社会
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社会 2016年07月07日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 米国に見捨てられた安倍政権
6月16日の東京外国為替市場で、円相場が1ドル=103円台と、一気に3円近く円高に振れた。そして、日経平均株価も一時500円以上値下がりした。為替が円高になり、株価が下がれば、日本経済に大きな逆風となる。なぜ、こんなことが起きたのか。 一部のメディアは、イギリスがEUを離脱するリスクが高まったからだとしたが、そうではない。今回起きたのは、ポンド安やユーロ安ではなく、円高だからだ。要するに本当の原因は国内にある。 一番大きな原因は、この日、日銀が金融緩和を見送ったことだ。 今年1月に日銀が導入したマイナス金利政策は、史上最大の失敗をもたらした。銀行が日銀に預ける当座預金の金利をマイナスにすれば、銀行は資金を日銀に預けるのをやめて、融資を拡大するだろうと日銀は読んでいた。しかし、資金需要がなかった銀行は、国債購入に走った。その結果、国債価格が暴騰し、国債金利までがマイナスに陥る事態を招いてしまったのだ。こうした状況が続くと、国債で資金運用をしているゆうちょ銀行や地方銀行の経営が厳しくなる。 なぜそんな危険な政策を日銀が採ったのかといえば、通常の量的金融緩和を米国に許してもらえなかったからだろう。 昨年末のゼロ金利解除以降、絶好調だった米国経済は明らかに変調をきたしている。そこに日本が金融緩和で為替をドル高・円安に誘導すれば、米国経済がますます危うくなってしまう。そのために米国は、今年に入ってからの日銀の量的金融緩和を認めてこなかったのだ。 ただ、私は6月16日の金融政策決定会合で日銀が通常の金融緩和に踏み切ると見ていた。7月に参院選があるので、何としても日本経済の失速を避けなければならないからだ。市場もそう見ていたはずだ。だから、日銀が量的金融緩和を見送ったことで、失望による円高・株安を招いてしまった。 6月16日は、米国の利上げも期待されていたが、見送られた。それは、相変わらず米国経済の不調が続いていることの証拠だ。そうした状況の下でも、安倍政権を支える強い意志が米国にあれば、米国は日本の金融緩和を許したはずだ。 しかし、今回の参院選で、与党が政権を失うことはないと米国は判断したのだろう。だから、安倍政権の全面バックアップをやめたのだ。 アベノミクスがデフレからの脱却を成功させたのは、アメリカが金融緩和を許してくれたからだ。そのお礼として安倍政権は、自衛隊を米軍の後方支援に差し出す安全保障関連法案を成立させた。しかし、そこまで米国に貢いだのに、すでにその効果は消滅したことになる。 そうなると心配なのが、7月以降の日銀の行動だ。量的金融緩和を封じられた日銀が、マイナス金利政策の強化に出てくる可能性があるのだ。となれば、体力の劣る地銀が経営危機に陥ったり、ゆうちょ銀行の経営が行き詰まる可能性がでてくる。まさに金融危機の再来だ。 ゆくゆくは、いま都心の不動産のバブルが崩壊し、資金を貸し込んでいる大手銀行の経営にも危機が訪れる。日本経済は剣ヶ峰の状態なのだ。
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社会 2016年07月06日 14時00分
ミサイル暴君 金正恩が「死亡説リーク」破滅的な精神状態(1)
北朝鮮は今年に入りミサイルを計24発も発射している。そのうち、中距離弾道弾ムスダンは4月と5月に計4発発射されたが、いずれも直後に爆発するなどして失敗したとみられている。 しかし、6月22日に発射された2発のうちの2発目は高度1000キロメートル以上に達し、約400キロメートルを飛行した。さらに、この2発目に関しては北朝鮮の計画通りに飛び、実験は成功だったとの見方が強まりつつある。 注目は大気圏再突入時に、弾頭を超高熱から遮断する技術を開発したことだ。ただし、今回の発射が成功だったところで、今のところその成功確率は6分の1。それを脅威とするかどうかは意見が分かれる。 「日本の防衛省によるとムスダンの推定射程は2500〜4000キロメートルで、日本全域をカバーするばかりか、米軍基地のあるグアムまで射程内に捉えました。また、韓国国防省によれば、約650キログラムの核弾頭を搭載できるという。グアムは、朝鮮半島有事の際には米軍が援軍を送り出す重要拠点ですから、北朝鮮に対し、いずれかの国が先制攻撃を行った場合、核による報復を受ける可能性が出てきた。つまり、北朝鮮は核抑止力を持つことになり、米国に対して体制の保全と“核クラブへの入会”を要求する準備を行程通り進めているというわけです。トランプ米大統領候補をやたらと“ヨイショ”しているのは、この計画の一環でしょう」(軍事ジャーナリスト) 金正恩朝鮮労働党委員長の高笑いが聞こえてきそうだが、いくら核開発やミサイル発射成功を自画自賛したところで、国民や政敵からいかに嫌われているかを示す報道が6月16日にもたらされた。上海に本社を置くインターネットメディアのイースト・アジア・トリビューン(EAT)では「爆弾テロで死亡した」と報じ、翌17日に韓国聯合ニュースも同じ内容を伝えたのだ。韓国国防部は「事実ではない」と即座に否定した。 「EATによると平壌のポトンガン区内で開かれていた記念式典に参加中、警護をくぐり抜け近づいた女性の自爆テロによって死亡したという内容でした。すぐに疑問に思ったのが、まず、仮に女性が軍人であっても自爆できる手榴弾などを携帯できたかどうかという点。また、一般人に動員された党員、近衛軍の警護役、精鋭警護役が二重、三重に取り巻く中を突破できただろうかという点です。故・金正日総書記もたびたび暗殺説や病死説が流れましたが、独裁国家では独裁者の急死、暗殺情報が実際に死亡するまで何度も流れるのは通例。金ファミリーのプライバシーは徹底して守られており、海外メディアがファミリーの死亡をスクープすることなどあり得ません。これは反正恩一派を見つけ出すために正恩自身が発したリークか、さもなければ一攫千金を狙う勢力が市場操作したかどちらかです」(北朝鮮ウオッチャー)
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社会 2016年07月06日 10時00分
安倍首相真っ青 イギリスEU離脱で押し寄せる日本大恐慌(2)
そんな中で巻き起こるのが、日本経済への大打撃だ。日立製作所は昨年、英国北東部に約126億円を投じ鉄道車両工場を新設したばかり。離脱でEU向け輸出品には関税が課される可能性が高く、ドイツのシーメンス社やフランスのアルストム社との価格競争で不利になるのは必至。さらに年間19万台を生産しEUに輸出しているトヨタや、日産自動車、サントリー、富士通など、英国に拠点を構える日本企業約1400社は大混乱に陥る。 「日本国内に目を向ければ、急激な円高は輸出に逆風となる。24日朝の時点で1ドル106円だったのが離脱の一報で一時99円になりましたが、これで、例えばトヨタは約3000億円、パナソニックは約2500億円が吹き飛んだ計算になる。円高が加速すれば外国人観光客の足も鈍り、株安で日本の消費は冷え込むでしょう。アベノミクスの真骨頂は円安株高。その芽がこれ以上断たれることがあれば、日本経済は崩壊の一途をたどります」(証券アナリスト) リーマン・ショック時と同様の状況に陥れば、致命的な大打撃を受けるのはやはり中小企業だ。 「リーマンの時には自動車関連だけで1万数千人が人員整理された。そして、派遣切り。会社寮の入居者の中にはたちまちホームレス生活になってしまった人もいる。あの二の舞だけはごめんです」(自動車関連下請け業者) 経済アナリストは、こう言う。 「EU離脱によりロンドンに拠点を構える金融機関がこぞって逃げ出せば、それだけで失業者が100万人にも上ると言われている。その大混乱の影響が、東京や上海、ニューヨークに出ないはずはありません」 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する130兆円も、株安により10兆円単位で消え、“年金支給開始70歳”も現実を帯びそうだ。 「伊勢志摩サミットで安倍首相は『世界経済がリーマン・ショックの前に似ている』と唱え、海外メディアから酷評されたが、奇しくもその予言が当たった格好。これで消費税増税再延期の名目も立ったわけですが、これに内心、一番驚き、危機感を抱いているのは安倍首相なのではないか。参院選に向け経済政策を全面に打ち出してはいるが、言えば言うほど墓穴を掘る可能性さえある。国民の不信に火がつけば危ない」(自民党幹部) 安倍政権もろとも、EU離脱に飲み込まれるのか。
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社会 2016年07月05日 14時00分
東電が電力自由化で繰り出す“恐るべき必殺技”
電力小売りの完全自由化がスタートして3カ月。当初は300を超える新規事業社が名乗りを上げたが、電力会社の牙城を切り崩すのは容易ではなさそうだ。契約を切り替えたのは全国世帯のうち、わずか1.7%に当たる103万5500件(5月末時点)に留まっている。 「最大の激戦地と目されたのが首都圏。経済メディアは東京電力と東京ガスのガチンコ対決とあおったのですが、東ガスはまだ60万世帯程度と低迷し、社内からは『こんなはずじゃ…』とのため息さえ漏れてくる。他の新規参入組は、ほぼ討ち死にです」(電力関係者) なぜ、新規参入組が苦戦を強いられているのか。証券アナリストが指摘する。 「料金設定が既存の電力会社とそう変わらず、魅力に乏しい。それに手続きが煩わしいとの思いから、様子見を決め込んでいる世帯も多いようです。東電は内心、ホッとしているでしょう」 その東電で4月から送配電事業を担う東京電力パワーグリッドが6月17日、政府の電力・ガス取引監視委員会から業務改善勧告を受けた。新規参入組と契約した世帯が東電から切り替えるために必要な「託送業務システム」に、不具合が相次いでいるというのだ。 「契約変更に伴いスマートメーターに切り替える必要があるのですが、調達が追い付かず、9月頃までズレ込む公算が大きい。東電は調達に責任を持っているのですが…」 新規参入組はこう不満を隠さない。スマートメーターは検針員が不要で、一定の検針日に自動的に電力使用量を読み取り、検針日から4営業日以内にユーザーへ通知することになっている。ところが、不具合が相次いだ結果、データ通信の遅れは6月中旬の時点で5万件にも及んでいたというのだ。 実はスマートメーターの商品不足は4月以前から指摘されていた。東電が対応を急いでいるのは間違いないが、市場には、こんなうがった見方が囁かれている。 「相手は逃げた顧客。“利敵行為に手を貸すことはない”との心理が働いても不思議ではない」 これが事実ならば、恐るべき東電の“必殺技”だ。
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社会 2016年07月05日 10時00分
安倍首相真っ青 イギリスEU離脱で押し寄せる日本大恐慌(1)
6月24日に決定した、英国の国民投票による“EU離脱”のショックが瞬く間に全世界を覆い、戦後最大の大不況に陥った'08年のリーマン・ショックの再来、さらにはアベノミクスが一気に崖っぷちに追い込まれる可能性も出てきた。 「リーマン時、日本の株価は1万2000円台から1カ月後には6000円台まで大暴落し、経済は大いに後退した。今回の離脱の余波はそれよりも急で、初日で早くも1200円下がり、一気に1万5000円を切った。1万円割れもあるでしょう」(兜町証券関係者) 大方の予想に反し、国民投票によりわずか約127万票の差で決着した英国のEU離脱。そもそも第二次世界大戦時、ヨーロッパで互いの国が潰し合った傷跡の深さを反省し、旧西ドイツ、フランス、ベルギーなどが協力し合える連合体制を作り上げようと始まったのが、EU前身のECだった。 それを多くの欧州人が引き継ぎ、'89年のベルリンの壁崩壊とともに領域は旧東ドイツにも拡大。さらに'93年、関税撤廃や緊密な経済のつながり、EU内での自由な国境移動、統一通貨などの協力関係強化のもと、28カ国5億人が参加するEUが発足した。 「しかし近年、英国大衆にとってEUは足枷となっていた。その最大の問題は移民。ブレア政権だった'04年頃から移民を無制限に受け入れ、年間20万から30万人が流入し、結果、国内には300万人の大半がロンドン近郊や、英国南部に集中した。リーマン後、経済が不況に陥る中で、国民には財政緊縮策でさまざまな制限がかかったが、移民に関しては病院も学校も無料。そんな我慢ばかりの環境に、英国民の不満は溜まる一方だったのです」(在英国ジャーナリスト) 移民による犯罪は年間3万件近くにまで倍増し、治安悪化で高齢者は外にも出られない。最近では、流入するテロリストの存在に不安は増大。建築関係や飲食関係などの職も、移民により浸食される一方となった。 「そんな犠牲を強いられながら、漁獲高制限や農薬制限、細かいところではキュウリやバナナは曲がっているものを売ってはいけない、掃除機の吸引力が強過ぎてはダメなど、馬鹿げた規制がEUから押し付けられる。それでいて英国のEU拠出金は年間1兆4000億円。カネを吸い取られた揚げ句にデメリットばかりであれば、何も共同体でいる必要はない。そんな積もり積もった不満の爆発が、離脱への暴走につながったわけです」(同) しかし問題は、世界の約半分を占めるGDP1700兆円のEU経済パワーだ。 「そこを抜け、自由にやるとなった場合、まず無関税だったEU各国との貿易に関税がかかるなど不利益が多数生じる。離脱派はEUは英国を無視できないだろうと楽天的だが、EU側はこれ以上の離脱を防ぐため、英国を一罰百戒で徹底して叩きのめす可能性が強いのです」(シンクタンク関係者)
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社会 2016年07月04日 14時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第25回
時に、田中角栄郵政大臣の最大の懸案は大量のテレビ局免許申請に対し、どう大タナを振るうかであった。 NHKと日本テレビが開局して以来、全国からテレビ会社設立申請が殺到、その数、実に86社153局に達していた。申請者の多くは全国各地の新聞社が主体の上、地方の経済界有力者も絡んで、どれを取り、どれを捨てるかは至難のワザと言えた。田中以前の郵政相はこの決定をひたすら先に延ばすことで、お茶を濁してきたのだった。田中にとっては、説得力、根回し、度胸など、まさに政治家としての力量が問われる場面と言ってよかったのである。 ところが、田中はこの難題を電光石火、郵政省の幹部ら事務当局一部の難色を一蹴、直ちに「大臣決定」で電波監理審議会に諮問、アッという間に全国予備免許43局を決めてしまったのだった。後に言われる田中への「“決断と実行”の政治家」のお披露目と言ってよかったのである。 また、田中郵政大臣による大タナは“省内改革”にも及んだ。これは省内にはびこっていた2大派閥のそれぞれのボス格局長のクビを切る一方で、労働組合「全逓」と真っ向から向き合うことであった。折から、「全逓」が「春闘」で勤務時間に食い込む臨時大会を強行したことにより、大臣就任翌年に「公労法」「国家公務員法」の違反ということで、関わった幹部7人の解雇を含め、減給、戒告、訓告約2万2千人、「全逓」全組合員の実に約1割の大量処分を断行した。ここでも郵政省事務当局は言うまでもなく、歴代郵政大臣も尻込みの処分を、テレビ免許同様、果断にやってみせたということだった。「処分に目をつぶって、大臣の務めが果たせるわけがない」として、リーダーに不可欠な「信賞必罰」を実行したことになる。 さて、この「信賞必罰」の一方で、田中は並みのリーダーではないことを見せつけた。まず、処分決定の裏で「全逓」幹部と取引、言うなら幹部7人への“クビ切り料”慰労金として即刻3億円を大蔵省から引き出し、これを先払いしてしまうという手に出た。明日から給料は出ない、クビとなった幹部の生活をおもんぱかってのそれであった。 その7人の1人に、中央本部書記長の大出俊という人物がいた。頭脳明晰、駆け引きも巧み、さっぱりした性格などから、一方では郵政省幹部からもなかなかの人物として好感を持たれていた人物であった。田中も敵対する関係にはあったが、交渉過程などで大出を買っていた。しかし、守らぬことは別、処分はやむを得ずということであった。 しかし、ここで田中は極め付きの人心収攬の妙を見せつけたのであった。仕事を取り上げられ無聊をかこつ大出のもとに、処分から数日後、田中から直々の電話が入った。「君のような優秀な男を処分せざるを得なかったことは、何とも心苦しかった。どうだ、ワシの知ってる会社に入ってくれんか」と。大出としては、とてもこの時点でハイそうですかと受けられるわけがない。メンツもある。体よく断わると、田中はなおこう追い打ちをかけたのであった。「分かった。会社は諦めるが、ワシの秘書として働いてもらえんだろうか」。 結局、この話は実を結ばなかった。大出はその後、政界に転じ、社会党の「爆弾男」としてロッキード事件でも国会の田中追及の検事役を演じたが、なぜか田中を土俵の外へ押し出すまではしなかった。どこか田中と、気心の通じ合うところがあったようだ。ここにおける田中は「デキる敵」を取り込むことには失敗したが、自ら胸襟を開き、大出のそれも開かせたことで、敵対はしたが2人の間には紐帯感が生じていたのでは、ということになる。 ちなみに、この郵政大臣就任間もなく、田中は当時の東急グループ総帥の五島慶太から、「東急を君に任せたいがやってみる気はないか」と、本気で誘いを受けたものであった。当時の東急は、堤康次郎を総帥とする西武グループと二分の大コンツェルン。それを任すと言われるのだから、いかに田中への人物評価が高かったのかが分かる。炯眼の五島は万事に努力家、全力投球、誠心誠意で臨む田中の人生の哲学を見る一方、徒手空拳、20代前半ですでに立ち上げた土建会社を全国工事実績で50位以内にまで持っていった会社経営の手腕、政治家になっても陣笠クラスながら次々に実績を残しつつ、地元選挙区には「越山会」という巨大無比の後援組織をつくり上げてしまうなど、諸々の田中の凄腕、力量を買ったことに他ならなかった。全力投球、誠心誠意で人生と向かい合っている者を、人はどこかで見ているということである。 しかし、田中はこれを断わった。政治への情熱やみ難く、人生の舵を再び実業界へ切ることはなかったのだった。 その一方で、田中郵政大臣はその人柄の開けっ広げも手伝ってメディアに大人気、大臣在任中のテレビ、ラジオへの出演回数、実に十数回を数えたのであった。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年07月02日 15時45分
飲みすぎ注意! 夏の水分補給によるペットボトル症候群の危険性
これからさらに暑さが厳しくなるにつれ、心配されるのが熱中症です。外出時だけでなく、部屋の中にいる時でも気を付けなければいけません。 予防のためには水分補給が欠かせませんが、なんでも飲んでいいという訳ではありません。若い世代を中心に、『ペットボトル症候群』というのが広まっています。 今回はそのペットボトル症候群について、看護師の大木アンヌさんにお聞きしました。■ペットボトル症候群とは 「汗をかいた後の水分補給において、純粋な水の摂取だけでは塩分やミネラルが足りません。そこで、スポーツドリンクなどの清涼飲料水を飲んだりすると思います。でも、今度はそれが糖分の過剰摂取に繋がってしまいます。清涼飲料水の飲み過ぎにより、吐き気や腹痛などの症状に見舞われることがあります。この急性の糖尿病の症状こそがペットボトル症候群です。若い世代だけでなく、40代や50代といった年齢層にも広がっています」■もたらされる悪循環 「糖分を摂取することで血糖値が上がると、さらに喉が渇いてきます。そしてまた清涼飲料水を飲んでは、血糖値を上げてしまう。いつまでも続くこの悪循環が、ペットボトル症候群の特徴でもあります」■1日に摂取できる砂糖の量 「通常のスポーツドリンク500mlに含まれる砂糖の量は、30gほど。世界保健機関(WHO)によれば、1日に摂取すべき砂糖の量は25gだとされているので、ペットボトル1本飲んだだけでオーバーしてしまいます。さらにコーラなどのソフトドリンクになると、砂糖の量が50gほどになるので、圧倒的に多い。飲み過ぎれば危険な状態に陥ってもおかしくありません」■スポーツドリンクを薄めて飲む 「ですから、スポーツドリンクを飲む際は、水で薄めることをお勧めします。吸収力も高いままですし、体に負担もかかりません。さらに、温度も常温の方が、内臓への負担も少なくて済みます。また、水分補給にカフェイン入りの飲料は適していません。カフェインには利尿作用があって、体内の水分量を低下させてしまうからです」 夏の水分補給は欠かせませんが、飲み過ぎても危険。正しい方法で、こまめな摂取が望まれます。熱中症対策の一環として、心掛けていきましょう。【取材協力】大木アンヌルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。
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社会 2016年07月01日 14時00分
“表情”の数値化で不審者チェック 監視カメラは“人間狩り”の声も…
東京五輪まであと4年、近未来の防犯システムがロシアから日本に上陸した。オリンピックのテロ対策もこれで万全!? 監視カメラで撮影した映像を基に不審者を素早く特定し、テロや犯罪を未然に防ぐシステムだ。犯罪をたくらむ人物が放つ独特の“オーラ”を検知できるという。 「このシステムは『DEFENDER-X』と名付けられ、開発したのはELSYS(エルシス)というロシアの政府系研究機関を母体とする民間会社です。汎用の監視カメラ2台に、ある程度の処理能力を持つパソコンがあればハード面は完成。しかし、録画した映像を独自のソフトウエアを使って分析する能力に特殊性があります」(防犯に詳しいジャーナリスト) すでに効果は実証済みだ。2014年のソチ五輪では、1日に5〜15人を『不審者』として検知。該当者を事情聴取した結果、9割が薬物や酒などの禁止物の持ち込みやチケットを持たず不正入場を試みる客だったのだ。 では、どのように人の精神状態を可視化したのか。 「まず精神状態を人の“表情”から検出する画像処理技術です。対象者の顔の皮膚や眼球、口元、まぶたなどが、どれだけ動いたのかを検出し、それぞれの振れ幅や回数、周期を数値化します。次に顔を『攻撃的』『緊張』など50のパターンに色分けし、各部位ごとにその色を分析、精神状態を総合的に判断します。色付けするのは、空港などの職員や警備担当者が素早く判断できるように、との配慮からです」(同) 日本でも警察がこの技術に注目し、すでに試験的な運用を始めている。 国内の大手警備会社も自社の警備システムと『DEFENDER-X』を連携させ、新たな不審者検知システムの製品化を急いでいるという。 監視カメラの市場は今後右肩上がりで伸びていく。中でも通信機能を備えたネットワークカメラは前年比二桁増の成長率。監視社会への批判は続くが、反面、犯罪者の検挙に貢献しているのも事実なのだ。 近未来、ロボットが人間を監視、管理する時代が必ずやってくる。 だが、この警備システムは一種の“人間狩り”との声も…。
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社会 2016年07月01日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第180回 新幹線ネットワーク
前回に引き続き、新幹線の話題である。 筆者は最近、地方講演が激増し、週に何度も新幹線を利用している。ある週に至っては月曜日、水曜日、金曜日と仙台に出張する事態になり、3回も東北新幹線に乗った。仙台講演が「月・火・水」と連続してくれれば宿泊するのだが、飛び飛びの予定になってしまうと毎回、日帰りせざるを得ない。 とはいえ、東京都民である筆者にとって仙台とは「気軽に日帰りできる街」なのである。新幹線で東京-仙台間が最短1時間32分で結ばれているため、筆者にとって仙台は「それほど遠くない市場」だ。すなわち、近場の商圏なのである。 逆側から見ると、仙台のサービス業にとって、東京圏という世界最大のメガロポリスを標的市場と化すことが可能という話である。新幹線は地域と地域を結び付け、それぞれの商圏を拡大することで、サービス産業の発展を促進する(最も分かりやすいのが、観光サービスになる)。 6月1日の安倍総理の会見を受け、全国的に「新幹線建設」の動きが盛り上がり始めた。 秋田県の佐竹知事は、フル規格の奥羽新幹線(福島-秋田)と羽越新幹線(新青森-富山)の建設促進を求める「奥羽・羽越新幹線整備促進期成同盟」を、9月上旬に設立することを明らかにした。ちなみに、現行の秋田新幹線や山形新幹線は、実は新幹線ではない。福島-山形間、盛岡-秋田間は、「奥羽本線」など在来線の線路を走る「ミニ新幹線」なのだ。最高速度も時速130キロメートル程度にすぎない。 新幹線の基本計画には、福島から山形を抜け、秋田に至る奥羽新幹線が存在している。さらに新青森から日本海沿いに走り、富山に至る羽越新幹線もある。羽越新幹線は日本の二つ目の国土軸を日本海側に構築する、いわゆる「日本海国土軸構想」上も極めて重要だ。 政府の地震調査委員会は6月10日に、全国各地で今後30年内に震度6弱以上の大地震に見舞われる確率を示した2016年版の「全国地震動予測地図」を発表したのだが、太平洋側が軒並み上昇していた。茨城県から高知県に至る「太平洋ベルト地帯」において、今後30年間で震度6弱以上の地震が発生する確率は100%に近いと考えるべきである。 いざ太平洋側で大地震が発生した際に、日本海側の「供給能力」で救援をしてもらうためにも、日本海国土軸構想は重要だ。日本海側に救援の意思があったとしても、「モノ」「ヒト」「技術」という経済力が蓄積されていない場合、どうにもならない。経済力とは、カネではない。モノやサービスを供給する力なのである。 また、「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」は、6月7日に「山陰新幹線の整備と北陸新幹線舞鶴ルートの実現」を決議した。北陸新幹線の大阪延伸ルートとして、舞鶴ルートが有力視されているのと連携する動きになる。 北陸新幹線が「小浜-舞鶴-京都-新大阪」のルートで建設されれば、山陰新幹線は舞鶴から西に延ばしていくだけで済む。舞鶴ルートの場合、山陰地方が金沢、京都、新大阪と一本で結ばれることになり、経済波及効果は計り知れない。 奥羽新幹線、羽越新幹線、山陰新幹線に加え、四国新幹線も動き始めた。四国経済連合会と四国商工会議所連合会、四国4県が、6月10日に四国新幹線建設に向けた政府予算の計上を求め、国土交通省や自民党に要望書を提出したのである。 新幹線は昭和47年時点で計画されていた9000キロメートルのうち、整備が完了しているのは3割にすぎない。本来、奥羽新幹線も、羽越新幹線も、山陰新幹線も、四国新幹線も、とっくに開業していなければならなかったのだ。ところが、バブル崩壊後の「土建たたき」「公共事業たたき」により、わが国は地方経済発展のために不可欠な新幹線整備に予算を使えなくなっていった。 そもそも、新幹線ほど費用対効果が高いインフラ整備は他にない。何しろダムや防波堤、一般道路などのインフラは、公共投資で建設したとしても、基本的には「料金」を徴収することができない。それに対し、新幹線は運賃収入を得ることが可能なのである。 もっとも、それ以前に「公共」インフラに収益性を求める発想が異様ではある。確実に黒字になるならば、民間が建設するべきだ。「収益」が出るインフラ建設に政府が乗り出すなど、民業圧迫もいいところである。 短期的には収益にならないかもしれない。とはいえ、地域や国家全体の経済成長のために不可欠であるからこそ、政府が公共投資でインフラを整備するのである。しかも、新幹線の場合は収益が出る。それにもかかわらず「新幹線を建設しても無駄」などと、抽象的なレトリックで整備新幹線を批判する連中が少なくない。 また、新幹線を整備すると「東京一極集中が加速する」などと、無知蒙昧な主張をする者がいるが、そもそも東京一極集中が進行しているのは東京圏の「雇用創出力」が大きいためなのだ。新幹線整備により、地方が東京圏を「市場」「商圏」と化すことができれば、東京一極集中はむしろ止まる。 東京圏を市場とすることで、地方のサービス産業において雇用が創出される。しかも、地方から東京に遊びに行くのにも短時間、という状況になれば、間違いなく東京一極集中は解消に向かう。 いずれにせよ、今後の新幹線整備については国内マスコミから、 「赤字になる新幹線は建設するな」 「ストロー効果で東京に吸い上げられる」 といった陳腐かつ「嘘」のレトリックで攻撃されることになるだろう。それに対し、政治家や「国民」が、いかに反論していくべきなのか。 日本全体の安全保障強化、東京一極集中の解消、真の意味における「地方創生」実現のためにも、わが国は新幹線ネットワークを建設する必要があるという現実をぜひとも認識してほしい。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年06月30日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 企業の強欲が経済をつぶす
6月1日、今年1〜3月期の法人企業統計が発表された。安倍政権が発足したのが'12年12月だから、安倍政権初めての決算となった3年前の'13年1〜3月期のデータと比べてみると、アベノミクスで何が起きたのかが、鮮明に浮かび上がってくる。 まず、全産業(金融・保険業を除く)の売上高は3年前より1.6%増えた。1年当たりに直すと0.5%だから、大きな伸びとは言えないが、成長したことは事実と言える。 その中で、経常利益は9.4%増と大きく増えている。理由と思われるのが、従業員給与が1.9%減となっているということだ。アベノミクスの下で、企業は売り上げを増やすとともに、従業員の給与を削ることによって利益を大きく増やしたのだ。 もちろん、企業活動を継続するうえで、一定の利益を確保することは必要なのだが、安倍政権は法人税率を10%以上下げることで、企業の蓄積をさらに促してきた。 その結果が、内部留保の爆発的拡大だ。法人企業統計では、内部留保を利益剰余金と表示しているが、この額が今年1〜3月期は、3年前より29%も多い、366兆円に達したのだ。しかもこれは、金融・保険業を除いた数字。金融・保険業を加えると、内部留保の総額は418兆円にも達するのだ。 昨年度のGDPがちょうど500兆円だから、日本の企業はGDPの8割以上の資金を貯め込んでいることになる。ただ、こういう話をすると、「内部留保はキャッシュを貯め込んでいるというわけではなく、設備投資の源泉になっているのだ」という批判がなされるが、法人企業統計で現預金の額をみると181兆円に達しており、3年前より21%も増えている。 従業員の給料を削ってまで、使うあてのないカネを貯め込む。日本企業は、守銭奴になってしまったのではないだろうか。 しかし企業は、最終的に消費者を相手に商売をしているのだから、消費者イジメは最終的に自分に返ってくる。その兆候は、ヒット商品ランキングに、すでに表れている。日経MJが発表した'16年上半期ヒット商品ランキングの東の横綱が、「安値ミクス」だったという例もある。 アベノミクスで脱デフレが進み、“安いだけでは売れなくなった”と言われてきた。現にデフレの象徴と言われた牛丼の安値競争は終息した。ところが、吉野家がこの4月から4年ぶりに豚丼を発売すると、牛丼より50円安いことからたちまち人気に火がつき、予定を大きく上回る大ブームとなったのだ。 また、今年2月には新潟市の原価率研究所が、足立区竹ノ塚に東京初の店舗を出店した。カレーライス一皿200円という低価格が功を奏して、大行列ができている。 ヒット商品ランキングの西の横綱は、マイナス金利だ。住宅ローン金利が下がったので、借り換え需要で銀行が賑わっているのは事実だが、結果として、銀行は収益を減らすことになっている。 ヒット商品ランキングには、この他に「チープカシオ」も入った。Gショックから、Gショックの機能を除いたような時計だ。こんなものが、万人のニーズをとらえる時代になってしまったのだ。
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