社会
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社会 2016年06月13日 16時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第22回
日本の政治は中央、地方を問わず、良くも悪しくも役人(官僚)の協力がなければ10センチも前へ進まないようにできている。現実である。 明治維新の太政官布告以来のわが官僚制度は、世界に冠たるものと言っていい。官僚は頭脳明晰、完璧な法律知識を持ち、幹部クラスとなれば国家経営のあらゆる歴史が頭に入っており、問題が起こったときの対応ノウハウもすべて掌握しているという優秀さである。一方で、プライドは人一倍高く、能力なしと見極めた政治家とは内心で一線を引いているのが常だ。つまり政治家側にとっては、ある意味、部下であるこの官僚をコントロールするのは至難のワザと言っていいのである。 ところが、戦後政治家の中でも田中角栄だけは“別格”だった。田中以上にそうした官僚をうまく使った政治家はいないというのが、定理になっている。歴代の大物政治家、事務次官や局長経験の官僚の多くが、まず否定しない。だからこそ、田中による前回記した戦後復興の基礎を固めた「道路三法」など33本の議員立法も、官僚の抵抗を排除して成立させることができたということになる。官僚の協力がなければ、成立などはなかったということである。 なぜ田中は、官僚使いの名手とされたのか。20数年前になるが、筆者は当時、田中の秘書だった故・早坂茂三(後に政治評論家)から、こういう言い回しで話を聞いている。 「要するに、官僚は田中の超頭脳、政治力に平伏したということだ。その上で、この男となら日本の再建のために肩を組めると認めたからだ。また、田中は一方で官僚の属性も知り尽くしていたことが大きい。彼らは優秀ではあるが、時代の変化に対応する法運用となると融通が利かない。最後の責任を負わされることも嫌う。官僚の人生観は、役所と退職後の就職先がセット、ということなども熟知していた。ために、田中は法運用の知恵を与えた上で、結果責任はすべて自分が背負ったし、退職後の就職の面倒などもよく見た。田中と官僚の稀有な連帯感が成立していたからと言っていいだろう」 官僚との関係で、田中一流の人心収攬の妙が“機能”した部分も、また見逃せない。先の「道路三法」は最終的に昭和31年3月に成立したのだが、その前年にこんなエピソードを残している。 その年、田中は〈旧新潟3区〉内に「中永線」という舗装道路を完成させた。これで3区内の北西側に住む人たちはわざわざ山を迂回して市街地の長岡に出るという困難から解放されることになった。 さて、エピソードの核心はここにある。当時、中永線竣工式の予算は60万円だったのだが、田中は式そのものの費用を30万円に切り詰めさせ、残った30万円を“有効”に使ってみせた。その30万円で、何と男もの女もの合わせてすべて和服の反物を買ってしまったのだった。道路完成で世話になった建設省の役人と、その奥さんに贈るためであった。当時を知る「越山会」古老は、次のように言っていた。 「田中先生は反物屋に持って来させた中から、『アイツはこれだ。こっちの方が似合う』などと、自分で色柄を選んで決めていた。反物などは、せっかくもらっても似合わなければありがた味も半減する。実は先生は、役人本人や奥さんの年齢、容姿などを事前に調べ上げていたんだ。人に喜んでもらうということは、ここまで心を配らなければならないのかと思い知らされた。時に先生はまだ30代半ば。この若さでここまで人の心をつかむ術を知り尽くしていたとは驚きだった。以後の先生を見ていても、これは同じだった。人との接し方は何事も誠心誠意、巧まざる形でやっていた」 かくして、田中は「道路三法」など議員立法を次々に成立させていく中で、「官庁中の官庁」である大蔵省にその存在を認知させる一方、とりわけ建設省に大きな拠点をつくることに成功した。時に、建設省は昭和23年の内務省解体により分離独立して10年にも満たぬ新興官庁だったが、わが国の経済の高度成長の過程で強大化し、予算の差配、分捕りに大きな力を発揮したことで「利権官庁」などともヤユされたものだった。 やがて、田中がさらに政治力を付けていく中で、田中とこの建設省は表裏一体化した。例えば、陳情を受けた新潟の橋一本の建設、補修の予算でも、田中は直ちに同省局長に電話、その場で予算付けOKを取り付けたものである。ナミの議員が橋の建設、補修の予算を取り付けるには、建設省に“お百度”を踏まなければ実現はしない。これを、田中は「頼むよ」の電話一本で決めていたのだった。「田中は建設省を壟断、手中にしてしまった」の声も出たのだった。 そうした中で、田中に初入閣の声が掛かった。昭和32年の第2次岸(信介)内閣の郵政大臣、戦後初の30代(39歳)での大臣就任だった。これを機に田中は炭管事件に端を発した「雌伏の時代」からの完全脱却を果たすと同時に、「型破り大臣」として何ともハデな話題を次々に提供することになる。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年06月13日 14時00分
NHKが高笑いを上げる2大番組の恐るべき効果
'15年度末のNHK受信料の支払い率が76.6%に達していたことが判明した。'11年に支払い率が公になる中、最高記録を達成したのだ。 「昨年度比1ポイントも増加しているんです。ちなみに平成27年度決算(速報値)ですが、受信料収入は過去最高の6625億円。事業収入は6868億円(前年度比2億円減)、事業支出は6580億円(同104億円増)。収入から支出を差し引いた事業収支差金は288億円の黒字です」(民放関係者) NHKはこの黒字分のうち、なんと278億円を東京・渋谷の放送センター建て替えのために積み立てるのだ。結果、27年度末の積み立て総額は1627億円にもなり、純資産は6879億円に達しているという。 今回、NHKが黒字額に転じた理由を民放キー局編成マンが分析する。 「一部の民放関係者の中には、国から補助金をもらいDVDやイベントなどで細かく儲けているからだ、と説く者がいる。だが、それは負け惜しみに過ぎません。補助金やDVDは枝葉の話です。本線は、やはり高視聴率番組があるからに他ならないんです」 誰の頭にも思い浮かぶのが2大看板である“大河ドラマ”と“朝の連続ドラマ”の好調ぶりだ。 「最近の朝ドラに、民放は恐れをなしているといっても過言ではない。毎回、高視聴率を取ってしまうんです。4月にスタートした『とと姉ちゃん』、前作の『あさが来た』もコンスタントに視聴率20%超えをキープしている。また、昨年大コケした大河ドラマ『花燃ゆ』に代わり、今年の『真田丸』は平均視聴率15%超えをキープするなど、まさかの絶好調。NHK嫌いの視聴者もこの2作品を見たくてNHKの受信料を支払うわけです。やはり高視聴率を叩き出すコンテンツが最後にモノを言うんですよ」(別の民放幹部) NHKの天下は暫く続きそうだ。
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社会 2016年06月12日 14時00分
国会会期末に駆け込み成立 “骨抜き”「新刑事訴訟法」の危うさ
会期末の国会で5月24日、ある法案が成立した。刑事訴訟法改正案などを含む刑事司法改革関連法。警察・検察捜査の在り方を大きく変える「刑事司法の大転換」(法務省関係者)だ。 厚生労働省元局長の無罪が確定した文書偽造事件が制度見直しの契機。ところが、取り調べの録画・録音が義務付けられるのは全事件の3%。しかも例外が幅広く認められ、その判断は捜査機関に委ねられるなど、期待された冤罪防止の機能はすっかり骨抜きにされた。 「一方で捜査権限は大幅に拡大した。初めて司法取引が導入されるが、自分の刑を軽くするため捜査官の期待に添う虚偽の供述を行い、無関係の人を巻き込む危険性が拭えない。また従来、4種類に限定されていた通信傍受(盗聴)の対象犯罪に、殺人や強盗、窃盗、詐欺、恐喝、児童ポルノの提供など九つが追加され、通信会社社員の立ち会いも不要になるなど、盗聴が日常的な捜査手法となる恐れが強いのです」(法曹関係者) これだけ問題の多い内容だが、昨年から継続審議となっていた今国会での審議は「拍子抜け」(先の法務省関係者)するほどアッサリ決着した。参院での審議はわずか20時間余。これには当初、強硬に反対していた民進党が昨夏の与党との協議で修正合意したことが大きい。 民進側の筆頭理事として修正協議をリードし、「捜査機関の“力”の拡大に偏り過ぎていた原案に対し、冤罪をなくすという“正義”の要請に引き戻す修正ができた」と賛成討論で胸を張ったのは、今をときめく山尾志桜里政調会長。しかし、修正内容は司法取引協議への弁護士の関与など、わずかな変更のみ。これでなぜ賛成なのか? 「山尾氏は与党の出方を見誤った」と苦々しく語るのは、民進党関係者。 「刑訴法を審議する参院法務委員会には、野党のヘイトスピーチ規制法案が先に出ていて、与党がこの審議を受け入れない限り刑訴法には手がつけられないと山尾氏らは高をくくっていた。ところが今春、与党がヘイトの対案を出して刑訴法の審議を拒む理由がなくなったんです」(同) しかも、参院側の民進党理事で今回、改選を迎える有田芳生議員は、ヘイトスピーチ法案の熱心な推進者。 「ヘイト法を自らの手柄とするため、これを成立させる見返りに刑訴法には目をつぶったと勘繰られても仕方がない。それほど参院審議は中身が乏しかった」(同) 盗聴拡大は半年後、司法取引は2年後に施行されるが、呆れた駆け込みぶりだ。
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社会 2016年06月11日 15時28分
飲みすぎ注意! ビールの栄養効果と人体に及ぼす影響
これからますます暑くなるにつれ、美味しく感じるのがビールです。仕事終わりに飲む、キンキンに冷えたビールの喉越しはたまりませんよね。 ついつい飲み過ぎてしまいますが、果たしてビールには栄養などあるのでしょうか。もしあるのであれば、より飲む量を増やしたいところです。 今回は、ビールの栄養とその効果や人体への影響などについて、医師の小田切先生にお聞きしました。■原料は麦芽とホップ 「ビールにもたくさん種類がありますが、そのなかの多くの原料となるのが、麦芽とホップです。麦芽とは、大麦の種子を発芽させたもの。栄養素としてはビタミンB群を豊富に含んでいて、疲労回復効果のあるビタミンB1、体の成長や発育を助けるビタミンB2が多いです。ホップというのは、多年生のつる草のこと。ビールに苦みや香りを付けるために用いられます。ホップには鎮静効果があるとされ、精神的なリラックスを促し、不眠の改善などが見込めます。またホップにはポリフェノールも含まれていて、抗酸化作用によるアンチエイジング効果も期待できます」■飲み過ぎても肥満にはならない 「よく、“ビール腹”と言われたりします。これはビールを飲み過ぎたことによる肥満症状を表す言葉ですが、実際、ビールのカロリーはそれほど高くはありません。350mlの缶ビールで、だいたい140kcal程度。飲み過ぎさえしなければ、たいしたカロリーではありません。やはり太る原因となるのは、おつまみです。フライドポテトや唐揚げといった揚げ物は、かなりカロリーが高いです。お勧めは、枝豆や冷奴といったヘルシーなもの。タンパク質も豊富で栄養価が高く、とても健康的です」■心配なのは痛風 「痛風の症状は、酷ければ激痛で歩けなくなるほど。原因となるのが尿酸値です。体内の尿酸が増えすぎると発症するわけですが、この尿酸のもとになるのがプリン体です。プリン体を多く含む食べ物は、レバーやエビ、カツオなど。ビールにも含まれていますが、これらの食品に比べると量はごくわずか。適量飲んでいる分には問題はありません。また、ビールには利尿作用があります。夏はビールで水分補給と考える方もいますが、飲んでも尿としてほとんど排出されてしまいます。ビールをたくさん飲んだからと安心せず、水分摂取を忘れないようにしてください」 ビールにも栄養はあるようですが、飲み過ぎれば健康を害すリスクもあります。特に痛風は、一度発症してしまうと完治の難しい病気です。取り返しのつかないことにならないよう、たしなむ程度にしておきましょう。【取材協力】小田切ヨシカズ湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。
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社会 2016年06月11日 14時00分
「目には目を!」“処刑人”フィリピン新大統領の仕置きに怯える日本人逃亡者
5月9日に投票されたフィリピンの大統領選挙で南部ミンダナオ島ダバオ市長のロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が当選。同氏は大統領就任後の勤務時間について、午後1時開始とする意向を示している。 「朝8時から夕方5時までを勤務時間としたい人間は好きにすればいい。自分はその間に睡眠をとる」と自分はその後8時間の睡眠を確保するという。 ドゥテルテ氏は、その自由奔放な過激発言で、米大統領選に立候補している共和党のトランプ氏になぞらえ「フィリピンのトランプ」と称されている。 これに現地日本人の闇社会の住人や逃亡者たちが戦々恐々としているという。 「ダバオ市の治安回復に“目には目を”の強権で臨み、“処刑人”とも呼ばれる型破りな人物。その手法は、『ダバオ処刑団』と言われる非合法組織による犯罪者殺害というありえないもので、ドゥテルテ氏はそれを黙認していたと言われています。実際、大統領選の運動期間中も演説で『犯罪者は殺す』などと公言してはばからなかったのです」(現地記者) しかし、非合法な手段とはいえ実績も伴い、ダバオは犯罪の激減した安全な市に生まれ変わったことが、今回の投票結果に直結したのだ。 「しかし、その“処刑人”が大統領になれば、処刑団的手法は一地方都市に止まらず全国に及ぶ可能性がある。そのためフィリピンの犯罪者組織や犯罪常習犯、さらに日本から逃亡して現地の闇社会で暗躍している日本人犯罪者、暴力団関係者、不法滞在者などが震え上がっているのです」(同) フィリピンには、2012年の六本木クラブ襲撃事件の首謀者とされる「関東連合」の元メンバーで国際手配されている見立真一容疑者が潜伏していると言われる。同容疑者をかくまっているとされる日本人組織やフィリピン人グループも、警戒を強めざるを得ない状況となっているのだ。 「不正送金やマネーロンダリング、武器密輸、麻薬密売、売春、人身売買などに関わる犯罪組織と、それに連なる日本人たちも、今後を見極めようとしているのか、今は密かに息を潜めている状態」(マニラ在住邦人) 新大統領“仕置き人”の手が確実に伸びている。
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社会 2016年06月10日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第177回 日本の消費の真実
前回、日本の民間最終消費支出(以下、個人消費)について、2013年度が約295.7兆円、'14年度が約293.2兆円、'15年度が約291.7兆円と、着実に下がってきていると書いた。ちなみに2年度連続で個人消費をマイナスにたたき込んだ政権は、統計的に確認可能な1955年以降、今回の安倍政権が初めてである。 '14年度以降の個人消費の落ち込みの主因は、もちろん'14年4月の消費税増税だ。厳密には、消費税増税により実質賃金が下がり、大幅な消費縮小を引き起こしてしまったのだ。'55年以降に個人消費が実質値で減ったのは、プラザ合意直後の'86年度、橋本政権が消費税を増税した'97年度、リーマンショック直後の'09年度、そして’14年度、'15年度の5回だけである。 ところで、実のところ橋本政権の消費税増税後も個人消費は停滞を続けたが、日本全体の消費総額は増えてきた。何を言いたいのかといえば、実は「消費」には個人消費に加え、政府最終消費支出があるという現実を知ってほしいのだ。 左ページの図(※本誌参照)の縦軸の一番下はゼロではなく、250兆円であるため注意してほしい。この図が示す通り、'96年まで順調に拡大を続けた日本の個人消費は、'97年の消費税増税で頭打ちになり、その後は「停滞」としか表現のしようがない状況に陥った。 とはいえ、政府最終消費支出を加えた消費総額で見れば、リーマンショック期を例外に、意外に堅調に伸びている事実が確認できるはずだ。 「増えているのは民間の個人消費ではなく、政府の消費ではないか」 と思った方は、政府最終消費支出の意味を理解していない。政府最終消費支出とは、何なのか。 例えば、国民が病院に行き、医療サービスを「消費」したとする。われわれ国民は、医療費の一部しか支払わない。残りを誰が負担しているかといえば、政府である。国民が消費した医療サービスの政府負担分が、政府最終消費支出に計上される。 あるいは、義務教育の費用だ。義務教育は、基本的には無料であるが、われわれ国民が「教育サービス」を消費している。誰が義務教育分のサービス費用を負担しているのかといえば、もちろん政府である。 すなわち、政府最終消費支出の「消費者」は、政府でも何でもなく、国民なのだ。そもそも政府は経世済民を目的としたNPOであり、人間ではないため、消費はできない。 というわけで、個人消費に「政府支払い分の国民の消費」である政府最終消費支出を加えると、日本の消費総額は読者のイメージに反して増えているのだ。最大の理由は、高齢化により政府がサービス費用を負担する医療費、介護費が拡大しているためだ。 わが国には、 「人口が減少し、消費が減る以上、需要が拡大するなどあり得ない」 などと、単純な“間違い”を信じ込んでいる国民が少なくないという話なのである。 事実として、'05年に総人口がピークを打った後も、日本の消費総額は'15年度までにおよそ10兆円増えている。図では、'14年度、'15年度の消費総額が対前年比で落ち込んでいるが、これはまさに消費税増税により個人消費が激減してしまったためだ。実は、'14年度、'15年度ですら、政府最終消費支出は増えている。 さらに、そもそも「需要」とは、消費のみではない。国内の総需要は、消費総額と「投資総額」「純輸出」の合計になる。消費総額が横ばいだったとしても、民間住宅、民間企業設備、公的固定資本形成という三つの投資の総計が拡大すれば、国内の需要は膨らむ。 '98年以降の日本のGDPは全く増えなくなってしまったが、これは消費総額が減っているためではなく、主に投資総額が激減したためなのだ。橋本政権期には140兆円を上回っていた投資総額が、一時は100兆円を割り込む水準にまで落ち込んだ。対GDP比で約10%もの投資縮小に見舞われたのだ。これで日本経済が成長できたら、まさしく奇跡である。 そして現実には奇跡は起きず、日本のGDPは'98年以降「横ばい、もしくはマイナス」という状況が続いた。日本経済を成長路線に復帰させるには、最大の需要項目である個人消費と投資、特に減りに減った公共投資(≒公的固定資本形成)を回復させるしかない。 本稿執筆時点で、読売新聞から「同日選見送りの公算…首相、消費税増税延期へ」(5月25日、朝刊)という報道がなされている。また、26日から始まる伊勢志摩サミットにおいて、主要国が協調的な財政拡大路線で合意すると見込まれている。 本誌が発売になる頃には結果が明らかになっていると思われるが、増税先送りの可能性が濃厚な中、焦点はむしろ「何年の延期になるか」に絞られてきているように思える。個人的な予測を書いておくと、安倍総理は「2年間」の増税“再”延期を決断するのではないか。 もちろん、増税を先送りしたところで、1年もすれば「将来的な増税予測」に基づき、消費性向は下がってくる。というわけで、2年の猶予期間を得た上で、増税凍結もしくは消費税減税に持ち込めるかが、今後の日本経済を大きく左右する。さらには、技術はインフラへの「政府の投資の拡大」という正しい政策に踏み込めるかどうか…。 日本経済の将来にとって、決定的となる分岐点が訪れている。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年06月10日 10時00分
一体何が? 「Tポイント」を開始した“迷走”三越伊勢丹の内情
三越伊勢丹HDが運営する百貨店で『Tポイントカード』が使えるようになった。コンビニやファミレスなどで提示してコツコツとポイントをためるイメージだが、老舗のプライドをかなぐり捨て、「新規顧客を開拓したい」と息巻いている。一体、何があったのか。 「株価は正直で、4月末に一時1000円の大台を割り込み、年初来安値を更新した。昨年7月の上場来高値2395円から1年もたたずの凋落ぶりは際立っています」(証券アナリスト) 4月頃から市場が反応した理由は「二つある」とアナリストが続ける。 「中国人の爆買いブームに乗じて免税店の拡大路線に突き進んだものの、中国経済の失速が鮮明になった去年の秋頃から潮目が変わった。高級時計や宝飾品から化粧品や日用雑貨などにシフトし始め、客単価が大幅に下落。これが、業績を直撃する構図になったのです」 同社の今年3月期の営業利益は前期比0.1%増の331億円だった。一方、免税売り上げは602億円。この利益率は公表されていないが、もし免税の“ゲタ”がなければ大幅な営業減益だったと推察される。 「二つ目の理由は、昔からの優良顧客が“中国人優遇”に反発し、他の百貨店に流れてしまったことが挙げられます」 “ドル箱”がダブル失速すれば今期の厳しい決算は必至。市場関係者は「最終赤字もあり得る」と手厳しい。 「赤信号の点滅は、伊勢丹出身の大西洋社長の戦略ミス。経営責任が問われるのは間違いない」と前置きして同社ウオッチャーが言う。 「この事態に三越サイドは内心ニンマリです。これで大西社長が詰め腹辞任すれば、窓際族に甘んじてきた三越勢には一転して追い風が吹く。今後とも株価暴落が続けば、6月総会での修羅場は避けられません」 中国マネーに頼った揚げ句に優良顧客の反発を買い、今度は庶民のポイント貯蓄にすり寄る…。日本一の百貨店の行く末が心配だ。
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社会 2016年06月09日 14時00分
辞表秒読み 舛添都知事「ケチケチ」選挙公約をチェックした!(2)
“介護の舛添”で当選した手前、'15年1月の会見では次のような発言をしている。 《現在38兆円が高齢者医療費に使われている。ちょっと風邪をひいたくらいで“お上のお金”で病院に行くのは控えるべき》 風邪ごときで国民医療費を使うな、と言っておきながら、自身は病院ではなく美容院で子供の散髪代の領収書までもらっていたのだから、何をか言わんや…。 また都知事は「世界一」というフレーズが好きなようで、選挙演説のときにこう絶叫していた。 《東京は世界都市ランキングで4位です。6年後のオリンピックを目指し、トップのロンドンを抜いて世界一になる。そして防災でも福祉でも世界一、芸術文化でも経済でも雇用でも世界一。あらゆる分野で世界一の街と都民の皆さんが言える東京を作りたい!》 今回の釈明会見で飛び出した「第三者」や「1日も早く」のフレーズ連発癖は、当時からの“宿痾”だったのだ。 その世界一の「雇用」の街・東京はというと…。都知事は《安心、希望、安定の社会保障》の一つとして「攻めの雇用政策」を行うと公約していた。具体的には「東京の経済成長による雇用の創出、ワークライフ・バランスの推進、職業能力開発の充実、女性の再就職支援、障害者就労支援、正規と非正規の雇用者格差是正」だ。 そしてもう一つの目玉が「国家戦略特区を設ける」というもの。ところが、格差是正は、国家戦略特区と完全に矛盾する。 「特区は『攻めの雇用政策』というより“解雇特区”です。経営者が金もうけできるのであって、被雇用者が金もうけできるわけではない。特区には『柔軟な働き方』を認めるという美名のもとに雇用条件のさまざまな撤廃が盛り込まれており、決して雇用の改善にはならないのです」(労働問題アナリスト) 今回「第三者調査」が稼働したことでマスコミから追い回されることはなくなり、守秘義務のある弁護士から調査経過が漏れることもない。舛添都知事はしばらくの間、膝を伸ばし、枕を高くして寝ることができる。 「追及の舞台は6月1日からの都議会に移っていますが、会期はたった2週間。6月後半からは世間は参院選一色になるので、自分の話題も消えると考えているのでは」(都議会関係者) 6月1日時点での在任で夏のボーナス満額375万円は確定。その次の目標は、何が何でも五輪の旗をリオデジャネイロまで受け取りに行くこと。 金と名誉のためなら憚らず−−。舛添都知事、まさに絵に描いたようなそんなお顔をしていらっしゃる。
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社会 2016年06月09日 10時00分
崖っぷちNEC 欧米型組織改編でV字回復なるか
「世界景気の減速傾向は日本が誇る電機メーカーにとっても正念場。シャープは身売りを決断し、東芝はいまだ不正会計問題が尾を引いています。一方、ソニーとパナソニックは数年前の赤字状態から脱し、ようやく復調の兆しが見えてきました」(経済記者) そんな中、ここ10年で売り上げを4割も減らしているNECが取り組んでいる新たな組織改編が、世間の耳目を集めている。 NECと言えば、1980年から15年近くも社長を務めた関本忠弘氏の時代に、電電公社(現NTT)の下請け企業からコンピューターや半導体などを手掛ける総合電機メーカーに変貌し、『PC-9800シリーズ』で約50%のシェアを握って国内PC市場を席巻、半導体生産でも世界一になるなど、日本を代表するエレクトロニクス企業として君臨してきた。2001年には、世界初の折り畳み型携帯電話機を商品化し、iモード対応機種が大ヒットして国内出荷台数でトップに立ったこともある。 しかし、ここ数年は世界経済の変動、韓国・中国企業の台頭に苦しみ、効率化を追い求めた揚げ句、事業の統合と切り離しを繰り返すばかりの“黒歴史”と化していた。'09年度は携帯端末シェアでシャープ、パナソニック、富士通に次ぐ4位に甘んじ、事業をカシオ計算機、日立製作所と統合。'11年7月に中国系PCメーカーであるレノボと合弁会社を設立して個人向けPCを移管した際には、実質PC事業からの撤退と評された。また、日立との合弁会社エルピーダメモリにDRAM事業を移管したのに続き、かつては世界トップクラスだった半導体事業も本体から切り離してNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)に移したことで、「一体何を売る会社なのか」(市場関係者)と陰口されるまでになっていた。 「先ごろ発表された昨年度の決算報告内容は減収減益でした。現在、NECが主力事業としているシステム開発業界は、マイナンバー関連の案件による活況が続いているとみられていたため、周辺からは驚きと先行きに対する不安も伝わりました。そんな周囲の声を払拭するべく、同時に発表されたのが2019年3月期を最終年度とした中期経営計画。かじを切るのは、この4月に新社長に就任した新野隆社長です。新野社長がこの中計のポイントとして成長戦略とともに掲げたのが『10万人を擁するNECグループの全体最適化を進めるための組織改編』なのです」(NECウオッチャー) 先に述べたように、NECの組織改編といえば事業の切り離し、あるいはスリム化だったのだが、今回は従来と一線を画している。スタッフ部門をはじめとしたグループ内部の組織改革を推し進めていくのが特徴で、1年以上前から本格稼働に向け準備を進めていた。具体的には本社の管理部門および事業部門のスタッフ業務の大半を、昨年4月に設立した新会社『NECマネジメントパートナー』に出向という形で随時集約している。 「この組織改編は、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)が実践している『シックスシグマ』をベンチマークとしています。この手法は、プロジェクトチームを立ち上げ、さまざまな社内の課題を解決するもの。90年代後半にGEが全世界の拠点にほぼ一斉導入して大きな財務成果を出しました。業務プロセスに潜む真の問題点を発見、改善することによって生産性を高めたり、顧客窓口の対応を迅速にしたり、あるいは営業活動の確度を高めたりします。結果を定量化して社員を評価していくとしており、経営サイドは意欲満々です」(同ウオッチャー) しかし、「毎日がリストラ」などと揶揄されるこの欧米型ノウハウに対し、現場からは多くの不満が漏れているという。社員の1人がひっそりと語る。 「はっきり言って、この組織改編は失敗。各部門の半分を出向、半分はそのまま残すという体制をとったのが原因です。社員証2枚、複数のIDを持ったりして、それを使い分けなくちゃいけない。もう何がなんだか分からない状態。すでに出向した社員が元の組織に戻るといった混乱も発生しています」 今回の組織改編に危機感を抱いているのは社員だけではない。同社のOBも憂慮している。 「NECは、ここ数年続いたお家騒動などに嫌気が差して多くの優秀な人材が流出してしまった。組織の改編は目先の利益だけにとらわれている気がする。うまくいかなければ、さらなる人材流出の引き金になりかねない」 近年まれにみる規模の改編に踏み切ったNEC。急激に変化する世界の荒波に翻弄され続ける国内企業の成功事例となれるのか、今後の動向が注目される。
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社会 2016年06月08日 18時00分
熊本被災地で女児に“抱きつきキス”したロリコン保育指導員の評判
熊本県警は、16年5月11日午後3時20分、非常勤職員の男(52)を強制わいせつ容疑で逮捕した。男は市の非常勤職員として、放課後に施設に集まる児童の世話をしていたが。勤務する施設にいる女児に対し「アメリカではあいさつと同じ」などと語り、女児の口に無理やりキスをした疑い。この一部始終を同僚の職員が見ていて親に報告し、親が県警に被害届を出した。 強制わいせつ容疑で逮捕されたのは、同市中央区出水に住む、安藤喜徳容疑者(52)。安藤容疑者は熊本地震による人手不足のため緊急公募された平成28年度臨時学童保育指導員として、勤務を始めたばかりだったという。 「4月下旬以降、熊本地震により設けられた熊本市や隣接する益城町の避難所で、不審な中高年の男が女児に抱きつくなどの様子が複数回目撃されており、熊本東署が捜査をしていたのです。そんな折、5月11日午後3時過ぎ、熊本市内の小学校の学童育成クラブで女児を抱きかかえキスをする安藤容疑者の行動を、同僚の職員が目撃し、上部機関へ報告。警察が女児の父親から被害届を受理して逮捕となったのです」(全国紙社会部記者) クラブは放課後に保護者不在の小学生を預かるもので、学校と同じく地震で休みに入っていたこのクラブも5月8日に再開していた。安藤容疑者は逮捕後、「求めに応じキスしたので納得できない」と否認しているというが、意外にもこんな一面を持っていたという。 「本人のフェイスブックによれば、以前に熊本市内の小学校で4年間にわたり部活指導の研修を受け、大分県内の中学校では吹奏楽部を立ち上げ長く指導に携わっていた。トランペットを得意とし、その後も大分・熊本両県の小中学校で吹奏楽教育に関わっていたといいます。昨年からはトランペッター、音楽家として老人ホームの慰問などを行っており、人柄の評判はよかったとのこと」(地元紙記者) 最近では避難所や学童育成クラブでの指導員のほか、5月3日には、避難場所となっていた熊本市内の小学校でトランペットパフォーマンスを披露。「素晴らしい演奏を繰り広げる」と、地元紙でその様子が報じられている。 「小柄で白髪、一見温厚な性格に見えるため、そんな裏の顔があったとは、周囲の誰も分からなかった。しかし緊急だったとはいえ、安藤容疑者の採用について選考方法に問題があったのではないかと、地元では保護者を中心に不安の声も上がっています」(地元記者)
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