2回には先週抑えられていたスワローズ先発・小川泰弘の5球目、143キロのフォーシームが真ん中に入ったところをセンターバックスクリーン右寄りにたたき込む14号ソロホームラン。本人も「ストレートをしっかり捉えることができました。イニングの先頭だったので塁に出ようと思い打席に向かいました。いい結果になり良かったです」と振り返る一打は通算100号のメモリアル弾となった。
さらには3回、ワンアウト二、三塁のチャンスの場面で、追い込まれながらもインコース低めの難しいシュートを体の軸回転で巧みにさばき、レフトスタンドに突き刺す3ランホームラン。「シュートを完璧に捉えることができました。後ろにつなぐ気持ちで打席に向かいました。追い込まれても自分のスイングができいい結果になりうれしいです」と、納得のホームラン。宮崎ならではの高度なバッティングスキルを見せつけた101号となった。
ゲームは後半、スワローズの驚異の追い上げがあっただけに、前半の宮崎の4打点は本当に効果的だった。
ヒーローインタビューでは2本とも完璧な当たりながら「風のおかげです」と最近の定番コメントでスタンドを笑わせ、100号には「僕だけの力で達成できるものではない。裏方さんや監督、コーチに助けてもらった」と謙虚な宮崎らしく周囲に感謝した。
天才的なバットコントロールでフィールド全体にヒットを放つ稀代の安打製造機は、2017年の首位打者。以降3割を切ったのは1年だけで、今シーズンも打率.299、ホームラン15本、OPS.814とチームにとっては計算のできる、代えのきかない不動のサードとして君臨。昨年FAで梶谷隆幸がジャイアンツに移籍したことで、32歳ながら生え抜きではチーム最年長となっている。
FA権を獲得し、オフには去就が注目されるが、若いチームにとってベテランの存在は貴重。毎年ソフトバンクの松田宣浩と自主トレを行い、自らも九州・佐賀出身であることからも、ファンの間では宣言すれば地元に行ってしまうのではと心配する声が多数聞かれている。もちろん宣言すれば強打の右打ちのサードは稀有な存在だけに、他球団も放ってはいないだろう。しかしDeNA黎明期から徐々に強くなっていったベイスターズの象徴的な選手で、かつファンフェスではプーさんの着ぐるみでファンを楽しませる人気者であり特別な存在。FAは選手の権利だけに、移籍は自由に考えるべきではあるが、ファンはいつまでも「ハマのプーさん」でいてほしいとの願いを持っている。
写真・取材・文 / 萩原孝弘