「魔裟斗選手とともにボクも引退する」カリスマ引退後に自ら身を引く意向を明らかにしたのは、K-1の谷川貞治イベントプロデューサー(EP)だ。決して大好きな魔裟斗と心中を図ろうというワケではない。「彼が引退したとしてもK-1、そしてMAXにかかわっていてもらいたい」。どうやらカリスマの引退後を見据え、自ら退任しようというのだ。
確かに魔裟斗の引退後はまだナゾに包まれている。年内引退を発表した際には「先のことは何も考えていない」と発言。そんなことから引退後はタレントに転向することが有力視されてきた。ただ、K-1で残した実績と、その端正なルックスを武器に他ジャンルに進出すると思われている一方で、谷川EPには「タレントになるつもりはない」と語るなど、その行方はいまだ不透明なまま。
そんなカリスマの宙ぶらりんな状況もあって、谷川EPは「いままでボクがやっていたことを魔裟斗選手に引き継ぐ」と決断した。ポストを譲り渡す覚悟は本物。まずは「すぐにでもMAXのプロデューサーをやってもらう」とMAXでタクトを振ってもらおうというのだ。
魔裟斗のプロデューサー就任にはK-1の懐事情も見え隠れする。MAXといえば創成期から魔裟斗がリングをけん引し、テレビ視聴率を稼いできた側面が大きいだけに、ポスト魔裟斗が育っていない中、今後の展開をにらんでも、カリスマには選手ではなくてもMAXに残留してもらう必要がある。
そればかりではない。この日は魔裟斗が「(7・13で)負けたら大みそかには出ない」と、負けたら即引退を明言してしたこともあり、選手契約の切れ目が縁の切れ目とならないよう、早いところカリスマをつなぎ止めたいというワケだ。
MAX不動のエースからMAXのプロデューサーへ。勇退後のプロデューサー転身のためにも、カリスマには7・13MAX最終戦でMAXでの有終の美を飾ってほしいものだ。
◎川尻と“口撃戦”
7・13「K-1MAX」(日本武道館)で行われる魔裟斗の引退第1弾カードが10日、東京・赤坂サカスSacas広場で発表され、かねてから挑戦要求されていたDREAMのクラッシャー川尻達也に決まり、気合の丸刈りで登場した魔裟斗は「これで負けたら大みそかもない」と不退転の決意を示した。
まさに一触即発だった。ファン1200人が駆け付けたこの日の公開記者会見。川尻から「ノーガードで打ち合うんで、どっちが勝つにしても3分かからない」「魔裟斗選手は判定が多い」などと宣戦布告され、カリスマはヒートアップした。
「あっそ。3分持つ? 本当にノーガードで打ち合うんだったらあっという間に終わっちゃうよ」。さらには「正直大みそか、川尻選手が武田(幸三)選手に勝てるとは思ってなかった」と川尻を称える谷川EPに、ものものしい検幕で「オレと武田選手は全然違うから。マジで違うから!」と怒りをぶちまける一幕もあった。
アツい舌戦を繰り広げた両雄。写真撮影時には互いに20秒間もガンをつけてにらみ合い、いまにも殴り合いそうな雰囲気となった。