写真付きで報じられた「自伝に書けない妻子への裏切り」という週刊誌の記事はインパクトがあった。モナコで行われたF1グランプリのキャスターデビューを飾った清原氏だが、実は女性同伴の不倫旅行でもあったという、昔のスキャンダル王・清原氏を久しぶりに思い起こさせる報道だった。子供が慶応の幼稚舎に入学したとか、最近家族思いの優等生的父親のイメージが強かっただけに衝撃的だし、波紋は広がるだろう。
というのも、なにしろタイミングが悪すぎるからだ。昨年の奇跡的な2位躍進から今季は優勝争いが期待されたにもかかわらず、最下位に低迷するオリックスにとって、清原氏は大事なポスト大石の最有力候補だからだ。
実際に「このままチームの低迷が続けば、今オフにも清原監督誕生はあり得るだろう」とオリックス関係者が言うほどで、清原監督待望論が聞かれ始めている。そんな折も折、久々の“場外ホームラン”だ。
「番長監督として期待されるだけに、らしくていいじゃないか」で済めばいいが「選手時代はともかく、人の上に立つ、監督になろうという者がそうはいかないだろう」という世論の正論で迫られれば反論の余地はない。どうなるかは、オリックスの場合、超ワンマン宮内オーナーの胸の内一つだ。
清原氏は西武時代、女性とのスキャンダル王で知られ、当時の管理部長の根本陸夫氏(故人)から「所沢の種馬」と一喝されたが、艶福家の堤義明オーナーが女性問題には厳しくなかったから、清原氏のスキャンダルは絶えることがなかった。
見かけは日本人だが、経営者としては徹底したアメリカ流の合理主義で通称「バナナ族」と言われる宮内オーナーが、どちらの顔で清原氏の不倫疑惑騒動を処理するのか。プライバシーを尊重する米国流ならば、プライベートな問題として不問に付すだろうし、ケジメを重んじる日本的な対応で行くなら大きなマイナス点になる。
清原氏にとって救いになりそうなのは「巨人を追い出された時に拾ってくれた救いの神」と尊敬し、今でも墓参する仰木彬元オリックス監督(故人)の流儀だろう。
現役時代から野武士軍団の西鉄ライオンズの一員として「飲み・打つ・買う」の三拍子がそろっており、監督になってからもその姿勢は変わらなかった。リーグ優勝2回、日本一1回の実績を残したことで、「キャンプで主力選手と女性ファンを取り合った」「小宮悦子キャスターを監督室で口説いていた」などという話も仰木豪傑伝説として、好意的に語られている。宮内オーナーもそんな仰木監督を間近に見てきているだけに、結果さえ出せば、口うるさく言わないだろう。
しかも、選手時代のグッズ売り上げダントツの番長人気にホレ込んでの切り札監督なのだから、ファンが不倫騒動で清原離れをしない限り、静観する可能性が高いかもしれない。チーム内には「清原さんには監督として早く戻ってきてほしい」とラブコールを送るローズら清原監督待望派もいる。
「オリックスは観客動員が最大の問題だ。昨年2位になっても、観客動員は5位。何をやるかわからない、未知の番長野球にかけるしかないだろう」という球界OBの指摘は核心を突いているだろう。今後も“場外ホームラン”を連発しなければ、清原次期監督は安泰か。