「対抗戦」や「同窓会」とは違う、まさに「夢のカード」としか言えないビッグな顔合わせを実現させた武藤社長。その敏腕ぶりは今大会にも如実に発揮されていた。
今大会の主役である武藤はこの日、まずは“第3の化身”黒師無双を約6年ぶりに復活させて観客の期待をあおると、続くF-1タッグ選手権では神奈月との「ダブル武藤」でモノマネ芸人たちと対決。客席を笑いの渦に包み込んだ上、7度目の王座防衛に成功した。
すると、今度は一転、“悪の化身”グレート・ムタとして登場し、イスを使った凶悪ファイトで観客を震え上がらせたところで、最後に社長・武藤として登場。すでに祭りのフルコースを堪能して満腹状態になっていた観客の前に“最高級のデザート”として船木を呼び込むと、客席のボルテージは最高潮に達した。
武藤、船木、蝶野は1984年に新日本に入門した同期であり、船木と後輩の鈴木はUWF、パンクラスと行動を共にした元同志。それぞれ団体も進む道もバラバラとなった4人が1つのリングに集まるというのは、25周年記念大会ならではの奇跡といえる。
当時、15歳で新日本の門を叩き、「オレ以上に天才と言われてた」という船木の素質を以前から高く買っていた武藤は、「プロレスの長所を味わってもらいたい」と早くも継続参戦をラブコール。
一方、「やりがいのある相手」と何かと縁の深い対戦チームへのライバル心に燃える船木は「今は両国の1試合しか考えてない」と、この一戦に自身の25年間のすべてをぶつける覚悟を示した。