヒロム、YOH&SHOの4チームが勝利を収め準決勝に進出。準決勝が行われた30日は、田口&ACHとYOH&SHOがそれぞれ激戦を制し、11.5大阪大会で開催される決勝へ駒を進めた。 注目は、SKE48の松井珠理奈もメンバーとして名を連ねているタグチジャパン監督、田口隆祐だろう。「(1.4ドーム大会で)タグチジャパンとして試合が組まれるかという大きな問題があります。たぶん、第0試合じゃないですかね」 先日行われた珠理奈の1.4東京ドーム大会スペシャルアンバサダー就任会見で司会を務めた際、田口監督はこんな弱気な発言をしていた。しかし、29日の試合では、得意のヒップアタック封じに固執するTAKA&タイチの執拗な尻攻撃に屈することなく、最後は自らタイツを剥ぎ取る暴挙に出て、尻を剥き出しにしながら、タイチにスライディングヒップアタックを放ち、ACHとのチーム名スーパー69の名が付けられた連携技でタイチを沈めている。後楽園は爆笑の嵐だったが、試合後に田口監督は「大変お見苦しい試合をお見せしたことをお詫び申し上げます」とマイクで謝罪するも、際どい田口節を連発。続く30日の準決勝も勢いは止まらず、最後はスーパー69を炸裂させて、2日間連続で鈴木軍のジュニア部隊に連勝した。ACHと勝利のタグダンスを披露すると、バックステージでは「タグチジャパンとしても新商品が出ますから、新商品宣伝のためにもこのトーナメントを優勝します」と話し、監督としてタグチジャパンの宣伝をすることも忘れなかった。 決勝の相手はIWGPジュニアタッグ王者組であるYOH&SHOに決定。凱旋帰国後、女性ファンを中心に爆発的な人気を集めているロッポンギ3Kは連勝街道を走り始めているが、11.5大阪大会で田口監督率いるスーパー69が勝利を収め優勝するようなことになれば、タイトル挑戦の可能性が一気に高まる。来年の1.4ドーム大会でも第0試合ではなく、本編でカードが組まれることになるだろう。30日の後楽園大会には珠理奈も会場へ駆けつけたが、残念ながら試合には間に合わず、タグチジャパンのタオルを身につけながらグッズだけ購入したことが、ツイッターで明らかになっている。 先日の会見では「密かに応援してください」と控えめな田口監督に対して「密かじゃないです。常に想っています。応援してます!私は監督のお尻を見てます!」と見事な切り返しを見せた珠理奈だが、田口監督が1.4ドーム大会の“本戦”でIWGPジュニアタッグ王座に絡むようなことがあれば、アンバサダーの務めを忘れ、タグチジャパンの一員として熱烈な声援を送るのは間違いない。 11.5大阪大会は、ジュニアのタッグ戦線においても1.4ドーム大会へ向けた重要な大会になりそうだ。取材・文・写真/どら増田
-
-
スポーツ 2017年10月30日 15時00分
プロレス解体新書 ROUND69 〈夢のハンセンvsブロディ〉 タッグマッチながらド迫力の初対決
1987年に開催された全日本プロレスの世界最強タッグ決定リーグ戦において、シリーズの目玉となったのは、新日本プロレスへの参戦から久々の復帰となる“超獣”ブルーザー・ブロディと、その盟友である“不沈艦”スタン・ハンセンの激突であった。 ファン大注目の中、運命のゴングが鳴らされた。 世界最強タッグ決定リーグ戦は、日本のプロレス史に残る数々の名場面を生み出してきた。 その記念すべき第1回大会が開催されたのは1978年。前年に行われた世界オープンタッグ選手権で、決勝戦のザ・ファンクスvsアブドーラ・ザ・ブッチャー&ザ・シークが好評を得たこともあり、より本格的な形で実施された。以後は全日における年末の名物シリーズとして、ファンに定着することになる。 「人気となった要因は、言うまでもなくその出場メンバーの豪華さです。優勝争いの主役を張るファンクスやジャイアント馬場&ジャンボ鶴田の師弟コンビだけでなく、その他の出場チームを見ても、マスカラス・ブラザースやハリー・レイス&ニック・ボックウィンクルの帝王コンビなど、1人で大会場を満員にできるほどのビッグネームが名を連ねてましたからね」(プロレスライター) それら超一流の選手たちを言わば“負け役”として出場させることが可能となったのは、まさしくプロモーターとしての馬場の力量と信頼度によるものだった。 「スタン・ハンセンが新日参戦を決めた際、ブルーノ・サンマルチノが『猪木のことは分からないが、馬場は信用できる』と語ったという有名なエピソードがあるように、海外の大物からの信頼度は抜群。ファイトマネーはもちろん、試合の勝ち負けにおいても変な真似はしないという、安心感があったのでしょう」(同) そんな馬場に対して「裏切ったのは本当に失敗だった」と悔いたのが、ブルーザー・ブロディだった。 全日(馬場)がロード・ウォリアーズや長州力率いる維新軍を次々と招聘したことに不信感を抱いたブロディは、新日(猪木)へと移籍したものの不満は絶えず、結局、全日へとUターンすることになった。 裏切った相手には冷徹な面もある馬場だが、その価値を認めた相手には、しっかり厚遇でもてなすのもまた馬場流である。 「その端的な例が、ブロディの本格復帰となった'87年の最強タッグです。ブロディのパートナーは当初、別の無名選手であったところを、直前になってジミー・スヌーカに変更しました。当時のスヌーカといえばアメリカマット界ではブロディやハンセン以上の大スター。シリーズを通して拘束すること自体がまず困難で、そのためのファイトマネーも参加選手の中でトップクラスだったのでは?」(プロレス専門誌記者) このときファン最大の興味は、久々の全日復帰となるブロディ自身であり、その盟友であるハンセンとの激突であって、実のところパートナーなどは誰でもよかった。 それでもブロディが優勝争いをするのにふさわしく、またベストパフォーマンスを発揮できるようにスヌーカを呼び寄せ、かつての名コンビを再結成させたというわけだ。 「まさしく期待の表れであり、これにはさすがのブロディも意気に感じたことでしょう」(同) さて、注目のブロディとハンセンの対戦は、開幕2戦目の後楽園ホールで行われた。ハンセンのパートナーはテリー・ゴディ。 まずハンセンとスヌーカがリングに入るも、ファンの期待に応えるべくブロディにチェンジ。2人がにらみ合うだけで、会場は一気にヒートアップする。 両者の絡みでは、それぞれ相手の技をすかすような展開が続き、目立った大技はハンセンのバックドロップぐらい。キングコング・ニードロップもウエスタン・ラリアットも不発のまま、試合は両軍入り乱れてのリングアウト引き分けに終わった。 それでも、2人が同じリングの対角に立っただけで大事件であり、次を期待させるには十分であった。 「両者の激突となれば、普通はシリーズ後半のクライマックスに大会場でやりたいところですが、あえてそうしなかったのも、馬場ならではの気遣いです」(同) リーグ戦も佳境に入ったところでの対戦であれば、何かしらの決着がつかないことにはファンも納得しない。しかし、シリーズ序盤の星取に影響の少ないときだからこそ、次につなげるための顔見世の試合で済ますことができた。 ここで決着をつけさせないことこそ、ブロディを今後も主役で扱うという馬場からの“約束手形”でもあったのだ。 この一戦以降、いよいよファンの期待はハンセンvsブロディに集まり、実際、翌年の夏にはシングル対決が予定されていたという。 しかしその直前、ブロディはプエルトリコで凶刃に倒れ、夢の対決は夢のままで終わってしまった。
-
スポーツ 2017年10月22日 17時00分
プロレス解体新書 ROUND68 〈三沢vs川田ラストマッチ〉 ノア東京ドーム大会で運命の激突
2005年、プロレスリング・ノアの2度目となる東京ドーム大会のメインイベント。ノアの顔である三沢光晴は、高校時代からの後輩で5年前に袂を分かった川田利明を迎え撃った。 最高の舞台に最高の相手、最高のクライマックスとなるはずだったが…。 高校時代の先輩と後輩が紆余曲折を経て、ついに東京ドームのリング上で対峙する――。 映画や漫画なら「リアリティーがない」と観客や読者からソッポを向かれそうなストーリーだが、それを現実に成し遂げたのが三沢光晴と川田利明であった。 同級生と先輩、後輩の違いはあるが、野球でいえば桑田真澄と清原和博の“KK対決”のようなものか。 ただし、プロレスのドーム大会ともなれば、失敗が即、団体運営の危機ともなりかねないだけに、メインイベンターの重責はプロ野球選手以上とも言えよう。 プロレスというジャンルは、アングルひとつで一夜にしてスターを作り出すことも可能であるが、現実に大観衆を集められるまでになるには、相応の努力と生まれ持った才能が求められる。その点では、他のスポーツやエンタメ業界と違わないのだ。 「しかも三沢vs川田のカードは2度、それも全日本プロレスとノアという別々の団体で、東京ドーム大会のメインを任されたわけですからね」(プロレス記者) ドーム大会における同一カードによる2度以上のメインとなると、PRIDEの高田延彦vsヒクソン・グレイシーや新日本プロレスの棚橋弘至vs中邑真輔、棚橋vsオカダカズチカなどもある。が、三沢vs川田はそれら団体よりもドーム開催の回数自体が格段に少ない、全日とノアでメインを張っているのである。 「そこに至る経緯のドラマチックさからして、2人のドキュメンタリー番組や実録小説が創作されても何ら不思議はない」(同) ただ、実際には三沢の名勝負という場合、川田ではなく小橋建太戦を挙げるファンは多い。 「技と力のぶつかり合いという単純明快な小橋の試合に比べ、三沢と川田の絡みはどこか難しいところがありますからね」(同) 確かに2人の関係性からして、いまひとつ理解に苦しむところは多い。三沢が全日から独立してノアを立ち上げた際、後輩である川田は真っ先にこれに続いてもよさそうなのに、そうしなかったことで2人は不仲と言われたりもする。 三沢は川田について自伝などで〈好きか嫌いかといえば嫌いだね〉と述べているが、しかし、心底から嫌いであったならば一切触れもしないだろう。 一方の川田は、三沢の葬儀で人目もはばからず号泣する姿が目撃されている。 また、三沢の追悼大会へ参戦して以降、半引退状態となったことについて「三沢さんのいないリングに上がることへの意義が見出せない」と話している。ただし三沢の存命時には、そうした敬意のようなものを表に出すことはなかった。 そんな2人の微妙な距離感は、試合内容にも反映されていた。'93年7月29日、王者の三沢に川田が挑戦した三冠戦。 三沢は、急角度の投げっぱなしジャーマン3連発で失神させた川田を、さらに抱き起こしてタイガースープレックスで勝利した後、「川田は中途半端にやると、中途半端なことを言い出すから」と話している。 だが、それを聞いてもなお、少し前までタッグパートナーだった後輩をそこまで非情に叩き潰すことの真意は、他人には理解し難い。テレビ解説をしていた御大ジャイアント馬場も、「高度な展開すぎて俺には分からない」と話したほどであった。 '98年、全日による初の東京ドーム大会で三沢に勝利した川田が、普段の無口なキャラクターを捨てて「プロレス人生で一番幸せです、今が」と感情を爆発させたのも、やはり相手が三沢だったからこそであろう。 '00年の全日分裂から5年後、ノア2度目となる東京ドーム大会で、そんな2人が再び対峙した。大会開催までの社長業との兼務ゆえか、コンディションの悪さから技のミスも目立った三沢だが、そこは気力でカバーしていく。 顔面キックに花道での投げ捨てパワーボムと、容赦ない攻めを繰り出す川田にエルボーで対抗。 切り札のエメラルド・フロウジョンもタイガー・ドライバー'91も返されて、あとがなくなってもなおエルボーを連打。最後もランニング・エルボーを顔面に叩き込んで勝利の凱歌を上げたのだった。 しかし、試合後に川田がマイクを握り、「今日、打つはずの終止符が打てなくなりました」と継続参戦を匂わせると、その一方的な発言に対してノア経営陣は「川田をノアのマットに上げることは二度とない」と激怒。 一方の川田も、「この5年間やってきたことが台なしになった」と記念すべき一戦にふさわしくない、ネガティブかつ意味深なコメントを残したのだった。 単なる有終の美とならないあたり、この2人の関係性はやはり余人には理解し難いのである。
-
スポーツ 2017年10月15日 18時00分
プロレス解体新書 ROUND67 〈新旧スターの“魔性”対決〉 変幻自在のムタに猪木がマジ切れ
1994年5月、新日本プロレスによる福岡ドーム2度目の大会『レスリングどんたく in 福岡』が開催された。メインイベントでは、引退を控えたアントニオ猪木と日米を股にかけるトップヒールのグレート・ムタが激突。多くのファンが心躍らせて見守る中、新旧スターの対戦は意外な展開を見せることになった。 プロレスに限った話ではないが、スター選手がそろえば必ず好勝負、名勝負が生まれるというものではない。互いに守るものが大きいからこそ、逆にそれぞれの持ち味を出し切れないまま凡戦に終わるというのは、往々にしてあることだ。 「総合格闘技のPRIDEで、その草創期にとある看板スター選手が“顔はダメだよ”と言ったなんて噂もありました。何でもありと言いながら“勝ち負けはともかく自分は顔も売り物だから、顔だけは殴らないでくれ”と、対戦相手に注文をつけたというんですね」(スポーツ紙記者) スター同士の対決ということで戦前から観客の期待が高いぶん、凡戦に終わったときの落差は余計に大きなものとなる。 1994年5月1日、福岡ドーム(現・福岡ヤフオク!ドーム)でのアントニオ猪木vsグレート・ムタの一戦も、そうした試合の一つと言えるだろう。 今さらその偉業を並べるまでもない“生ける伝説”の猪木が、遠くない将来に迫る引退に向けたファイナルカウントダウンの第1弾。対するはアメリカでトップを張ったスタイルそのままに、新日マットでも一大旋風を巻き起こしていたグレート・ムタである。 まさに新旧トップスターの激突とあって、当日の会場には遠くから飛行機代をかけてまで、足を運んだファンの姿も多く見られた。 「マッチメーカーとしても、人気絶大の2人を並べた上に猪木の引退までの記念試合と銘打てば、万事OKという考えだったのでしょう。実際、それで客が入ったのだから、その意味では正解だったわけですし」(プロレスライター) 共に千両役者だけあって、入場時から早くもムードは最高潮。大歓声を背にリングに向かう猪木をムタが花道で待ち受け、会場全体に緊張が走ったところでムタがさっと身を引くと、ロープを広げて猪木をリングに誘う。 猪木は奇襲に備えて視線を切ることなく、ファイティングポーズをとったままリングに足を踏み入れる。 「しかし、この試合の見せ場はここまででした。当時、国会議員でもあった猪木は、'92年1・4の馳浩戦から'94年1・4の天龍源一郎戦まで、丸2年の間リングを離れていた。そのため試合勘を取り戻そうと、タッグマッチを2回こなしてこの試合に備えたのですが、それでも全盛期にあったムタの動きについていくのは困難だったようです」(同) グラウンドからラフファイトまで変幻自在なムタの攻めに、猪木は防戦一方となってしまう。相手の攻めを最大限に引き出しながらそれ以上の力で返していく、いわゆる“風車の理論”がムタ相手には通じない。 「たぶん猪木はこの試合を受けるにあたって、楽観していたところもあったでしょう。猪木の脳内にあったムタ=武藤敬司は、新弟子時代のイメージのままで、当然、会社のトップである自分に合わせた試合をしてくるだろうと。ところが、ムタはそんなに甘くはなかった」(同) 花道を駆け抜けてのラリアットやムーンサルトプレスなど、広いドームを縦横無尽に使って猪木を攻め立てると、顔面に向けて容赦なく毒霧を噴射する。 ムタが花道を走る間はきちんと待って、毒霧を食らえば顔を緑色に染めながら“目が見えない”というポーズをとるなど、猪木もそれなりに試合を作ろうとはした。だが、それらを受けて、さあ反撃、というタイミングになると、ムタがさらに攻撃をかぶせてくる。 結局、20分余りの試合の中で、猪木の見せ場は浴びせ蹴りやナックルパートで反撃したわずか数分だけ。フィニッシュとなった側転エルボーをかわしてのチョークスリーパーも、唐突の感を免れなかった。 「武藤にしてみれば“会社がムタで出場しろというからには、こういう試合をやれってことだろ?”との考えもあったのでしょう。多少の流血をさせたものの、猪木を血みどろにまでしなかったあたりは、やはり気遣いもあったのかもしれませんが…」(同) しかし、引退までの貴重な試合を、親子ほど年の離れたムタに翻弄される一方で終えた猪木にすれば、とても納得のいくものではなかったに違いない。 試合後の記者会見で「あの野郎、許さねえ!」「俺の命を獲ってみろ! 中途半端なことをしやがって」「いつでも殺してやる!」と激高してみせたのは、決して演技でもアングルでもない、心の底からのマジ切れだったのではあるまいか。 翌年、UWFインターとの対抗戦における高田延彦と武藤の一戦で、解説席に座った猪木がどこか武藤に冷たかったのは、もしかすると、このときの恨みがあったからかもしれない。
-
スポーツ 2017年10月13日 20時20分
松井珠理奈、念願の新日本1.4ドーム大会アンバサダー就任で“二刀流”継続宣言!
新日本プロレスは13日、来年1月4日東京ドーム大会のスペシャルアンバサダー就任記者会見を行い、SKE48の松井珠理奈が就任したことが発表された。今年は俳優の安田顕が務めている。 珠理奈は、今年テレビドラマ『豆腐プロレス』でプロレスラー“ハリウッドJURINA“役を演じたことがきっかけでプロレスにハマり、新日本を中心に団体問わず観戦に訪れる姿がたびたび目撃されており、珠理奈本人もプロレスファンとして積極的に発信を続けている。 また、8月17日に後楽園ホールで行われた『豆腐プロレス』の大会でプロレスデビューも果たし、内藤哲也の必殺技デスティーノで勝利を収めてファンを驚かせた。本人も出席した会見は予定時間をオーバーするほど、珠理奈の抑えられないプロレス愛が爆発。またプロレスをAKBグループに置き換えた発言もあり、ボリューム満点な会見になった。 珠理奈は、親交があるタグチジャパンの田口隆祐監督が、若干噛みながら紹介する形で会見場に姿を見せると、「いま緊張しすぎて、手がシビれてきました」と笑顔で第一声を発した。「今年の1.4東京ドームで初めて新日本プロレスを生で観戦して、そこから大好きになったんですよ。この1年間、数えてみたら15回も会場にお邪魔させて頂きまして。会場に行きたいと思ったのは、私が普段アイドルとして活動していくための活力にプロレスがなっていまして。選手のみなさんが命を懸けて、倒れても倒れても立ち上がる姿に、私もアイドル人生を重ね合わせたというか。自分も何かつまずいたり、イヤなことがあっても『絶対、立ち上がってがんばってやろう!』という気持ちになることができたので。この1年、たくさん行ける限り、生で観たいなと思って会場にお邪魔させて頂きました。なので本当にプロレスに出会って、私は強くなったなと感じるので。その感謝の気持ちを込めて、まだプロレスを知らない人のためにもプロレスをアピールして、好きになって頂けるようにがんばっていきたいと思いますので、よろしくお願いします!」と話し、プロレスから受けた影響について力説した。 続いて、『レッスルキングダム12 in 東京ドーム』スペシャル・アンバサダーの就任調印式が行われ、新日本プロレスの菅林直樹会長が登場。珠理奈と菅林会長が調印を行ったあと、揃って記念撮影が行われた。 撮影が終わると田口監督が、「珠理奈さんが1.4をお子様から、お年寄りまで楽しんでできちゃう“ハンドサイン”も考案して頂いた」ということで、珠理奈がポーズを披露。そのポーズは、「みんなでプロレス!イッテンヨン!」と言いながら、左手を人差し指を立てて、そこに右手で人差し指と親指をL字型にして、それを重ね合わせて「1.4(イッテンヨン)」を表現している。珠理奈は、「このポーズ、流行ったらイイですね。流行らせたいです!」と語ると、田口監督は、「おばあさんになった時に、このポーズは私が考えたんだよと自慢してください」とツッコミを入れて、会見場からは笑いが起こった。■松井珠理奈 一問一答――今回アンバサダーの依頼を最初に聞いたときはどんな気持ちでしたか?珠理奈「初めはすごくビックリしましたし、早くみんなに言いたいと思いました。なので、今日この日を迎えられたので、もう隠さなくていいんだなと思いました(笑)」――1.4東京ドーム大会の第一弾カード、オカダ・カズチカvs内藤哲也戦が発表されましたが、このカードについて感想を聞かせてください。珠理奈「えー! どう思うか?難しい! 監督どうしましょう?(田口監督は謎のブロックサイン)」――前回はオカダvsケニーがメインでしたが、来年はオカダvs内藤がメインカードとなります。珠理奈「去年の1.4東京ドーム大会で、オカダ選手とケニー選手の試合を見てプロレスが好きになったので、メインの試合も気になりますけど、全部のカードが気になります。メインだとそれだけ期待するものもたくさんあると思いますし、先日の10.9両国大会を見て本当に良かったと思ったのは、1.4東京ドーム大会までのストーリー、流れを知って自分が1.4を見られるのがすごく嬉しいです。去年は、1.4が初めてのプロレスだったので、それまでのストーリーを知らずに見たんですよ。今回は、自分がストーリーを知って見られるのが凄く楽しくて、1.4まであと3ヶ月くらい? あるので、それまでのみんなの試合をしっかり見て、皆さんも1.4だけじゃなくて、それまでにも命を懸けて闘ってくださると思うので、そのストーリーを全部見たうえで試合を見たいと思います。その2人の関係性がもっとこれからどうなるのかな? と見ながら当日迎えたいとすごく思っています」――今年の東京ドームから1年経ちますが、珠理奈さんはプロレスファンとしてたくさん発信をされてます。ハリウッドJURINA選手は、デスティーノを使っていますが、タグチジャパンの立場として言いにくいかもしれませんが、内藤選手のいまの爆発的な人気はどう思いますか?珠理奈「そうですね。その答えに関しては、……トランキーロ!あっせんなよ!。……あ、この答えで大丈夫ですか?(場内爆笑)」――大丈夫です(笑)。田口「ありがとうございます(笑)」――スペシャル・アンバサダーとしてどのような活動を行っていきたいですか?珠理奈「そうですね。SNSなどでアピールすることはもちろんですが、自分が試合を観戦した後はツイートしたりとかしてたんですが、それを積極的にやっていきたいです。あとは自分が観戦している姿をあまり見せたことがないので、結構すごいテンションになっちゃうんですよ(笑)。それで周りの人が声掛けてくださるので、あまり迷惑をかけないように、でも、緊張せずに普段通りに応援させていただけたら嬉しいかなと思います。なので、私が大きな声で応援してるとこを見ても温かく見守ってくれればと思います」――これから1.4東京ドームに向けて会場で観戦したい気持ちはありますか?11.26愛知県体育館(SKEのお膝元)がありますが…珠理奈「もちろん! 愛知はまだ行ったことがないんですよね。大阪、神戸、京都は行ったことがあるんですけど、愛知県体育館は行けてないですね。あと10.21東金体育館大会にもお邪魔出来たら嬉しいなと思います」――ハリウッドJURINAとしてまたプロレスをしたいという気持ちはありますか?珠理奈「めちゃくちゃありますね。本当に選手の皆さんの試合を見れば見るほどその気持ちが増してきて、自分が後楽園ホールの試合の映像を見たりして『もっとこうすればよかったな』とか反省点もたくさんありましたし、『この選手の技をやってみたい!』とかそういう目線で見ちゃうんですよね。もちろん応援する気持ちもあるんですけど、そういう気持ちで見てしまうので観戦し終わった後にミラノ(コレクションAT=『豆腐プロレス』のコーチ)さんのところに行って『今度はこの技をしたいです!この選手のこれをやりたいです!』とかお話ししたりしてますね。それが実現したら嬉しいと思います」――ちなみにどの選手のどの技をしてみたいですか?珠理奈「えー!でも、結構出尽くしたんですよね(笑)。逆になにが出来たらいいと思いますか、監督!」田口「えっ、なにが出来たらいい?」珠理奈「はい!タグチジャパンとして」田口「そうですね。ヒップアタックはまえにやってましたよね。でも腰が甘かったので、今度は、手取り足取りマンツーマンで……」珠理奈「ミラノさんに教えてもらいます」田口「えっ。でも結局、ボクに教えてもらうかミラノさんに教えてもらうかになるじゃないですか。それでもミラノさんですか?」珠理奈「う〜ん。そうですね。ミラノさんで……」田口「ありがとうございました(苦笑)」――空中殺法はどうですか?珠理奈「あ、聞いてください!この間コンサートでバク宙をしたんですよ。バク宙を1ヶ月くらいで練習したんです。総選挙の感謝祭というコンサートだったので、ファンの皆さんに私を応援してて良かったと思っていただきたいと思って練習したりしたんですけど、よくよく考えたら、バク宙が出来たらプロレスの試合にも生かせると思っているので、さらにパワーアップしたハリウッドJURINAを見ていただけると思います」田口「ムーンサルトとか出来たら良いですね」珠理奈「やりたいですね。空中殺法は見るのも好きなのでやってみたいですね。それを練習することに恐怖感が全然なくて、それはきっとプロレスをやっていてトップロープから飛んだりしていたので、プロレスをやったことで自分はなんでも出来るんじゃないかと思っちゃうくらい本当に強くなれたのですごく感謝しています」――タグチジャパンのマネージャーとして東京ドームに登場する可能性はありますか?田口「そうですね。まずタグチジャパンとして試合が組まれるかという大きな問題がありますので、まずは、そこをクリアする必要がありますね(場内爆笑)。でも、全体のアンバサダーですからね、タグチジャパン独占というわけにもいかないかなという思いもありますので。でもできれば独占で!」珠理奈「皆さんのことを応援します。もちろんタグチジャパンも!」田口「じゃあ、密かに応援してください」珠理奈「密かじゃないです。常に思っています。応援してます!」田口「ただ、私はたぶん第0試合だと思いますので、『ニュージャパン・ランボー』頑張ります(場内爆笑)」珠理奈「私は監督のお尻を見てます」田口「そうですか。キレイにしておきます(笑)」――アイドル活動をプロレスに例えると、珠理奈さんはいまセンターを外れていて、ベルトを奪われている状態だと思いますが、次のシングルはいつ出るか分かりませんがベルト奪還したいとか、若いチャンピオンを育てたいか、どっちの気持ちですか?珠理奈「その気持ちは両方ありますね。難しい立ち位置だなと思いまして、でも譲る気持ちはなくて奪いに来てほしい気持ちもあるので、そこに1人にいることでその人に勝ちたいとか、その気持ちになることで全体が盛り上がると思いますので『珠理奈に勝ちたい!』みたいな存在になりたいなと思います。ベルトを持ってなくてもチャンピオンの風格を持っていたいなと思います。私は、SKE48だけじゃなくて、48グループのセンターになりたい気持ちが強いのでSKE48はもちろんですけどAKB48のセンターも狙っていきたいと思います」――やはり指原(莉乃)さんの存在は強いですか?珠理奈「強いですね。総選挙はもちろんですけど、グループを引っ張っていく力がすごくあって、指原さんがHKT48として活動していてテレビ出たり総選挙1位になったりして、HKT48の勢いも上がっているんですよ。私もそういう存在になりたいと思います。自分が活躍することでSKE48の為になったら良いなと思うし、48グループの為になったら良いなと思います。それだけ大きな存在になりたいと思います」 最後に田口監督が会見を締めくくろうとすると、「終わっちゃうんですか!さびしい!」と言いながらも立ち上がった珠理奈は、「ちょっと待った〜! 最後に“3つ”、言わせてください!」と会見終了のムードを遮断すると、「ひとーつ!今年の1.4東京ドーム大会から、1年が経ち、まさかの来年のアンバサダーをさせて頂くことになりました。凄く凄く最高で、感謝をしています! ふたーつ!この感謝の気持ちを持って、プロレスを知らない方にもプロレスの魅力をシッカリ伝えていきたいと思います! みっつ!……特にありません」と最後は“レインメーカー”オカダ・カズチカ流で会見を締めた。 会見が終わってもしばらく会場の出入り口付近に残り、笑顔で報道陣を見送るその姿はファンにお馴染みの“神対応”そのものだった。プロレスの知識も1年で身につけたとは思えないほど。探究心の塊なのだろう。そんな彼女がプロレスへの入口を少しでも広げてくれたら、こんなに嬉しいことはない。年末は、グループとしての活動も忙しくなる季節だが、1.4ドームに向けた松井珠理奈の動きも要チェックである。取材・文・写真 / どら増田
-
-
スポーツ 2017年10月10日 17時13分
【新日本プロレス】圧倒的な支持率を背に内藤哲也、4年越しの1.4東京ドームメインに出場!
新日本プロレスは9日、両国国技館で秋のビッグマッチ『KING OF PRO-WRESTLING』を開催した。この大会は、メインイベントとセミファイナルの試合結果で、来年1月4日に開催される『レッスルキングダム12 』東京ドーム大会のメインカードが決定する注目大会ということもあり、9,234人(満員)の大観衆を集めた。 まず、セミファイナルには今年の『G1クライマックス』に優勝し、1.4ドーム大会でIWGPヘビー級王座に挑戦する権利証を獲得した内藤哲也が大ナイトーコールに包まれながら入場。今年シングルで2連敗を喫している石井智宏を相手に権利証の争奪戦(防衛戦)を行った。内藤が逆指名する形で実現したカードだが、石井の武骨さの中に秘めた柔軟性があるスタイルに、内藤はなかなかペースを掴めない。しかし、トップロープからの雪崩式ブレーンバスターなど、終盤になってから激しさを増す石井の猛攻を凌いだ内藤が、石井の隙を見逃さず必殺のデスティーノで逆転勝ちを収め、一足早く1.4ドーム大会のメインイベント出場を決めた。 メインイベントでは、IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカがEVILを相手に8度目の防衛戦を行った。オカダが後輩の日本人選手の挑戦を受けるのは、これが初めて。EVILは入場から不気味な世界を演出。場内からはどよめきが起こった。試合は、オカダの首に狙いを定めたEVILがパワーとラフファイトを巧みに使って主導権を握っていく。これに対して、「同じ相手には2度負けない」ことを信条にしているオカダは、先の『G1クライマックス』公式戦でEVILに敗れているだけに、場外のフェンス越しにフライングボディアタックを放つなど捨て身の攻撃でペースを取り戻す。終盤、レフェリーが誤爆から失神し、大量のイスがリング内に投げ込まれ、イスの上へのダークネスフォールズを狙われるが、ウラカンラナで切り返すと形勢が逆転。その後もEVILの粘りに手を焼きつつも、最後はレインメーカーで完勝。見事な横綱相撲を見せた。 メイン終了後、オカダのマネージャーである外道が「ついに! 次は、東京ドームだな、オイ?相手はよ、あの制御不能男か?レインメーカーがよ、キッチリ、制御不能男をよ、完膚なきまでに制御してくれらぁ。オイ、内藤!オメェのことだコノヤロー!さっさとツラ見せろよコノヤロー!」とマイクで控室の内藤を挑発すると、大歓声が起こる中、内藤が笑みを浮かべながら現れリングイン。マイクを掴んで「両国へお集まり下さったお客様に、俺は聞きたい。EVILを倒したオカダと、石井を倒した俺、2018年1月4日東京ドーム大会のメインイベント、IWGPヘビー級選手権試合は、オカダ・カズチカ 対 内藤哲也でよろしいでしょうか?」と観客に問うた。これは、4年前の1.4ドームで全く同じシチュエーションで実現した同カードが、ファン投票の結果、当初予定されていたメインイベントからセミファイナル(正確にはダブルメインイベント第1試合)に降格した経緯があったことから、今度はファンの支持をしっかりと取り付けたいという内藤の思惑があったのは明らか。これに対してファンは、大ナイトーコールで後押し。この4年間で内藤がカリスマレスラーに変貌を遂げた象徴的な場面だった。 「とはいえ!まだ3ヶ月も先の話なわ・け・で、いろいろなことを想像しながら、楽しみに待ってて下さい。2018年1月4日東京ドーム大会まで!トランキーロ!あ…」と内藤がその場を締めかけた絶妙なタイミングで「内藤さーん」とオカダがマイクで横やりを入れる。これには、場内からは大ブーイング。オカダ自身は、「強すぎるからじゃないですか」と分析しているが、最近のオカダにはブーイングが飛ぶようになった。これは、悪意のあるブーイングとは異質なもので、古くは故・橋本真也さん、最近では棚橋弘至が絶対王者時代に受けていたものと同じような“アンチ巨人”的な性質のものといえばわかりやすいだろう。 両国国技館のファンは、7対3で内藤を支持していた。10日に正式発表された際に内藤は、4年越しの初メインイベントのカードがオカダ戦になったことについて「まさにデスティーノ(運命)ですよ」と素直な気持ちを述べている。今年の1.4ドーム大会では、オカダがケニー・オメガを相手に大激戦を制してネット中継を見ていた世界中のプロレスファンを大熱狂させた。オカダは内藤について「世界に響くという意味では内藤さんよりケニーの方が上」とバッサリ。今回の試合がキッカケになり、内藤が築いてきたトランキーロ旋風が日本や発祥の地であるメキシコだけではなく、アメリカやヨーロッパにも広がりを見せることができるのか注目である。取材・文 / どら増田カメラマン / 舩橋諄