社会
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社会 2016年06月24日 18時00分
『真田丸』人気で困惑する天王寺エリアの“ゲイ”と観光客のニアミス
「皆さんも日本一の兵と評された名称・幸村ゆかりの地を巡ってみてはいかがでしょうか」 いよいよ佳境を迎えつつあるNHK大河ドラマ『真田丸』。毎回高視聴率を記録しているということもあり、ゆかりの地では街興し企画が例年になく盛り上がっている。大坂の陣の舞台となった大阪市天王寺区でも「真田幸村めぐルート真田山エリア・天王寺エリア」が設けられ、連日多くの観光客が訪れている。 「真田山エリアとなるJR玉造駅西口前の通称『幸村通り』には六文銭の幟がはためき、関連グッズを扱う店も増えています。通りにほど近い『真田の抜け穴』があることで有名な三光神社も、例年以上の参拝客で賑わっていますよ。『めぐルート』そのものは昨年の“大阪夏の陣400年”からの企画ですが、大河ドラマが始まってからは人通りがまるで違います」 「幸村通り」のある飲食店店主はホクホク顔でこう語るが、一方で地元民が少々困惑しているのは、JR天王寺駅西側の天王寺エリアだ。 「こちらのエリアには、大坂夏の陣で幸村の本陣となった茶臼山がある天王寺公園が含まれる。ただ、公園を一歩出ると天王寺区でも有数のラブホテル地帯なんです。しかも公園内は、ゲイが集まる“出会いの場”でもある。そうとは知らずに訪れた観光客が戸惑うのも当然ですが、人目が突然増えた状況に困惑する“先住民”たちも多くいるんです」(地元風俗記者) 地元関係者によれば、実際に観光客などからは「変な目で見つめられた」、「後をつけられた」、さらに「この先、変な事件が起こらないか心配」との声も寄せられているというが、一方でゲイバーの従業員はこう語る。 「街興し自体はまったく反対ではないけど…まあ最近では公園なんかで待ち合わせができなくなりましたわ。これは穿った見方やけど、環境対策の意味もあって、大阪市がわざわざこの辺りをルートに入れたんちゃうの?」 加えて、前出の風俗記者もこう言う。 「確かに彼らは、周辺地域の環境対策で追い立てられるようにやって来ている場合が多い。それを思うと、茶臼山すら居心地が悪くなるというのはちょっと可哀想な気がしますね」 活況に沸く土産店などの一方で、「大河ドラマが終われば落ち着くのでは」との声も聞こえているのだが果たして…。
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社会 2016年06月24日 12時00分
“王様”のエゴ? トヨタのM&A戦略に子会社が戦々恐々
トヨタ“王国”が揺らいでいる。火種の元凶は、8月に株式交換で完全子会社に組み込むダイハツ工業(出資比率51.2%)への対応だ。1月末に発表した同社の完全子会社化は新興国の開拓を整備するのが狙いだった。 その直後、トヨタがインドに強いスズキと提携交渉を進めていることが表面化、世間は耳目を疑った。ダイハツ、スズキは軽自動車で壮絶なトップ争いを演じてきた宿命のライバル。その両社を傘下に取り込み、軽で断トツのシェアをもくろむトヨタ流“三河商法”に「そこまでやるか」とア然としたものだ。 果たせるかな、トヨタは4月に入るとダイハツに対し、ある“手腕”を発揮した。トヨタは小型車『パッソ』、ダイハツは軽の『ブーン』をモデルチェンジで投入したのだが、舞台裏ではトヨタ流広報戦略の真髄を見せつける、こんな一幕があった。 担当記者が苦笑する。 「パッソは実質的にトヨタの最小クラスを担う量販車で、ブーンとはコラボ商品の関係です。今回、トヨタはパッソのマスコミ向け発表会に登場するタレントのマツコ・デラックスの都合に合わせて売り出しました。ダイハツは横並びの発売を余儀なくされ、販売店は顧客への案内状を刷り直すハメに。設営イベントの対応でも迷惑をこおむりました。『この調子だと今後が思いやられる』とのブーイングが随所で飛び交ったのです」 すかさず「明日はわが身」と反応したのが日野自動車(トヨタ50.1%出資)といすゞ自動車(同5.9%)のバス、トラック会社だ。両社は合弁会社で生産・供給をしている間柄。現在、自動隊列走行システムの開発に尽力しているところだ。 「豊田章男社長は自社の技術力が日産、マツダに見劣りすることを承知している。その分、手っ取り早いM&Aにのめり込んでいるから、グループの融和面で心配の声が絶えないのです」(同) “王国”である以上、王様のエゴには逆らえないか。
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社会 2016年06月24日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第179回 地方創生回廊
あまり注目されていないが、6月1日の「消費税増税30カ月延期」表明の記者会見において、安倍晋三内閣総理大臣は、 「新たな低利貸付制度によって『21世紀型のインフラ』を整備します。リニア中央新幹線の計画前倒し、整備新幹線の建設加速によって、全国を一つの経済圏に統合する『地方創生回廊』をできるだけ早く創り上げます」 と語った。 「新たな低利貸付制度」という言葉が気になるものの、リニア新幹線計画前倒しや、整備新幹線の建設加速を堂々と表明した点については評価できる。現在、日本国債は10年物国債金利までもがマイナスに陥っている(本稿執筆時点で▲0.118%)。しかも、市場価格のみならず、財務省から新規発行される国債までもがマイナス金利だ。 例えば、政府が10年物国債を発行し、10兆円を借り入れる。何しろ「マイナス金利」であるため、政府に資本調達コストは生じない。そして、マイナス金利で借り入れた10兆円をJR東海に無利子・無担保で貸し出し、リニア新幹線の東京-名古屋-大阪間の開業時期を前倒しするのだ。 リニア新幹線は、JR東海という「民間企業」の事業になる。長期金利がマイナス金利である以上、政府の財政投融資でJR東海に資金を貸し付け、リニア新幹線早期開業を目指すという政策は合理的だ。恐らく、安倍総理はこのことを念頭に「新たな低利貸付制度」という表現を使ったのだろう。 とはいえ、リニア新幹線以外の整備新幹線については普通に建設国債と公共投資でやる必要がある。北陸新幹線の大阪延伸や、北海道新幹線の札幌延伸を急ぐと同時に、奥羽新幹線、羽越新幹線、山陰新幹線、四国新幹線など、基本計画はあるもののたなざらしになっている整備新幹線を「整備計画」化するのだ。 基本計画が存在する各新幹線を整備するだけで、10年以上の長期プロジェクトになる。当然ながら、政府の建設国債、公共投資により「国家主導」で推進しなければならない。 現在の日本にとって、リニア新幹線や整備新幹線により「地方創生回廊」を構築することは、さまざまな観点から望ましい政策になる。例えば、東京一極集中の解消だ。 左ページの図(※本誌参照)の通り、高度成長期以降のわが国では、人口がひたすら東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に吸い取られ続けてきた。名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)や大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)は、1974年に高度成長が終焉を迎えるまでは、やはり東京同様に転入超過であった。とはいえ、'74年以降は大阪圏も名古屋圏もともに「横ばい」といったところだ。最近の大阪圏に至っては、転出超過が続いている。ただひたすら、東京圏が全国から人を吸い寄せ続けているのが現在の日本だ。 1990年のバルブ崩壊以前、東京圏の転入超過率は所得格差との相関が高かった。すなわち、東京圏と地方の所得の「差」こそが、水が高いところから低いところに流れるように、大規模な人口移動をもたらしていたのだ。 バブル崩壊後、東京の転入超過率は有効求人倍率との相関が強くなった。所得の差ではなく、そもそも「雇用があるか否か」が、国内の人口移動を引き起こす主因になったわけである。分かりやすく書くと、バブル崩壊後に東京圏への人口移動が継続した理由は、 「そこに職があるから」 という話なのだ。 現在に至っても、東京圏における金融サービスや情報通信サービスなどの雇用機会は圧倒的で、継続的な人口の移動を引き起こす主因になっている。地方で製造業が下火になった結果、東京圏のサービス業が雇用の引き受け手になっていったのだ。 今日、日本国中を見回しても、大幅な転入超過が続いているのは東京圏だけだ。2011年に東日本大震災が発生し、いったん東京圏への人口流入は下火になった。ところが、2013年には震災前の水準に戻ってしまい、相変わらず年間10万人が東京圏へと流入し続けている。 東京一極集中を解消するためには、東京圏以外の地方の「サービス業」を興隆させ、雇用を創出する必要がある。そのためには、どうしたらいいのか。サービス業は製造業と異なり、「消費地」に拠点を設ける必要がある。「製品」は在庫や運搬が可能だが、サービスは不可能なのだ。 例えば、飲食サービスを消費するためには飲食店に赴く必要がある。サービスは「生産」と「消費」が同時に行われるという特徴を持つ。 というわけで、高速道路や高速鉄道といった交通インフラを建設することで、東京圏などの大都市部と、地方を短時間で結んでいく必要がある。例えば、北陸新幹線の開業は金沢の観光サービスの市場を「東京圏」まで広げた。結果的に金沢の観光業が活況を呈し、民間の設備投資(ホテル建設など)も拡大している。第157回でも書いた通り、交通インフラの整備は「日本を小さくする」。 交通インフラを整備することで日本を「一つの市場」と化し、地方経済をサービス業中心に成長させることは可能なのだ。安倍総理の「全国を一つの経済圏に統合する『地方創生回廊』」が交通インフラによる日本の市場、商圏の統合を意味するのであれば、東京一極集中を解消し、地域経済を発展さえる上で完璧に正しい政策ということになる。 問題は、公共投資や交通インフラの整備について、国民があまりにも無理解であるという点だ。安倍政権には、本稿で解説したような「交通インフラ整備の意義と意味」を、繰り返し国民に説明するようにしてほしい。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年06月22日 10時00分
震源の遠さ(距離)に関係ない「長周期地震動」の恐怖!
未だに鎮まる気配を見せそうにない九州・熊本地方の地震。 6月10日、政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内に強い地震に見舞われる確率(今年1月1日時点)を示す「全国地震動予測地図」の2016年版を発表した。建物の倒壊が始まる“震度6弱以上”の確率では、すでに専門家の間で「秒読み段階」との見方もある南海トラフ巨大地震の震源域周辺で、前回('14年版)より最大2ポイント上昇している。 「太平洋側で2ポイント上がった都市は、静岡(68%)、津(62%)、和歌山(57%)。ほかに徳島(71%)や高松(61%)、松山(44%)、高知(73%)などの四国地方は一様に上昇している。これらは太平洋側で巨大地震が発生していないことから、前回の調査から2年経った分、海側と陸側のプレートのひずみが増している結果とのことです」(サイエンスライター) 一方、主要都市では札幌0.92%、仙台5.8%、東京47%、横浜81%、名古屋45%、大阪55%、広島22%、福岡8.1%で、前回からはプラスマイナス1ポイント以内に収まっていた。しかし、これを「額面通りに受け取ってはならない」と言うのは、地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏だ。 「こうした確率だけを見て一喜一憂してはならない。というのも、長周期地震動があるからです。東日本大震災時は、震源から770キロ離れた大阪で、周囲よりもとりわけ大きな揺れに見舞われた建物がありました。高さ256m、地上55階建ての大阪府咲洲庁舎で、地表で観測された震度は3だったにもかかわらず、天井や壁など360カ所が損傷する大きな被害が出たのです。南海トラフ巨大地震が起きた場合も、東京などでこの長周期地震動による被害が発生すると見ています」 気象庁では'13年から、「長周期地震動階級」を設定。その大きさを4段階に分けて発表しており、いまだ続く熊本地震の余震では4月15日、熊本県宇城市で初の最大級4(立つことができず、這わないと動くことができない)を観測している。 「長い周期の揺れを伝えやすいのは軟らかい地盤。大阪平野の地下には軟らかい堆積層が深くまで広がっている。一方、関東平野は地下深部に巨大な岩盤の凹みが存在しており、その上に軟らかい堆積層が乗っている。まさに長周期地震が起きやすい環境なのです」(前出・サイエンスライター) 日本列島は地震の核納戸だ。いつどこで爆発してもおかしくないが、その余波は遠くであるからと言って安心はできないという結果が出た。
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社会 2016年06月21日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 なぜ舛添都知事は無罪放免か
「一部に不適切な支出はあったが、いずれも違法性はない」 舛添要一東京都知事の政治資金疑惑を調査してきた第三者の弁護士は、そう断言した。 とても納得のできる結論ではないが、私が複数の弁護士に確認したところ、舛添知事が罪に問われることはないのだという。政治資金規正法がザル法になっていて、政治資金を何に使っても、罪に問われることはないからだ。 野々村竜太郎元兵庫県議が、政治資金の不正支出で罪に問われたのは、領収書を偽造するなどウソをついたからだ。現に野々村元県議は、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の罪で起訴されている。一方、舛添知事は、そうした偽装工作は行っていないので、罪に問うことはできないのだという。 確かに政治資金規正法は、政治家に都合のよいように出来ている。しかし、私は政治資金を私的流用しても、罪にならないという判断には納得ができない。それは、所得税法違反の疑いがあるからだ。 例えば、民間企業の社員が会社のカネを1億円横領し、着服していたとしよう。それが発覚すると、本来会社はその分利益が増えていたはずだから、1億円の利益に相当する法人税を追徴される。 同時に、着服した社員も1億円の所得があったとして、所得税の追徴課税を受けるのだ。しかも、着服時から無申告が続いていたとみなされ、延滞税も徴収される。さらに言えば、重加算税が加えられることもあるのだ。 私は法律の専門家ではないが、政治資金規正法を読んでみた。そこには、私的流用をしたとしても、所得課税を免除するとは書かれていない。だから、舛添知事が長年にわたって私的流用を続けてきたのだとしたら、例え政治資金規正法に抵触していなくても、所得税法違反に問われるべきなのだ。 ところが現実には、そうした動きはまったく見られない。それはいったい、なぜなのか。 私は、答えは一つしかないと考えている。舛添知事の場合は極端にやったにせよ、似たようなことは、他の国会議員もやっている人が多いのだろうということだ。 もし、舛添知事を所得税法違反で摘発したら、他の国会議員の間にも逮捕者が続出して、日本の政治が回らなくなってしまうほど、政治資金の私的流用が蔓延しているのだろう。しかし、国会議員の私的流用が無税で、民間人の私的流用が課税というのは、明らかに法の下の平等に反する。 こうした問題を解決する方法は簡単だ。政治資金規正法に私的流用を禁止する規定を盛り込むと同時に、「私的流用は個人の所得とみなす」と書き込めばよいのだ。 そう言うと、政治家は私的流用かどうかの線引きが、とても難しいのだと反論するだろう。もしそうであれば、この際、政党交付金や国会議員に支給されている文書通信費、地方議員に支給されている政務活動費をすべて議員個人に給与として支払ってしまったほうがましかもしれない。 政治活動は所得税・住民税を支払ったあとの個人のカネでやる。自分のカネであれば、無駄遣いもなくなるのではないか。
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社会 2016年06月20日 14時00分
外資に売られたシャープ 栃木県・矢板市 企業城下町の悲哀(3)
案の定と言うべきか、買収直後に「なるべく従業員全員に残ってもらえるようにしたい」と語っていた鴻海の郭会長は、1カ月もたたないうちに「こんなに採算が厳しい状況なら人員削減すべきと考える。希望退職なんて甘いことは言っていられない」と大きく心変わりしてしまった。 栃木工場に20年以上勤めている男性は「雇用を守るなんて最初から信じていない」と話す。 「私たちだけじゃなく、当然下請け企業などにも波及する話です。現在、シャープ関連の主な下請けは矢板周辺だけで5社ほど。栃木県全体では運輸、梱包会社、代理店、金融機関など150社に上るといわれているので、シャープが風邪をひけば、みんなたちまち倒れることになります」(同) 白地に赤の『SHARP』の看板が目を引くJR矢板駅西口ロータリー。客待ちをしている初老のタクシー運転手は以前、同じように企業に依存する町、茨城県日立市で働いていたという。 「企業城下町と呼ばれる市町村は、どこも同じような問題を抱えているでしょう。特に企業税収の割合が大きい市町村の場合、リストラで収益が大きく減れば税収も減るわけだし。まして撤退なんてことになれば、税収は一気にゼロになるものね。怖いのは『企業=金のなる木』と考えて、ツケを将来に送ってしまっている場合。例えば、入りもしない“箱モノ”とかだけど、ここにはあんまりそういうのはないかな。まあそうすると、撤退で金のなる木がなくなった途端にツケが払えなくなってしまうから…。何だか企業城下町は炭鉱の町に似ているのかもしれない。でも、炭鉱廃止よりタチが悪いのは、国やらの支援策が全く当てにできないことだよね。もしシャープが撤退してしまったら、国策でも何でもないわけだから、国から支援なんて期待できないもの」 4年前、シャープは鴻海の資本を導入して大阪府堺市に液晶パネル製造会社『堺ディスプレイプロダクト』を設立、'15年12月期決算で3年連続の黒字を記録した。ここで築いた実績を糧に鴻海との信頼関係を強化し、経営再建を目指したい考えだ。 しかし、倒れ掛かったものを元に戻すのは新しく作るよりも困難であり、リスクも伴う。起死回生を図るには、よほどのヒット商品を生み出すしかない。その一環としてシャープはこのほど、新型家電のロボット携帯電話『ロボホン』の発売を開始した。通話の他、カメラ機能や会話機能を備え、女性や高齢者のニーズに合わせた携帯電話だ。 「こういうニュースは矢板の市民にとってもうれしいね。まあ、シャープの町として今までやってきたことに誇りを持ってやっていけば、これからも大丈夫!」 タクシー運転手は、最後に明るく話してくれた。
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社会 2016年06月19日 14時00分
外資に売られたシャープ 栃木県・矢板市 企業城下町の悲哀(2)
「栃木工場はシャープが開発した液晶4Kテレビの組み立てを行っており、同社のテレビ生産のコア工場です。矢板市は、戦時中に陸軍の飛行場として使われ、戦後民間に払い下げとなった広大な土地に企業誘致の計画を立てました。優遇税制や補助金制度などを設けてシャープに猛アタック。これが功を奏してシャープ進出となったのです。同工場は以後、関東以北の唯一の組み立て工場として東日本をカバーしています。シャープが来ることになったとき、新たにバイパス道路を建設する、あるいは町名も早川町とした。さらにはシャープテレビの購入者には補助金を出すなど、市民総ぐるみでシャープ進出を歓迎したものです」 シャープ誘致に関し、当時の様子を知る元市会議員はこう語った。 広大な敷地に工場が建つと周辺には従業員相手の商店や飲食店、アパートが建ち並び、活況を呈する。これに比例して人口も増加、ピーク時の1996年には3万7000人に達した。 白もの家電の他、テープレコーダーなども手掛け、家電ブームに乗って工場はフル稼働。そのため地元貢献の一環として工場に市民を招き、花見やら花火大会を催し「オラが町のシャープ」というイメージ定着を図ってきた。矢板市役所をはじめ公立学校、病院、郵便局、金融機関などは、当然のごとくシャープ製品を積極的に導入。市民の中には家電はオールシャープという家庭も多い。 「シャープあってこその矢板であり、恩恵を受けているので、シャープの製品を使っているのはその恩返しという意味もあるのです。何しろ多いときには3500人もの従業員がいたし、固定資産税や市民税などで5億円からの税金が市の金庫に入る大きな財源ですからね」(前出・元市議) 矢板市の場合、自主財源が歳入の約5割を占めているのはこのせいだろう。地方交付税や国庫補助、あるいは公債などヒモつき財源で苦しい台所事情をやりくりしている自治体も少なくない中で、5割もの自主財源が確保できるのも大手企業のシャープという強い味方がいるからだ。それだけに、同市にとってシャープはまさにかけがえのない大黒柱。シャープの存在しない矢板市など想像できないと言っても過言ではない。 しかし、シャープの緊迫した事態は、鴻海傘下での再建によって一件落着というわけにはいかない。シャープの本丸ともいうべき大阪市阿倍野区の本社ビルは、家具販売大手のニトリに売り払うことがすでに決まっている。何よりシャープは、今年の8月1日に約60年間維持してきた東証1部から2部に降格する。2016年3月期に債務超過に陥ったことが、1部の上場基準に抵触したためだ。 「2部に留まれるかどうかも相当に厳しい。ルールでは、1年以内に債務超過を解消しないと上場廃止になるからです。鴻海の出方によっては市場からの退場もあり得ます」(経済記者)
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社会 2016年06月19日 12時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第23回
「大臣になれるとは思ってもいなかったよ。40歳だ。アメリカ流の満では39歳ッ。30代で大臣になったのは尾崎咢堂先生(注・本名は行雄。「憲政の神様」「議会政治の父」と謳われ、30代で文部大臣。連続当選、実に25回の“代議士記録”を持つ)一人であります。まァ、若い大臣なんて使いもんにならんと言われるような前例だけはつくれんッ。第一、これからの人に迷惑だからナ。とにかく、若さと情熱でぶつかるだけ!」 昭和32年7月10日午後7時半。モーニングに威儀を正した田中角栄は首相官邸に入った。第1次岸(信介)改造内閣で大臣就任への呼び込みである。郵政大臣を拝命、首相執務室から出てきた田中の顔は紅潮、記者団にもみくちゃにされ、口を突いて出たのが冒頭の弁である。田中にとってのこの初入閣は、「雌伏の時代」から本格的に抜け出し、実力者へ向けての階段にその第一歩を掛けた瞬間でもあったのだった。 その夜の東京・文京区豊川町(現在の目白台)の田中邸玄関には「祝大臣就任」と書かれた四斗樽3個が並べられ、家の中は祝い客でごった返した。 当時67歳だった田中の実母・フメは、「(新潟で)農家の仕事を一段落させてやってきたが、もうただただ嬉しいだけです」と上気した表情で言い、一人娘の日本女子大付属中学2年生だった真紀子は、「嬉しい。お父さんに『おめでとうございます』と言ったんです。『よし、よしッ』だってさ」と、こちらは無邪気に喜びを表していた。また、引っ込み思案で知られていた妻・はなは折から風邪で床に就いていたが、大臣就任の“ショック”で下がりかけていた熱がまた上がってしまったものだった。 一方、かつては「オラとこのバカが選挙に立つと言っておる」と息子の総選挙出馬に対し周囲にグチをこぼしていた父・角次は、新潟県刈羽郡の自宅で祝い客に囲まれていた。「オラはなァ、アニ(長男・角栄をこう呼んでいた)はきかねェ性格だから50歳くれェになったら大臣にはなるだろうと思っておったが、予想より10年早く大臣になりおって」と、これまた嬉しさを押さえ切れぬ表情だった。 また、メディアは期待半分、不安半分の評が多かったが、例えば就任翌日の朝日新聞朝刊は「馬力あり」として、次のような「横顔」を記したものだった。 「口ひげを生やしているせいか年齢の割に老けて見え、口の利き方もませている。しかも土建業でたたき上げてきた経歴にふさわしいかのように馬力があり、アクも強い。競馬に賭けても大勝負を試みるなど、“小型河野(注・河野一郎元副総理。河野洋平元衆院議長・元自民党総裁の父)”という評があるゆえんだ。ともあれ、30歳前後の若さで土建会社を起こしたり私鉄の社長に納まったりした来歴が示すように、なかなかの腕利きである。 政界に入ってからも、“あの若さで”と意外の感を与えるほどの手腕を見せたことがある。第二十二回特別国会で衆院商工委員長だった当時、難航を予想された石炭合理化法案の審議を政府の希望した日程の通りに進めて、社会党に反撃の機会を失わせてしまったあたり、通産省では近来にない名委員長と評している。しかも別の法案では、時に雲隠れ戦術を用いて都合の悪い議決を引き延ばしたりする駆け引きの才も見せた」 一方、こうした田中の入閣の裏で、“永田町スズメ”からこんなハナシが飛び交っていたのだった。 「田中は改造前に岸首相に現金300万円ナリをリュックに詰めて運んだそうだ」「いや、田中は岸の実弟の佐藤栄作(注・後に首相)の強い後押しを得たことで、改造後に300万円を“お礼”として岸のもとに届けたと聞く」などで、「300万円」という具体的な数字が一人歩きを始めていた。 「真相」はどうだったのか。こうしたハナシを耳にした当時の田中の後援組織「越山会」の幹部からは、「まァ、先生ならそのくれェのデカイことはやっておかしくない」という声があった一方、すでに田中との関係が始まっていた後の「越山会の女王」佐藤昭子のこんな“証言”もあった。 「(初の入閣から約5カ月後の翌年)年明け早々、議員会館で久しぶりに田中に会った。田中にあらためて大臣就任のお祝いを言うと、冗談交じりに笑いながら言っていた。『第一回目は運動するもんだよ』と」(「新潮45」平成6年10月号より)。田中がいみじくも「運動」という言葉を使ったことで、このハナシは金額はともかく、後に相当の「運動資金」をはずんだだろうということで定着しているのである。 そうした一方で、大臣就任の翌日、田中大臣は前述の朝日新聞「横顔」を証明するように、早くも「馬力」を見せつけるのであった。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年06月18日 15時15分
夏の飲みすぎに注意! 二日酔いの仕組みと対処の方法
これからますます気温が上がり暑くなってくると、美味しく感じるのがビールです。喉が渇くこともあり、ついついお酒を飲み過ぎてしまいますが、度を超すと大変なことに。 翌日は二日酔いでフラフラ。仕事が手につかないような状態になってしまうこともあります。このやっかいな二日酔いのとき、体内でいったいどのような現象が起きているのでしょうか。 今回は、医師の小田切ヨシカズ先生に、二日酔いの仕組みや対処法についてお聞きしました。■二日酔いにも種類がある 「二日酔いにも様々な症状があります。頭が痛くなったり、吐き気をもよおしたり、食欲がわかなかったりなど。こうした症状の違いは、人によって出方が違うという訳でなく、原因自体が異なっている場合があります。ですから、どれも同じ対処をしていては、治るものも治りません。早く回復させるためには、原因や症状にあった対応をしなくてはなりません」■脱水が原因の場合 「アルコールには利尿作用があるため、たくさん飲んだとしてもそのまま水分として摂取されるわけではありません。むしろ、水分不足の状態になります。すると、頭痛や吐き気などの症状が出てしまいます。解消するためには、やっぱり水分補給です。スポーツドリンクなどを飲むと効率よく水分が摂取できます。糖分が気になる場合は、みそ汁を飲むと適度な塩分補給にもなります」■アセトアルデヒドが原因の場合 「アルコールを摂取すると、肝臓で分解されてアセトアルデヒドという物質が発生します。アセトアルデヒドはさらに分解されて酢酸になり、最終的に水と二酸化炭素になって排出されますが、この機能が追い付かないと二日酔いを引き起こしてしまいます。症状としてあらわれるのは、頭痛や吐き気です。アセドアルデヒドの分解を助ける効果があるのが、あさりやしじみといった貝類に含まれるアラニン。ゴマに含まれるオルニチンなども効果があるので、食べてみるといいでしょう」■アデノシンが原因の場合 「アデノシンは、日本酒に多く含まれている成分です。血管拡張作用があり、血流を促す働きをします。ただ、量が多いと炎症に繋がってしまうため、強い頭痛に見舞われることになります。解消に効果があるのが、コーヒーに含まれるカフェイン。また、牛乳に含まれるセロトニンにも鎮静効果が見込めます」■胃酸過多が原因の場合 「アルコールを摂取すると、胃酸の分泌が促されます。しかし、量が多かったり度の強いお酒を飲むと胃酸過多の状態になり、二日酔いを引き起こします。この場合の症状としては、吐き気や食欲不振など。解消に効果があるのが、生姜です。生姜に含まれるジンゲロンという成分には健胃作用があり、胃の調子を整えてくれます」 二日酔いだからといって、ただガブガブと水を飲むのではなく、症状に合わせて対処すれば早期回復が見込めます。そうすれば、仕事などへの影響も少なくて済みます。でもまずは、飲み過ぎないよう注意することが大事ですね。【取材協力】小田切ヨシカズ湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。
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社会 2016年06月18日 14時00分
外資に売られたシャープ 栃木県・矢板市 企業城下町の悲哀(1)
かねてから経営再建中であったシャープ(本社:大阪市)に対し、鴻海精密工業(本社:台湾)が総額3888億円を出資、買収することで両社は最終的に合意した。このことを受け、栃木県矢板市民は「当面の雇用不安や工場閉鎖の懸念は払拭できた」として、ひとまず安堵した。何しろシャープあっての矢板市。 人口はもとより財政、雇用、あるいは市のイメージアップなど、さまざまな面でシャープに大きく依存している同市は、まさに典型的な企業城下町といえる。操業開始から48年を迎えた栃木工場(デジタル情報家電事業本部)を抱えているだけに、もし工場閉鎖となれば受けるデメリットは計り知れなかった。 矢板市企業誘致課の担当者が当時を振り返る。 「シャープの経営危機が伝えられ、栃木工場の閉鎖もあるのではといわれていましたので、シャープ本社に問い合わせて情報収集に努めていました。幸い工場も存続し、雇用も確保するとの回答を得たので安心しました」 とはいえ同工場は一昨年春、従業員1500名中400名の早期退職を図り、思い切った人員整理と規模縮小を行っているだけに、雇用不安は完全に解消されたわけではない。 「しかも、今いる従業員もパートや派遣社員がほとんど。鴻海は、雇用は保証すると言ってはいたが、果たしてどうかねぇ…。相手は外資だから、今は大丈夫でも将来までは、ね」 栃木工場に隣接する住民は不安な表情でシャープの白い工場建物に目をやる。この不安は矢板市民に共通したものだ。 シャープは明治45年(1912年)、早川徳次氏によって創業された家電のトップメーカー。“液晶のシャープ”と呼ばれる地位を築き、その代名詞ともいえる『AQUOS』は世界中で大ヒットした。 しかし、廉価な韓国、中国製品に次々と市場を奪われ、業績悪化に歯止めがかからず、ついに外資の軍門に下ることに…。日本の大手家電メーカーが丸ごと外資系企業の傘下に入るのはシャープが初めてだ。 結果的にシャープは鴻海が示した“カネ”と“丸抱え”の好条件になびいた格好だ。鴻海は1974年、台湾で創業。郭台銘会長が一代で築き上げた精密機器メーカーである。米アップル社のスマートフォンやソフトバンクのロボット、任天堂のゲーム機などを生産。中国に組み立て工場を持ち、安価な労働力と経済特区優遇措置に支えられて成長を遂げてはいるが、受注専門のいわば下請け企業。発注元の求めに応じて部品を組み立てるだけで独自に開発した製品、自社ブランドは持っていない。そのため今後の経営戦略上、自前の製品開発は不可欠。この点で高い技術力、開発能力、ブランド力を持つシャープは“いい買い物”であった。
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