スポーツ
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スポーツ 2017年03月11日 16時00分
「錦織圭はグランドスラムの頂点に立てない」IMGコーチの解けない呪文
錦織圭(27)が13歳でテニス留学したアメリカのIMGアカデミーのボロテリーコーチはこう言った。「圭は素晴らしい選手だが、今のままではグランドスラムの頂点に立つことはできないだろう」と。残念ながら、それがいま現実となりつつある。 もう一つ、アメリカのテニス専門誌も錦織圭を酷評した。その実力は“一流”として認められているものの、「もう一歩、上」の“超一流”になれるかどうかの瀬戸際に喘いでいると評したのだ。 “課題”がまだ克服されていないことが露呈したのは、アルゼンチン・オープン決勝戦だった(2月19日/現地時間)。相手は世界ランキング66位で、メディアやファンは同5位の錦織の今季初優勝を信じていたが、ストレート負け。苦手とされるクレーコート(赤土)に翻弄され、いいところをまったく見せられなかったのだ。 「錦織サイドはクレーコートの経験値を積むための出場と言っていました。その言葉通りなら、同じクレーコートで行われる5月の全仏オープンに標準を合わせているということになりますが、今大会を見る限り、勝算があるとは思えません」(専門誌記者) 本来、錦織のように打ち合いを得意とするプレーヤーは、クレーコートを好む。ハードコートよりもボールに勢いがなくなる分、打ち合いの持久戦に持ち込みやすいためだが、錦織はその逆。「ジュニア時代は得意だった」と強がったことはあるものの、過去のツアー戦歴11勝のうち9勝がハードコートで挙げている。今大会で錦織は“強いサーブ”を打ち込む作戦に出たのだが、それを「グッドだが、グレートではない」と、米専門誌に叩かれたのだ。 クレーコートでも失速しない、強いサーブを打つ作戦は間違っていない。しかし、それで勝っても錦織のためにならないというのだ。 「クレーコートでの打ち合いになると、ミスショットが出てしまう。錦織はサーブのスピードにも定評がありますが、世界の超一流は190センチ台の長身揃い。角度という点で、錦織がこの先サーブをどれだけ進化させても敵いませんよ」(同) 2月27日付で男子テニスの世界ランキングが発表されたが、錦織圭は5位で変わらなかった。 「錦織圭はグランドスラムの頂点に立てない」IMGコーチの呪文はこれからも解けないのか?
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スポーツ 2017年03月10日 16時00分
ヨシノブ巨人を蝕む3つの病巣 〜史上最悪キャンプ舞台裏〜
“魔の2年目”を迎えたヨシノブ巨人が3月1日、沖縄キャンプを打ち上げた。“魔”というのは、三顧の礼で迎えられた原辰徳の第一次政権、堀内恒夫政権とも3年契約の2年目オフに解雇されているからだ。今季優勝を逃せば、高橋由伸監督もまた、同じ道筋をたどってしまう可能性がある。 2月1日からの宮崎キャンプのスタートは、当初こそ、20億円とも30億円とも言われる超大型補強で評判が高かったが、終わってみれば「まるっきり活気がない。史上最悪のキャンプ」と評論家たちのコメントは酷評ばかりだった。史上初のFAトリオのうち、下半身の張りを訴えた陽岱鋼(前日本ハム)と右肩痛の山口俊(前DeNA)はともに三軍で調整中。森福允彦(前ソフトバンク)こそ順調のようだが、新外国人マギーなどの移籍組にチームの主導権を奪われ、チームの士気は下がりっぱなしだ。 巨人担当記者によると、「ヨシノブ巨人を蝕む病巣」が3つあるという。 まずは、常に本心を明かさぬ高橋監督の慎重発言だ。記事にしようにも面白くないコメントばかりで、話題性に事欠くという。それでいて担当記者にも「巨人は常に紳士たれ」を要求し、ジャケット、スラックス着用のドレスコードを押し付け、ヒゲもNGとなった。揚げ句は雑談での記事にも規制を設ける始末で、野球技術に関する報道ばかりを押しつけているという。ネガティブな記事ばかりが増殖しているのはそのためで、自然とメディア露出も激減している。 超大型補強の反動も予想以上に大きい。FA3人と新外国人マギーの加入で生え抜きスター選手が次々に配置転換の憂き目に遭っているのだ。次期主砲と期待される岡本和真三塁手は村田修一、マギーの壁に阻まれ外野手へ。ポスト鈴木尚の俊足外野手・立岡宗一郎は陽岱鋼加入で二塁へコンバートされた。どちらも守備練習に追われ、打撃に影響が出始めている。超大型補強で押し出された選手で二軍は満員御礼状態。一軍残留組は苦渋のポジション変更で生き残りに懸命の構図だ。 球界の人気を独りで支えてきた二刀流・大谷翔平(日本ハム)が今シーズン限りでのメジャー移籍が決定的になったことも響いている。この球界のピンチに救世主と期待されているのが、早実の“怪物”清宮幸太郎だ。早大進学が有力と言われるが、今秋のドラフトではソフトバンク、西武、オリックス、DeNA、ヤクルト、中日の6球団が指名準備を進めている。巨人も岡崎郁元ヘッドコーチをスカウト部長に起用し、清宮指名シフトを敷いた。 しかし、慶応閥の強い巨人と早大は、あの桑田事件以来、険悪な関係が続いたまま。清宮獲得に慶大OBの高橋監督も障壁となっている。ドラフト前の“慶応色払拭”が緊急課題という。 次期監督が確実視されるOBの松井秀喜氏だが、今秋の就任には否定的なようだ。そこでつなぎに急浮上したのが、豪華生え抜き選手を預かる斎藤雅樹二軍監督。異例の一、二軍の監督入れ替え説も、ネット裏では囁かれ始めている。
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スポーツ 2017年03月09日 16時00分
「笑って…泣いて…汗かいて…」白鵬が語った“内弟子”と“引退”と“親方株”
先場所、横綱になって最長となる4場所続けて優勝を逃した白鵬。“平成の大横綱”がこのまま終わるはずはない。不死鳥のごとく蘇ってくるはずだ。 2月21日、宮城野部屋は都内で記者会見を開き、大学2、3年時に世界相撲選手権軽量級(85キロ未満)で連覇した中村友哉(金沢学院大=22)の入門を発表した。身長167センチ、体重95キロと小兵だが、かいなひねりなどのひねりワザを得意とするワザ師で、白鵬の内弟子となる。内弟子とは、引退して部屋を持った際、弟子になることを約束された力士のことで、白鵬にとっては幕内の石浦、十両の山口に次いで3人目だ。 「横綱はこの社会では一番強い方。あとに付いていけば、間違いないと思ったので」 白鵬の内弟子になることについて、中村はそう語った。入門会見に同席した白鵬も、「若い力士と一緒に土俵に立って汗をかいて、笑って、泣いていきたい。中村は石浦と同じような体形で、スピードがある。宇良にも負けない」と、終始にこにこ顔だったが、最後にひと言、「2年で関取になってもらいたい。あと3年で引退するので」と付け加え、報道陣をドキリとさせた。もちろん、引退後の備えはいまだ盤石ではない。 白鵬はかねて「東京オリンピックまでは現役で頑張る」と話していた。その東京オリンピックは、3年後に迫っているが、自ら引退期限の線引きをしたのは初めて。一時の強さに陰りが見えてきていると言われるだけに、自分でもいよいよ身の引き際を考え始めたようだ。 ただ、親方になる道は相変わらず閉ざされたまま。史上最多37回も優勝した白鵬は一代年寄の授与を求めているが、親方になるには日本に帰化することが必須条件だ。しかし、国民的英雄を父に持つ白鵬はモンゴル国籍を捨てることに大きな抵抗がある。そのため、帰化せずに親方になる特例を求めてきた経緯がある。 「どうするか、白鵬自身が決める問題だ」 八角理事長は、そう突き放し、まったく歩み寄る姿勢を見せていない。このままいくと、白鵬は時間切れで親方になれないことだってあるのだ。となると、せっかく内弟子を集めても自分の弟子にすることができない可能性がでてくる。果たして、白鵬はこの問題をどう処理するつもりなのか。 白鵬は春場所直前には32歳になる。いつ引退しておかしくない年齢に達するが、大横綱・白鵬の“心・技・体”はまだまだ土俵の上にあることを信じたい。
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スポーツ 2017年03月09日 12時40分
WBC情報 好投しているピッチャーを交代させる勇気
「1対1」の同点で迎えた5回裏、侍ジャパンの名伯楽・権藤博投手コーチ(78)は、先発・菅野智之(27)に続投を指示した。4回を投げ終わった時点で、菅野の投球数は「48」。今さらだが、一次ラウンドで投手が1試合で投げられる投球数は「65」までと決められている。「1イニング平均15球」とした場合、4回まで投げて60球到達となる。そう考えると、菅野はソロアーチこそ食らったが、実に効率良く投げ抜いてくれたわけだ。また、プロ野球解説者の多くが語っているが、WBCを勝ち上がっていくポイントとして、先発投手を降板させたあとに、もう一人の先発タイプの投手の存在が挙げられていた。 菅野のあとを託される“ロングリリーバー”は誰になるのか、その交代の時期は――。 4回を投げ終えたとき、交代するのかどうか、ネット裏の意見が別れた。効率の良い投球内容からして、「投球数制限内で5回まで行けるのではないか」の声も多く聞かれた。投球数の制限ルールだが、細かいところまで見れば、65球に到達した時点で2アウトを取っていれば、そのイニングは投げきっても良いことになっている。「あと17球」で、アウトカウント2つなら、今日の菅野でも十分行けるのではないか…。しかし、結果は、1アウトを取った時点で57球、次打者にファールで粘られ、「一死一・二塁」の場面で交代することになった。 その岡田俊哉(25=中日)がワイルドピッチや制球難で満塁までピンチを広げてしまい、大量失点に陥り掛けたところを二塁手・菊池涼介(26)の好守に救われた。 岡田は昨季57試合に登板したタフネス左腕だ。もし、その岡田が5回のマウンドを最初から任されていたら、投球内容は違っていたのではないだろうか。 スポーツの世界で「もしも…」は禁物だ。球場入りしていたプロ野球解説者の一人がこう言う。 「経験豊富な権藤さんのことです。イニングの途中なら岡田、菅野が5回を投げきっていたら、6回からは千賀と決め、彼らにもそう伝えて準備させていたと思う。昨季、岡田はイニング途中からマウンドに上がったこともあったはず。その岡田がオドオドしてしまうんだから、国際試合はコワイよね」 投手を交代させる時期の見極めは、本当に難しい。「好投している」となれば、なおさらだ。攻守交代の見極めというと、思い出してしまうのが、北京五輪の敗退だ。星野仙一監督(当時)は後続を出し惜しんだのか、岩瀬仁紀に“イニング跨ぎ”を課して失敗した。続投は結果論だが、「岩瀬はシーズン中、イニング跨ぎをやっていたか?」の非難も聞かれた。 菅野を続投させた今回のオーストラリア戦だが、岡田の次の登板がちょっと心配になった。ピンチに陥ったときの顔面蒼白ぶりは、次登板に影響しないだろうか。 「初戦でリリーフ登板した投手の何人かが失点しています。権藤さんは救援陣に若干の不安を抱えていたから、菅野を引っ張ったんだと思う」(前出・プロ野球解説者) 東京ドームのブルペンだが、3人同時に投げられるように造られている。しかし、一塁側、三塁側ともに3つ目のマウンドにシートが掛けられ、使えない状態になっていた。大会ガイドブックにはブルペンのことは記載されていなかったが、規制があったのだろうか。同時に2人までしか準備できないとなれば、投手継投はますます難しくなる。名伯楽・権藤コーチはどんな策を講じているのだろうか。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2017年03月08日 17時00分
WBC情報 やっぱり気になる野球観の日米摩擦
「ここまで硬くするのかよ!?」 キューバとの一戦を控えた前日(3月6日)、侍ジャパンは午後3時から合同練習を行った。ここまでくれば、練習と言っても「調整」だ。小久保裕紀監督(45)もノンビリと構え、ゲージ後方で主力野手陣のフリー打撃を見守っていた。しかし、投手陣からは「アメリカに行ったら、もっと硬いんじゃないか?」の声が漏れていた。彼らが「硬い」とこぼしていたのは、アメリカ仕様に合わせたマウンドのことだ。 メジャーリーグ球場のマウンドは、日本と比べ、硬く、しかも高い。その違いは大会前から指摘されていた。また、ソフトバンクの春季キャンプ地・生目の杜運動公園野球場のブルペンが、1か所だけだが、『アメリカ仕様』に造り替えられた。千賀滉大や後に代理招集された武田翔太がアメリカ仕様のマウンドに早く馴染めるよう、球団側が配慮したのだ。アメリカ仕様のマウンドへの違和感をなくそうと、他投手も自主トレ期間からさまざまな準備をしてきたが、東京ドームに実際に立った途端、「こんなに違うのか?」と驚いたのである。 「侍ジャパンは練習・壮行試合(5試合)を行うにあたって、アメリカ仕様のマウンドに造り替えてもらった球場もあります。3月5日のオリックスとの練習試合からWBCI(主催者)が派遣するグラウンドキーパーが合流してくれたんですが、彼らの作ったマウンドが想像していた以上に硬くて…」(関係者) オリックス戦前までは日本のグラウンドキーパーがマウンドを造っていた。しかし、ヒューストンアストロズの球場でグラウンドキーパーをしている彼らは、「これでもか!?」と言わんばかりにマウンドに土を盛り、ガンガンとかためてしまった。あくまでも日本側の感想だが、「急斜面すぎる」「スパイクの歯が刺さらない」といった“悲鳴”も聞かれた。 「決勝ラウンドはアメリカ国内で行われます。向こうに行ったら、もっと硬いぞ」(前出・同) また、投手陣は審判にも泣かされたようだ。MLBの審判がジャッジを務めたのは、一次ラウンド本番から。NPBは壮行・練習試合からの派遣を打診していたが一蹴され、“ぶっつけ本番”になったのである。 「内角球を取ってくれない(ストライクコールしてくれない)。日本なら、確実にストライクなのに」(スタッフの一人) 一次ラウンド本番に先駆け、侍ジャパンは各球団から敏腕スコアラーを借りて、対戦チームのデータ収集を行っていた。その効果が普段、盗塁をあまりしない中田翔が自信を持って二盗した場面であり、「今回のキューバ打線はスピードボールに適応できない選手が多い」との報告を上げていたのだ。 しかし、ストレート中心の配球と言っても、変化球を投げないわけにはいかない。内角球や内側への変化球がウィニングショットにつながる重要な要素になっていたのだが、そこでストライクカウントが稼げないため、侍ジャパンの投手は必要以上の球数を放ることになった。 「一次ラウンドを戦いながら慣れるしかないよね…」 前出のスタッフは、自分に言い聞かせるようにそう語っていた。 年長のNPB関係者にみれば、第1回大会当時はデータと呼べる代物がなく、まさに、ぶっつけ本番だったそうだ。先発投手は実力だけではなく、センスとカンが試された。スタメンマスクをかぶった捕手も「この投手の特徴をどう生かすか」を必死に考えながらサインを出していたという。大会を重ねるごとに対戦国のデータ収集の分析力が進むのは当然だが、日本とアメリカの野球観というか、使用球やマウンドへの違和感はなくなりそうにない。(スポーツライター・飯山満)【写真】ダルビッシュも苦しんだメジャーリーグの硬いマウンド
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スポーツ 2017年03月08日 16時00分
清宮幸太郎を全面支援する「王・長嶋・野村」鉄板トロイカ体制(2)
野村氏に清宮家と幸太郎の少年時代を語ってもらえばさらに盛り上がるが、そのためには幸太郎がまず、五輪代表選手に選ばれなければならない。 「アマ側が希望する特別枠が認められれば、早大生として選ばれる可能性が高い。プロの世界で勝負するとなれば、1年目から使ってくれる球団を希望するでしょう。幸太郎はメジャー挑戦の夢も持っているので、1年目から使ってくれるのなら、どこでも入団するはず」(スポーツ紙記者) その試金石となるのが、プロ予備軍の好投手が揃ったセンバツ甲子園だ。清宮の真価について語る際、どうしても昨秋の東京都大会で左腕・桜井周斗投手(日大三)から5三振を喫したことが議題にあがる。「プロに入れば、もっと苦戦する」との見方が支配的だが、プロスカウトの評価は少し違った。 「その5三振だが、すべて右足でしっかり壁ができていました。体重が前に流れないので、左投手のスライダーに対応できるまでそう時間はかからないと思う。まあ、プロに入ってくれればだけど」(在京スカウト) また、NPB内ではセンバツの試合抽選次第で、清宮の出場する早実戦とWBCがテレビ視聴率を争うことも危惧されている。「その際は負けるかも」と予想する声は少なくなかった。 WBC、センバツともに放送は日中だ。若い野球ファンはスマホやパソコンでWBCを見るだろうが、それは視聴率に反映されない。また、その時間帯にテレビのチャンネルをつけるのはオールドファンであり、ONに憧れた世代は若いスターの到来に飢えている。 「ラグビーファンの女優・吉永小百合さんも克幸氏に連絡を入れ、幸太郎の話をしていました」(関係者) 若いスターの到来を期待する世代にアピールするには、清宮を五輪メンバーに選出すべきなのだ。 ONと野村氏、このトロイカ支援トリオが東京五輪の野球で、清宮幸太郎を激励する。最高の世代交代の瞬間となる。東京五輪で21歳になった彼が海外代表チームを相手に躍動すれば、野球・ソフトボール競技は“次”に繋げられるだろう。 「2024年の五輪開催地にアメリカのロサンゼルスも立候補しています。同地が当選すれば、米国として野球とバスケはアピールすべきですし、日本が野球で盛り上がったとなれば尚更」(前出・スポーツ紙記者) センバツで活躍し、日本一ともなれば、幸太郎の人気は不動だ。野球関係者は視聴率戦争の恐怖を抱きつつも、活躍を願っている。
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スポーツ 2017年03月08日 11時15分
WBC情報 小久保監督の期待に一発回答した松田のインサイドワーク(対キューバ)
3月7日、侍ジャパン初戦。壮行・練習試合を負け越し、一抹の不安を抱えWBC本番に突入したが、初戦を白星で飾った。小久保裕紀監督(45)がキーマンに挙げていたのは、松田宣浩(33)だった。壮行・練習試合ではバットで結果を出せず、「スタメン三塁は田中(広輔=27)ではないか」の声も聞かれたが、小久保監督は迷わなかったという。『誰よりもノッてほしいオトコ』として、松田のスタメンを決めていたそうだ。 松田は本塁打を含む5打数4安打とその期待に応えた。試合中盤、東京ドームのプレスルームを出ると、通路にまで松田のナインを鼓舞する声が響き渡っていた。松田が打てば、チーム全体が盛り上がる――。小久保監督の狙いはそこにあったわけだ。 その松田が『走塁』でもチームに貢献していたという。 2回一死、松田がセンター前安打で出塁した。次打者の小林も同じくセンターに弾き返すのだが、犠打のサインが出ても決められず、ヒッティングに切り換えての“結果オーライ”だった。松田が三塁まで進み、打席には2年連続トリプルスリーの山田哲人(24)を迎えた。その山田が打ち損じて三塁ゴロとなったときだった。松田は本塁に飛び出し、『三塁−本塁間』に挟まれ、タッチアウト。スタンドからはため息も聞かれたが、侍ジャパンのスタッフたちは「さすが、松田」と称賛していた。 「いや、一戦必勝のゲームなんだから、アレでいいんだよ」 本塁を狙った積極性を買ったのかと聞くと、完全否定された。 「一死一・三塁の場面なんだから、『5-4-3』で併殺プレーが成立していたかもしれない。松田があえて飛び出し、タッチアウトになることで、二死一・二塁に変わる。これなら、次打者の菊池(涼介=26)、青木(宣親=35)に期待が持てるじゃないか」(関係者) このイニングは得点を挙げることはできなかったが、松田の“次打者に期待を残す”走塁が、後の大量得点につながったと見る関係者は多かった。通常のペナントレースであれば、松田が飛び出したことは凡ミスだが、一戦必勝の短期決戦ではこちらが正解だというのだ。 4回、山田の一撃がレフトスタンドに突き刺さったと思ったが、審判団はファンがフェンスを乗り出してボールに触れたのを見逃さなかった。三塁塁審が山田をストップさせたときは、一体何が起きたのかと思った。メディア配布された資料によれば、「本塁打かどうか」に限り、ビデオ判定をするルールになっていた。“疑惑”を見逃さずに、映像確認を行った審判団のファインプレーではあるが、マイクで観衆に説明しないまま、ゲームは再開された。できれば、説明してほしいと思った。 ハプニング、インサイドワーク…。野球は難しい。壮行・練習試合で負け越した侍ジャパンの打線爆発を、誰が予想しただろうか。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2017年03月07日 16時00分
清宮幸太郎を全面支援する「王・長嶋・野村」鉄板トロイカ体制(1)
『第4回ワールド・ベースボール・クラシック』(WBC)を戦う侍ジャパンのメンバーがついに集結した。関係者の『世界一奪還』への思いは熱いが、12球団フロント、並びに日本オリンピック委員会(JOC)スタッフの関心はそれ以上に次期代表監督が誰に決まるかに向けられていた。 「マスコミが予想している候補者の中から決まると思う。でも、誰がどうやって決めるか、きちんと決まっていない」(球界関係者) 前巨人監督の原辰徳氏、DeNAを再建させた中畑清氏などの名前が報じられている。次期代表監督は東京五輪の野球競技も指揮する可能性もある。追加競技とはいえ、日本中がもっとも関心を抱いているのが野球・ソフトボールだ。そのため、「侍ジャパンと東京五輪を切り離す計画」が腹案として温められている。 この重大人事に、清宮幸太郎(17=早稲田実業)が影響してきそうなのだ。 清宮は“WBCの裏番組”となりそうな今春のセンバツ甲子園を戦う。進路問題はまだ『白紙』だが、将来の目標は明言している。 「東京五輪に出たい!」 現時点で五輪野球はオールプロで臨む方向だが、追加種目として当確するまで二人三脚の関係で戦ったアマチュア、学生野球組織から「自分たちも」と、特別枠による出場希望が打診されている。この経緯は本誌先週号で既報した通りだが、新たな展開も見えてきた。 「ONに“前”に出てきてもらうことになりそうです。王貞治会長は東京五輪のエンブレムマークを選び直す特別委員を務めました。野球競技の話になると、『若い人たちが』と一歩引いた言い方をされていましたが、次期代表監督の人選について、コミッショナー側が相談を持ち掛けるのは必至。アテネ五輪の予選を指揮した長嶋茂雄氏も同様です」(球界関係者) ご意見番ともいうべき年齢に達したON両氏が、東京五輪の指揮を執ることは考えにくい。しかし、激励に駆けつけるくらいの協力は惜しまないはずだ。その激励の相手が清宮であれば、ONが本来望んでいる『次世代へのバトンタッチ』もでき、最高の演出となる。 それだけではない。野村克也氏にも一役買ってもらうことになりそうだ。幸太郎の父・克幸氏は野村氏とも親しい。さかのぼれば、克幸氏の父が南海ホークスの選手時代から野村氏の大ファンで、克幸の『克』の字はそこから付けたのだという。克幸氏がラグビー界でカリスマ的存在になってから、「克の字」の話をすると、親交がさらに深まり、野球を選択した幸太郎のことも相談してきたという。
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スポーツ 2017年03月07日 11時50分
WBC情報 侍ジャパン「世界一奪還」への試練
壮行・練習試合の最終戦を勝利で飾ったが、2勝3敗と負け越した。その投打ともに不甲斐ない結果となったせいだろう。第4回WBCを戦う今回の侍ジャパンは「史上最弱」とも揶揄されている。だが、招集された28人の顔ぶれを見ると、過去3大会にも引けを取らない好選手ばかりだ。なぜ、壮行・練習試合で苦戦したのか…。 小久保裕紀代表監督(45)は日本球界の変化に適応できなかったのではないだろうか。 チームのまとめ役としても期待されていた嶋基宏(32)が故障を理由に侍ジャパンを離脱した(3月3日)。その代役として緊急招集された炭谷銀仁朗(29)は過去の代表経験を生かし、他球団投手とも息の合ったところを見せてくれた。 「国際大会において捕手は非常に重要な役目を担います。過去3大会もそうでしたが、ベンチスタートとなった捕手には相手チームの分析もやってもらいます。マスクを被っている捕手は緊張するし、それどころではない。各投手のボールも受け、好不調、仕上がり具合も伝えてやるのも控え捕手の役目」(球界関係者) もちろん、守備の要としての役目もある。ペナントレースでも捕手は重要な役割を担うが、昨季の打撃成績を改めて見てみたところ、規定打席数に到達したのは巨人・小林誠司(27)だけだ。どのチームも正捕手不在の状態で、なかには先発投手との相性でスタメンマスクを使い分けているチームもあれば、長年務めてきたベテラン捕手との世代交代の時期を迎えたところもあった。 また、過去3大会でマスクを被ってきた侍ジャパンの主な捕手だが、里崎智也、谷繁元信、城島健司、阿部慎之助など、打線の中核選手やリーグを代表するトップ選手が目立つ。離脱した嶋は東日本大震災直後のスピーチや労組選手会の会長職でも存在感を発揮してきた。東北楽天に欠かすことのできない正捕手ではあるが、城島たちの圧倒的な存在感と比べられない。 過去3大会でマスクを被った先人たちは、その圧倒的な存在感で投手陣を牽引し、守備の要も務めていた。それが過去3大会と現侍ジャパンのチーム力の『差』となっているのではないだろうか。 また、外国人投手にクローザーを託すチームも増えてきた。小久保監督は松井裕樹の調子が上がってこないことに一抹の不安をこぼしており、年長の権藤博投手コーチは早い時期から、巨人菅野、楽天則本の救援起用も示唆してきた。 12球団が世代交代の途中にある。正捕手不在、日本人クローザーを持っていないチームの増えた状況にあることが侍ジャパンにも影響したのかもしれない。 第2回大会で原辰徳監督(当時)は大砲タイプの日本人スラッガーが少なくなった課題に直面した。村田修一を故障で欠き、稲葉篤紀を「つなぎの4番」として戦い、不調の藤川球児に代えてダルビッシュ有を緊急リリーバーとして登板させた。現有戦力でどう補って戦うか、そこは指揮官の腕の見せどころである。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2017年03月06日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND41 〈“新日vsUWF”全面戦争〉 上田馬之助が執念の場外心中
1986年3月26日、東京体育館で行われた新日本プロレスとUWFの5vs5イリミネーションマッチ。全面戦争となる大一番で主役の座を奪ったのは、大ヒールでありながら正規軍の助っ人として参戦し、この試合がUWFとの初遭遇になる上田馬之助であった。 プロレスには通常のシングル、タッグ戦以外にも、さまざまな試合形式がある。完全決着をうたったデスマッチや、選手の顔見世的なバトルロイヤルがその一例。また、長期の抗争アングルでは目先を変えて新鮮味をもたせるため、これまで変則ルールもたびたび採用されている。 有名なところでは、新日と国際軍団の抗争におけるアントニオ猪木vsラッシャー木村、アニマル浜口、寺西勇の1対3変則タッグマッチ('82年、'83年のいずれも国際軍団の勝利)。ほかにも猪木と木村は、ランバージャック・デスマッチや髪切りマッチなどで対戦している。 また、目新しさということでは'83年、新日正規軍vs維新軍による4vs4綱引きマッチも記憶に残るところ。絡み合った4本の綱がリング上に用意され、つかんだ綱の両端が一致した選手同士が対戦するという、くじ引き方式だった。 このときは坂口征二vsアニマル浜口(坂口のフェンスアウト反則負け)、前田日明vs長州力(長州がサソリ固めでレフェリーストップ勝ち)、藤波辰巳(現・辰爾)vsキラー・カーン(両者リングアウト)、猪木vs谷津嘉章(猪木が延髄斬りからのフォール勝ち)の組み合わせとなった。 もちろん、事前に対戦者は決まっているのだが、くじ引きの偶然を装うことで藤波vs長州の“名勝負数え歌”の再現や猪木vs長州の頂上決戦を後回しにつつ、ファンの関心を惹こうという試みである。 ほかにも変則ルールの試合は、相手チーム全員を敗退させるまで続くイリミネーションマッチや3人(3組)同時に闘う3WAYマッチなど多種多様だが、いずれにおいても勝負というよりゲーム性が高く、そもそも完全決着を目的としていないこともあって、いわゆる名勝負とはなりにくい。 そんな中、今なお語られるのが'86年3月26日、新日vsUWF5対5イリミネーションマッチである。同大会では、当初、猪木vs前田がメインイベントとして発表されてはいたものの、これを猪木が「UWFリーグ戦を勝ち抜いた藤原に勝ったばかりで、なぜ2番手の前田とやる必要があるのか」と、前田戦の中止を宣言したことで急きょ決まったものだった。 「これについて“猪木が逃げた”とする声もありますが、猪木の右腕だった新間寿氏は〈前田の取り巻きが猪木の腕を極めたら折ると言いふらしていたため、いまシュートマッチでやっても前田の将来に傷を付けることになる〉と、回避を決めたわけを著書に記しています。それに加えて、UWFとの抗争を長く続けたいとの考えもあったのでしょう」(プロレスライター) 長州率いるジャパンプロレス軍は全日へ移籍。鳴り物入りで獲得したアブドーラ・ザ・ブッチャーは振るわず、マシン軍団も立ち消え状態。WWFとの提携も解消となり、当時の新日にとってはUWF以外に目ぼしい話題がなかった。 発表された出場選手は、新日が猪木、藤波、木村健吾、星野勘太郎、上田馬之助。UWFが前田日明、藤原喜明、高田伸彦(現・高田延彦)、木戸修、山崎一夫。 「メンバーで目を惹いたのは、これまでUWFと絡んでいなかった上田の存在でした。試合形式の珍しさとヒールの上田が新日正規軍入りした意外性への興味から、猪木vs前田が消滅したにもかかわらず、ファンからの事前の評判はおおむね良好。当日の会場も満員となりました」(同) 試合のキーマンとなったのも、その上田であった。新日勢は星野、木村、藤波が、UWF軍は山崎、藤原が脱落していく。 「新日で残ったのは因縁深い猪木と上田。ここで“上田の裏切り”を思い浮かべたファンも多かったでしょう」(同) だが、そんな予測はいい意味で裏切られる。それまで目立った動きのなかった上田は、前田と対峙するやミドルキックやハイキックを打ち込まれたが、倒れるどころか避けたりガードすることもなく受け切ったのだ。 そうして蹴り脚をつかみグラウンドに引きずり込むと、自ら場外へ飛び降りるようにして前田を道連れに“心中”してみせた。この試合は場外転落=敗戦の特別ルールが付け加えられており、これは「場外カウントを短縮しろ」というUWF側の要求に対し、新日側が「だったら場外はナシで」と決まったものだった。 上田の闘った時間はわずか3分ほどであったが、それでも新日ファンからは救世主として、またUWFファンからはそのタフネスさをたたえられ、大歓声を浴びることになった。その後、猪木が高田と木戸を連続で下して新日軍の勝利となったが、この日の主役は紛れもなく上田だった。 この盛り上がりに味をしめてか、同年5月には両軍のシングル5vs5勝ち抜き戦が組まれたが、猪木と上田がメインのタッグマッチに回ったこともあり(相手はアンドレ・ザ・ジャイアント&若松市政)、特に目立つ波乱もないまま大方の予想通りUWF軍の勝利に終わっている。
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ハッスル消滅!? 小川H軍休止宣言
2006年12月27日 15時00分
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大みそかボビー弟と対戦 金子賢 前田道場入り
2006年12月14日 15時00分
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珍指令 KID 秒殺禁止
2006年12月12日 15時00分
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スポーツ
生還小橋に捧ぐ 三沢 GHC奪還
2006年12月11日 15時00分
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スポーツ
猪木 緊急提言 想定外プロレスをやれ!
2006年12月05日 15時00分
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スポーツ
1・4東京D「レッスルキングダム」 新日本 全日本“乗っ取り”へ秘策 長州3冠戦出撃
2006年11月16日 15時00分
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スポーツ
復活1・4東京D大会へ秘策 新日本最終兵器サイモン猪木 IWGP挑戦!?
2006年11月07日 15時00分
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スポーツ
来春ビッグマッチ パンクラス芸能人最強決定戦 坂口憲二 今田耕司 押尾学
2006年10月31日 15時00分
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スポーツ
大みそか参戦ほぼ決定 芸能人対決 金子賢vs押尾学
2006年10月10日 15時00分
特集
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岡平健治「19」解散は「お金の問題じゃない」 岩瀬敬吾、地元に戻るのを「止められてよかった」 今後はバラエティーで「ポンコツっぷりを見て笑ってほしい」
芸能
2025年08月05日 23時00分
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野球人生“燃え尽きた”元プロ野球選手・宮國椋丞氏 今後は「周りの人に頼られたり、笑顔にしたい」
スポーツ
2025年07月25日 23時30分
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豊ノ島、YouTubeチャンネルで若乃花とコラボ熱望 タレントとして相撲番組で「冠番組」持ちたい
芸能
2025年07月21日 12時00分
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宮迫博之「雨上がり決死隊」再結成は「蛍原さん次第」 ドジャース始球式の裏話も明かす
芸能
2025年07月14日 17時00分
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元ザブングル松尾陽介、沖縄で芸人のセカンドキャリアサポート 芸人引退に「心境の変化」
芸能
2025年04月28日 19時03分