歌舞伎役者の半生を描いた映画「国宝」は公開直後、週末の観客動員数は3位だったが、その後、SNSで口コミが広がり、爆発的なヒットとなった。同作は任俠の一門に生まれ、抗争で父を失った主人公・喜久雄(吉沢亮)が、歌舞伎役者の家に引き取られ、御曹司の俊介(横浜流星)と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、人間国宝に上り詰めるまでを描いている。吉田修一氏の同名小説を李相日監督が映画化。5月に仏カンヌ国際映画祭で世界初上映され、6月に全国公開された。
「鬼滅の刃」は2016年2月から20年5月まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された吾峠呼世晴氏の漫画が原作。大正時代の人喰い鬼の棲む世界を舞台に、家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すため鬼殺隊へ入隊し、家族を殺した鬼を討つ姿を描いた物語。
前作の映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(20年10月公開)は興収407.5億円を突破して国内興収歴代1位。今回の「無限城編 第一章 猗窩座再来」は記録更新まで残り約22.9億円と迫っている。
この2作に加え、二宮和也主演映画「8番出口」(8月29日公開)の大ヒットも話題になった。公開初週の興行収入9.5億円は、今年の実写映画における1位を記録。11月には興収50億円を突破し、ホラー映画としては異例のヒットを記録している。
これら3作には、実はある共通点があるという。
「『国宝』は歌舞伎という日本の伝統芸能を扱っていますが、これは日本国内だけでなく海外市場を意識してのこと。アニメ映画『鬼滅』については、海外での日本アニメの人気は今さら言うまでもないです。『8番出口』の原作は全世界累計170万ダウンロードを突破した同名ヒットゲーム。いずれも最初から海外でのヒットを狙って制作されているのです」(芸能ライター)
実際、「国宝」はスタジオジブリ作品などで知られるGKIDSが北米配給を担当し、26年初頭の本格公開を目指している。「8番出口」もアジア、ヨーロッパなど既に30以上の国と地域での上映が決定。「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」はゴールデン・グローブ賞のアニメ映画賞にノミネートされている。
日本映画のグローバル化が進んでいるようだ。

