スポーツ
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スポーツ 2010年01月01日 14時30分
箱根駅伝の裏舞台! 早大優勝はあるのか?
今や正月の国民的関心事になっている『東京箱根間往復大学駅伝』、俗称・箱根駅伝。10年大会は実に第86回目を迎える伝統ある駅伝だが、意外にも“国民的関心事”…つまりメジャーになったのは、つい最近。日本テレビが完全中継を始めた87年(昭和62年=63回大会)からと、まだ20数年でしかないのだ。 まあ、それはともかくとして、視聴者が釘付けとなる“感動”の駅伝、画面には映らない“真の姿”をお教えしよう。 前回大会(85回)での裏話。解説者の瀬古利彦が往路で母校・早稲田大学ばかり肩入れした“解説(?)”をしたのだ。そのため、放送終了後、同駅伝を制作している大手広告代理店『博報堂』幹部から瀬古は「早稲田ばかり応援するな。復路は平等に解説するように。それができないのなら、来年から解説を外す」と厳しいお叱りを受けていたのだ。 結果はご存知の通り。復路途中まで首位だった早稲田だが、東洋大に見事、差され奪還失敗。瀬古が“勉めて平等(とは思えなかったが)”に解説(?)した甲斐はなく早稲田が93年・69回大会以来の栄光に就くことはなかった。 だが、この『博報堂』の指摘は、物凄く矛盾があるのだ。お分かりだと思うが、マスコミ関係者の7〜8割は早稲田出身。箱根をバックアップしている大手企業の“エライサン”も大方、早大OBである。 放送している日テレスタッフ、制作している代理店、そしてスポンサー企業…番組関係者はみんな早稲田大好きで、早大偏重主義の番組になるのは無理もないところだ。 陸連関係者が実に興味深い話をこう語る。 「2日間で約14時間の放送中、あろうことか“早稲田枠”が約2時間ある。主にCMに入る直前の時間です。近年のようにトップ争いをしていれば、分かりませんが、トップから大きく遅れて、しかもシード権争いにも関係していない順位で走っていると最悪です」 具体的には「放送で“2号車です。今、7位の早稲田に付けています。前を見ても後ろを見ても誰もいません。文字通りの一人旅です”というような実況を聞いたことがあると思います。“一体、何のために早稲田を捉えているんだ”と怒りたくなるシーンが早稲田枠です」と前出・関係者。 こんな舞台裏があるにも拘わらず平等中継を標榜する日テレは早大が優勝(往路でも)した際、インタビュアーには「早大OBを起用しない」というルールがあるのだ。 次に、今回大会には惜しくも参加できなかった順天堂大のエピソード。 毎年10月、箱根の予選会が行われている。基本的には参加大学、出場選手上位10人(出走選手は12人)の平均タイムが全て。平均タイムの早い大学が本戦へ挑めたのだ。 が、03年(79回)から順大の“天皇”沢木啓祐が「陸上競技普及のため」を強く推し進め、その年の夏に行われた関東大会(関東インカレ)の成績をポイントに。そのポイントを時間に換算し、予選会の平均タイムから差し引くことを提案。それが“ルール”となった。 「そうすることで、短距離や投てきといった陸上全般に力を入れている学校がチャンスとなったのですが、よく考えてみると、日体大や順大という体育大がありがたい条件になっただけ。つまり、自分の大学が有利になるように働きかけたのです」(東京陸協幹部) ついでに綴ると、その年から箱根の参加校も15〜20に増えたのだ。 「順大が特別扱いされてばかりなので、業界では“沢木マジック”という隠語がある。ところが、今回はポイント制を活用しても予選落ちしてしまった。もはや“沢木マジック”もここまでか、と思いきや、チームの凋落を熟知している“天皇”は今年から、完全にチームを去っていたのだ。さすが“沢木マジック”、健在だったのです」(前同) チームを去っても“順大愛”は人一倍。ウワサだと「来年から参加校が25校になる」という話も関係者間で囁かれている。 また、順大は仲村明監督が存在するのだが、実権は沢木天皇。84回(08年)大会では5区の選手が脱水症状になり「途中棄権をしていいか」の是非を監督が天皇に携帯電話でお伺い。この姿をカメラに捉えられてしまった。 天皇が「ノー」と指示をしたら、そのまま続行したのである…恐ろしい。 まだまだ、箱根の美談に隠されたエピソードはたくさんあるが、次回は来年のこの時期に掲載しようと思う。 混戦駅伝と呼ばれて久しいが、その理由は箱根の「ドラマ化」で高校生の力がついてきた事が挙げられる。合わせて、指導者も「何人、箱根に出られる大学に送り込んだか」が学校側の評価につながるのだ。某大学などは「選手に契約金、監督に功労金を渡している」(事情通)とも。 最後に今年の展望は…早大の優勝は厳しい、というところだ。名選手を集めてはいるが、全員メンタル面に問題がある。面白いのは、近年低迷続きの山梨学院か−。理由は、外国人に頼らなくても勝負できる選手が出てきている点だ。
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スポーツ 2009年12月31日 15時00分
日本球界は大恐慌時代を乗り越えられるのか? 労組選手会の大罪(下)
藤井のFA宣言で発覚した国内と海外のFA格差問題に止まらない。FA短縮を求めながら、今年の巨人・阿部、昨年の中日・岩瀬、荒木、井端、森野のようにFA宣言しないで長期契約する選手が続出している矛盾もある。権利を求めるのなら、実行しなければ本末転倒だろう。一時期話し合い路線だった労組・選手会が二言目には、「法廷闘争も辞さず」という法廷闘争路線で暴走を始めたのは、実は古田元会長時代で、当時のNPB関係者はこう予告していた。「顧問弁護士の言うことをうのみにして行動すると、法廷闘争路線を突っ走ることになる。連中はもめればもめるほど儲かるし、自分の名前を売り出せるからね。軒先を貸して、母屋を乗っ取られる事態になるだろう」と。現実は予告通りに展開していると言える。「肖像権は球団にはなく、選手にある」という肖像権裁判は、選手会の敗訴に終わっているのに、懲りずに強硬路線を突っ走っている。 古田元会長がヒーロー扱いされている、04年9月の史上初の選手会ストライキは、オリックスと近鉄の合併に端を発した球界再編、1リーグ制度の動きを阻止したと評価されている。NHKがストライキから5年後の今年、ドキュメンタリー番組で取り上げ、古田氏絶賛の内容になっている。が、その内情はといえば、世評と違って見切り発車、結果オーライのストライキ成功だ。NPB関係者がこう吐き捨てている。「NHKの古田賛歌は一方的過ぎる。内容が偏向している」と。実際に5年前の選手会vsNPBの団交の場に居合わせた某球団関係者は、こう証言している。「会長の古田はストライキに関して完全に腰を引いていた。なんとか回避したいという意向が見え見えだった。が、球団合併の当事者だった近鉄の選手会長の礒部が断固ストライキを主張して、弁護士も後押しをして絶対に譲らなかった。いってみれば、見切り発車でのストライキ成功だった。涙の記者会見で一躍ヒーローになった古田だが、セ、パ6球団ずつの2リーグ制度存続に関しても、トンチンカンなことを言っていたのを忘れては困るよ。新規参入球団として、NPBが楽天を決めたときに、『ライブドアの方がよかった』と楽天の新規参入を手厳しく批判していたんだからね。古田の言っていた通りにホリエモン率いるライブドアを参入させていたらどうなっていたと思う。球団経営もパンクして、またぞろ球界再編の動きになっていただろう」。 古田氏を選手会ストライキ成功のヒーロー扱いするのはとんでもない、歴史的な誤認だというのだ。それどころか、今、球界関係者の間ではこういう声が根強く聞かれる。「選手会のストライキが成功したことは、日本プロ野球にとって不幸だった。あのまま1リーグ制度になっていた方が良かったんだ。球界再編の千載一遇のチャンスだった。広大な米国ではメジャー30球団あってもいいだろうが、狭い日本では10球団1リーグ制度でちょうどよかったんだよ」。 確かに難問山積している日本プロ野球界の現実を見ると、10球団1リーグ制度は理想的だったかもしれない。「現状のままのセ、パの2リーグ制度を存続させるようとするのならば、選手の年俸を半分にしないと難しい」。こう言い切ったのは、西武・堤義明オーナーと共に1リーグ制度移行に全力を傾注していたオリックス・宮内義彦オーナーの弁だが、核心を突いている。 存続の危機に立ったJリーグが、実際に選手の年俸一律カットで窮地を脱している先例がある。が、選手会はのど元過ぎれば|で危機感が感じられない。ストライキの時には「球界改革のために選手会も血を流す」と公約したはずなのに、血を流すどころか権利の要求ばかりで、法廷闘争路線を走れば、ファンから背を向けられるばかりだ。 「大リーグ選手会のように、経営者と対等な交渉ができるような選手会にしたい」というのが、労組・選手会の長年の悲願だが、最初から現実不可能だ。というのも、組織が根本的に違うからだ。大リーグの選手会には、マイナーリーグの選手は入会できない。メジャーに昇格してこそ初めて大リーグの選手になるわけで、マイナーリーグの選手は本当のプロ野球選手ではない。メジャーを目指す予備軍にすぎない。一般社会で言えば、見習い期間中のような存在に過ぎない。 ところが、日本の選手会には、二軍の選手も入っている。「大リーグの選手会が本来の姿だろうが、日本の社会の場合、弱者救済という面があるから、二軍選手を切り捨てるわけにはいかない」。選手会関係者はこう語るが、それならば、大リーグの選手会を目標にするのは無理だ。日本球界とはかけ離れた高給取りのメジャー選手の集まりの大リーグ選手会だから、オーナーたちと対等な交渉ができ、労使協定を結べる。二軍の選手の待遇改善まで抱える日本の選手会は、日本流の独自の選手会を目指すしかないだろう。 しかし、古田氏→宮本とやり手の続いた会長の後を受けた新井会長は、生真面目だが、口下手だし、交渉事には不向きなタイプで前途多難といえる。会長職が重荷になって肝心なプレーの方でも精彩を欠いている。「新井では無理ではないか」と周囲から不安視する声が噴出している。大恐慌の日本球界の元凶の一つが労組・日本プロ野球界選手会であることは間違いない。
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スポーツ 2009年12月30日 15時00分
日本球界は大恐慌時代を乗り越えられるのか? 労組選手会の大罪(上)
労組・日本プロ野球選手会(新井貴浩会長=阪神)の浮世離れの権利要求も、日本球界大恐慌に拍車をかけている。その大罪は断罪される必要があるだろう。今オフ、球界を悩ました、日本ハムをFAしながら取り手がなく、一時宙ぶらりん状態、巨人が獲らざるを得なくなった藤井秀悟の問題もそうだ。08年に12球団側が提案した「国内FA権利取得期間の短縮、メジャーへの流出防止のために海外FAは期間据え置き」という、FA改革案を選手会が了承したツケだ。この他にも問題は山積しているのが現実といえる。 「FA7年を受け入れなければ、裁判に訴える」。宮本慎也前会長(ヤクルト)の法廷闘争も辞さない強硬主張に対し、12球団側は最後の最後に腰を引き、FAの権利取得期間の短縮を提案した。「国内は8年間に短縮する。ドラフトの希望枠がなくなった07年以降に入団した大学・社会人出身の選手は7年間。海外FAは現行の9年のまま」という改正だ。この案を選手会が飲んだのは、「7年という数字が出てきたからね。国内と海外の格差は今後、修正していかないといけないし、最終的には全員が7年を目指す…」と宮本前会長は言っていたが、国内と海外格差が早速、国内FA権しか持っていない藤井問題を引き起こしたのだ。 「まさか海外と国内FA期間の格差がこういう形で問題になるとは思わなかった」と選手会幹部も頭を抱えた。野球協約上では、国内FA権しかない選手がFA宣言して取り手のない場合、海外へ行くことも出来ず、八方ふさがりになってしまうのだ。選手会が「ドラフトに希望枠がなくなった07年以降入団の大学・社会人出身の選手は7年間でFA」という、こだわりのFA7年間に飛びついたからだ。選手の立場からすれば、国内と海外に権利取得期間の格差のあるFA制度は大問題だ。国内FAなど本当の意味のフリーエージェントではない。メジャーへもどこへでも行けるからFAなのだ。が、藤井問題にはさらに厄介な火種があった。FA宣言した藤井の名前を保留選手名簿に載せた日本ハムが「契約はあり得ない。保留選手手当も出さない」と明言したからだ。球団側が保留選手手当を出さなければ、選手は自由契約になってしまう。どうしてもメジャーへ行きたい選手がこの手を悪用すれば、8年でメジャー入りする新たな抜け道にもなりかねない。 そうなったら、海外FA据え置き、国内FA短縮という、巨人の思惑は完全に狂ってしまう。主砲・松井秀喜がヤンキースへFA移籍。「高校時代に巨人が指名した縁もあるし、日本球界のためにも宝である福留選手をメジャーにはやらない」と大見得を切って、中日からFAした福留孝介の獲得宣言。それなのに、メジャーバブルの前に争奪戦になる前に白旗。「メジャーとの常識外のマネー戦争はしない」とすごすごと撤退宣言して、カブスに福留をさらわれている。メジャー相手に何度も屈辱を味わわされている巨人は、選手のメジャー流出に神経をとがらせ、「海外FAは9年のまま」という格差FA制度新設の旗振り役になっている。その一方で、国内FA短縮には積極的に動いている。 「海外FAに歯止めをかければ、国内FAの資格しかない選手を取れる可能性が高まる」という、相変わらずの時代錯誤の巨人至上主義があるからだ。そんな巨人と選手会顧問弁護士との間に奇妙な蜜月関係疑惑がある。巨人フロント首脳が「選手会の弁護士は果完全に手の内に入れている」と豪語すれば、選手会の顧問弁護士も「巨人は抑えていますから」と明言。互いに「手の内に入れた」宣言をしているというのだ。火のないところに煙は立たない。藤井問題の決着も選手会と巨人とのタッグマッチが見え隠れする。藤井が宙ぶらりんのまま年を越し、前述したように、日本ハムが保留選手手当を支払わなければ、自由契約になり、メジャー行きも可能になってしまう。巨人にとっては、なんのための国内と海外FAの格差か、意味がなくなってしまう。格差を飲んだ選手会としても立場はない。 12月3日の労組・選手会総会前に巨人が藤井獲得を決めたのは、意味深だろう。これ以上、格差FAが問題を大きくする前に、あうんの呼吸で、巨人と選手会がタッグマッチという疑惑の図式が浮かび上がる。 そもそもFA制度導入が実現したのは、「FA制度とドラフトでの逆指名制度を導入しなければ、新リーグを結成する」という巨人・渡辺恒雄球団会長の強権発動によるものだった。「選手会は労働者貴族だ」「たかが選手の分際で」などと、古田敦也元会長(前ヤクルト監督)が率いる労組・選手会を罵倒する爆弾発言を連発しながら、その陰で巨人と選手会はFA制度に関しては協調路線を取ってきている。その後も、海外FA移籍だけはタブー視しながら、FA短縮そのものに一番熱心だったのも巨人だ。FA制度に関しては巨人と選手会は、同床異夢とはいえ、事実上、共同歩調を取ってきているのだ。何か事あれば、「法廷闘争も辞さずの」強行突破路線を敷いている選手会と巨人の蜜月疑惑はぬぐいきれない。 かつては球界の盟主と言われながら今はリーダーシップを失った巨人球団フロント首脳は、労組・選手会を取り込んででも、NPBの中で復権したいというなりふり構わぬ動きに出ているのだろう。その態度が選手会をつけあがらせ、暴走させている一面もある。(つづく)
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スポーツ 2009年12月29日 17時00分
菊池クンはどうなの!? 甲子園スターの性豪列伝
2009年プロ野球ドラフト会議にて、6球団の競合の末に埼玉西武ライオンズへの入団が決まった岩手・花巻東高の怪物左腕、菊池雄星。 菊池クンといえば、メジャーも注目したその実力もさることながら、特筆すべきはその類稀なる朴訥青年ぶり。契約金1億円(+出来高5000万円)&年俸1500万円という破格の待遇を西武球団から受けながら、お金はすべて両親に預け、自らの小遣いはこれまで同様に月3万円をキープというのだから驚きだ。それに加えてあの超朴訥フェイスとなると、ソッチ方面も“デビュー前”のルーキーということで間違いナシに見えるが、実際のところはどうなのだろうか? 何せ甲子園のスターといえば、地元では同世代のアイドルを超えるスーパースター。スターならばモテ方だって半端なく、年齢不相応な“火遊び”を早々と覚えてしまうのも道理なのだ。過去の豪傑の代表格といえば、浪商の小さな大エース・牛島和彦(元中日→ロッテ。元横浜監督)。当時を知る者の証言によると、学校に向かう前にトルコ風呂(当時の呼称)に通い詰め、両肩に美女を侍らせながら登校するなど、涼しいルックスからは想像もつかない、ハチャメチャな高校生だったようだ。見かけによらないといえば、桑田真澄(元巨人)もPL学園時代、大のソープランド好きであったと、同窓生からの証言が寄せられている。大学生ながら深田恭子とのデートで世間を驚かせた“ハンカチ王子”斎藤佑樹(早実→早大)も、高校時代チームメイトから「おっぱい星人」とからかわれるほどの巨乳好きで、その宿願を深キョンで果たしたのだから「さすが」の一語に尽きる。 このように甲子園で頂点を極めた男たちは、モテ方も遊び方も半端ないのだ。朴訥一路の我らが雄星クンとて、これまでに色っぽい誘いがあったのは、きっと一度や二度ではないハズ。あと何年もしたら、目ざといマスコミの手によって、朴訥雄星クンの素顔が明るみになってしまうのかも…!?
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スポーツ 2009年12月29日 13時00分
日本球界は大恐慌時代を乗り越えられるのか? NPB財政破綻差し替え(下)
「日本シリーズはまだ商品価値があるからいいが、オールスターの場合は今の方式ではもう無理だろう。韓国のオールスターチームも呼んで、日韓オールスターを開催するなど、斬新な企画、内容にしないとどうにもならない」。12球団の代表がメンバーになっている実行委員会でこういう声が上がり、従来のオールスター廃止、新たな方式を模索している。が、インパクトのある案など簡単に出てくるわけがない。日韓オールスター対決と言っても、ファンがどこまで関心を持つか疑問だ。現に長崎で開催された、今年休止のアジアシリーズに代わる日韓クラブチームチャンピオンシップには、1万4000人の観衆しか集まらなかった。7年ぶりの日本一になった巨人が出場してこの惨状だ。「テレビの放映権収入などあり、トータルすれば730万円の黒字になった。大健闘でしょう」とNPB関係者は言うが、胸を張れる結果ではない。オールスターの代案といっても従来のセ、パ対抗をやめ、かつて行われていた東西対抗を復活させるなどの案がせいぜいだろう。 オールスターが存続の危機、日本シリーズにも難題山積と、NPBの二大財源に危険信号が点滅しているのに、いまだにセ、パの足並みが乱れている。今年からコミッショナー事務局、セ・リーグ連盟、パ・リーグ連盟の3局をコミッショナー事務局1局に統合した成果が表れていない。セ、パの会長職を廃止しただけで、2人分の合計年俸4800万円が削減できた。東京・千代田区内幸町のコミッショナー事務局の他に、東京・銀座の同じビルにそれぞれあったセ、パの連盟事務所も閉鎖、記録部だけが狭いスペースで1か所借り、銀座分室になった。セ、パ連盟事務所の家賃は月に100万円といわれているから、年間、1200万円の節約になる。ムダな経費の削減は着々と行われているのだが、セ・リーグ部とパ・リーグ部が一体になって何かやろうという意識がない。依然として変なライバル意識を燃やしている。 その最たるものが、クライマックス・シリーズ(CS)だろう。パ・リーグが一足先に04年からプレーオフとして実施。「プレーオフは大成功したんだから、セ・リーグも変なメンツにとらわれずに、やればいいんだ」とソフトバンク・王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)が明言したように、経営の苦しくなったセ・リーグ球団も背に腹を代えられずに07年からCSを導入した。が、スポンサー探しはそれぞれ勝手にやっている。今年の例でいえば、パ・リーグのCSに「クリック証券」が冠スポンサーになっている。対して、セ・リーグの方は「セブン&アイホールディング」が冠スポンサーでなく、協賛企業だ。 「スポンサーが付けばどういう企業でもいいというわけではない。それなりの企業でなければ、リーグとしてのステイタスがある」というのが、セ・リーグ側の考え方だという。「DH制度」「予告先発」など、パ・リーグが導入した制度には背を向けるセ・リーグのプライドだ。かつては「人気のセ、実力のパ」といわれたように、興行的にはセ・リーグの一人勝ち。パ・リーグは常にリーグ存続の危機に立たされていた。 パ・リーグが交流試合の実現を訴え続けたのも、「巨人と試合をやれば、お客さんは来るし、1試合1億円以上のテレビマネーが入る」という計算からだった。それだけに、セ・リーグには「ウチがメジャーリーグでパ・リーグはマイナーリーグのようなもの」という見下ろした姿勢がある。それだけに、ポトシーズンゲームの導入でパ・リーグに後れを取ったバツの悪さもあるのだろう。 足並みの揃わないCSのスポンサー問題。元NPB関係者はこう嘆いている。「セ、パが一緒になって同じスポンサーを付けるようにすれば、大手企業を冠スポンサーにすることも可能になるのに。セ、パ交流戦に日本生命がスポンサーになってくれているようにね。実行委員会で何度もそう言っているのに、セ、パともに耳を貸そうとしないんだから、嫌になるよ」と。 冠スポンサー問題に止まらない。NPBの財政危機を乗り切るためには、CSを日本シリーズ同様に、NPB主催にするのがベストな方策だ。ところが、「NPBが新たな資金作りをするために、いろいろな新規事業を考えるのは当然だ」と12球団は言いながらも、「12球団の既得権は侵さないこと」という、虫の良い条件を付けているのだ。12球団の既得権を侵さないで新しい金儲けなどできるはずがない。パ・リーグだけがプレーオフを実施していた時代はともかく、両リーグで開催しているCSは、日本シリーズ出場権を決める試合なのだから、NPBが主催するのはむしろ当然だろう。 それなのに、12球団は目先の利益ばかりしか考えない。第1ステージの収益が2位チームに、第2ステージの分は1位チームに入る、おいしい現行のシステムを手放そうとしないのだ。「事の是非はともかくとして、セ・リーグにナベツネさん(巨人・渡辺恒雄球団会長)、パ・リーグには堤さん(義明氏=西武前オーナー)がいた時代のオーナー会議が懐かしい。堤さんはオーナー会議そのものにはほとんど出てこなかったが、2人の実力派オーナーが意見の一致を見れば、物事はどんどん決まっていったからね。FA制度の導入、ドラフトの逆指名などその典型だ」。セ、パのリーダーシップを握る実力派オーナー不在も、セ、パの足並みの乱れにつながり、NPBの財政破綻に拍車を掛けている。(了)
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スポーツ 2009年12月28日 17時30分
巨人『台湾の菊池雄星』強奪の余波
言っていること、やっていることが矛盾している−−。原巨人が“台湾の菊池雄星”の獲得に成功した。台湾の有望アマチュア投手と育成選手契約を交わしたのである。 その投手の名前は、黄志龍(20=ファン・ツーロン/国立体育大学院)。09年9月、野球・ワールドカップの日本戦に先発し、延長10回を投げ、「被安打4、失点1」と好投。メジャースカウトも「王建民(ヤンキースよりFA)の再来」と興味を示したが、黄本人の「日本でやりたい」という強い希望によって、巨人入りが決まった。黄は右投手だ。ではなぜ、「台湾の菊池雄星」と言ったかというと、彼は八百長事件で揺れる台湾プロ野球界の「ダーティイメージも払拭してくれるのではないか」とも期待された期待の星だからだ。 日本が台湾、韓国の有望なアマチュア投手を“強奪”したのは、今に始まった話ではない。84年のロサンゼルス五輪で好投した郭泰源を獲得して以来、日本の12球団は台湾を「好投手輩出の宝庫」とも位置づけてきた。 巨人を責めるつもりはないが、「言っていること」と「やっていること」が矛盾している。昨秋のドラフト会議では菊池の説得し、メジャーリーグ側(米国)には「人材流出の危機」と抗議しておきながら、一方で台湾を“草刈り場”にしているのである。 2010年のプロ野球・ドラフト会議は、その規約変更を話し合う。現行の完全ウエバー制を維持するのか、それとも『自由枠』を復活させるのかが最重要テーマだが、有望新人のアメリカ流出を「どう阻止するか」も検討しなければならない。 「アスリートはより高いステージを求めるもの。野球選手のメジャーリーグ指向は止められない」 大多数の関係者がそう溜息を付く。 現行ルールでは、日米双方とも有望新人の獲得は獲得しない決まりにはなっているが、それはあくまでも『紳士協定』であって、拘束力はない。 昨年7月、日本野球機構・コミッショナーに迎えられた加藤良三氏は、駐アメリカ合衆国行使も歴任した外交通だ。この加藤氏がメジャー側との交渉に乗り出せば、現行の紳士協定から『規約』に進展するはずであり、台湾、韓国との共存についても、何かしらの取り決めがなされるはずだ。しかし、そうした動きは全く聞こえてこない。(スポーツライター・美山和也)
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スポーツ 2009年12月28日 14時00分
パチンコ機メーカー大手「フィールズ」、押尾騒動でK-1から遁走!?
わが国発のメジャー格闘技団体「K-1」。このK-1を資金面で永きにわたって支え続けてきたのが、大手パチンコ機メーカーの「フィールズ」だ。 K-1の運営会社「FEG」が主催する大晦日格闘技イベント『Dynamite!!』の冠スポンサーとして賑やかな年の瀬を演出するだけでなく、K-1ファイターを全面に押し出したパチンコ台をプロデュースするなど、フィールズがK-1の大スポンサーとしてニッポン格闘技界の発展に貢献してきたのは、ファンなら誰もがご存じのことだろう。 しかし最近、K-1のリングからフィールズの影が薄くなってきているのだ。それが顕著だったのが12月5日に横浜アリーナで開催されたヘビー級GP決勝戦。これまでならば、試合前と休憩中にフィールズ製パチンコ機のCMが巨大モニターにこれでもかとバンバン流れるのが通例だったが、今年のGP会場ではフィールズ製品の大プッシュが行われることもなく、会場で生観戦した多くの事情通が「やはりフィールズはK-1から撤退するのか…!?」と色めき立った。いったいなぜ、K-1会場からフィールズ色が消えたのか。 「押尾学ですよ。フィールズといえば、押尾のタニマチとしても知られてますよね? これまでにもフィールズの山本俊英会長と押尾が、K-1会場の最前列で仲良く並んで観戦しているのが、何度も目撃されています。一連の押尾騒動によって、彼と山本会長の関係が一部メディアで取り沙汰されたことによって、フィールズは今の時期、表に積極的に出ることを極度に恐れているんでしょうね」(某スポーツライター談) 一時は『Dynamite!!』での格闘家デビューも噂された押尾。まさかこのような形で、彼の存在が格闘技界の勢力分布図を塗り替えることになるとは、誰が予想し得たであろうか。
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スポーツ 2009年12月28日 13時00分
日本球界は大恐慌時代を乗り越えられるのか? NPB財政破綻差し替え(上)
09年11月18日、都内ホテルで行われたオーナー会議でも日本野球機構(NPB)の財政危機問題が取り上げられたほど事態は深刻そのものだ。「平成20年度(10月1日〜平成21年9月30日)決算は、7月のオーナー会議の時点では2億8000万円の赤字が見込まれていたが、3200万円に圧縮された。が、厳しい財政状態に変わりはなく、21年度は3億円の赤字が見込まれている」。後藤高志オーナー会議議長(西武オーナー)がこう語った通りだ。 2億8000万円の赤字見込みが3200万に圧縮されたのは、二つのうれしい誤算があったからだ。昨年の日本シリーズ(西武対巨人)が第7戦までもつれ込んだこと。もう一つは、3月のWBCで日本代表が連覇を果たし、優勝賞金310万ドル(約2億7900万円)を選手と折半した分の臨時収入。この二つがあったから3200万円の赤字で済んだが、今年の巨人対日本ハムの日本シリーズは第6戦で終わっているし、WBCは4年後にならないと開催されない。だから平成21年度(10月1日〜平成22年9月30日)の決算は3億円の赤字見込みになってしまう。 そこで、オーナー会議では、1球団年間7100万円の会費の値上げと、日本代表チームの常設による新たな財源獲得案がメーンになった。「会費の値上げはやむをえないだろう」というのが、オーナー会議の大勢だったという。が、「具体的にいくら値上げするかとか、数字は出なかった」とある球団のオーナーは素っ気なかった。本心は会費の値上げに反対だからだ。どこの球団も経営状態は苦しく、出費を少しでも抑えたい。が、NPBの財政危機は放置できないものになっているので、突き放すわけにもいかないジレンマだ。 「正直言って、1球団4000万円くらい会費の値上げをしてもらわないとやっていけないだろう」とNPB関係者が、苦しい台所事情の本音を漏らす。NPBの二大財源のオールスターと日本シリーズが窮地に陥っているからだ。オールスターは05年から始まったセ、パ交流戦の大きな影響を受け、商品価値が暴落している。「真剣勝負のセ、パ交流戦が盛り上がれば盛り上がるほど、セ、パのスター選手が一堂に会するだけの顔見せ興行のオールスターは人気が下がる。ナショナルリーグとアメリカンリーグの間でインターリーグをやり出した後のメジャーリーグでもそういう結果がはっきり出ている」。セ、パの交流戦が実現する際に、メジャー通の球界OBはズバリ予言した。そして、その言葉通りの結果になったのだ。 それにしても、今年のオールスターはショッキングだった。前代未聞の地上波テレビ局中継なしの危機に直面したからだ。昨年まで1試合1億2000万円の放映権料を4000万円も値下げして、8000万円に設定したのに、それでも7月23日、札幌ドームで開催のオールスター第1戦中継に名乗りを上げるテレビ局がなかなか出てこなかったのだ。 「こんなことは今までなかった非常事態だ。地上波テレビでオールスターが見られないなんてことになったら、その悪影響は計り知れない。野球人気がますます冷え込んでしまう」。NPB関係者が真っ青になり、頭を抱えたのは当たり前だし、中継に腰を引いたテレビ局関係者までがあまりの異常事態に驚きを隠せなかった。最終的には日本テレビ系列が中継、前代未聞の不祥事は回避されたが、第1部10.9%、第2部14.8%、平均12.9%という視聴率だった。広島の新本拠地・マツダスタジアムで行われた第2戦を中継したTBSテレビ系の視聴率は11.7%と、第1戦を下回っている。 商品価値が急落したオールスターは、テレビ中継問題にとどまらず、冠スポンサーという重大問題も抱えている。1988年から2006年まで年間協賛金3億4000万円を提供してくれた三洋電機が、経営不振から降板したことで、一気に新冠スポンサー探しの難題が持ち上がったのだ。「大丈夫ですよ。三洋電機がスポンサーから降りても、オールスターの冠スポンサーになりたい企業はいくらでもある」。元NPB関係者はこう豪語していたが、平成大不況の世の中は、そうは甘くなかった。2007年にはヤンキース・松井秀喜のCM出演で知られる、中古車販売最大手のガリバーが冠スポンサーになったものの、1年きりで降板。08年は新車を売り出すタイミングということで、今年は地元・広島の新球場・マツダスタジアムでオールスター開催ということから2年連続してマツダが新スポンサーになったが、来年以降は完全に白紙の状態だ。 しかも、来年の日本シリーズから冠スポンサーをつけることになっているのだ。「日本プロ野球界で一番権威のあるイベントの日本シリーズに冠スポンサーをつけるなんてとんでもない」と言っていた古きよき時代もあったのだが、今やなりふり構わっていられない新財源のスポンサー探しだ。というのも、オールスターの放映権料の大幅値下げは、日本シリーズにモロに波及しているからだ。「オールスターの放映権料値下げは、嫌でも日本シリーズに響いてくるだろう」というNPB関係者の危ぐした通りだった。1試合1億3500万円の日本シリーズの放映権料は9000万円にダウンしたといわれている。6試合戦った巨人対日本ハムのシリーズの放映権料は合計2億7000万円の減収だ。それだけに、冠スポンサー探しは死活問題になっているのだ。(つづく)
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スポーツ 2009年12月26日 15時00分
尾花監督が元教え子・寺原を制裁放出!?
尾花ベイスターズが積極的な補強を続けている。千葉ロッテから清水直行投手をトレード獲得したのを皮切りに、北海道日本ハムからは2投手1内野手を、福岡ソフトバンクからはベテランリリーバー・篠原貴行を、FA市場でも、実力派捕手の橋本将(千葉ロッテ)をゲットした。外国人選手部門でも、クリーンアップの一角を任せられる前日本ハムのターメル・スレッジ(前日本ハム)を筆頭に、3選手を得た。 「オフシーズンで、横浜がここまで活動的に動いたのは見たことがない!」 ライバル球団も目を丸くする。 尾花夫新監督(52)に託されたのは、投手陣の再建。リーグワーストに終わったチーム防御率4.32を「3点台に回復させたい」とも語っていたが、この連続補強の裏では、主軸投手の“制裁放出”もウワサされている。ターゲットは、寺原隼人投手(26)だという。 「尾花監督は『頭を使わないピッチング』が大嫌いなんです。寺原は力で抑え込む投球しかできず、ホークスを出された理由もそれに尽きます」(球界関係者) 寺原放出に踏み切ったのが、当時、投手コーチだった尾花監督である。 「でも、横浜の自由奔放な気質が合い、移籍1年目にプロ入り初の2ケタ勝利を挙げ(12勝)、2年目はストッパーとして22セーブを挙げました」(前出・同) 尾花監督はチーム改革として、投手陣を『ミーティング漬け』にするつもりだ。寺原はそんな尾花イズムを知る唯一のベイスターズ投手ではあるが、ホークス時代のミーティングノートを「無くした」と言い、首脳陣をア然とさせた…。 「三浦、清水、ランドルフ、吉見、藤江均、桑原謙太朗、小杉陽太…。先発候補の頭数は揃いました。尾花監督は山口俊に期待しているし、寺原は今季の成績は、たったの2勝です。先発ローテーション入りはおろか、一軍入りも危うい状態」(前出・同) 尾花監督のミーティングは長い。しかし、その効果は投手コーチを務めたロッテ、ソフトバンク、巨人で実証済み。寺原もミーティングノートを早く見つめ、読み返すくらいの“猛勉強”をしなければ、制裁放出は免れないだろう。
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スポーツ 2009年12月26日 14時00分
日本球界は大恐慌時代を乗り越えられるのか? 独立リーグ化(下)
さらに、メジャー挑戦する選手サイド、獲得するメジャー側の新局面もある。まずメジャー挑戦組には、巨人、中日のエースだった上原浩治(オリオールズ)、川上憲伸(ブレーブス)の失敗、レッドソックス・田沢の成功、松坂の舌禍事件による影響が及ぶのは避けられない。2勝に終わった上原、7勝12敗の川上ともにFA移籍だが、34歳という全盛時を過ぎた年齢的な問題が大きなハンディになったのは事実だ。特に上原の場合は後悔があるだろう。大体大から巨人入りしたが、実は一時期メジャーのエンゼルス入りが最有力視されていたのだ。 「もうエンゼルスで決定、取れないと諦めた時期もあったよ。よくウチは大逆転したもんだと思うよ」。当時、巨人・長嶋茂雄監督がしみじみと述懐したことがある。もし、あの時に上原が巨人でなく、エンゼルス入りしていれば、田沢に先立つこと10年前にアマ球界からいきなりメジャー入りという、球史に残るパイオニアになっていたのだから、本人にしてみれば悔やんでも悔やみきれないだろう。現実には、遅すぎた巨人、中日のエースコンビ・上原、川上のメジャー挑戦の結果、メジャー挑戦するならば、なるべく若い内にという風潮になっている。しかも、同じレッドソックスの松坂vs田沢の明暗劇も拍車をかける。 WBC日本代表として2大会連続のMVPになった松坂だが、シーズンに入って故障に泣き、3年目の今季は4勝6敗。挙げ句の果てに球数制限のあるメジャー流調整を批判したと、米メディアから大バッシングを浴び、懲罰トレード報道までされている。「メジャー流調整の批判はタブーだ。メジャーリーグが世界最高峰の自負があるだけに、批判は許されない。文句を言うのならば、メジャーに来るなというのが、彼らの誇り高き姿勢だから」とメジャーリーグ・ウオッチャーが明言する。 キャンプで投げ込みをして、1年間投げ抜く肩のスタミナを作る日本流と対照的な、肩を消耗品と考え、練習から球数制限するメジャー流。日本球界でエースとして働いてきた、しかも「140〜50球投げて完投しても最後に150キロ以上のストレートを投げられる」という驚異のスタミナを売りにする松坂のような立場の投手には、どうしてもメジャー流は違和感がついて回る。が、倫世夫人と親しい女性フリーライターが自らのブログで書いた松坂のメジャー流調整批判の代償は高くついた。ポストシーズンゲームではついに登板の機会さえ与えられなかったからだ。 約60億円のポスティングでの落札金。6年契約、総額で約61億円。合計121億円かかっている松坂に対しては、ニューヨーク以上に辛らつといわれるボストンのメディアは容赦ない。1年目の15勝12敗でブーイング。2年目の昨年、18勝3敗の成績をあげても満足せずに、「ボールが多くて、早いイニングで交代させられる。もっと長いイニングを投げないといけない」などと非難している。それだけに、3年目の今季の4勝だけには不満たらたらだ。故障の原因にしても、「WBCで投げすぎたからだ」という声があがっており、松坂擁護論は出ていない。 「チーム内には、メジャー流調整批判事件の後遺症は残っている。来季、出だしでつまずくようだと、松坂の放出論は間違いなく再燃するだろう」とメジャー関係者は断言する。4年目の松坂は一からの出直しどころか、マイナスからの再スタートになる。 対照的に、日本プロ野球界を経ずにいきなりメジャー挑戦、1年目で2勝をあげた田沢は、2Aで英才教育を施されているから、メジャー流をすんなりと受け入れられる。「ムダ球は投げない。打たれてもいいから、最初からストレートでドンドン勝負する」といったメジャー流のピッチングを徹底的にたたき込まれている。「どうせメジャー挑戦するのならば、日本のプロ野球を経ずにアマ球界から直接飛び込んだ方が近道だともいえる。日本で実績を残した投手はどうしても、日本流を捨てきれないからね」。こう認める元日本人メジャーリーガーも実際にいる。 挑戦する選手側だけでなく、獲得する立場のメジャー側にも大きな変化が見えてきている。「高いお金を出して、日本のプロ野球のスター選手を取りよりも、安く取れるアマ球界の素材の方が何かと勝手が良い」という、対費用効果の考え方だ。オリオールズ・上原が2年契約、1000万ドル(約9億円)プラス出来高600万ドル(約5億4000万円)。ブレーブス・川上は3年契約、総額2400万ドル(約21億6000万円)だ。それに比べれば、田沢は3年、総額400万ドル(約3億6800万円)といわれているし、菊池に対しては「一番熱心なメジャー球団が総額で6億円を用意した」というが、それでも日本プロ野球界のエース級を獲得することを考えたら、安い買い物だろう。しかも、成功すれば、若いから長期間、戦力として使える。 あと一歩で菊池獲りに失敗したメジャー球団が来年の斎藤争奪戦で巻き返しを図り、それ以後も一段と攻勢を強めてくるのは間違いない。「メジャーのマイナー化の危機どころか、日本プロ野球界は独立リーグになってしまう」という、球界関係者の非常事態宣言は、そう遠くない日に現実のものになりかねない。(了)
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