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“王様”のエゴ? トヨタのM&A戦略に子会社が戦々恐々

 トヨタ“王国”が揺らいでいる。火種の元凶は、8月に株式交換で完全子会社に組み込むダイハツ工業(出資比率51.2%)への対応だ。1月末に発表した同社の完全子会社化は新興国の開拓を整備するのが狙いだった。
 その直後、トヨタがインドに強いスズキと提携交渉を進めていることが表面化、世間は耳目を疑った。ダイハツ、スズキは軽自動車で壮絶なトップ争いを演じてきた宿命のライバル。その両社を傘下に取り込み、軽で断トツのシェアをもくろむトヨタ流“三河商法”に「そこまでやるか」とア然としたものだ。

 果たせるかな、トヨタは4月に入るとダイハツに対し、ある“手腕”を発揮した。トヨタは小型車『パッソ』、ダイハツは軽の『ブーン』をモデルチェンジで投入したのだが、舞台裏ではトヨタ流広報戦略の真髄を見せつける、こんな一幕があった。
 担当記者が苦笑する。
 「パッソは実質的にトヨタの最小クラスを担う量販車で、ブーンとはコラボ商品の関係です。今回、トヨタはパッソのマスコミ向け発表会に登場するタレントのマツコ・デラックスの都合に合わせて売り出しました。ダイハツは横並びの発売を余儀なくされ、販売店は顧客への案内状を刷り直すハメに。設営イベントの対応でも迷惑をこおむりました。『この調子だと今後が思いやられる』とのブーイングが随所で飛び交ったのです」

 すかさず「明日はわが身」と反応したのが日野自動車(トヨタ50.1%出資)といすゞ自動車(同5.9%)のバス、トラック会社だ。両社は合弁会社で生産・供給をしている間柄。現在、自動隊列走行システムの開発に尽力しているところだ。
 「豊田章男社長は自社の技術力が日産、マツダに見劣りすることを承知している。その分、手っ取り早いM&Aにのめり込んでいるから、グループの融和面で心配の声が絶えないのです」(同)

 “王国”である以上、王様のエゴには逆らえないか。

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