日本人エースの座は渡さない。
1・4「戦極の乱2009」で菊田早苗に敗れて以来、実戦から遠ざかっている吉田。8月に行われる第九陣での復帰に意欲を見せているものの、現在のところは未定のままだ。
それでも来たるべき再起戦に向け、千葉県内で行っている吉田道場の走りこみ合宿に参加。「下半身の強化と精神面を鍛えること」を目的に、午前中はマザー牧場で山道を往復20キロ、上総湊海浜公園の海岸を5キロというハードメニューを毎日こなしている。
5日に行われた公開記者会見では、北京五輪柔道金メダリストの石井慧に宣戦布告した柔道王だったが、9日の会見では藤田から対戦を要求された。
このラブコールに「マジ? マジで? 何で一番年上をターゲットにするんだよ」と、戸惑いながらも「やるなら早いうちに。いつまでも若くはいられないんでね」といつでもやってやるといわんばかりの前向きな姿勢を見せた。
石井との新旧柔道王対決、藤田とのアラフォー対決と日本人頂上対決に期待は膨らむばかりだが、それだけではない。
ヘビー級が活気を帯びてきたことで、近い将来の設立がささやかれている同級王座についても「出ろと言われれば、出ますよ」とタイトル戦線に名乗りをあげた。
今年40歳を迎える吉田は菊田戦後、引退をほのめかしたほど。それだけに少しでも早い時期にいいコンディションで挑戦したいというのが本音。
なお、総合格闘技転向が注目されているアテネ五輪柔道90キロ級銀メダリストの泉浩については「柔道を続けた方がいいんじゃない? 目的意識がはっきりしないとやっていくのが難しい世界。目的意識がはっきりしているなら好きなことをやったほうがいいと思う」とアドバイスを送っていた。
かねてよりヘビー級復帰も視野に入れている吉田。どん底から頂点へ一気に駆け上がる。
◎“ドラ1戦士”久保田凄いぞ
この合宿には現役大学生の選手も参加している。それが“ドラ1ファイター”久保田祥平だ。
中学生の時は吹奏楽部でパーカッションを担当、高校に入学して「武道がやりたい」と一念発起し、空手を始めたという異色の選手だ。
今年2月に行われた戦極トライアウトでは、翌日に大学受験を控えた身ながら挑戦し、吉田道場から1位指名を受けた。もちろん次の日も合格だったというから驚きだ。
合宿に参加している小見川道大から「アイツが一番頑張ってる。走れるとは思わなかった」と驚かれるほど潜在能力は高い。
現在は戦極育成選手としてアマチュア修斗ライト級トーナメント(21日、埼玉県富士見市総合体育館)に出場予定。
「ただ頑張るのみです」と謙虚に語るドラ1ファイター、久保田。今後どれだけ化けるか注目が集まる。