1月27日、センバツ甲子園大会の出場校が発表される。東京都秋季大会の覇者で、昨年11月に行われた神宮大会準優勝の早実が選ばれるのは確実。改めて、12球団スカウトは清宮を徹底マークする方針を確認した。
「センバツ1回戦は3月19日から24日の予定。同20日からは第4回WBCの決勝ラウンドも始まるので、清宮と侍ジャパンの視聴率戦争になるかも」(スポーツライター・飯山満氏)
だが、清宮の力量に疑問符も付けられた。昨秋の東京都大会決勝戦で好左腕・桜井周斗投手(日大三高)のスライダーに翻弄され5三振し、「プロ投手と対戦すればもっと苦しむ」との声が出始めた。さらに、懸念材料となっているのが早稲田大学進学説だ。同校HPによると、昨年の同高等部卒業生375人中364人が早大に推薦で進学していた。'07年の斎藤佑樹もこの流れに逆らえなかった。
「清宮が練習で使うのは木製バット。金属バットは試合だけ」(在京スカウト)
木製バットが意味するもの…それは国際試合と「プロ入り」だ。清宮が練習では木製バットしか使わないとの情報が駆けめぐったのは、昨年の神宮大会前だった。決勝戦の5三振が印象深いが、スカウトたちは準決勝までの「打球の質」に着目していたという。
「野手が対応できないほど高速の打球もありました。打球が速くなったのは木製バットの成果ですよ。木製バットはコンパクトに振らないと鋭い打球にならない。そういうスイングを練習してきた成果であり、清宮が高校野球から『先』を意識している証拠」(同)
1月5日の同校のグラウンド開きでのことだ。西武、中日など6球団が年始挨拶を行ったが、そこに、巨人スカウトの姿がなかった。
「巨人は岡崎郁氏が新スカウト部長に就任しました。岡崎部長が球団スタッフを連れて挨拶したのは8日。『その他大勢』になるのを避け、強い印象を残す作戦に出たんです」(同)
昨年末、あるイベントに招かれた高橋由伸監督は、清宮についてこう語った。
「(東京)六大学リーグに進んだら、僕の記録(23本塁打)を抜けるか見てみたい」
年始挨拶の別行動や、進学説を印象づけるような高橋監督の発言に、他の11球団はどう見るのか。清宮を巡る駆け引きは始まっているのだ。
「'17年のドラフトは高校生野手と社会人投手の当たり年。集客力もある以上、たとえ一塁しか守れなくても獲りに行く」(パ・リーグスカウト)
進路に影響力を持つ父・克幸氏が「大の阪神ファン」というのも気になるが、清宮は将来のメジャーリーグ挑戦も意識しているという。プロ側もそれを容認すれば説得材料になる。
'14年夏はベスト4、昨秋神宮は準優勝。全国制覇を意識する清宮がその称号を得れば、進学という“遠回り”は選択しないはずだ。