「日本国内に目を向ければ、急激な円高は輸出に逆風となる。24日朝の時点で1ドル106円だったのが離脱の一報で一時99円になりましたが、これで、例えばトヨタは約3000億円、パナソニックは約2500億円が吹き飛んだ計算になる。円高が加速すれば外国人観光客の足も鈍り、株安で日本の消費は冷え込むでしょう。アベノミクスの真骨頂は円安株高。その芽がこれ以上断たれることがあれば、日本経済は崩壊の一途をたどります」(証券アナリスト)
リーマン・ショック時と同様の状況に陥れば、致命的な大打撃を受けるのはやはり中小企業だ。
「リーマンの時には自動車関連だけで1万数千人が人員整理された。そして、派遣切り。会社寮の入居者の中にはたちまちホームレス生活になってしまった人もいる。あの二の舞だけはごめんです」(自動車関連下請け業者)
経済アナリストは、こう言う。
「EU離脱によりロンドンに拠点を構える金融機関がこぞって逃げ出せば、それだけで失業者が100万人にも上ると言われている。その大混乱の影響が、東京や上海、ニューヨークに出ないはずはありません」
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する130兆円も、株安により10兆円単位で消え、“年金支給開始70歳”も現実を帯びそうだ。
「伊勢志摩サミットで安倍首相は『世界経済がリーマン・ショックの前に似ている』と唱え、海外メディアから酷評されたが、奇しくもその予言が当たった格好。これで消費税増税再延期の名目も立ったわけですが、これに内心、一番驚き、危機感を抱いているのは安倍首相なのではないか。参院選に向け経済政策を全面に打ち出してはいるが、言えば言うほど墓穴を掘る可能性さえある。国民の不信に火がつけば危ない」(自民党幹部)
安倍政権もろとも、EU離脱に飲み込まれるのか。