スポーツ
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スポーツ 2019年01月13日 21時10分
アジア制覇を目指した22年前の秋 蘇る、サッカー日本代表の苦い記憶
今からおよそ22年前の1996年秋、日本は連覇を目指してアジアカップを戦っていた。場所はUAE(アラブ首長国連邦)。日本サッカーは世界への扉をこじ開けようともがき続け、未知の世界へと歩みを進めていたものの、その足取りは不安定なものだった。 2019年、同じ地にて行われているアジアの盟主を争う戦いに挑む日本代表。かつての戦いぶりを振り返るとともに、当時の日本サッカーの立ち位置を改めて見つめなおす。■最強と呼ばれた日本だったが… グループリーグ初戦のシリア戦では試合開始早々に先制点を許しビハインドのままゲームが進む。80分に相手のオウンゴールで1点を返し、試合終了間際にも放り込まれたボールをFW高木琢也がヘディングで押し込み、かろうじて初戦で勝ち点3を拾った。ウズベキスタンとの第2戦ではMF前園真聖の2ゴールを含む4点を奪い快勝。引き分けでも1位通過だった3戦目の中国戦もDF相馬直樹のゴールで勝利し、全勝で決勝トーナメント進出を決めた。 自国開催の1992年に続く連覇に向け、順調な滑り出しかと思われた日本代表だったが、先制を許したシリア戦では、攻撃バリエーションの乏しさが露呈する形に。エースとして期待されたカズが予想通りの厳しいマークで封じられるとなすすべがなく、名波、山口らが中盤から組み立てても堅い守りを崩すには至らなかった。長身の高木を狙い、徹底したロングボールの放り込みを繰り返し、相手の疲れが見えた最終盤にようやくゴールをこじ開けたものの、その先に向けて不安を抱かせるには十分な、単調な試合内容だった。 そして準々決勝のクウェート戦でその不安が形となってしまう。この試合でも前半、カウンターから失点を許し、追いかける展開に。早々に相手に守備を固められ、攻め手を失う。 さらに中東勢特有の身体能力に苦しみ、反対にカウンターを食らいたびたびゴールを脅かされる場面も。無得点のまま後半には追加点を奪われ万事休す。最後はDFの小村徳男や交代で入った城彰二も前線に並べ、ロングボールを送り込むもゴールを奪えず敗れた。当時、「アジア最強」との前評判だった日本代表はこれといったインパクトを残せず、あっさりと大会を去った。1996年UAE大会はアウェーでのもろさが浮き彫りになり、中東勢への苦手意識が植え付けられた大会として、サポーターの記憶に残った。■アウェーでの逆境を克服してこそ 2019年になった今年、同じUAEの地でアジアの覇権をかけた戦いが繰り広げられている。無論、現在のチームは経験、技術ともに当時と比較することはできない。代表選手の大半は海外のクラブチーム所属となり、すでにW杯を複数回経験している選手も多い。「ドーハの悲劇」からまだ間もなかった96年大会と比べれば、日本サッカーの変貌ぶりには目を見張るばかりだ。 もちろん、アジアでの戦い、特に中東を舞台とする真剣勝負というシチュエーションにおいてもさらなる成長の跡を残していかなければならない。森保体制となった昨年夏からチームは負けなしで今大会を迎えた。とはいえ、国内での試合のみでどこまで経験を積み上げることができたのだろうか。新年早々、日本から遠く離れたアラブの地でその完成度が試される。(佐藤文孝)
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スポーツ 2019年01月13日 17時30分
那須川天心はこれからも「強いヤツ」と闘い続ける!3.10大田区大会から最強再証明へ!
「負けにはならないけど、心には一生残る」 昨年の大晦日、フロイド・メイウェザーに1R2分19秒、3度目のダウンを喫してセコンドがタオルを投入し、TKO負けとなった“神童”那須川天心。この試合は、ボクシングルールのエキシビションマッチ(非公式試合)だったため、天心の不敗神話に“表向き”は傷がつかないが、天心の“心”には一生残る敗戦となってしまった。それはRIZIN側も天心も「これは真剣勝負」「エキシビションという言葉は逃げているようにしか思えない」と戦前、繰り返し強調していたからだ。 「お前は強いヤツとはやらなきゃダメだ」 これはTEPPEN GYMで父・那須川弘幸会長がよく話している言葉。今回のメイウェザー戦はまさに願ってもない「強いヤツ」との対戦だった。しかし、RIZINの榊原信行実行委員長が「我々の希望が通ったのは3割程度」「ファイトビジネスの中でのパワーバランスで、メイウェザープロモーションという巨大な力を持ったプロモーションに向き合うための力をもっとRIZINはつけるべき」と話していたように、RIZIN側は北米やカナダ、メキシコで放映することができなかった。ルールも当日、グローブハンディだけ合意させたが、メイウェザー側の条件を事実上、丸呑みせざるを得なかった。 さらに、前日に行われるはずだった公開計量も非公開だった。当日、両者の体重には10kg程度の差があったという。またメイウェザー側の理不尽な要求は試合直前まで続いていたようだ。「ホントに試合前から来るのか来ないのか分からないし、バンテージを巻き直しましたからね。そっちが遅れてるのにふざけんなって感じじゃじゃないですか」と嘆いた。 報道陣からは笑いが起こっていたが、その一部はテレビでも伝えられており、さすがに天心側もイラ立ちを隠せなかった様子。この状況下にありながら、ストレートを一発当てた天心は大したものだ。あのストレートは逆にメイウェザーの“心”に一生残るはずだ。ただ純粋に「強いヤツ」とやりたかった天心にとって、メイウェザーという“禁断の果実”はやっかいな相手だったと言えるだろう。 「また次も頑張れる気がしますし、もう怖いものはない」 「もっと強くなりたい」 「メイウェザー選手の技を盗めたかなと。やられたことは絶対忘れないんで、それを全部吸収して他の選手にやってやろうと思う」 試合直後は「イケると思っていたので、悔しかった」とリング上で号泣した20歳の青年は、時間が経ってインタビュールームに現れると、いつもの“神童”モードに戻り、前向きな発言をしていたのはさすが。天心は会見後、報道陣から拍手で見送られていた。 今年はキックボクサー最強を再証明すべく、かねてから開催を訴えてきたRIZINやRISEでのキックの世界トーナメントが、RISE3.10大田区総合体育館大会から開幕する。天心が参加する58kg級トーナメントには、天心の他に志朗、ロッタン・ジットムアンノン、スアキム・PKセンチャイムエタイジム(以上タイ)、フレッド“The Joker”コルデイロ(ポルトガル)、フェデリコ・ローマ(アルゼンチン)、タリソン・ゴメス・フェレイラ(ブラジル)の計7選手の参加が決定した。 残り1人は後日発表の予定だが、ロッタン、スアキム、フレッドは天心と対戦し、判定まで持ち込まれた難敵だ。特にロッタン戦は試合後欠場に追い込まれているだけに、天心にとっては決勝でロッタンを相手に“快勝”し、キック世界最強を再証明するとともに、やり残した“あの”カードについて踏み込みたいところ。 「天心なら何かをやってくれるはず」 そんな国民の思いを胸に、メイウェザー相手に“純粋”な気持ちで闘った天心は、完膚なきまでに敗れ去ったが、正直者がバカを見ることの美学を教えてくれた。2018年の大晦日、さいたまスーパーアリーナにカネの雨を降らせたのはメイウェザーではなく、日本の那須川天心という20歳の青年だということを我々は忘れてはいけない。天心が全盛期を迎えるのはまだまだ先のこと。自らが成長するために、これからも「強いヤツ」と闘い続けていく。取材・文 / どら増田写真 / 山内猛
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スポーツ 2019年01月13日 06時00分
“背水の陣”迫る横綱稀勢の里 初日で“注文相撲”もありでは?
13日に初日を迎える大相撲1月場所を前に、調整に汗を流す様子が連日伝えられている横綱稀勢の里。先の11月場所で「0勝5敗10休」という成績をマークしてしまったこともあり、今場所は昨年9月場所以来の“背水の陣”と位置付けられている。 どのような成績を以って“合格”とするのかは人によるだろうが、筆者は最低でも2ケタはクリアする必要があるのではと考えている。長らく不振から抜け出せていない昨今の状況を考えると、このあたりで成績をまとめないと周囲の納得は得られないだろう。 ただ、一口に2ケタといっても、その道のりは“茨の道”。現時点では同じく横綱の白鵬、鶴竜を筆頭に、対戦が組まれる上位陣は全て出場の流れ(注・同部屋の高安とは対戦しない)となっており、平幕上位にも昨年敗北を喫した栃煌山、逸ノ城、北勝富士などが顔を揃えている。ちょっとでも付け入る隙を見せれば、星取表は瞬く間に黒く染められてしまうことだろう。こうした実力者たちから星を積み重ね、自身の土俵人生を今後も継続させていくためには、とにもかくにも初日の取組が大きなカギとなる。もちろん、理想的な形で勝利を飾ることができるならば、それに越したことはないが、形に囚われ過ぎてズルズルと連敗を喫した先場所のことを考えると、批判覚悟で“注文相撲”を仕掛けるのも現実的な選択肢ではないかとも思う。 昨年11月12日の配信記事でも取り上げているが、稀勢の里は横綱として出場した7場所中5場所で初日に黒星を喫しており、その5場所は全て途中休場に追い込まれている。もし今場所も同じような流れとなってしまうと、「初日黒星→途中休場→引退」という最悪の流れが現実のものとなりかねない。 横綱が注文相撲に手を出せば、それなりの批判をファンから浴びることは避けられない。ただ、理想に殉じて身を引くことになれば、こうしたファンを見返すチャンスすら失われる。一生の恥より一時の恥、意地やプライドといったものは捨て去り、ずる賢く勝利を狙ってみてもいいのではないだろうか。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2019年01月12日 17時40分
“全国化”が議論の箱根駅伝 関東以外のレベルアップが先では?
毎年1月2日、3日の2日に渡って開催され、多くの注目を集めている箱根駅伝。改めて言うまでもないだろうが、今年は東海大学が46回目の出場で悲願の初優勝を成し遂げた。 正月の風物詩としてすっかり定着しているこの大会だが、その位置づけはあくまで関東学生陸上競技連盟(関東学連)が主催を務める“関東大会”。ただ、その人気は“全国大会”である全日本大学駅伝を大きく上回っている。こうした背景からか、最近では関東地区以外の大学にも門戸を開く“全国化”についての議論を目にすることも珍しくはなくなっている。 一部報道では、第100回記念大会での全国化が検討されているとも伝えられている箱根駅伝。もし全国の大学によって争われるようになれば、名実ともに日本一の大会となることは間違いないだろう。 ただ、今年で95回を数えた伝統ある大会のレギュレーション変更が、そう簡単に実現するとは思えない。出場枠の扱いや交通警備の見直しなど、クリアしなければならない問題は数多くあるだろう。 また、先に述べた全日本大学駅伝の結果を見てみると、近年は15チームが出場した関東勢がそのまま上位15位までを占めており、他地域の12チーム(選抜チーム含む)は全て16位以下に追いやられてしまっている。関東勢とそれ以外の実力差が顕著な現状を考えると、全国化に踏み切っても、蓋を開ければ結局“オール関東”となってしまう可能性の方が高いと言わざるを得ない。 そもそも、これまで関東学連とその所属校が大切に歴史を紡いできた由緒ある大会を、いきなり「人気だから全国化ね」というのも虫が良すぎる話である。本当に全国化を実現したいのならば、まずは他地域の大学の実力を底上げし、関東勢と遜色ない段階まで持っていくのが先ではないだろうか。 レベルアップした他地域の大学が全日本や出雲駅伝で好成績を出すようになれば、「箱根でも見たい」という声も大きくなるだろう。全国化へ動き出すのは、そこからでも全然遅くはないのではないだろうか。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2019年01月12日 17時30分
契約金泥棒に見掛け倒しの内野手! 平成の「ダメ外国人選手」4選
平成が4月で終了する2019年。プロ野球も昭和と比較すると、様々な部分が変化している。特に変わったのが外国人選手の重要性。昭和時代よりも飛躍的に高まっている状況だ。 その理由は、外国人枠が拡大したこと。支配下登録枠が撤廃され、一軍に投手野手合わせて4人同時登録できるようになったため、数多くの選手が来日するようになったのだ。アレックス・ラミレス選手やウラディミール・バレンティン選手など大記録を残した選手がいる一方で、「サッパリ」だった選手や、不祥事を起こした選手もいる。 そこで今回は、平成時代に来日した「記憶に残るダメ外国人選手」を紹介しよう。1.ダン・ミセリ投手(読売ジャイアンツ)メジャーリーグでの高い実績を買われ、2005年に読売ジャイアンツ入団。開幕から抑え投手として起用されたが、開幕戦でセットポジションからのクイックモーションが出来ず、盗塁からリズムを崩し、ホームランを打たれるなどして逆転負けを喫してしまう。その後も救援失敗が続き、首脳陣は二軍に落とそうとするも、「本人の同意なしに落とせない」契約となっていることから、ミセリがそれを拒否。この不可解な契約を結んだフロントに批判が集中することになった。首脳陣は苦肉の策として敗戦処理で起用するが、これにミセリが激怒。結局二軍落ちとなり、わずか4試合で解雇される。また解雇当日、ミセリは浅草観光に繰り出したことも話題に。長い巨人の歴史のなかでも、「最低レベル」の外国人投手といえよう。2.ブラッド・ペニー投手(福岡ソフトバンクホークス)メジャーリーグで最多勝をとった超大物。その年俸は2億2800万円(推定)と超高額で、ソフトバンクが資金力をフル活用して獲得。エースとしての活躍が期待された。ところが日本に現れたペニーは、丸々と太り、球に全くキレがなくオープン戦から打ち込まれる。そして、仙台で行われた公式戦に先発したペニーはクイックモーションができず、5盗塁を許し敗戦投手になってしまう。すると登板後、「右肩が痛い」と訴え、アメリカに帰国。医師から「異常なし」の診断を受けたものの、「環境に馴染めない」として退団してしまう。Twitterで「アメリカに戻れて最高」「テニスをやるつもりはない」と日本プロ野球を罵倒するような発言を行い、ファンを激怒させた。1試合しか投げず大金を手にし、日本プロ野球を罵倒したペニーについては、「史上最悪の外国人投手」との評価がある。3.ルイス・デ・ロス・サントス内野手(読売ジャイアンツ)台湾プロ野球・兄弟エレファンツで3年連続首位打者を獲得した実績を買われ、1996年シーズン後に巨人にテスト入団。その力を当時の長嶋茂雄監督が高く評価し、レギュラーとして開幕を迎える。しかし、打撃・守備ともまったく奮わず。特に三塁守備は酷く、エラーを連発。結局シーズン途中に二軍に落ち、解雇されてしまった。当時のマスコミは「長嶋監督の批判はタブー」という風潮があったが、ルイスは激しいバッシングに晒される。なお、本質を見抜けなかった長嶋監督については、ネットが普及してなかったこともあり、ほとんど批判を受けなかった。4.スティーブ・コックス選手(横浜ベイスターズ)2003年、低迷していたベイスターズの救世主として来日。メジャーリーグで4番を打った実績を買われ、3年契約推定年俸3億円で契約。大砲としての活躍が期待された。ところが春季キャンプで膝を故障し、開幕から出遅れてしまう。復帰後も怪我の影響で活躍することができず、二軍落ち。同年入団のタイロン・ウッズ選手が大活躍したことで存在意義がなくなり、3億円の年俸で二軍暮らしを続けた。本塁打は、わずか一本だった。同年オフ、球団は契約を残して解雇を決定。コックスは2年目の年俸と違約金を要求。その金額は推定だが、7億円ともいわれる。TBSが親会社だった横浜ベイスターズを象徴する出来事だ。 平成時代に日本で大失敗に終わった選手はメジャーリーグで実績を残し、観光気分のような「ナメた」気持ちでプレーする選手が多い傾向があった。もちろんアンドリュー・ジョーンズ選手やシェーン・マック選手など、例外もあるのだが。 昨今、日本のプロ野球球団はメジャーリーグでも実績のある選手ではなく、「これから」の若手選手や3Aで実績のある選手が中心となり、「大物」が来日することは少なくなった。 その要因には、日本人選手がメジャーリーグで活躍していることや、アルフォンソ・ソリアーノ選手、コルビー・ルイス投手、マイルズ・マイコラス投手など、日本の野球を勉強した外国人選手がアメリカで成績を残していることも大きく、「成功へのステップ」と考える外国人選手が増加したことが大きいといわれている。 昭和の時代には考えられなかった日本人選手のメジャーリーグ入りによって、日本プロ野球で活躍する外国人選手にも影響を与えたといえるだろう。文 櫻井哲夫
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スポーツ 2019年01月12日 17時00分
稀勢の里が初場所復活を遂げる年末年始「猛稽古」裏
年明け早々の13日に幕を開ける初場所(東京・両国国技館)で、横綱稀勢の里(32)が文字通りの正念場を迎える。横綱になって11場所中、15日間皆勤したのはたった2場所だけ。先場所後には、横綱審議委員会から史上初の奮起を促す“激励”も受けた。稀勢の里が生き延びる道は、スタートからひたすら勝ち星を積み上げるだけ。序盤でまた負けが込めば“即アウト”という危機的状況だ。果たして、日本人唯一の横綱は復活できるか――。 この年末年始、正月どころではなかった大相撲関係者が2人、いや、その元妻も含めると3人いる。元貴乃花親方、その元妻の景子さん、それに稀勢の里だ。 相撲協会を退職して3カ月あまり。これからの去就が注目される元貴乃花親方と、離婚して2カ月あまりになる元妻の景子さんはこの年末年始、それぞれテレビ出演し、離婚に至る経緯や現在の心境などを赤裸々に語った。とりわけ、政界進出の噂も絶えない元貴乃花親方は、年末、それに1月2日と2度も出演している。 「やはり注目は、2日の瀬戸内寂聴さんとの対談でしたね。『(離婚して)1人だと物事を落ち着いて考えられる』と胸の内を明かし、これからは好きなことをしなさいと諭されると、『ハイ』とうなずいていたのが印象的でした。元貴乃花親方が出演したのは日本テレビ。景子さんがタレントの坂上忍と対談したのは古巣のフジテレビ。おそらく2人は、これからもそれらのテレビ局を中心に出演数を増やしていくのではないかと見られています」(テレビ局関係者) こんな2人と比べると、悲壮感に溢れていたのは、もう後がないところまで追い込まれている稀勢の里だ。先の九州場所は優勝宣言までしながら初日から4連敗した揚げ句に休場。あまりの不甲斐なさに横審もついに堪忍袋の緒を切り、史上初の「激励」を下す奥の手を切った。 「横審の決議には引退勧告など3種類あります。『激励』は一番軽いものですが、これを受けて期待に応えられないと、もう引退するしかない。言って見れば、引退勧告に等しいものです。しかも、初場所には出場しろと厳命までしているんですから、稀勢の里にとって絶体絶命のピンチと言えるでしょう」(担当記者) 生き延びる方法はたった一つ、勝つことのみ。逃げ道はもうない。 しかし、あまりにも状況は悪すぎる。先場所、休場の一因になった右ひざのけががなかなか完治せず、ついに12月の冬巡業は全休したのだ。「これが痛かった。先場所の相撲を見ても分かるように、今の稀勢の里に一番欠けているのは自信なんです。どうしたら勝てるのか、まるで分からないまま、こわごわ相撲を取っていましたから。その自信をつけるのは、巡業先でいろんな力士と真っ黒になって稽古するしかないんだけど、それをすべて休んでしまいましたからね。どうやって自信を回復させるのか。自分でもどうしていいか、分からないでいるんじゃないですか」 一門のある親方は、そう言ってクビをひねった。この出遅れや、稽古不足を取り戻すために、稀勢の里が行ったのは正月返上の猛稽古だった。 年中大忙しの相撲部屋も年末年始だけは稽古を休み、力士たちは短い正月気分を味わう。稀勢の里と同じように先場所は右ひざの故障などで休場し、厳しい局面に直面している横綱白鵬も、暮れの29日から恒例の一家打ち揃っての家族旅行へと出発している。 「初、春場所で平成も終わりだから、しっかり締めくくらないと」 そう語る白鵬が稽古を再開したのは、年明けの4日だった。これに対して稀勢の里が所属する田子ノ浦部屋の稽古納めは12月30日。正月休みはたった2日だけで、正月明けの2日には、いち早く稽古場に降りて汗を流している。 その大晦日も、元旦も、「体がなまらないようにしないと」 と、稀勢の里はこっそり体を動かし続けていた。白鵬とは対照的な正月のすごし方だった。 3日には、暮れから続けている大関高安との3番稽古(同じ相手と繰り返し行う稽古のこと)も再開。4日には、その数が計83番に及んだ。いかに稀勢の里が復活に死に物狂いかを物語る番数だ。 ただ、この数字を鵜呑みにするのは早計だ。というのも、なかなかいい結果が出なかったこれまでも、稽古相手はもっぱら高安だったからだ。八角理事長も警鐘を鳴らしている。 「稽古相手が(手の内を知り尽くしている弟弟子の)高安1人だけ、というのはちょっと心配。それだけほかの相手とやる自信がないのかな。こういう状況なんだから、見栄も外聞もかなぐり捨ててやらないといけない」 確かに、偏るのはよくない。かと言って、出稽古するのも不安だ。 というのも、先場所前の稀勢の里は積極的によその部屋に出稽古し、北勝富士や妙義龍らに圧勝した。ところが、この出稽古で手の内をすっかりさらけ出し、本番では裏を突かれて完敗の連続だったからだ。 「出稽古作戦」は完全に裏目。今の稀勢の里には手の内を隠すなんて余裕はないのだ。思い切って他流試合を挑むべきか、それとも自分の部屋にジッと閉じこもるべきか…。 「まだ時間はあるので、(出稽古先を)考える」 稀勢の里はこう話しているが、いずれにしろ、力士生命をかけた大勝負まで残された時間は少ない。
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スポーツ 2019年01月12日 06時00分
長州力、最後の相手は「藤波辰爾でしょう」6.26後楽園でファイナル!武藤敬司も復帰!
長州力プロデュース『POWER HALL 2018〜イヤー・エンド・スペシャル〜』▽12月28日 東京・後楽園ホール 観衆 1,580人 今年の夏までに現役生活にピリオドを打つと表明していた“革命戦士”長州力が昨年の12月28日、後楽園ホールでプロデュース興行を開催した。 休憩明けに、長州のファイナルマッチが6月26日の後楽園大会で開催されることが発表されると、場内に『HOLD OUT』が流れた。大きな武藤コールがわき起こる中、現在膝のリハビリで長期欠場中の武藤敬司がリングイン。 90年代のファンが多く集まる会場で、武藤はマイクを握ると「きょうは引退の決まっている長州力。2月15日に行われる俺のプロデュースするプロレスリングマスターズに、最後のオファーをしにやってきました。出場することが決まりました」とプロレスリングマスターズ2.15後楽園大会に長州が最後の参戦をすることが決定したと報告。 続けて「自分自身、今年の3月に両膝を手術しまして、今、復帰に向けて一生懸命頑張ってます。4月に、ニューヨークにグレート・ムタが降臨することが決まってます」とムタ発祥の地・アメリカでの復活を明言。さらに「武藤敬司の復帰戦は、6月に行われる長州力の引退試合に決まりました。武藤敬司新たなる戦い、そして長州力最後の勇姿、みなさん応援に来てください」と、長州のファイナル興行で武藤として復帰すると発表した。 武藤はそのままテレビの実況席へ。長州は「お世話になったところにはできるだけ出たい」と話していた。参戦経験があり、後輩の武藤がプロデュースしているマスターズへの参戦は、「お返し」の一つと言ってもいいだろう。 メインは、長州が藤波辰爾、マサ北宮とトリオを結成し、GHCヘビー級王者の清宮海斗、NOSAWA論外、そして葛西純の異色トリオと対決。この日が誕生日だった藤波に続いて、長州が最後に入場すると会場のボルテージは最高潮に達した。 長州はコンディションが良く、惜しみなくリキラリアットを放っていく。これに対して猛アピールしたのが清宮。プロレスリング・ノアのトップとして、長州に爪痕を残そうと、必死に噛みついて行く姿に90年代のファンからは歓声が送られていた。最後は北宮が清宮を場外で捕まえて、藤波が葛西にドラゴンスリーパーを決めると、長州が論外にリキラリアットを放ちカウント3。長州が2018年のラストファイトを勝利で締めた。 試合後、多数の報道陣に囲まれた長州は笑顔で「6月26日がラスト。あとは藤波さんに頑張ってもらって。できるだけ長くやって、最後に藤波さんが見届けて終わりっていうね。自分で決めたことですから」と永遠のライバル藤波にエール。 北宮には「名前何だっけ?」と確認しながらも「見てて元気いいし、こういう選手が一生懸命練習して、リングに上がってるってのはいいですよね」と孫弟子(北宮は長州の弟子だった佐々木健介氏の弟子)を高評価。「自分で歩けるうちにリングを降りたい」と新世代に託す考えを示した。 長州は1998年の1.4東京ドーム大会で一度引退(2000年に大仁田厚戦で復帰)していることから、“引退”という言葉は使わないというこだわりがあるが、「最後の相手」を聞かれると「それはやっぱり藤波辰爾でしょう。やっぱりもう彼以外は僕はあんまり……。もう、彼がいなかったら今ね、もっと早くやめてるから」と藤波を改めて指名した。これを聞いた藤波は長州と握手を交わすと、ノーコメントで控室へ。藤波にとって長州の存在は大きいだけに、複雑な心境なのは間違いない。37年前に2人の因縁が勃発した後楽園で、シングルマッチが実現しそうだ。 長州と初対戦した清宮は「これが最後ではない。またやりたい」と再戦を望んだ。今後も長州との対戦を希望する選手が続出するのは確実な情勢だが、長州自身は「1試合、1試合を大切にしたい」との考えを持つ。試合数は限られてくると思われる。 「全部できますから」 会見の最後に長州は、このように言い切った。ファンに長州力のプロレスを堪能させる自信があるうちにやめたいというのは、長州らしい考え。それは98年の引退時もそうだった。長州には最後まで鬼の形相を見せてもらいたい。取材・文・写真 / どら増田
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スポーツ 2019年01月11日 21時30分
プロレスマスターズ、藤波&長州&ライガーが実現!維震軍、小鹿&戸口&ワカマツも参戦!
武藤敬司プロデュースの『プロレスリングマスターズ』2.15後楽園ホール大会の追加カードが発表された。 武藤は昨年末の長州力プロデュース12.28後楽園大会に来場し、今年6.26後楽園大会で行われる“ファイナルマッチ”を最後にリングから降りる長州に「プロレスリングマスターズ最後のオファーをしに来た」と告げた。 長州最後のマスターズでは、ライバル藤波辰爾と、1回目の引退試合の相手を務めた新日本プロレスの獣神サンダー・ライガーとトリオを結成。札幌テロリスト事件で因縁がある藤原喜明、長井満也、冨宅飛駈のU系トリオと対戦する。おそらくライガーとのタッグ、そして藤原との対戦はこれが最後になる可能性が高い。80年代から90年代のファンには見逃せないカードとなった。 マスターズの常連となった越中詩郎率いる平成維震軍は、今大会も登場。越中、青柳政司、齋藤彰俊が、グレート小鹿&タイガー戸口、そして前回大会で海賊ガスパーズに裏切られ小鹿&戸口と電撃合体を果たした将軍KYワカマツの超ベテラントリオと対戦する。 昨年、ワカマツは新日本プロレスで開催されたらスーパー・ストロング・マシンの引退記念興行に、マシン軍団のマネージャーとして復活を遂げると、マスターズでは海賊ガスパーズのマネージャーとして登場した。今回は6人タッグマッチのメンバーに“選手”として加わる。国際プロレス出身で、新日本、SWS、インディー団体でも試合に出ていたワカマツだが、今回の相手は平成維震軍。青柳がセミリタイア状態とはいえ動きは悪くないだけに、超ベテラントリオにとっては、厳しい一戦になりそうだ。 その他、ディック東郷&獅龍の元みちのくプロレス海援隊コンビが、NOSAWA論外&FUJITAの東京愚連隊と対決。新日本ジュニアで活躍した高岩竜一は、元FMWのリッキー・フジとシングルマッチで対戦する。元新日本勢だけではなく、インディー団体で活躍した選手を見ることができるのもマスターズのいいところ。まだまだ90年代インディーマットで活躍し、現在も頑張っている選手も多いだけに、今後も期待したい。 これで残すはメインの武藤敬司率いるBATTと、蝶野正洋率いるTEAM2000による8人タッグマッチのメンバー発表を待つだけとなった。BATTはドン・フライの参戦が実現するのか注目される。またTEAM2000にも懐かしい外国人選手を投入してもらいたいところ。今回も80年代後半から90年代のプロレスを堪能させてくれることだろう。取材・文・写真 / どら増田
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スポーツ 2019年01月11日 21時10分
「ファン辞める」楽天、本拠地で完全キャッシュレス化 ホリエモンは賛成も怒りの声が殺到
「2019年シーズン、楽天生命パーク宮城で開催する楽天イーグルスの公式戦開催時(一軍・二軍とも)に、プロ野球チームの本拠地スタジアムとしては世界で初めて、スタジアム全店舗におけるキャッシュレス化(非現金化)に取り組むこととなりましたのでお知らせいたします」。 公式サイト上に10日、このような発表を掲載したのはプロ野球・楽天。同じ親会社のサッカーJ1・ヴィッセル神戸とともに、今季からスタジアム内のキャッシュレス化(楽天は原則、神戸は完全)を敢行するという。 “ホリエモン”こと堀江貴文氏が「これはいいね」とツイートし、キャッシュレス化自体には賛成の声もある今回の決定。ただ、両チームの公式ツイッターを見てみると、関連ツイートには「これはありえない、ふざけてる」、「楽天ペイ、Edyにしか対応しないならファンを辞めます」、「もうちょっと色々な人の事考えろや」といった批判も少なくない。 実際に決済するとどのようになるのかはシーズンが始まってみないと分からないが“前例を作る”という意味では一定の効果もありそうな今回の決定。データが集まりメリット、デメリットが分かれば、それを叩き台に議論を進めることもできるだろう。 ただ、こうした思い切った取り組みを始める上では、やはりそれなりの移行・周知期間も必要だったのではないかと思う。実際、公式ツイッターに意見を寄せたファンの中には、筆者と同様の考えを持っている人もいる。 冒頭でも書いた通り、今季からはいきなり現金の使用がほぼ不可能となる。もちろん、キャッシュレスに慣れていない方へのサポートも用意されているが、まずは現金との“二刀流”で様子を見てもよかったのではないだろうか。 また、球場に足を運ぶ人の中には、現地で初めて今回の決定を知る人もいるはず。最前線で働く売り子やスタッフの方にとって、こうした人たちに一から説明をする行為が大きな負担になる可能性も否定はできない。 今回の発表のタイミングが、協議を重ねて決まったのであれば理解できる。ただ、よりスムーズにキャッシュレスに移行したいのならば、昨シーズンの内に大枠を固め、リリースを出しておいてもよかったのではないだろうか。文 / 柴田雅人記事内の引用について堀江貴文の公式ツイッターより https://twitter.com/takapon_jp
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スポーツ 2019年01月11日 17時40分
2019年は「親子でパワフルに!」山本美憂、アーセン親子が持つ“KIDのDNA“が格闘界を熱くする!
8日放送された『世界仰天ニュース』(日本テレビ系)で義弟・ダルビッシュ有との心温まるエピソードが披露されるなど、いまだに人々の記憶にインパクトを残し続けている、山本“KID“徳郁さん。“神の子“が亡くなってから3ヶ月以上が経った大晦日、姉の山本美憂とその息子・アーセンがRIZINのリングに上がった。 先に試合に臨んだのはアーセン。相手は2006年、HERO’SでKIDさんに開始4秒で飛び膝蹴りで衝撃のKO負けを喫した宮田和幸。さらに宮田にとってはこれが引退試合となり、さまざまな因縁が渦巻くマッチアップとなった。試合は宮田がゴングとともに飛び膝蹴りを繰り出し“あの場面“の再現を狙ったが不発。その後はアーセンが上になる展開が続き、試合を優位に進めているかに見えたが、宮田の下からのアームロックを防ぎ切れずタップアウト。無念の黒星を喫した。 次の試合に登場した美憂は、杉山しずかと対戦。レスリング出身で、母親でもある杉山とは共通点も多く、お互いのプライドをくすぐるようなマッチアップとなった。試合は打撃に長けた美優がスタンドで優位に立ち、グラウンド狙いの杉山のタックルも潰すなど終始圧倒。グラウンドでも上になり、ボディに肘打ちを叩き込むなど攻め続けた。一本は取れなかったものの、内容は完勝であった。 敗れたアーセンは会見で「勝てると確信していた。自分のミスで負けてしまった。悔しい」と肩を落とし「緊張感が全くなかった。『ノリ(KID)さんがすぐそばにいる』と感じているからだと思った」と振り返り「格闘技の楽しさが分かってきた。道が見えてきた。本当にこれから強くなる」と前を向いた。 美憂は勝利の後、リング上で「喪中だけどKIDハッピーニューイヤー」と、天に向かって亡き弟に勝利を報告し、新年のあいさつをした。会見場では「KOできなかった」と、悔しさを口にした後「私はKIDが勝ち続けている姿が見たかった。ない物ねだりだけど…」と吐露。しかし「いつもそばにいるのは感じている」と話すと前を向き「トレーニングハード、エブリディ」と続けた。悔しい敗戦を喫した息子に関しては「悔しがるのはいいけど、すぐにトレーニング(しよう)」とハッパをかけ「親子でパワフルに帰ってきます」と、RIZINの舞台で息子とともに暴れ回ると高らかに宣言した。 日本の最高峰・RIZINのリングでは、KIDさんの影響を受けたファイターが戦っている。KRAZY BEEの面々や、エース堀口恭司も師と仰いでいた。しかし血のつながりのある“リアルDNA“を持つ者は山本親子だけ。KIDさんは“格闘技ブーム再燃“を夢として胸に抱き続けていた。美憂とアーセンが”最強の親子ファイター”となってその志を受け継いでくれるはずだ。取材・文・写真/ 萩原孝弘
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