「株価は正直で、4月末に一時1000円の大台を割り込み、年初来安値を更新した。昨年7月の上場来高値2395円から1年もたたずの凋落ぶりは際立っています」(証券アナリスト)
4月頃から市場が反応した理由は「二つある」とアナリストが続ける。
「中国人の爆買いブームに乗じて免税店の拡大路線に突き進んだものの、中国経済の失速が鮮明になった去年の秋頃から潮目が変わった。高級時計や宝飾品から化粧品や日用雑貨などにシフトし始め、客単価が大幅に下落。これが、業績を直撃する構図になったのです」
同社の今年3月期の営業利益は前期比0.1%増の331億円だった。一方、免税売り上げは602億円。この利益率は公表されていないが、もし免税の“ゲタ”がなければ大幅な営業減益だったと推察される。
「二つ目の理由は、昔からの優良顧客が“中国人優遇”に反発し、他の百貨店に流れてしまったことが挙げられます」
“ドル箱”がダブル失速すれば今期の厳しい決算は必至。市場関係者は「最終赤字もあり得る」と手厳しい。
「赤信号の点滅は、伊勢丹出身の大西洋社長の戦略ミス。経営責任が問われるのは間違いない」と前置きして同社ウオッチャーが言う。
「この事態に三越サイドは内心ニンマリです。これで大西社長が詰め腹辞任すれば、窓際族に甘んじてきた三越勢には一転して追い風が吹く。今後とも株価暴落が続けば、6月総会での修羅場は避けられません」
中国マネーに頼った揚げ句に優良顧客の反発を買い、今度は庶民のポイント貯蓄にすり寄る…。日本一の百貨店の行く末が心配だ。