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元川悦子のサッカー魔法陣

 南アW杯出場決定の凱旋試合となるはずだった10日のカタール戦(横浜国際)。だが、出場停止の長谷部誠(ウォルフスブルク)と負傷の遠藤保仁(G大阪)の両ボランチを欠いた日本は連動性の高いサッカーが全くできなかった。

 パス回しに微妙なズレが生じ、ミスを連発する。「普段ならもっと選択肢があるけど、今日は難しかった」と中村俊輔(セルティック)も戸惑っていた。トルシエ元日本代表監督が「今の岡田ジャパンは中村俊輔、遠藤、長谷部、中澤佑二(横浜)の誰かが欠けるとチーム力がガクッと落ちる」と指摘していた通りの結果で、選手層の薄さを露呈。2002年日韓W杯でセネガルを8強に導いたカタールのメツ監督に「4強入りは難しい」と言われてしまった。
 今のボランチの控えは阿部勇樹(浦和)と橋本英郎(G大阪)。だが、シャイな阿部は周囲をリードできず、橋本も遅咲きゆえに国際経験が著しく不足する。このポジションは絶対的な安定感が不可欠だけに、やや力不足な印象が強い。

 そこで視野に入れるべきなのが、海外でのプレー経験を持つ小笠原満男(鹿島)や稲本潤一(フランクフルト)ら黄金世代の復帰だ。
 岡田監督も彼らには多少なりとも執着がある様子。稲本を何度かテストし、中田浩二(鹿島)も昨夏に1回、召集している。それぞれに呼ばれた時はコンディション不十分で、運動量豊富で攻守の切り替えが速いサッカーについていけないと判断されたが、体調と試合勘が戻ってくれば、まだやれる可能性はある。
 小笠原に至っては、鹿島で圧倒的な力を見せているのに、一度も呼ばれたことがない。イタリア挑戦後は守備意識が高まり、運動量も格段に増えた。彼なら確実にボールが落ち着くはずだ。本人も代表復帰への強い意欲を持ち続けている。強靭なハートを持った選手が加われば、チームも逞しさを増すだろう。
 元日本代表の名波浩氏も「黄金世代を加えた方が怖さが出る」と語っている。元教え子の意見を指揮官はどう聞くのか。

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