スポーツ
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スポーツ 2015年10月21日 11時16分
ドラフト戦線異常アリ マエケンの米挑戦に備えて広島は投手力の再整備
端から見れば、打線の低迷が優勝を逃し、かつクライマックスシリーズ進出もあと一歩及ばなかった理由だと思うが、広島内部から聞こえてくるのは「投手力の再整備」だ。黒田博樹が向こう5年投げてくれる保証はない。マエケンこと前田健太の米球界挑戦も、「早ければ今オフ」と言われている。広島スカウト陣は先発投手を補強し、下位で高校生を指名して育てていくようだ。 昨年は有原航平(現日本ハム)の名前を挙げ、ほぼ1位指名を明言したような雰囲気でドラフト当日に臨んだ。今のところ、それに近い称賛コメントを出しているのは、高橋純平(県岐阜商)と小笠原慎之介(東海大相模)の左右の両・超高校級投手だ。ただ、広島の場合は「地元」というキーワードも無視できない。そのキーワードで行くなら、広陵高卒の左腕、明大・上原健太(左投左打)だろう。一方で、広島は「ローテーション争いに確実に加わってもらわないと…」という言い方をしている。そう考えると、多和田真三郎(右投右打/富士大)の指名順位を繰り上げてくるのではないだろうか。多和田は投球フォームで踏み出す側の左足が、他投手よりもかなり前に出てくる。ステップ幅が広いので、重心が低い上に球持ちも長い。低いリリーフポイントから放たれるストレートは「浮き上がってくるようなイメージ」を対戦打者に与える。 「富士大のユニフォームは赤系の色が基調。カープのユニフォームが似合うはず」(大学関係者) この多和田は春のリーグ戦後に肩痛で登板を控えている。大事を取っての登板回避ではあるが、他球団は最初の1位入札を見送る可能性も高い。広島スカウトは自軍の二軍選手と比較して、大学、社会人の選手を見る傾向もあるので、多和田に強い印象を抱いているという。まずは地元の上原で入札し、「次は多和田」で行くのではないだろうか。 また、地元キーワードで考えると、早大の一塁手・丸子達也(広陵高卒/左投左打)も無視できないはずだ。丸子は広陵高時代、「あのバットスイング、打球の速さは小笠原(道大)級だ」と、巨人スカウトも絶賛していた。4年前の広島スカウトも高く評価していたが、進学後はレギュラーを掴むのに時間が掛かってしまった。春季リーグでは「不動の4番」だった。丸、田中、木村、松山などの左打者もいるが、広島スカウトは外野手・高山俊(右投左打/明大)、三塁手・茂木栄五郎(右投左打/早大)にも熱視線を送ってきた。2人とも左バッターだ。おそらく、地元の高校を卒業した丸子も「左バッターリスト」に入っているのではないだろうか。 「広島が捕手の補強を考えている」 そんな情報も聞かれた。正捕手・會澤翼は27歳。緒方孝市監督は先発投手との相性を見ながらスタメン捕手を変えるゲームもやってきたが、「即戦力」ならば、やはり、トヨタ自動車の木下拓哉(右投右打)か、猪又弘樹(右投右打/青学大)、山崎裕貴(右投右打/Honda)だろう。山崎は木下、猪又同様、強肩だ。ただ、2ストライクを取られた後もファールでしぶとく粘り、右方向への打撃や犠打にも定評がある。木下を狙っている球団は多いが、山崎は機動力野球の広島向きなのかもしれない。高校生を獲って、育てるとしたら、柘植世那(右投右打/健大高崎)、堀内謙伍(右投左打/静岡高)、黒瀬健太(右投右打/初芝橋本高)だろうか。近年、広島は和製大砲を育てきれていない。高校通算41アーチを放った豊橋中央の好捕手、谷川原健太(右投左打)の指名も考えられる。捕手だが、1番バッターも務めた俊足であり、「出塁率の高さも兼ね備えた長距離砲」として、中京地区担当スカウトの間では一目置かれていた。和製大砲に飢えた広島がもっとも育ててみたいと思うタイプだが…。
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スポーツ 2015年10月21日 11時06分
ドラフト戦線異常アリ 異例の偏重ドラフトとなる埼玉西武
関係者としか言えないが、今年の埼玉西武ライオンズは「投手に偏重したドラフトになる」そうだ。それも、高校生投手ではなく、社会人、大学生の即戦力を重視した指名になるという。 「全員、社会人、大学生のつもりで…」 関係者はそう語っていた。「高校生投手ナシ」はあくまでもたとえであり、それくらい、投手陣の補強を急いでいるというわけだ。岸孝之、牧田和久、十亀剣、菊池雄星、高橋光成、野上亮磨、郭俊麟など先発スタッフは揃っているが、チーム防御率は3.69(リーグ5位)、2ケタ勝利を挙げたのが十亀1人(11勝)では物足りないと見てだろう。 1位入札は今永昇太(左投左打/駒大)だと思われる。 「1位候補が投げられたのを見ることができて、良かった」 渡辺久信シニアディレクターが、故障でしばらく大事を取っていた今永の“復帰マウンド”を見た後、各メディアにそうコメントしている。昨年のドラフトもそうだった。時折、西武はあえて1位指名を明かすか、匂わすようなコメントを出して、指名が重複しそうなライバル球団を牽制する。どの球団も本能的に入札での重複を嫌う傾向があるからだ。 「熊原健人(右投両打/仙台大)の入札もあり得る。最近の西武は真っ直ぐの速い投手が少なくなったので」(在阪球団職員) 熊原は、巨人、楽天も高評価している。今年6月、やはり渡辺SDが熊原を直接視察しており、「上位候補」と言い切っていた。今永、熊原とも重複は必至。前年の「高橋一本釣り」のように上手く行くだろうか。 このほか、西武スカウトが熱心に見ていたとされる大学生、社会人投手は岡田明丈(右投左打/大商大)、多和田真三郎(右投右打/富士大)、西村天裕(右投右打/帝京大)、横山弘樹(23=右投左打/NTT東日本)など。「西村は投球フォームを少し改良しなければならない。左肩の開きが早い」(前出・在阪球団職員) しかし、西村に関しては「右腕の振りのしなやかさ、試合終盤でも球速が落ちない」と、絶賛するスカウトもいた。西武スカウト陣が投球フォーム改良にさほど時間が掛からないと判断すれば、上位指名されるだろう。 興味深いのは、社会人・横山の指名順位だ。昨年のドラフト終了時から「来年は横山」と話すスカウトも何人かいた。間違いなく、社会人ナンバーワンなのだが、社会人投手は指名解禁年に調子を落とすヘンな傾向があり、横山も夏の都市対抗前後から本来のピッチングを見失っている。ほとんどの球団が「普通なら(本調子なら)、1位候補だが…」とためらっている。各球団が1位入札での重複を嫌う理由は2度目の入札で再抽選となった場合、その外れたときの本命と再々入札選手の力量差が大きいからだ。2度目の抽選は西武も嫌がっている。西武は牧田、十亀など社会人投手の成功例も多いので、2度目の抽選を避け、この横山の指名を繰り上げてくるかもしれない。 また、スポーツ新聞等では「B評価」だが、各スカウトが意外と高く評価しているのが、Hondaの右腕・石橋良太(24=右投左打)だ。たしかに目立った成績はおさめていたが、 「選手層の厚いHondaにいて、1年目から投げていた投手。明徳義塾時代(高知)、徹底的に基礎体力と投球術を叩き込まれていて、野球もよく分かっている。カットボール、スライダーは一級品」(在京スカウト) との声も聞かれた。 今年は高校生に逸材が多いので、社会人選手の多くが下位指名になる可能性が高い。この石橋が下位まで残っているとしたら、高校時代から見守ってきた西武が放っておかないだろう。 高校生も指名するとしたら、東海大菅生の勝俣翔貴(右投左打)を狙うようだ。勝俣は投手だが、それは彼の野球センスとチームの都合でコンバートされただけで、U−18でチーム最高打率を残したように、打撃力は二重丸である。西武は投手で指名して主力野手に育て上げた実績も過去にあるだけに、「3年以上先を見据えた投資」として、この勝俣を下位指名してくるかもしれない。 学校関係者によれば、勝俣はプロ志願届を出しているが、系列大学から“特例”を与えられているという。「指名がなければ進学」、「下位指名や育成枠の低評価だった場合は進学と天秤に掛ける」のだそうだ。特定球団への思い入れはないらしいので、育成ビジョンをきちんと説明すれば、大丈夫だと思うが…。 西武は投手に偏重したドラフトとなる。要するに、来季は優勝を狙うつもりでいて、ドラフトでその戦力補強の大半を終わらせようとしているのだろう。育成と野手指名は必要最低限となるようだ。※渡辺久信シニアディレクターのコメントは共同通信配信記事を参考といたしました。尚、大学野球の指名打者制で試合が行われますが、熊原健人投手は高校時代に右打席での公式記録もありましたので、「右投両打」と表記しました。【訂正】岸選手の名前の表記が間違えておりました、正しくは岸孝之です。訂正してお詫びします。
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スポーツ 2015年10月20日 17時00分
ドラフト戦線異常アリ 千葉ロッテが目指す「向こう10年を託せるスター選手の獲得」
オコエ瑠偉(右投右打/関東一高)を1位入札する球団が現れるとしたら、千葉ロッテマリーンズではないだろうか。夏の甲子園大会を直接視察した林信平球団本部長は、こんなコメントを残している。 「オコエ君が出てくると(打席に立つと)、球場全体の雰囲気が変わった」 50m走5.96秒のスピードプレーヤーに魅せられた高校野球ファンも多かった。 ドラフト会議とは、『補強』と『育成』の両方を秘めている。申し合わせたわけではないが、どの球団も、1位指名は即戦力投手の補強と位置づけ、高校生野手など3年以上先を見越した育成での選手指名は3位以下としている。1位で高校生野手を指名するのは、将来のチームを背負うスター候補を獲るときで、「即戦力投手の補強を諦めてでも」というリスクを覚悟しなければならない。また、プロフェッショナルの集団である以上、「育成に偏重するわけにはいかない」というのがホンネだ。しかし、千葉ロッテは主催ゲーム総観客動員数で、前年よりも多い132万2004人を集めたが、この数値は12球団ワーストでもある。即戦力投手の補強は棚上げしてでも、球場の雰囲気を変えることのできるオコエが欲しい…。千葉ロッテはそう考えているのではないだろうか。しかも、オコエの母親とロッテの内竜也投手の母親が従姉妹同士だったという。 また、戦力補強を考えれば、先発タイプの投手を指名しなければならない。高橋純平(県岐阜商)、小笠原慎之介(東海大相模)といった即戦力に近い高校生投手は1位指名で消える。「1位オコエ」なら、2位以下で大学生、社会人の投手を指名することになるが、ほとんどの球団は「1位で高橋、小笠原か、有望大学生」の戦略であり、知名度では若干落ちる地方大学の投手しか残っていないかもしれない。社会人ならば、地元千葉県の拓大紅陵高、新日鉄住友かずさマジックの好左腕・加藤貴之(23)がいる。 「千葉ロッテのスカウトには、有名社会人チームと太いパイプを持った人がいます。社会人選手に関する情報は他球団よりも秀でている」(在阪球団職員) 地元ならば、千葉明徳高から、国際武道大学に進んだ右腕・鈴木康平(右投右打)も「まだ伸びしろがある」(在京球団スカウト)と、評価されている。 「鈴木は高校時代から将来性で二重丸を付けられていた逸材です。高校時代は怪我に泣かされたが、長身から投げ下ろす(185センチ)直球の角度は、プロのバッターでもてこずるのではないか」(在京球団スカウト) 今夏の甲子園大会の千葉県代表校・専大松戸の原嵩(右投右打)も、プロ志願届を出している。山本武白志(右投右打/九州国際大付高)は、元監督・山本功児氏の子息である。「まだ金属バット式の打撃」との声もあり、即戦力ではないが、今江、福浦、サブローといった主力選手の年齢を考えると、大砲候補は指名しておくべきだろう。 昨年は「1位・中村奨吾(野手)、2位・田中英祐(投手)」といった、他球団と違う戦略を見せた。今年は独自の戦略だけではなく、社会人チームに強いネットワークも下位指名で発揮されるのではないだろうか。※林信平球団本部長のコメントは共同通信社等の記事を参考といたしました。
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スポーツ 2015年10月20日 14時00分
情報が錯綜する巨人次期監督 内部昇格、元エース、そして意外な名前も…
巨人がクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージに駒を進めた。 ファーストステージ終了後、原辰徳監督(57)はスタンドのファンに手を振った後、三塁側の阪神タイガース和田豊監督に「ご苦労さま」と労いの言葉も掛けた。和田監督はこれが指揮官として最後の試合だった。原監督は、そういう試合を戦う心境が他人事とは思えなかったのだろう。 「10月5日、原監督は読売新聞本社で渡辺恒雄最高顧問と白石興二郎オーナーを訪ね、レギュラシーズンの結果報告を行いました。原監督が各メディアに明かしたように、進退に関する話は全く出なかったそうです」(スポーツ紙記者) 結果報告では、チームの今後や補強に関する意見交換がされたようだ。原監督は今季、2年契約最終年を戦った。3位でV逸した2011年は9月途中で『契約延長』を提示されている。契約満了はまだ通達されていないが、延長とも言われていない。CS終了と同時に退団と見て、まず間違いないだろう。 「通常、新監督を外部から迎える際、水面下で打診を入れ、先方の要望などを聞いたうえで正式交渉に入ります。阪神が金本知憲氏の招聘でゴタ付いているのは、事前の打診を全くしていなかったからです。内部昇格なら、川相ヘッドが有力。巨人の次期監督候補として名前が報じられた江川卓氏の周辺には、そういった動きはない」(ベテラン記者) 江川氏は日本テレビ上層部が推薦しているのかもしれない。しかし、ドラフト会議、秋季キャンプなど、次の監督が決まらないと動けない案件が直前に迫っている。そう考えると、続投か内部昇格が妥当だが…。 「いや、巨人は在野のOBを呼ぼうと思えば呼べるんです」(同) 読売本社内には『読売新聞スポーツアドバイザー』という肩書がある。近年、この職務に付いた巨人OBは監督に就任しており、同アドバイザー職は“次期監督の約束手形”のような捉え方もされている。 「故藤田元司元監督、原辰徳監督、堀内恒夫元監督が巨人の監督に就任する前に、その肩書を持っていました。原監督が第一次政権のときに2年で降板した際、緊急で堀内氏が招聘され、“約束手形”のイメージを強く印象づけました」(同) 特定の1人ではなく、何人かの有力OBがそれを務めているが、現在、その肩書を持っている有力OBの一人に鹿取義隆氏がいる。鹿取氏はWBCを後方支援し、国際野球大会をサポートしてきた。巨人が韓国プロ野球に在籍するアメリカ系外国人投手の獲得を検討する際、渉外担当者に変わって代理視察したこともあった。このように、原政権を後方からサポートしてきた経緯を考えると、鹿取氏も現実的な次期監督候補の一人かもしれない。 しかし、こんな情報も交錯している。 「近年中にも中畑清氏の名前が再浮上してくるのではないでしょうか。万年Bクラスだったベイスターズを再建させました。順位は伴いませんでしたが、DeNAは若手が確実に育っています」(球界関係者) 読売グループが来季の監督名を明らかにしないのは、CSを戦う現場を混乱させないためでもある。しかし、原監督の勇退を公表しても、「監督のために勝とう」という雰囲気にならないことも熟知しているそうだ。
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スポーツ 2015年10月20日 11時55分
ドラフト戦線異常アリ 下位でリリーフタイプの補強を狙う中日の台所事情
落合博満GMが早々に密着した今永昇太(左投左打/駒大)か、それとも、地元の雄・高橋純平(右投右打/県岐阜商)か…。 今年は長くチームを支えてきたベテランが多く引退した。まさにチームの転換期であり、ドラフト戦略は本当に重要になる。ピンポイントで即戦力を補強するのか、それとも、将来、チームの顔になるような素質を持った高校生を獲って育てるのか、この二択になるだろう。先発ローテーション入りできる即戦力投手は欲しい。今季は救援陣の防御率も良くなかった。そう考えると、リリーフタイプの投手も補充しておきたい。先発タイプは『即戦力』にこだわるのなら、落合GMが推している大学ナンバー1左腕・今永昇太、富士大・多和田真三郎(右投右打)、帝京大・西村天裕(右投右打)だろう。『チームの顔』ならば、高橋純平ということになるだろう。 「営業サイドも地元出身の高橋を指名してほしいと思っている。この結論はドラフト当日まで持ち越されるでしょう。高橋、今永のどちらで行くにしても重複は避けられない。『外れ1位』で小松貴志(右投右打/創価大)、左投手ならば、4年生になって評価を落としたが、上原健太(左投左打/明大)、左投手にこだわるのなら、唐仁原志貴(左投左打/福岡大)かもしれない」(ライバル球団職員) 唐仁原は中央ではまだ名前が広まっていないが、「スピード左腕」として小林高校時代(宮崎)から一目置かれていた。九州沖縄地区担当スカウトの間では、昨年ドラゴンズに2位指名された左腕・浜田智博(九州産業大)よりも評価が高く、「ストレートが速いだけではなく、手元でさらに伸びる」という。また、日本文理大の田中豊樹(右投右打)は重量感のあるストレートが武器で、「昨年1位の野村亮介に似ている」との声も聞かれた。昨季、野村を押したのも落合GMだった。落合GM好みの投手ではないだろうか。唐仁原、田中ともに大きなタイトルは獲っていないが、中日は熱視線を送り続けてきた。 また、ポスト谷繁(正捕手)も緊急補強しなければならない。過去2年、大学生捕手を獲得してきたので、今年も大学生捕手を指名するのは考えにくい。また、過去の指名捕手と年齢の近い社会人捕手を獲るのも『育成面でのリスク』をともなう。 「中日が捕手を獲るとしたら、静岡高の捕手・堀内謙伍ではないか。地元中京地区の出身だし…」(前出・同) しかし、一方でトヨタ自動車の木下拓哉(24=右投右打)を狙っているとの声も消えていない。落合GMが昨年ドラフトで高校生の指名を見送ったのはあくまでも即戦力にこだわったからであり、育成期間の長い高校生を嫌ったからではない。近年、高校生でも一年目から一軍に昇格する野手も珍しくなくなっただけに、一定の評価基準をクリアしていれば、高校生で指名するはずだ。 「守備力重視で内野手を補強するのなら、國學院大学の柴田竜拓(右投左打)。こちらも他球団がマークしているので本当に欲しいのなら、即戦力投手の指名を一人諦めて指名順位を上げるしかない」(関係者) しかし、関西にも堅守のスピードプレーヤーがいる。吉持亮汰内野手(右投右打/大商大)だ。広陵高時代(広島)は三塁を守っていたが、進学後は遊撃手として定位置を奪った。大商大には1位指名候補の右腕・岡田明丈もいる。中日スカウトもこの岡田を見続けてきたが、「本当は吉持を見ていた」(同)との情報もあるだけに、本命は柴田ではなかったのかもしれない。 1位入札は高橋か、今永か。その結論はまだ出ていないが、今年の中日は地方大学の好投手や捕手、内野手を例年以上に厳しくチェックしてきたようだ。
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スポーツ 2015年10月19日 18時10分
マートン阪神退団必至 獲得を目論む日本球団はココだ!
クライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージの第3戦で、敗れた阪神のラストバッターがマット・マートン(34)だったのも、不思議な巡り合わせである。 このファーストステージ前に、マートンが来季は構想外であることが報じられていた。マートン自身もCS前のチーム全体練習で「6年間は素晴らしかった」と覚悟を決めたような発言を続けていたが、他球団はそうは見ていない。首位打者1回、最多安打3回の実績は捨てがたいというのだ。 「一度解雇された外国人選手が別球団と契約して、引き続き日本でプレーするのも多く見られるようになりました。マートンは日本球界での生活も長く、こちらの勝手(習慣)も分かっています」(スポーツ紙記者) しかし、マートン獲得にはリスクもともなう。それは、阪神が構想外を決断した理由でもあるが、年俸が高くなりすぎたことだ。今季年俸は4億5千万円(推定)で、残留となればそれ以上を要求してくるのは必至。他球団がオファーを出すとしても、「最低でも阪神時代と同じ」と、吹っ掛けてくるだろう。 「気まぐれというか、性格に難がありますからね。集中力が切れたときには緩慢な守備でチームの足を引っ張り、本塁突入で相手チームの捕手を突き飛ばしたり…。マートン獲得を検討していたとしても、歓迎しない選手も多いのでは」(ベテラン記者) マートンの今後だが、メジャー復帰に関しては悲観的にならざるを得ない。外野手として、守備はまずまずだが、肩は強くない。打撃も日本で安打を量産した実績は評価されるであろうが、今季は打率2割7分6厘、本塁打9と物足りない成績だった。来季35歳という年齢からしても、大半のメジャースカウトは「欲しい」とは思わないだろう。 「マートンの代理人はかなりヤリ手です。来日1年目にいきなり年間安打数の記録を更新しましたが、夏場に観戦と称して日本にやってきて、『メジャーに復帰するかも』と各メディアに吹聴し、阪神との残留交渉を優位に進めました。もう、他球団にアタリをつけているんじゃないか」(同) たしかに今季は、獲得した外国人選手が活躍せず、泣かされた球団も少なくない。巨人を例に出すと、セペダ、アンダーソン、フランシスコ、カステヤーノといった外国人野手よりも、マートンのほうが確実な戦力だ。大型補強による強力打線を編成したはずのオリックスや楽天、グリエルの来日をアテにして泣かされたDeNA、ペナント終盤で故障者が続出した千葉ロッテ、打線低迷の広島などは再検討の余地がある。 「かつて巨人は野村監督時代の阪神で『性格に難アリ』と見られていたダレル・メイを獲得し、チームに貢献させました。環境が変われば性格がなんとかなる場合もある」(球界関係者) アメリカ、日本以外のプロ野球リーグの環境は芳しくない。メジャーリーグに帰還できないと分かれば、好環境と高年俸を補償する日本球界にしがみつくはずだ。マートンが今オフの“目玉商品”になるかもしれない。
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スポーツ 2015年10月19日 16時00分
ドラフト戦線異常アリ 左投手の成長次第で1位候補が変わる『トラの台所事情』
藤浪に並ぶエース候補を獲る。競合覚悟で高橋純平(県岐阜商)の1位入札に行くと思われていた。しかし、スカウト陣にはまだ迷いがあるようだ。 「岩貞(祐太)、横山(雄哉)と2年続けて左の先発タイプを1位指名しました。この2人が先発ローテーション入りしてくれることを念頭に入れての『右投手指名』が戦略でしたから」(関係者) 岩貞、横山ともにその期待に応えきれていない。ここにローテーションの一角であるメッセンジャーの勝率が悪化したことも重なった。防御率こそ14年を上回る2.97をマークしたが、問題の勝率は5割6分5厘から4割2分9厘まで落ち込んだ。来季35歳を迎えるメッセンジャーが蘇るのかどうか疑問であり、さらに、36歳・能見篤史、32歳・岩田稔の両ベテラン左腕の年齢を考えて、「やはり、左投手に切り換えるべき」の声も出てきた。同時に「左右関係なく、チームを背負ってくれそうな投手を」の“悲鳴”も挙がっていくという。 左投手に切り換えるとしたら、小笠原慎之介(東海大相模)、後者の見解で行くならば、左太股の回復具合を再確認したうえで、高橋入札となるそうだ。 「小笠原は走者を背負った場面での投球面で、まだ課題が多い。現時点で、劣勢でのメンタル的な強さ、逞しさは高橋のほうが上。高橋も一軍定着までさほど時間は掛からないと思うが、先発ローテーションの再編を急ぐのであれば、同じ競合覚悟でも、今永昇太(左投左打/駒大)、上原健太(左投左打/明大)に切り換えたほうがいい」 チーム内部にはそんな声も出ているそうだ。 この時期に来て、意見が別れたのはチーム補強の統括者が変わったからだ。岩貞、横山の伸びしろを念頭に入れた『将来性のある、右の先発タイプの補強案』は、故・中村勝広GMによるもの。現時点で高野栄一本部長が引き継いでいるが、気になる点がもうひとつある。去る9月29日、ライバル巨人がスカウト会議を開き、山下哲治スカウト部長が1位候補を10人前後に絞り込んだ旨を明かした。その約10人のなかに平沢大河(右投左打/仙台育英)が含まれているというが、この平沢を早くからマークしていたのは阪神だった。故・中村GMは右投左打の内野手が欲しいとし、長打力もあるこの平沢を高く評価してきた。そのことは、当然巨人も知っていたはず。巨人側があえて平沢の名前を挙げたということは、阪神に対する陽動作戦とも解釈できる。「約10人の1位候補」とは、最後に「1人に絞り込む本命」と「外れ1位候補」のこと。平沢が外れ1位候補なら、2位以下で指名できなくなるわけだ。 「外野手のオコエ瑠偉(右投右打/関東一高)に対する評価を、上方修正しています。人気もあるし、こちらも単独指名もあり得る全球団の1位候補です。阪神の上位指名候補の選手、全てが他球団にかっさらわれる危険があります」(プロ野球解説者) 今さらだが、1位は抽選だが、2位以下は下位チームからのウェーバー制となる。今季ペナントレース3位の阪神はウェーバーの順位は後ろの方になるため、思うような補強はできないだろう。 大商大・岡田明丈投手(右投左打)も評価しているという。関西を代表する好右腕・桜井俊貴(右投右打/立命館大)、東海大・吉田侑樹(右投右打/東海大)などの投手も阪神がマークしてきた。右投げ左打ちの好内野手は大学球界にもいる。國學院大学の柴田竜拓もそうだが、亜細亜大・藤岡裕大は玄人好みのする三塁手である。一年途中からレギュラーとなり、一塁送球のボールのスピード感がある。捕球でも一歩目の動きが俊敏、かつ果敢で力強さすら伝わってくる。 将来性で阪神が評価しているのは、日隈ジュリアス(左投左打/高知中央)。真っ直ぐで勝負する攻撃的な投球が信条で、地方予選を見守ってきた山本宣史スカウトが「手首の強さはハーフならでは」と唸っていた。阪神は上位指名で苦しむかもしれないが、下位で将来性豊かな高校生を大量に獲得してくるかもしれない。※山本宣史スカウトのコメントは共同通信、及び地方紙掲載のものを参考といたしました。
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スポーツ 2015年10月19日 12時20分
ドラフト戦線異常アリ 星野カラーで決まる楽天の正遊撃手候補とポスト嶋
過去3年を振り返ると、ファンをもっとも喜ばせたのは東北楽天ゴールデンイーグルスではないだろうか。森雄大、松井裕樹、安樂智大と、その年のナンバーワン高校生投手の1位指名に成功している。『将来性』に重点を置いた方針が引き継がれるとすれば、高橋純平(県岐阜商)、小笠原慎之介(東海大相模)、地元の雄・佐藤世那(仙台育英)、甲子園未登板ながらU-18日本代表に選ばれた好右腕・森下暢仁(大分商)らの入札が予想できる。しかし、2年連続の現状を考えると、則本昴大に次ぐ先発ローテーション候補、つまり、大学生、社会人の完成された投手を指名してくるかもしれない。 大学なら、“東北繋がり”の富士大・多和田真三郎(右投右打)、仙台大・熊原健人(右投両打)、東北福祉大・佐藤優(右投左打)がいる。熊原に関してはかなり速い時期から巨人が密着していたため、「巨人の外れ1位筆頭候補」とも目されているが、4年生になって、故障明けの大事を取り、登板を控えている。多和田も登板回避があり、『即戦力』で絞り込むなら、3人のなかで佐藤優の評価がもっとも高いはず。だが、ドラフトを含め、戦力補強の陣頭指揮を執っているのは星野仙一副会長である。今年に入って、評価を落としているが明治大の左腕・上原健太がいる。明治大は星野副会長の母校でもある。上原は広島県広陵高の出身で、広島カープの1位入札も十分に考えられるが、星野カラーで上原が選ばれるかもしれない。 「昨年までは、1位入札の最終決定は三木谷浩史オーナーと相談して決まりました。三木谷オーナーがスカウト陣の報告を無視して自分の意見をゴリ押ししたなんて話は聞いたこともないが、一連の現場関与報道で三木谷さんは疲れています。今年は星野副会長に全て任せるのでは」(他球団職員) また、チーム事情からして補強すべきは、遊撃手と捕手。正捕手・嶋、伊志嶺の故障が相次ぎ、楽天はブルペン捕手だった横山徹也を緊急に育成選手登録する“醜態”を晒しており、「嶋が元気なうちに後継者を」の声も高まっている。一部報道で「巨人が狙っている」と伝えられたトヨタ自動車の木下拓哉(右投右打)、社会人ベストナインにも選ばれた戸柱恭孝(右投左打)、大学日本代表の正捕手だった明治大・坂本誠志郎(右投右打)らをチェックしているという。高校生を育てるのなら、健大高崎の柘植世那(右投右打)、静岡高・堀内謙伍(右投左打)、初芝橋本高・黒瀬健太(右投右打)だろう。 「高校生捕手は育てるのが難しい。二軍戦で18歳に配球のサインを出させようとすると、一軍昇格を目指す投手は『こっちは生活が掛かっているんだ!』と怒ってしまう。高卒捕手を育てるのは難しい」(ライバル球団関係者) ショートには阿部、西田といった中堅選手がいるが、安定感に欠く。即戦力の野手をドラフトで求めるならば、國學院大学の柴田竜拓(右投左打)だろう。柴田に関しては、広島・苑田聡彦スカウト部長が「守備はプロの一軍レベル」と評し、日本ハム・山田正雄アマスカウト顧問も「すぐ使える」と太鼓判を押していた。状況的に菊池・田中の二遊間コンビを持つ広島が柴田を上位指名することは考えにくい。日本ハムは内野手の補充も考えているが、高校生遊撃手なら、仙台育英の平沢大河(右投左打)もおり、日ハムは育成に定評のあるチームでもあるだけにこちらを先に獲ろうとするのではないだろうか。 星野副会長は楽天監督時代、則本昴大(三重中京大)の指名順位を挙げ、地元中日を出し抜いてみせた。現時点では想像の域を出ないが、そんな星野流のドラフト戦略を考えると、1位で地元の平沢か、柴田を単独指名し、2位以下で大学生投手を獲る戦略もあるのではないだろうか。
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スポーツ 2015年10月19日 10時38分
ドラフト戦線異常アリ ポスト陽岱鋼か、ナンバー1投手か?日本ハムが悩む最終決断
北海道日本ハムファイターズのドラフトはブレない。その年のナンバー1選手、いちばん欲しいと思った選手を1位入札する。この方針に変わりないが、最終決断はドラフト当日になるかもしれない。 「高橋純平(県岐阜商)で決まりだと思っていました。ただ、今夏の甲子園大会中から、オコエ瑠偉(関東一高)を集中的に視察するようになって…」(ライバル球団スカウト) 日本ハムスカウトのなかに、高橋のいる県岐阜商に“精通”する者もいるという。高橋が全国ネームになる今春のセンバツ大会前、いや、一年生のころからその才能を知らされ、密着してきた。左太股の故障で夏の甲子園大会には出られなかったが、その才能は他11球団も認めている。 ところが、オコエ瑠偉が今夏の甲子園でブレイクし、日本ハムも迷い始めた。 「陽岱鋼がFA権を取得するのは16年シーズン中です。30歳を過ぎたらメジャー挑戦の目標を持っており、選手のピークを25歳から28歳に設定する日本ハムの見解からして、彼のメジャー挑戦を快く見送ると思われます」(プロ野球解説者) オコエをその陽岱鋼の後継者として、外野守備の中核を託したいのだろう。オコエのようなスター性も秘めたスピードプレーヤーは滅多に出ない。通常、ドラフトは「1位指名=即戦力か、将来の看板選手」として捉えられている。オコエが全国ネームにならなければ、4位以下での指名も可能だった。しかし、今では「入札での重複を嫌うチームの単独指名もあり得る」とされ、 「観客増を狙う千葉ロッテが即戦力投手を捨ててでも獲る」 との情報も流れている。 高橋指名にしても、重複は必至。そのとき、外れ1位の再入札でオコエが残っていなかったと仮定し、“一級品の外野手”を獲るならば、青学大の吉田正尚(右投左打)、慶大・谷田成吾(右投左打)、捕手もできる創価大・北川利生(右投右打)といった大学生の名前がコールされるかもしれない。 内野手では國學院大学の好内野手・柴田竜拓(右投左打)を高く評価している。山田正雄アマスカウト顧問は「守備はすぐ(一軍で)使える」とコメントしており、早大の三塁手・茂木栄五郎(右投左打)、立教大の遊撃手・大城滉二(右投右打)にも密着していた。大城に対しては、遠藤良平GM補佐が視察し、「固め打ちもできる」と称賛。大城は立教大最多の安打111本に並び(10月12日)、現役最多の36盗塁をマークしている(同時点)。 また、「捕手を獲る」との情報もある。日本ハムは育成が難しいとされる高校正捕手の指名にも積極的だが、昨年のドラフトで2人の高校生捕手を指名している。一学年しか違わない捕手を獲るのは考えにくい。捕手の育成にもっとも必要なのは経験(出場)である。そのことを考えると、社会人の木下拓哉(右投右打/トヨタ自動車=24)、戸柱恭孝(右投左打/NTT西日本=25)の即戦力系を狙ってくるのではないだろうか。 「下位で残っていれば」の条件付きになるが、日大三島の好投手・小澤怜史(右投左打)、センバツV投手の平沼翔太(敦賀気比/右投左打)にも熱視線を送っていた。 平沼だが、数球団が「打者で指名したい」と話していた。夏の甲子園後の国体で、平沼は『4番・遊撃』で出場。本人は「投手、野手のどちらでもいい」という言い方だったが、柴田、大城の大学生遊撃手の指名に失敗した際、この平沼を指名してくるだろう。高校生遊撃手としてトップレベルにある平沢大河(右投左打/仙台育英)は上位で確実に消える。そうなると、平沼を育ててみたいと考えるのが、育成に定評を持つ日ハムの発想である。もっとも、2人目の二刀流はないと思うが…。
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スポーツ 2015年10月18日 15時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー 〈決死の金網ギロチンダイブ〉 ブルvsアジャの“悪役頂上決戦”
パイルドライバーともパワーボムともつかない角度で、後頭部からマットに打ちつけられたアジャ・コングの首がグニャリと曲がった。大の字にのびたその姿を見やり、ブル中野は金網のフェンスに手をかける。 1990年11月14日、横浜文化体育館での金網デスマッチ。ゆっくりとその頂点まで上ったブルがリングを振り返ると、アジャはまだリングに仰向けのままだった。フェンスをまたいで場外へ脱出すれば、ブルの勝利が決まる。 しかしブルは、それまでの激闘のダメージでふらつきながらも、フェンスの最上段に立った。そして、ブルの勝利を確信して歓声を送る観客の意に反し、リングの中へと体を向けた。胸の前でゆっくりと合掌するブル。その表情は遠目にも固く強張っていた。 次の瞬間、100キロを超えるブルの巨体が宙を舞う。約4メートルの高さからのギロチンドロップは、アジャを完全KOしたのと同時に、長年にわたる女子プロレスの歴史に新たな地平を切り開く一撃となった。 「そもそもブルとアジャは、ヒール(悪役)ユニットの『獄門党』から袂を分かったもので、ヒール対決がビッグマッチのメーンを張るというのは、過去になかった。それが満員の観客を集め、話題となったことで、以後の女子プロレス界の流れが変わっていきました」(スポーツ紙記者) ベビーフェース(善玉)とヒールの間に、確固たる線引きがあったままなら、以後の団体対抗戦でも焦点がぼやけて、盛り上がりに欠けていたかもしれない。 「ベビーとヒールの区分けがあいまいになったことで、選手の評価基準が男子と同様に“強さ”へと移ることになりました」(同) 以前にも、ジャガー横田やデビル雅美など強さを売りにした女子レスラーはいたが、それはベビー側の敵役としてのもの。絶対的な強さを誇る王者やヒール役に挑む、可憐なベビーフェースという枠組みがあってのことだった。 「クラッシュギャルズ(長与千種&ライオネス飛鳥)は格闘技的な強さも人気の要因でしたが、あくまでも主軸はダンプ松本率いる極悪同盟との抗争。キックなどを多用したのは、当時のUWF人気にあやかったものでした」(同) また、ブルの金網ギロチンダイブ以降は、女子プロレスの観客席の様子も変わり、男性客が目立ち始めた。それまでは、女性ファンがリング上の憧れのスターに声援を送る、言うなれば“肉体版タカラヅカ”の世界だったものが、「女子はこんなにすごいことをやっているのか」と、広くプロレスファン全体に知られることになったのだ。 「力道山が嫌ったことから、長い間、女子プロレスをタブー視する傾向が紙媒体にはあって、ビューティ・ペア(ジャッキー佐藤&マキ上田)やクラッシュギャルズの全盛期でも、恒常的に報じているのはデイリースポーツぐらいでした。ところが、次第に専門誌も女子を大きく取り上げるようになり、2回目の金網ギロチンは『週刊プロレス』(ベースボール・マガジン社)の表紙にまでなった。それが男性ファンにとって、女子の会場へ行くことへの免罪符にもなった」(同) そしてもう一つの変化が、選手の引退時期である。女子プロレスの基準が強さを競う闘いとなったことで、それまでの25歳定年制というしきたりの意味は薄れ、強い選手はそのままリングに上がり続ければ良いという意識が、選手の間にも広がっていった。 実際のところ、ブルも所属していた全日本女子から何度も引退勧告を受けたというが、それを拒んで“女帝”としてリングに上がり続けた。 '92年11月、アジャに敗れてWWWAの赤いベルトを手放してからは、米国のWWF(現WWE)に転戦し、現地の女子王座も獲得。帰国後には神取忍とのチェーンデスマッチで勝利を飾り、'97年に左ヒザの故障で引退するまで、ヒールの枠を越えた存在として君臨した。 一方のアジャも45歳となった今なお、こちらもまたヒールを越えたレジェンド・レスラーとして広く活躍を続けている。