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プロ野球トライアウト密着取材 戦力外通告から這い上がる選手たち(1)

 再起を懸けた舞台は“一発勝負”だ。

 11月11日、『日本プロ野球12球団合同トライアウトin静岡』が草薙球場で行われた。戦力外通告を受けた選手たちが一縷の望みに懸け、12球団編成スタッフたちの前で真剣勝負に挑む。
 今年からその内容は少し変更された。実戦形式のシート打撃はノーカウントから始まる。今までは「1ボール1ストライク」からだった。また、事前に登板の順番が公表されるようになった。考えてみれば、当たり前の配慮である。
 午前9時に受験受付が始まるが、登板が後の投手は午後3時頃となる。待ち時間が長過ぎても事前に分かっていれば、調整の仕様はいくらでもある。改定は遅過ぎたくらいだ。

 シート打撃3組目、加藤康介(37=前阪神)の名前がアナウンスされたとき、ひと際大きな拍手が沸き上がった。加藤は地元静岡県の出身だ。
 「これまでは向かい風だったのが、追い風になったのかもしれませんね」

 加藤は迷ったという。トライアウトを受験せずにオファーを待つ他球団のベテランもいた。オリックスを自由契約になった坂口智隆外野手(31)は受験せず、東京ヤクルトからのオファーを得ている。しかし、加藤が迷った理由は、ベテランのメンツではない。
 「年齢は関係ない。ベストを出せるように今日まで練習してきたつもり。もう一度、マウンドに立つ、そう決めてから『まだやれる』と思う部分と、自分の中で『もういいんじゃない?』みたいな思いがよぎったりした。その葛藤でした。ここまでやって来られたのは自分の力だけではない。たくさんの人に支えてもらいました。そのたくさんの人に支えてもらった以上、自分が勝手に(現役を)辞めるということを決めたくなかった…。辞めるときは野球を続ける場所がなくなったときにすべきだと」

 3度目の受験となったベテランもいた。34歳、正田樹だ。日本ハム、阪神、台湾、独立リーグ、ヤクルトなどを渡り歩いた左腕は「何回受けても、凄い緊張感ですよね」と笑った。スピードガンは139キロをマークするなど、ピッチングは全く衰えていない。
 「やっぱり野球が好きだから、これまで続けて来られたし、これからも続けていきたい。スライダー、あと、フォークも投げました。球種は増えているんですよね。色々な経験をして、その経験が出せたと思います」

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